──心が、満たされていく。
「……」
『ふぃー再生完了、今日はこの辺りにして、解散にしときましょう!良い上達具合でしたよ、こちらのマニュアルを暇があれば家で読んでおいてください』
家に帰って、手も洗わずに、ご飯も食べずに、風呂にも入らずに。
『では、こちらはプレゼントです!このステッキがあれば何時でも魔法少女になれますので、お試し期間の間は自由に使ってください』
──私は、ひたすらにマニュアル本を読み込んでいた。
丁寧に綴られた戦闘への知識を、明細に語られる魔法への理解を、教科書なんかには載っていない『ワクワク』をひたすらに貪り続ける。
ステッキは誰にも見られない場所に、誰にも知られない場所に、私だけの秘密としてしまい込む。
満たされる、満たされ続ける。空っぽだった器が満たされていく。暗澹とした過去も、虚無の毎日も一瞬で薄れていって、幸福感だけが後味のように脳に残り続けていた。
脳に舌があれば、この幸福感を永遠に舌の上で転がしその芳醇な甘みに舌鼓を打っていたことだろう。
「ふふ…」
マニュアルに書かれたミニキャラを見て笑う。可愛く書かれたソレはミーちゃんさんが頑張って書いた自分のミニキャラで、以前の私ならこんなものに目もくれなかった。
──心が満たされてると、こんなに全てが楽しく感じるんだね。
「……」
楽しい。明らかにしてはいけないことを、二度と戻れない幸福に浸っているというのに、楽しい。楽しくて楽しく仕方がない、学校の時間なんてどうでもいい、学校だけでの付き合いの友達もいらない、私は魔法少女になったんだ。
夢を叶えた、叶わないはずの夢を叶えた。
──【■■、■■■■■■■■■■■■】。
真っ白にした作文の前で、再び私はペンを握っていた。
「優花ー!お風呂入らないのー?」
「…」
「優花ー?」
「ん」
「お風呂、どうする?」
「別に」
「……どっち?」
「……」
「──優花」
「…っ、入る!」
ああ。■■■■。
■■■■な、コレ。
仕方ない、と思いお風呂に向かう。服を脱いで本を片手に、シャワーを出しながら本を読む。
本は勝手に水を弾いて、いつでも、どんな時でも読めるように工夫されてあった。ミーちゃんさんは、私の女神様かもしれない。
「…『魔法少女体における魔素の信号化』…祐奈がしてるアレか…こんな感じだったんだな」
今の私なら彼女に張り合えるかな、まだ無理かな、まだ無理でもきっといつか追いつけるのかな。
狭まって狭まって、見えなくなっていた未来への道が切り開かれる。何も無いまま死ぬと思ってたのに、私の未来はこんなにも眩しく輝き始めた。
「──ああ!本当に楽しいなぁ!」
勉強にやる気なんか出なかったのに、いざ魔法少女の勉強となると頭にするする入ってきて、私の次のページをめくる手は止まらなくなる。
浅はかで愚かだ、これは初日で、明日も明後日も、最低でも1週間は続く予定で、こんなにも浮かれている。
「祐奈、私魔法少女になれたよ。男でも、夢を叶えられたよ」
「祐奈、絶対祐奈の所にまで行くから、待っててね」
──魔法少女に憧れていた。
──魔法少女に夢見ていた。
──魔法少女を愛していた。
全て、裏切られたけど、私は絶対に裏切らない。
魔法少女、魔法少女、ああ素晴らしきかな魔法少女。
特別って素晴らしい、魔法少女は特別で、特別なものになりたかったから、私は今満たされている。
『────……ぅ?』
祐奈を後ろに乗せて、箒で飛んだあの日の私は。
身体は自由落下に包まれ、祐奈の足を折ってしまった。
足を折って、祐奈が行くはずだった音楽コンサートに欠場する事になって、私は彼女から──恨まれている、のだろうか?
