FAIRY TAIL〜竜に育てられた少年と悪魔の少女   作:からあげ_63

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第7話「真実を告げる時」

『楽園の塔:内部』

 

ナツ「四角ーーー‼︎どこだーーっ‼︎」

 

ルーシィ「ちょっと‼︎ここは敵の本陣なんだから大声出さないの‼︎」

 

警戒心と緊張がルーシィの全身から伝わってくる。だが、廊下の石の温度やどこか湿った空気は、彼女たちの不安と裏腹に、まるで長年人の出入りがなかったかのように静まりかえっていた。

 

グレイはそんなルーシィを横目で見ながら、余裕を見せてパンを口に運ぶ。

 

グレイ「下であれだけ派手にやったんだ。今さらこそこそしても仕方ねえだろ」ガツガツ

 

ノアも、長い尻尾を小さく揺らしながら、クッキーを口いっぱいにほおばる。

 

ノア「それにあらかたの敵はやっつけたんじゃない?」モキュモキュ

 

ジュビアも慎ましやかに、机の上にあった料理を食べていた。

 

ジュビア「それに先ほどの扉、誰かがここから開けたものじゃありませんよ。魔法の力で遠隔操作されています」モグモグ

 

エドもまた、冷静に周囲を警戒しながら、簡単な携帯食を口にしていた。

 

エド「ようするに、既に侵入はバレてるってことだ」パクパク

 

彼は時折、手を止めて塔の天井や壁の魔力の流れを探る。

 

ミラはどこか優雅にサンドイッチを手にし、ルーシィに微笑みかける。

 

ミラ「あんまり気を張ってると疲れちゃうわよ、ルーシィ?」パクパク

 

ルーシィ「何呑気にご飯食べてんの!?」

 

まるで遠足の昼休みのような空気の中ルーシィがツッコンだ。食事を呑気にとっているようでその裏側にはみな、戦いの緊張感を隠している。

塔内の広い食堂。大理石のテーブルに食器がずらりと並び、空間は妙に整然としている。敵の気配もなく、不思議と落ち着ける。

そんなルーシィにバルゴが声をかける。

 

バルゴ「食堂のようでしたので、姫もよろしかったら」

 

ルーシィ「あのねぇ......」

 

エドは食堂の隅々まで視線を這わせながら、内心わずかな不安を覚えていた。

 

エド「(なぜ俺たちをここまで“導く”ような真似をした? 何かの意図があるのか……)」

 

ノアもキョロキョロと首を伸ばし、塔の天井や壁を見上げる。

 

ノア「それにしても、どうして扉が開いたんだろ?やっぱりお出迎えかな」

 

彼女の冗談に、ミラが微笑みながら肩をすくめる。

 

ミラ「歓迎されてる気はしないけどね」

 

グレイは椅子に足を乗せたまま、パンをちぎる手を止めて低く唸った。

 

グレイ「挑発でもしてやがんのか?」

 

ルーシィ「挑発......?」

 

各々が疑問を浮かべる中、

 

バルゴ「ところで姫、食堂で水着は流石にはしたないかと。」

 

ルーシィ「はしたない?」

 

バルゴ「お召替えを!」

 

ルーシィ「ってここでかい!!」

 

グレイ「おいおい///」

 

ジュビア「グレイ様!見ちゃ駄目!」

 

エド「......おい、ミラ。目ぇ塞ぐな、飯が食いづらい」

 

ミラはクスッと笑いながらエドの目を塞いだ

 

ミラ「ごめんね。ちょっとだけ、女の子同士の時間を分けてね」

 

その一言にエドは「仕方ないな」と苦笑いした。

 

――束の間の平和な空気。だが、それが偽りだと誰もが薄々感じていた。

だからこそ、彼らは会話と食事で“らしさ”を保とうとしていたのだ。

 

〜少女着替え中〜

 

バルゴ「精霊界のお召し物でございます」

 

ルーシィ「んふふ、どお?似合ってんのはわかってんのよ〜」

 

グレイ「へぇー、結構可愛いじゃねえーか」

 

ジュビア「ジュビア、悔しい!」

 

バルゴ「どぅえきてるぅ」

 

