あの事件から1週間程が過ぎた。
デュエルに敗北したリオンはあの後駆けつけた警官達に取り押さえられそのまま御用となった。
未だに容疑を否認している者達もいるが、中には比較的反省的な者もいる。
リリィ達もあの後セキュリティの職員に保護され、プレシアも無事一命を取り留めた。
・・・だが、その場にいたフェイトとアルフは強盗傷害の容疑でその場で逮捕された。
その際に応急手当てを受けたプレシアが泣きながら娘の無罪を証言しようとしていたがその苦労も虚しくそのまま連行された。
フェイトとアルフが今まで行ってきた事は決して許される事ではない事ははっきりしているが、これだけは言える。
フェイトとアルフはただプレシアを助けるために今まで活動してきた事で、決して彼女たちの意思でやってきた事ではないという事だ。
願わくば、彼女達に下される沙汰が寛大な物であってほしい。
トーマはいつも通り、学校帰りからのカフェ・シュガルへの道を歩いている。
「トーマ!」
「やっほ~!」
その時、後ろからリリィとアイシスがトーマの下に駆け寄ってくる。
リリィとアイシスもあの後セキュリティによる事情聴取が行われ、つい3日前に釈放されたのだ。
ちなみにその時アイシスは「これじゃ、あたし達が犯人みたいじゃん!」とぼやいていたそうだ。
・・・よく見ると、アイシスはどこか嬉しそうな顔をしている。
「・・・何かいい事でもあった?」
「うん?」
アイシスはトーマの問いがうまく聞き取れなかったのか、首を傾げる。
「だから、何かいい事でもあったのかって」
再び問う。
今度はしっかり聞き取れたようだ。
「ふふ~ん・・・じゃ~ん!!」
アイシスがトーマとリリィに見せたのは、なんとD・ホイールのライセンスだった。
「おお!ついに取ったんだ!」
「アイシスすご~い!!」
「さっきもらったばっかなんだけどね」
どうやら今日の放課後、アルトセイム校付属のD・ホイールの教習所で発行されたアイシスのライセンスのようだ。
・・・実を言えば、あの後1番苦労したのはトーマだ。
実はあの後、市販のパーツを用いたとはいえ自作のD・ホイールであった事と、今までの無茶が祟ったのか、あのデュエルの後急にエンジンが止まり、掛けようとキーを回しさらにアクセルを思い切り回した瞬間、エンジンが爆発し、そのままご臨終になってしまったのだ。
そしてそのまま壊れたストライカーをしながら帰宅したのだ。しかし帰った時にはもう日が昇っており母親のリーネにこってり説教されたのだ。
その日が日曜日だったのが唯一の救いだろう、トーマはその後ほぼ1日眠ったまま過ごしていた。
ちなみにこの時スカーレットが遊び相手を探すのに家中ウロついていたのはまた別の話だ。
「じゃ、約束通りD・ホイール、作っても良いかな・・・」
「やった~!!」
前にアイシスと約束していた事を思い出し、新しいD・ホイールの制作にこれから打ち込むようだ。
そしてトーマ達はたわいもない話をしながらカフェ・シュガルに着いた。
「こんちは~」
「こんにちは!」
「おっ邪魔しま~っす!!」
「おう、いらっしゃい!」
店内では高木が何やらミントとバニラのアイスが乗った何かに飾り付けをしていた。
「何ですかそれ?」
「お?これか?今週からの新メニュー!ミントとバニラのWアイス!スカッと爽快、ブルーアイズ・スペシャルサンデー!へへ!たとえこの星がぶっ壊れたって、この店の味に変わりはねぇさ!」
まるで自分の最強デッキを自慢するかのように新メニューを紹介する高木。
「じゃあ、それを1つもらおうかな」
「あたしも!」
「わたしも同じのお願いします!」
「へい、毎度あり!」