分からない、でも最低限相手の家族は私を恨んでいる、それでも私を恨んだって仕方がないから、矛先はお母さんに向かって、
「────ぉえっ…」
思い出すだけで、胃の中がひっくり返りそうになった。
どうやら祐奈が行くはずだったコンサートは、とてもとても大切なモノだったらしく、複数人の大人に囲まれて乱暴な言葉を吐かれ続けたお母さんの姿を未だに覚えている。
みんな、私に直接は言わなかったけど、全部の言葉が私に突き刺さったまま取れないでいる。
祐奈の病室の前で、私は。
「だからもう、夢は諦めよっか」
「もう、憧れないでね」
「もう、お母さんを苦しませないで」
「後は…うん…謝ろっか!」
「お母さん、優花のことよく分からないけど…あの子とは、仲直りしよう」
「じゃあ…帰ったら、作文の続きを書いて──」
「自分の夢の事、ちゃんと書けるかな?」
「ぅ゛ぁ゛……ッオエっ…」
「ふ、は、あは、ははは」
「──いいや、別に。今楽しいし」
■
「──ミーちゃん、ダークちゃんはどうだっかな」
「うーん、相変わらず体質のせいで回路はズタボロ、パイプはグチャグチャ、出力しようとしたら左手まで溶け始めちゃったぴょん」
「それはいいよ、彼女も覚悟の上だし。出力そのものは?」
「怪物、ぴょん。魔法少女になってから長年、無理矢理の修復とギリギリでの存命を繰り返してきたせいで、リミッター機能が死んでるぴょん。魔素が物質化するまで濃度が濃いぴょんね」
「やっぱりあの黒いのソレだったかぁ〜、ダークちゃんはこれから大変だぞ〜?」
「うむうむぴょん、実戦はドクター付き添いじゃないとダメかもぴょん」
ダークちゃん、ユウカちゃんの一日目が終わった。
ホントはもっと交流して欲しかったけど、自壊のせいで呻き声を上げながら魔法を垂れ流し続けるダークちゃんを見せる訳にはいかない。
ユウカちゃんには、ユウカちゃんなりのプランがある。それをわざわざ崩す必要も無いし、友好は後々でいっか。
「オリ魔法はなんか思いついてた?」
「ん〜、今は特にぴょん。もしかしたらあのまま突き進むかも、初等教育すら受けてないからぴょん……物覚えというか、そもそも治せないレベルの奴ぴょん」
「ふーーむ、マニュアルは?」
「わからない……って言われて返されたぴょん……シクシク…」
「ダークちゃんは仕方の無い子だな〜…可愛くて仕方ねぇぜ!!……ふふ、そっか〜、もう3人も集まって…こんな幸せな思い出が作れて…幸せだなぁ、私」
「主…」
「ホントだよ、ぴょんぴょん。真似でしかなくても、感じれなくても、私は今、きっと幸せだから」
「…………」
「──ほんじゃ、始めようかな?」
──さて。
一通りの準備は終わった、今からやるのは人類への敵対宣言に他ならない。以前にも言った通り、私には私しか出来ない事を今の内にやるべきだ。
ダークちゃんとユウカちゃんの育成方針は決まってる、必要なのは……完全に活動を開始する為の大規模な拠点、尚且つ連合の手の届かない場所に組織の本部を作ること。
「ミーちゃ〜ん、これは仕方の無い犠牲?セーフ判定?」
「残念ながら死は死、その価値だって…決まりはしないぴょん、世の中はいつだって流動的ぴょん」
「クレバーになったね」
「まぁ付き合い長いですしぴょん。晩御飯、用意しておきますぴょん!それまでには帰ってくるぴょん」
「OK、制限時間は2時間って所かな」
「──行ってらっしゃいぴょん」
「行ってきます、ぴょんぴょん」
──その日。
その日、日本は数百人の魔法少女を失う。
いつものように、風と共に消えた少女の行方は誰も知る事は無い。
誰1人として、未だ彼女の事を知らず。それ故に、理不尽は巻き起こされる。