ルーシィ「巻き舌風に言わないの......」

 

エド「お前ももらったらどうだ?」

 

ミラ「そうね、今度お願いしてみようかしら」

 

ノア「あたしも欲しい!」

 

バルゴ「それでは姫、ご検討を......」

 

ルーシィ「うん、ありがとう、バルゴ」

 

そう言うとバルゴは光に包まれ精霊界に戻っていった。

 

ルーシィ「それにしても、水になれるジュビアや水を操れるエドはおいといてあんたたちよく濡れた服のままでいられるわね」

 

グレイ「こうすりゃすぐに乾く」

 

ルーシィ「人間乾燥機!?」

 

ミラ「わたしは着替えたわよー」

 

やがて、全員が食事を終え一息を終えたころ――エドは椅子から立ち上がる。

 

エド「……さて、そろそろ行こう。油断は禁物だ。エルザとハッピーを見つけるぞ」

 

そう言った瞬間、廊下の奥から足音と怒声が響いた。長居しすぎたのだろう、廊下の向こうから兵士の一団が駆けつけてくる。

 

「いたぞー‼︎侵入者だー‼︎」

 

ナツ「こりねえ奴らだな」

 

エドはミラとノアの前にさっと立ち、周囲を警戒する。

エド「ミラ、ノア、俺の後ろに下がってろ」

 

ノア「わかった!」

 

ミラ「ええ、頼りにしてるわね」

 

兵士を見るや否や、臨戦態勢を整える一同。だが、その背後から現れた人物が瞬く間に兵士たちを全滅させた。

双剣を持ち、スカートと鎧というどこかミスマッチ感を出しながらも本人の凛とした雰囲気を寧ろ引き立てている、緋色の髪を携えた女性。

 

グレイ「エルザ‼︎!」

 

ルーシィ「よかった、無事だったんだね!!!」

 

ミラ「ふふふ、これで一安心ねぇ」

 

ジュビア「か、かっこいい………」

 

エド「......」

 

一団の向こうから現れたエルザはこちらを確認すると驚愕に打ち震える。

 

エルザ「お、おまえたち......。なぜ、ここに………」

 

ナツ「なぜもくそもねぇんだよ‼︎舐められたまま引っ込んだら妖精の尻尾(フェアリーテイル )の名折れだろ‼︎」

 

あんの四角だけは許しておけねー‼︎と騒ぐナツ。すると見慣れない顔、そして誰なのかに気づいたエルザが少し反応するとジュビアが怯える。

 

ジュビア「あの、ジュビアは、その………」

 

エルザ「帰れ」

 

簡潔に、ただ一言。

拒絶を表したその言葉は、一同の動きを止める。

 

エルザ「ここはおまえたちの来る場所ではない」

 

ルーシィ「でもね、エルザ………」

 

ナツ「ハッピーまで捕まってるんだ‼︎このまま戻るわけにはいかねー‼︎」

 

エルザ「ハッピーが?まさかミリアーナ……」

 

ナツ「そいつどこだ‼︎」

 

エルザ「さ、さあな」

 

ナツ「よし‼︎わかった‼︎」

 

グレイ「何がわかったんだよ‼︎」

 

ナツ「ハッピーが待ってるって事だ‼︎」

 

今いくぞ、ハッピー‼︎とだけ言い残し、ナツはその場を去る。

 

ノア「ナツー!1人じゃ危ないって!」

 

グレイ「あのバカ……‼︎」

 

ミラ「ふふふ、元気なのはいい事ね♪」

 

ルーシィ「言ってる場合じゃないですよ!?あたしたちも後を追いかけよっ‼︎」

 

エルザ「ダメだ、帰れ」

 

ナツを追いかけようと駆け出そうとする3人を、剣で制止させるエルザ。

 

エルザ「ミリアーナは無類の愛猫家だ。ハッピーに危害を加えるとは思えん。ナツとハッピーは私が責任を持って連れ帰る。おまえたちはすぐにここから離れろ」

 

ルーシィ「そんなのできるわけない‼︎エルザも一緒じゃなきゃイヤだよ‼︎」

 

エルザ「これは私の問題だ。おまえたちを巻き込みたくない」

 