高木は喜々とした様子で厨房に戻る。その様子を見たトーマ達はカウンター席に着く。
その時だった。
『こんにちは~!!』
4人の制服らしき服装を纏ったまだ少女ともいえる女性達が入店する。
1人は腰まで届く茶髪の再度サイドテール、1人は腰まで届く紫混じりのストレート、2人は髪型は違えど同じ金髪の子達だ。
「おう!いらっしゃい、嬢ちゃんら!」
だが、トーマ達は初見なので彼女たちが誰なのか分からない。
「高木さん、あの子たちは?」
「あいつらは
「え!?天央女学院って・・・あの名門女子校!?」
「どこなのそれ?」
「あ、リリィは知らないよな。中心街と臨海部の間にある名門女子校だよ」
「そうそう。倍率高くてエリートしか入れないんだよね~」
よく見れば、彼女達の服装は赤いブレザーの中に白いブラウス、第1ボタンあたりには赤い蝶ネクタイ、そして赤いチェックのプリーツスカート。そして右胸部には学校の校章のワッペンが付いている。
間違いなく「天央女学院」の制服だ。
天央女学院は小・中・高・大の一貫教育を行っている「超」が付くほどのエリート女子校だ。
「あの・・・隣・・・いいかな・・・?」
ふと、その制服を着た少女の1人が緊張しているのか、ただ声をかけるのが恥ずかしいだけなのか、蚊の囁くような声でトーマに声をかける。
「ああ、いいよ、
何故かすぐに名前を言えたが特に気にした様子はなく、トーマは出されていたグラスの水を口に運ぶ。
・・・もう1度隣に来た少女の顔を見た瞬間・・・、
「ブーッ!!」
「きゃっ!」
「わっ!トーマ汚い!!」
盛大に口から水を噴き出す。
長い金髪のストレートにルビーの様な赤い瞳、天央女学院の制服に包まれながらも母性ある胸部、黒タイツを付けていることは変わりないが、赤いチェックのプリーツスカートは間違いなく学院の制服の物だ。
その服装はまさに年頃の女子高生といった感じだが間違いなくフェイトその人だ。
「フェイト!?どうしてここに!?」
『え!?』
トーマの声に反応し、リリィとアイシスもフェイトを見る。
「うそ!?」
「何でここにいんの!?」
2人も驚きを隠せないが、問題はそこではない。
フェイトの顔には犯罪者の証であるマーカーが1つも付いていないのだ。
「それ以前に、何で何ともなってないんだ!?」
「えっと・・・何か分からないけど、機械が壊れちゃったみたいで・・・」
その瞬間トーマは確信した。
(間違いない・・・あいつらだ・・・)
トーマの言うあいつらとは、フェイトのカードの精霊「アイリス」と「エアトス」の事だ。
これはトーマがブレイブから聞いた話なのだが、力の強い精霊は人間界の事象にも干渉できるらしい。
おそらく、マーカーを刻印する装置に細工し、刻印時で動かす寸前に故障するように仕組んだのだろう。
そしてそのまま無罪判決が下り、マーカーが付けられる事は無くなった。
実はフェイト、今日天央女学院に母の見計らいで留学生という事で転入したのだ。
「おい、いるんだろ?」
「あ、分かっちゃった?」
トーマが虚空に声をかけた瞬間、アイリスとエアトスが姿を見せる。
「これからよろしくね、トーマ君♪」
「あんたにフェイトさんを任せるのは不安だけど、まあ、よろしく・・・」
アイリスは嬉しそうに、エアトスは少し強めの態度を取る。
だがその頬は少し赤く染まっている事から、ただの照れ隠しだという事は簡単に分かる。
何はともあれ・・・
トーマの周りは、さらに騒がしくなりそうだ。
これにて第1章、完・結っ!!
フェイトヒロインフラグw
さすが主人公の天然女たらしスキルw
次章はシリーズ恒例、あのストーリーです!
そして新キャラも登場します!
では!