「…性癖ってめんどくさいぴょんねぇ……ほんと…」
■
「──明日、昼ご飯外に寄れる日だったっけ」
「確かそうだった筈、一緒に行く?」
「うん…最近食堂のご飯の味、悪くなっちゃったし」
その日の夜も、なんてことは無い夜の筈だった。
魔法少女訓練学校へ友達と一緒に受験して、一緒に合格した私達は夜中、明日のお昼ご飯の事を話していたんだ。
「そう?あんまり変わってなかったと思うけど」
「なんかさ、お米の…芯があったっていうか?」
「ぷっ、それ多分今日だけだよ、まぁ普通に食べに行きたいから行くけど、お米なんて毎日出来が変わるもんでしょ?」
「そうかなぁ…」
街中に現れる魔法生物を討伐する為に、日々研鑽を重ねる私達にとって、訓練学校での毎日は窮屈なものだ。
それでもみんなのお陰で毎日は楽しい、知らなかった世界に足を踏み入れて、非日常を体験しながら日常を守る。
──使命感、というやつかな、この仕事について良かったと思う。最初は年齢がその時のまま止まると言われて臆していたけど、もう見慣れたものだ。
「明日どーしよー……魔法生物…明日ばかりは出ないで欲しな〜……」
「みんな毎日思ってるって、ウチらも早く個人活動の魔法少女になりたいよな〜……魔法少女No.3みたいに、トップアイドルしながら魔法少女なんてさ!最高じゃん?」
「あの人は顔とセンスがいいからでしょ、アンタ歌って踊れる?」
「むーりー」
「ならむーりーでーすー、魔法少女になれただけ幸せに思わなきゃ、家族に怒られちゃうよ」
「給料高いのだけはいい所だよね……」
──本当にいつも通りの筈だったんだ。
下らない日常会話をして、明日起きたら同僚と愚痴り、魔法生物の出現を確認したらみんなで出勤する。
システム的だけど、それだけで楽しかった。この先の人生まで保証されてる魔法少女になって、何一つ不十分は無いって。
「聞いた?教官明後日出張らしいよ?」
「まじ!?やったぁー!……んでも…なんで?」
「……北海道の方で起きた窃盗事件あるじゃん?あの事件、実はまだ解決してないらしくて…あっちこっちから盗んだ魔法少女を捕まえる為に呼びかけられてるらしいよ」
「あー……アレかぁ…最近物騒な事多いと思ってたけど、補給所から盗む奴なんていたん───」
《──緊急!この放送は訓練では無いっ!至急変身次第グラウンドに出て、迎撃姿勢を取れ!!》
「「───!!」」
その放送を聞いて、持ち物を整え寮から飛び出すように駆けていく。
校舎、寮に響いた放送に込められた声色は、心臓を直炙りしたような緊張感を与えてくる。
でも───まぁ、大丈夫だろう。そんな風に思いながら、強化外套を起動して外に出た時。
「───は」
私は、ハッキリとこの目で見てしまった。
空から降りる天幕を、宙から落ちてくる絶望を。
月明かりを背景に、校舎が外側の世界から分断されていく光景を。
「──なに、これ」
「………やばい…やばすぎ、やばいやばいやばいやばい!!」
『世界』が、落ちてきていた。
どう表現すればいいのか分からない、それでも私が最初に抱いた感想はそれで、『空』という面が目の錯覚等では無く、本当に迫ってきている。
誰かの魔法?それによる幻覚?そうとしか考えられなかった、警報の焦りようは確かにこの光景を見れば当たり前で、それでもこれは現実では無いと信じていたい自分が居る。
──有り得ない。何が起きているかすら分からない。もしこれが魔法によるものだとしたら、高度すぎて私達には……何一つ。
「っ、行くよ!!」
「……う、うん!」
強化された身体能力で、3階から飛び降りて手に武器を形づくる。私はスピアで、同僚は拳銃。互いにリーチがある武器で今まで魔法生物を無傷で倒してきた。