グレイ「もう十分巻き込まれてんだよ。あのナツを見ただろ」

 

エルザ「…………エド」

 

エド「......エルザ、悪いが今回は承服しかねる。そんな状態でお前を置いていくことはできないし、それに俺も知りたいんだ。この塔でどんなことが繰り広げられたのか。仲間、だろ?」

 

エルザ「…………」

 

グレイ「らしくねーな、エルザさんよォ。いつもみてーに四の五の言わずついて来いって言えばいーじゃんヨ」

 

押し黙るエルザに痺れを切らしたのか、グレイが挑発的にものを言う。

 

グレイ「オレたちは力を貸す。お前だってたまには怖えと思う時があってもいいじゃねーか」

 

それがきっかけだったのだろう。こちらを振り返ったエルザの"左目"から涙を流していた。その、らしからぬ表情に一同言葉を失い、涙を拭ったエルザが言葉を紡いだ。

 

エルザ「……この戦い、勝とうが負けようが私は表の世界から姿を消すことになる」

 

エド「......どういうことだ?」

 

決意を決めたエルザが続けた。

 

エルザ「これは抗うことのできない未来。だから、私が存在しているうちに全てを話しておこう」

 

そして、エルザの口から語られるこの塔の過去。

塔の名は楽園の塔、別名RReviveシステム。10年以上前に黒魔術を信仰する魔法教団が各地から攫った人々を奴隷として築き上げた、悲劇の塔。

 

幼かったエルザも奴隷の1人として扱われており、同じ房にいた同世代の仲間が今回エルザを攫ったメンツ。

好奇心旺盛な最年少のショウ、ネコが大好きなミリアーナ、普段は煩いがミリアーナにベタ惚れのウォーリー、身体は大きいが引っ込み思案のシモン、そしてみんなのリーダーとして立ち振る舞うジェラール。

 

エルザを含めた6人はかつて脱走を企て、それがバレた末にエルザを拘束。見せしめとして拷問を受けていたがジェラールがそれを救出。しかし、逆に捕らえられてしまいエルザの代わりに拷問を受けることとなった。

 

牢に戻されたエルザ。このままではダメだと同じ奴隷を鼓舞してジェラールの救出と脱走を決意。行き当たりばったりの作戦とはいえ、魔法教団よりも遥かに多い奴隷の数。数の暴力に加え、途中でエルザの魔法が覚醒。それにより更に指揮を上げた奴隷たちの手を借りてジェラールを救うことも、脱出に使う船を奪うこともできた。

しかしーーー

 

「もし、人を悪と呼べるなら、私はジェラールをそう呼ぶだろう」

 

救出されたジェラールは以前と打って変わり、この塔から離れないことを決意。それどころか塔を完成させ、黒魔術の祖とも呼ばれるゼレフを復活させようとしていた。

 

当然、エルザはそれに反対するがエルザと同じく魔法に目覚めたジェラールに抗う術なく、脱出船を破壊した罪を被せられ追放された。

その後、エルザは楽園の塔に足を運んだことも政府に密告したことはない。近づけば奴隷を殺され、密告しても同じようにされる。

 

仲間の命を背負い、エルザは仮初の自由を手に入れたのだ。

 

同じ独房にいた元妖精の尻尾(フェアリーテイル )のメンバー、ロブのおかげでギルドの存在を知り、その場に足を運べたのは幸運といえよう。

 

エルザ「私が………ジェラールと戦うんだ………」

 

その頬に複雑な感情が混じった涙が伝っていた。

 

ミラ「エルザ......」

 

ミラは、じっとエルザの手を握る。普段は母親のような包容力を持つミラも、エルザの過去の重さには何も言えなかった。ただ、その細い指をそっと包み込むことしかできなかった。

 

ノアは、今にも泣きそうな顔でエルザを見つめている。自分よりもずっと年上のエルザに、こんな悲しい過去があったのかと胸が詰まる思いだった。

 

グレイ「ちょっと待てよエルザ…話しの中に出てきたぜレフって…」

 

エルザ「ああ、魔法界の歴史上 最凶最悪と言われた黒魔導士」

 

