……よっ。探したよ。こんな遠いところでなにほっつき歩いてんだよ?
それに随分楽しそうな顔してたじゃん。何がそんなに楽しいのか教えてくれよ。映画でも見てたのかよ?
『何もしてない』……?
へぇ、じゃあそんなに何もない日常があんたは幸せって訳なのか。
あたしから逃げておいて?
あんたは酷いなぁ。
必死こいてあんたを探したあたしがバカみたいじゃん。そんな答えされるなんて思ってなかったよ。
誰かに連れ去られたのか。魔女に連れ去られたのか……
寝ることも忘れるくらい心配したのにさぁ、まさかそんな幸せそうな顔してると思わなかったよ。
そんなにあたしがいない日常が幸せなのか?
こんな遠いところまで探すくらい心配してくれるパートナーがいる日常がさ。なぁ、教えてくれよ。
あたしを切り捨ててまで独りになりたかったのか?
今まであたしが散々あんたに尽くしてきた長い日々が無駄だったって言いたいのか?
あたしを救ってくれたあの日は全部嘘だったのか?
あたしは、家族がいなくなってできた心の穴はあんたが埋めてくれて毎日が幸せだった。
あんたの寝顔を見ながら起きて。
あんたの為だけに慣れない料理なんてして。
あんたのことだけをいつも考えて。
今日はどんな寝顔を見せてくれるか。
どんな顔してあたしの作った料理を食べてくれるか。
あんたの顔を想像するだけで心が洗われるんだ。
なのにさ……そんな幸せそうな顔、あたしと出会った時ぐらいにしか見せてくれなかったよな?
いつからだよ?
いつからあたしを切り捨てようとしてた?
あたしはこの身体もあんたに捧げる気満々だったのにさ。
あんたはまたあたしを独りぼっちにしようとしてたんだな。
あたしの過去も全部知ってるのに。
……まぁ、いいや。
あたしもあんたに出会うまでは散々悪いことしてきたからな。
あんたが悪いことした時にだけ許さないってのもおかしな話だよな。
許してやるよ。
じゃ、そろそろ帰るか。
ん? どこにって?
何言ってんだよ。今まであたし達が二人だけで暮らしてきた家に決まってんじゃん。
何をそんなに驚いてんだよ?
許すとは言ったけどさ、あんたがあたし達の家以外で過ごすことを認めるわけないだろ?
あたしもあんたと出会って足を洗ったし。
あんたをあたしと暮らすことが幸せだって更生させてやるんだよ。
今までは少し優しすぎたよな。
これからは、あたしの許可なしに外に出ることは許さないし、誰かと話すことも許さない。
これくらいしなきゃダメだよな?
これであたし達はずっと一緒になれるんだ。
独りぼっちになんか絶対にならない。あんたも……あたしも。
もう、あんたを離さない……もう、寂しい思いはしたくないんだ。
だってあたしは、あんたに全部与えてもらったんだから。
今度はあたしの番だ。
誰もあんたに触れさせない。あたしがあんたに全部捧げる。
だから……あたしを置いて行かないでくれよ。
あんたがいなかったら、寂しくて死んじまいそうなんだ……
独りにしないでくれよ……な?