誰かは分からないが、この幻覚を引き起こしている者がいるとするのなら、その魔法の範囲内に近づかなくて済む私達が有利。
数百メートル伸びる槍と、魔素が尽きない限り弾丸を撃てる拳銃、この2つだけでなく、訓練学校には様々な魔法を使える同僚が居る。
教官も居る事だ。もし襲撃者が幻覚だけ仕掛けて帰ったとしても逃がさないし、幻覚持ちなら教官がやっつけてくれる。
──胸に僅かな希望と安心感だけを備え、グラウンドに飛びてて、
「「…………」」
「こんにちは!」
目前に広がる光景が、全て嘘なら、幻覚なら良かったのにと。
抑えきれない涙を流し、私達は膝を折ってしまった。
■
「さてさてさーて」
やっていきましょう、訓練学校掌握RTAを。
タイマーストップは魔法少女の全滅で、目標タイムは20分!晩御飯までってミーちゃんに言われたので、帰りにお土産を買って帰る為にもその程度で終わらせましょう。
「結界展開、設定は〜…通信遮断と認識阻害でいっか」
対空防衛システムの1つでも付けときなよ。そう思いながら遥か学校の上空で結果を展開する。
「名前は〜『ムーンカーテン』で行きましょう」
オリテアを中心に、光の膜が空から落ちる。
学校を包み込むように展開されるそれは、落下までの途中にある障害物を全て両断し、完全な檻として校舎を囲ってしまった。
「…魔法少女オタクな癖して、自分はあんまりカッコつけようと出来ないのは……苦しいな」
「……ふむ、ふむふむ。全員で417人…」
「──これじゃ、3分で終わっちゃうか」
──絶望が、到来する。
自由落下のままにオリテアは地上へ向かっていく、その過程にあった防衛システム諸共、放ってくる魔法を全て素手で叩き落としていく。
「───」
地面までの距離、数メートル。
鼻先が地面に着くか否かで、オリテアは急停止し、恐らくは夜回りをしていたであろう魔法少女5名はオリテアと鉢合わせ、
「だれッ──!?」
「侵入し──」
「『サイレント』」
「……──!?!?」
「──こんにちは!そしてさようなら!」
──遭遇2秒後、壊滅。
オリテアの指先が空間を撫でると、その箇所だけが歪み、歪みはその空間上の全てを食い破る。『オリテアの視界』を元にしたその魔法は、遠近法を無視して発動する。
1人の魔法少女は胴体と首が別れ──る程度なら、良かった。
遠近法によって、身体の八割が指先によって消し飛ばされるものもいれば、何一つさえ残らない者すら居た。
「ひぁ……え……ぅ…?」
「ふふ、んふふ、ダメだよ、魔法少女がそんな顔したら」
「ぁ、ああああああああ!!!??」
「胴体が別れた位で泣いてどうするの、敵は待ってくれないよ。……おっと、後ろから新しくもう1人」
「ひっ」
──余りの恐怖に、オリテアの背後にいた魔法少女は目をつぶってしまった。それは教官にいつも言われていた、敵を目前にして、してはいけない事の1つ。
目をつぶって、必死に目をつぶって、頭から恐怖を追い出そうとしても、今見た光景が忘れられない。仲間が数年過ごしてきた同僚が、塵芥になって死んだ。
怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
目を開けたくない、嫌だ。死ぬのか、嫌だ怖い。
「んふふふ、ダメだよ、敵の目の前で目を閉じたら……言われた事を守れないそんな悪い子は、居ないよね?ほら…目を開けて?」
「い、いやっ、嫌っ!嫌…!」
「──ほら、言うことを聞かないから貴方のおててがお花になっちゃった」
「……え…?ぁ…」
──気がつけば、手首から先の感覚がない。
それどころか、下半身の感覚が無くなっていた。