ルーシィ「確かララバイから出てきた怪物もぜレフ書の悪魔って言ってたよね」

 

エルザ「それだけじゃない…おそらくあのデリオラもぜレフ書の悪魔の一体だ」

 

グレイ「!!!」

 

デリオラと言う言葉にグレイが反応した

 

エド「(その名をここで聞くことになるとはな……。やっぱり、まともな場所じゃなかったか)」

 

エドは、ゼレフの名を聞いて思わず口を引き締める。

 

エルザ「ゼレフとは、アレほどの恐ろしい魔物を造り出すことができるほどの魔力を持っていた」

 

ジュビア「ジェラールはそのゼレフを復活させようとしてるって事ですか」

 

ジュビアは冷や汗をたらしながらエルザに聞く。

 

エド「......それはまたずいぶんと壮大な計画だな」

 

エドが思案顔でつぶやいた。

 

エルザ「動機はわからんがな……ショウ…かつての仲間の話ではゼレフ復活の暁には楽園にて支配者になれるとかどうとか」

 

ノアは、話の流れを聞きながら、ふと疑問を口にする。

 

ノア「あのさ、そのかつての仲間達の事って どうしても府に落ちないんだけど…あいつらはエルザを裏切り者って言ってたけど、話を聞いた感じ裏切ったのはジェラールなんじゃないの?」

 

ノアはエルザに問いかけた。

 

エルザ「......おそらく私が楽園の塔を追い出された後、ジェラールに何かを吹き込まれたんだろう」

「しかし私は8年も彼等を放置した裏切った事に変わりはない」

 

ルーシィ「でも、それはジェラールに仲間の命を脅されてたから近づけなかったんじゃない!!

それなのに あいつら…」

 

ルーシィは強く否定するがエルザは顔色を変えずに話を続ける。

 

エルザ「もういいんだルーシィ、私がジェラールを倒せば全てが終わる」

 

エルザのその一言を聞いたエドは疑問を浮かべる。

 

エド「(本当にそうなのか?)」

 

〈この戦い…勝とうが負けようが私は表の世界から姿を消すことになる〉

 

エド「(あの言葉が妙にひっかかる)」

 

ザッ

 

話をしていたエルザ達の後ろから足音が聞こえた。

 

ショウ「その話…ど…どういうことだよ?」

 

振り返るとそこにはショウの姿があった。

 

エルザ「ショウ…」

 

ショウはエルザに怒りをぶつける。

 

ショウ「そんな与太話で仲間の同情を引くつもりなのか!!!ふざけるな!!!真実は全然違う!!!」

 

「8年前 姉さんはオレたちの船に爆弾を仕掛けて一人で逃げたんじゃないか!!!ジェラールが姉さんの裏切りに気付かなかったら全員爆発で死んでいたんだぞ!!!」

 

「ジェラールは言った!!!これが魔法を正しい形で習得出来なかった者の末路だと!!!姉さんは魔法の力に酔ってしまってオレたちのような過去を全て捨て去ろうとしてるんだと!!!」

 

ルーシィ「ジェラールが言った?」

 

グレイ「お前、自分の目で見て確かめた訳じゃねぇのか…バカだな」

 

ノア「そんなの、絶対にエルザじゃない……」

 

ミラ「あなたの知ってるエルザはそんな事をする人だったの?」

 

ショウの言葉にルーシィ、グレイ、ノア、ミラの4人が口をはさんだ。

 

ショウ「お…おまえ達に何がわかる!!!オレたちの事を何も知らないくせに!!!」

 

「オレにはジェラールの言葉だけが救いだったんだ!!!!だから!!!8年もかけてこの塔を完成させた!!!ジェラールの為に!!!その全てが…嘘だって?…正しいのが姉さんで間違っているのはジェラールだと言うのか!!!」

 

シモン「そうだ」

 

「「「‼︎!」」」

 

ショウの後ろから更に新しく人影が現れた

 

エルザ「シモン!!?」

 

グレイ「てめ…」

 

ジュビア「待ってくださいグレイ様!!」

 

グレイがシモンに襲いかかろうとするのをジュビアが止めた。

 

