遊戯王Force   作:天羽々矢

6 / 34
とりま章分けしました。


第1章 闇に閉ざされた少女
第6話 通り魔の少女 寂しき瞳


「はーい。H・R始めるわよ~」

 

デュエルアカデミアのトーマのクラスの教室。そこにトーマの姿はなかった。なぜなら、今彼はここに向かって全力疾走中だからだ。

 

「あら。御剣君はまだ来てないの?」

 

「まだあいつ来てないっすよ」

 

男子生徒の一人が里見教諭に伝える。

 

「そうなの?このクラスに入ってから遅刻がなかったから感心してたのに・・・仕方ないわね。このまま・・・」

 

ガダンッ!!

 

教室のドアが物凄い勢いで開く。

 

「はあ・・・はあ・・・」

 

「御剣君!」

 

「すみ・・・ません・・・。寝坊・・・しました・・・」

 

トーマが息を切らしながら教室に入ってきた。

 

「でも遅刻は遅刻よ。ま、そのままじゃ辛いだろうから早く席に座って」

 

「はい・・・」

 

息を切らしながらトーマは自分の席に向かう。

 

〈珍しいな~。トーマが寝坊なんて〉

 

〈どうしたの、御剣君?〉

 

周りの生徒たちがトーマの事を心配してくる。まわりのみんなに感謝したいところだが、それは同時にトーマに精神的ダメージを与えていた。

 

(言えない・・・夢を見てて寝坊しただなんて、絶対に言えない・・・)

 

「それじゃみんなそろったことだし、H・Rを始めましょ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

キーんコーンカーンコーン

 

授業が終わり、帰りの教諭の話が終わろうとしている。

 

「あ、そうだった。みんなに1つ注意しておきます」

 

里見教諭はみんなのほうに向き、警告する。

 

「近頃、この辺でデュエリストを狙った通り魔事件が多発してます。決して1人では帰らないように!」

 

周りが一気に騒ぎ出す。最近になってこの辺でデュエリストを狙った通り魔事件が多発しているのは紛れもない事実だ。しかし何故か盗るカードもあれば、何も盗らない場合もある。

 

周りが不安の声に包まれながら各自の帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「通り魔か・・・」

 

トーマは近くの河川敷に寝そべっていた。彼の傍らではスカーレットが丸くなっている。しかし、彼の隣にはもう一人いた。

 

「気になるの、トーマ?」

 

トーマに声をかけたのは背中に羽を生やした青い髪の少女、そう、彼の精霊の1人【エフェクト・ヴェーラー】だった。彼女は今朝のH・Rの後、トーマ達の前に現れリリィとアイシスと話していた。これはトーマは前から知っていたのだが、アイシスも精霊を見る事が出来るのだ。

 

彼女は昼休みにもスカーレットと共に現れ、彼の話し相手になっていた。その際にトーマから“エクレール(略称“エクレ”)”という名前をもらっていた。

 

「少しな。信じられないってのもあるけど」

 

「確かに最近はそんなのなかったからね」

 

「ま、相手するってならやるだけさ」

 

「そうだね。その時は頼ってくれると嬉しいな」

 

「頼るさ。一緒に戦ってくれる仲間だから」

 

その言葉にエクレールは嬉しそうにほほ笑む。その時、スカーレットの耳がピンと立ち起き上がると威嚇を始める。その耳と尻尾の体毛からはわずかに炎が上がっていた。

 

「フーッ!」

 

「どうした、スカーレット?」

 

「・・・誰か来る」

 

エクレールも何か警戒している感じだ。ほどなくして、黒い服に顔に仮面をつけた者が姿を見せた。

身長から歳はトーマと同年代くらいだ。腰まで届く金髪のストレート、スカートから見える黒タイツに包まれたすらりと伸びた脚、無駄な肉のない体つき。母性ある胸部が“こいつは女性た”という事を強調していた。

 

「・・・トーマ、見惚れてる」

 

トーマがまじまじとその女性を見ていると、エクレールが不満げな声を上げる。何故か自分の胸をペタペタと触りながら。

 

「なっ!?いきなり何言ってんだお前!?」

 

「別に」

 

何故かご立腹のエクレール。しかしそんな事を気にせず女性が近付いて・・・

 

「貴方の持っている【シルバームーン・ドラゴン】を渡してください」

 

「!?」

 

正確にトーマの持っているあのドラゴンのカードの名を指名した。トーマは警戒心を隠すことなく相手に問う。

 

「渡せってどういうことだ!あんた何だよ!?」

 

「渡してください」

 

「答えろっ!!大体なんで俺の持ってるカードの名前を知ってるんだ!?」

 

「・・・答えても、意味はない」

 

「何だと!?」

 

「トーマ!落ち着いて!」

 

「これが落ち着いていられるか!!」

 

もはや警戒を通り越して興奮状態のトーマ。エクレールは何とかして落ち着かせようとしているが今の彼は聞く耳を持たない。

 

「答えねーってなら、意地でも聞きだしてやる!!」

 

「トーマ!!」

 

エクレールの制止も聞かずトーマは拳を構え目の前の女性に向かって突っ込もうとするが・・・

 

「なりません、主!」

 

「“ブレイブ”!?」

 

突然現れた【TG ブレード・ガンナー】の精霊“ブレイブ”に止められる。実は今朝、自宅で大慌てしていたトーマの前に現れたのだ。走って登校している際にも共に行き、その際に“ブレイブ”という名をもらっている。

 

「退けブレイブ!こいつにはきっちり吐いてもらわねーと気が収まらねー!!」

 