「て…手が、ああ、いや、いやッ、嫌ァァァッ!!」
「さようなら」
「誰かぁ!誰かっ、誰か助け──」
魔法少女は、花となって消えていった。
怨嗟、驚愕、悲鳴、絶望。それらが降り混じった声の数々が渦巻いていた空間は、たった数秒で静寂へと様変わりする。
『ムーンカーテン』による地形破壊のせいか、警備隊の到達は予想よりも早かったが、それはただ己の寿命を縮めるだけのもの。
「なんだ、誰だ貴様ッ!」
「こんにちは!」
「誰だと聞いている──!!」
実力に自信があるのか、一番槍を買ってでた褐色の魔法少女。
声を荒らげ、魔素の出力に意識を集中させると、
魔法生物に対してならば、粉微塵にまで粉砕する風の魔法が発動され──、
「昨日から思ってる事があってさ」
る、事は無い。
「やっぱり、君たちは唯の人間なんだね」
「──ごッ…」
飛び交った魔法少女の、首から下が数百個の肉片へと変貌する。
何が起きたかも分からず、何をされたかも分からず、勇敢無謀な魔法少女はこの世界から姿を消す。
「……きょう……かん?」
「んふふ……はぁ、ダメだよ?絶望しちゃ、絶望したとしても、折れちゃダメ、ダメダメのダメ!」
「──君たちは魔法少女なんだ、どんなに苦しんでも、どんなに辛い目にあっても、どんなに絶望しても、立ち上がらなくちゃいけない」
「それが出来ないなら、君たちは偽物だ。魔法少女なんかじゃない」
「ほら、ほらほらほら!!敵が教官を殺しちゃったよ?魔法少女なら!早く手を動かして私を倒さなきゃ!」
地面に転がる首だけになった魔法少女を踏み台に、オリテアは涙を浮かべる魔法少女に手を差し伸べる。
絶望してはいけないよ、諦めてはいけないよ、魔法少女は、希望であり願いなんだから、魔法少女が諦めたら誰が願いを叶えるのさ。
「あぅ……ぁ…うっ゛…おえええっ!!」
「…………」
「はあっ、うう、おええっ、うううううう゛っ……!」
「……」
「う、うあああああああッッッ───!!!」
「──100点満点♡」
私が、人生で一番満たされる瞬間ってなんだろ。
空っぽな私に、何を注ぎ込んでもそのまま落ちていくだけだけど。
「万物両断、一切合切を芥とす」
こうやって、適当な口上を述べて。
魔法少女を殺してしまう時に見える、彼女達の表情1つ1つが。
「キラーん!ムーンライト〜!」
──愛おしくて堪らない。
なんてったって私は闇のオタクでもある、魔法少女から摂取できるものであれば、それが絶望に包まれる顔でも、泣きじゃくって命だけは助かりたいって願ってる姿でも、何でも。
こうやって、絶望から立ち上がって武器を向けてきた魔法少女が、無様に、無惨に殺されるのも、好きで好きで堪らない。
勿論心は痛むよ、痛む心があればだけど。
《緊急!──緊急ッ!!この放送は訓練では無いっ!至急変身次第グラウンドに出て、迎撃姿勢を取れ!!》
「……ふむふむ、おっそいですが、まぁ及第点としましょう。グラウンドに集まるなら…空でも落としときましょうか」
──そうだ、と何か思いついた様な顔をして、オリテアは決めていた予定を大きく変更し、1人1人誠実に相手にすることに決める。
さっき立ち上がった子を見て気分が変わった、全員が集まるグラウンドで、1人1人丁寧に殺していこう。
私を倒さなきゃ空が落ちてくる、設定も丁度いい。私という魔王を勇者たちは倒せるのか。
「よーし!久しぶりに暴れるぞ〜!」
そうだ、そうだそうだ、丁寧に、丁寧に心にその姿を刻み込みながら殺そう。
ちゃんと「こんにちは」と挨拶して、絶望に堕ちる瞬間を見届けて、折れるか折れないかを間近で見届けて、
「ふんふふんふふ〜ん」
「お……」
「こんにちは!!」
──魔法少女を、楽しみ尽くそう。