ジュビア「あの方はあの時グレイ様が身代わりと知ってて攻撃したんですよ。暗闇の術者が辺りを見えていない訳がないんです」

 

グレイ「何!!?」

 

ジュビア「ジュビアがここに来たのはその真意を確かめる為でもあったんです」

 

シモン「さすがは噂に名高いファントムのエレメント4」

 

シモンはジュビアを評価する。

 

シモン「誰も殺す気はなかった。ショウ達の目を欺く為に気絶させるつもりだったが氷ならもっと派手に死体を演出できると思ったんだ」

 

ショウ「オレたちの目を欺くだと!?」

 

ショウは驚愕した顔つきでシモンを見た。

 

シモン「お前もウォーリーもミリアーナもエレナも

みんなジェラールに騙されているんだ。機が熟すまで……オレも騙されているフリをしていた」

 

エルザ「シモン…おまえ…」

 

シモン「オレは初めからエルザを信じてる」

 

シモンは頬を指で掻き照れながら話す。

 

シモン「8年間ずっとな」

 

そう言うとシモンはエルザに笑いかけた。

 

エルザは片目に涙を溜めてシモンを抱き締める。

 

シモン「会えて嬉しいよエルザ…心から」

 

エルザ「シモン…」

 

その様子を見ていたショウは膝をつき悔やしそうな顔をする。

 

ショウ「なんで…みんなそこまで姉さんを信じられる…何で…」

「何でオレは…姉さんを信じられなかったんだ」

「クソォォォォッ!!!!! うわぁぁぁぁぁ!!!!」

「何が真実なんだ!!?オレは何を信じればいいんだ!!!!」

 

すっ

 

泣いているショウにエルザが近づきしゃがみ込んだ。

 

エルザ「今すぐに全てを受け入れるのは難しいだろう。だがこれだけは言わせてくれ」

「私は8年間おまえ達の事を忘れたことは一度もない」

「何も出来なかった……私は…とても弱くて……すまなかった…」

 

シモン「だが今ならできる、そうだろ?」

 

シモンの言葉にエルザはうなずいた。

 

シモン「ずっとこの時を待っていたんだ強大な魔導士がここに集うこの時を」

 

ルーシィ「強大な魔導士?…あたしもかしら?」

 

ノア「......あたしも?」

 

ミラは「私もできることは少ないけど、皆の力になりたいわ」

 

ルーシィとノアは少しだけ不安そうな顔でミラは微笑んで聞き返した。

 

シモン「ジェラールと戦うんだ。オレたちの力を合わせて」

「まずは火竜(サラマンダー)とウォーリー達が激突するのを防がねば」

「ジェラールと戦うには絶対に必要なのだ火竜(サラマンダー)のナツ......そして、水竜(リヴァイアサン)エドワード」

 

唐突に名を挙げられ、エドは一瞬きょとんとした表情を浮かべる。

そのまま静かにシモンに歩み寄り問いかけた。

 

エド「……なあ、シモン。なぜ“俺”なんだ?ここには他にも優れた魔導士がいる。どうして、"ナツ"と“俺”なんだ?」

 

ミラとノアも、少し不安そうにエドの背中を見る。

ルーシィやグレイも静かに耳を傾ける。

 

シモンはしばしエドを見つめ、真剣な表情で言葉を選んだ。

 

シモン「理由は二つある。

一つは――お前が滅竜魔法を扱う滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だからだ。ジェラールはこの塔に“非常識な”力を集め、ゼレフの復活を目論んでいる。その闇に対抗できる力は、正直限られている。

そしてもう一つ――お前は“金属器”を扱える。存在自体が稀有なその魔導具を扱うことのできるお前ならこの塔で何が起きても、必ず仲間を守れる可能性があるのは、お前しかいないと思ったからだ」

 

エドはシモンの言葉に、その責任の重さに小さく息を吐いた。

 

エド「……わかった。俺の力が、誰かの必要ならば全力で戦おう」

 

ミラはそんなエドの横顔を見て、優しく微笑んだ。

ノアもこっそり拳を握りしめ、小さく「がんばろう」と呟く。

 

仲間の目線と決意が、塔の静けさに溶けていった――。

 

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