「主の命といえど、それはできません!!奴からは、危険な物(・・・・)を感じます!」

 

危険な物と聞き、ようやくトーマに冷静さが戻った。

 

「危険な物?」

 

「はい。うまく説明はできませんが・・・」

 

そう言われ、トーマは再び目の前の女性に目を向ける。女性は何も言わずにトーマを見返してくる。すると再び口を開くが、

 

「【シルバームーン・ドラゴン】を渡して」

 

さっきと同じ言葉を口にした。さすがに長時間待たされてイラついているのかタメ口になっている。

しかし冷静さを取り戻したトーマは、

 

「・・・悪いけど、見ず知らずの相手にカードをやるほど、俺もお人好しじゃないんだ」

 

すると女性は着ている黒いコートから何かを取り出し振り回すと、それをトーマの左腕のデュエルディスクに投げつける。

 

「!?何だこれ!!」

 

取り付けられたそれをトーマは何とかして外そうとするが外れない。それは女性のデュエルディスクにつながっていた。

 

「これで私と貴方はデュエルから逃げられません。そして、負けたほうのデュエルディスクが破壊されます」

 

「!!・・・そうか、最近の連続通り魔事件の犯人はあんただったんだな!!」

 

「・・・」

 

再び女性に向きなおる。その際に仮面の奥の眼と会った気がした。警戒しているのはもちろんだが、もう1つ別のものを感じた。

 

(何だこれ・・・これは、寂しさ?)

 

「貴方を倒して、【シルバームーン・ドラゴン】をもらいます」

 

「っ!!そうはいくか!!」

 

思考を中断し、やむを得ずデュエルディスクを展開しデッキをセットする。

 

『デュエル!!』

 

 

 

トーマ

手札5

ライフ4000

 

アンノウン

手札5

ライフ4000

 

 

 

「先行はもらうぜ!」

 

トーマ 手札5→6

 

「(この手札だ。まずは向こうの出方を見よう・・・)モンスターをセット!さらにカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

トーマ

手札3

ライフ4000

フィールド セットモンスター1体

      セットカード2枚

 

「私のターン」

 

アンノウン 手札5→6

 

「このカードは墓地にモンスターが存在しない時、手札から特殊召喚できます。【ガーディアン・エアトス】を特殊召喚」

 

アンノウンの場に背中に白い羽を生やした民族衣装風の服装をまとい、頭に鳥の顔を模した帽子をかぶった女性が姿を見せる。

 

ガーディアン・エアトス

 天使族 風属性 レベル8 攻撃力2500 守備力2000

(1):自分の墓地にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードに装備された自分フィールドの装備魔法カード1枚を墓地へ送り、相手の墓地のモンスターを3体まで対象として発動できる。そのモンスターを除外する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で除外したモンスターの数×500アップする。

 

「【ガーディアン・エアトス】!?」

 

「さらに魔法カード【天使の裁き】を発動。バトルフェイズをスキップして私の場の天使族モンスターの数×500ポイントのダメージを与えます」

 

「何!?」

 

発動した【天使の裁き】のカードから雷撃が走り、エアトスの力を吸収した後トーマに向かった。そして雷撃が直撃する。

 

「があぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「トーマ!!」

 

「主!!」

 

「ニャーッ!!」

 

トーマ ライフ4000→3500

 

天使の裁き

 通常魔法

このターン、バトルフェイズをスキップすることで、自分フィールド上に表側表示で存在する天使族モンスターの数×500ポイントのダメージを、相手ライフに与える。

 

「うっ、くう・・・!」

 

雷撃が収まった後、トーマの服はまるで本当に焼けたかのように所々が焦げていた。

 

(これは・・・!そうか・・・ブレイブの言ってた“危険な物”の意味がわかったぜ・・・こいつ、“サイコデュエリスト”!!)

 

“サイコデュエリスト”とは、特殊な力を持ったデュエリストの総称で、主にカードに描かれたモンスターやカードの効果を実体化させる能力を持つ。その原理は未だに不明だがその力は制御できなければ周りの住民に被害が及んだり、物理的な破壊を行ってしまうことがある。

それゆえに、周りから忌み嫌われ迫害されている。

実はリリィもトーマと最初に会った時はこの力のせいでトーマを含め周りを遠ざけていたのだ。しかし今では、トーマのおかげで破壊行為に及ぶどころか、実際のデュエルでも現実のダメージが行く事が無い位まで制御に成功している。

 

「トーマ!大丈夫!?」

 

「ご無事ですか!!」

 

「ニャ!!」

 

「く・・うう・・・だ、大丈夫だ・・・」

 

「大丈夫じゃないよ!待ってて!助けを呼んでくる!」

 

エクレールはトーマの惨状を見た後、急いで自身を見る事ができる人を探しに行った。

 

「倒れる前に【シルバームーン・ドラゴン】を渡してくれれば、ここは退きます」

 

「脅迫だろそれ・・・だれが降りるかよ・・・!」

 

 

トーマ

手札3

ライフ3500

フィールド セットモンスター1体

      セットカード2枚

 

アンノウン

手札4

ライフ4000

フィールド ガーディアン・エアトス 攻撃2500




トーマVSアンノウン!しかも相手はサイコデュエリスト!
このピンチをどう乗り切る!?
さて、今回で【エフェクト・ヴェーラー】を始め、精霊たちの名前が一気に挙がってきましたね。聞き覚えのある名前もありますが・・・。
声優さんも考えたし、そろそろ主題歌も考えておくかな・・・。
もしいい曲があればぜひ教えてください!

では次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。