SCP-001-KV 作:SCP-001-KV
14話 圧倒的███(前編)
その世界は、光の差す場所がなくなり崩壊した。
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空が曇っていました。
今週はずっと曇りのようです。
あれから数ヶ月が経ち、私たちは小学五年生に進級しました。
そして、私、ミカさん、セイアさん、そしてナギサさんは同じクラスになりました。
これが普通の小学校だったら、すごい偶然だと喜ぶものですが……。
しかし、ここは富裕層が集まる小学校です。
派閥争いが存在する場所であり、そんななか三大派閥のトップ三人が一つのクラスに集められていることは……。
色々と勘繰るところがありますが。
凡そ、三大派閥のトップ同士仲良くとか、そういう意図なんでしょうけど。
そんな配慮がなくとも、三人は元から仲良しです。
そのため……。
「最近、ハマっている紅茶がありまして……。
よろしければ、我が家へ遊びにいらっしゃいませんか?」
「行く行く!
ナギちゃんのおすすめする紅茶は癖もあるけど、外れは少ないし☆」
「そうだな。
もちろん、ムガミも行くんだろう?」
「えっと、それでは……お邪魔させていただきます」
そんな三人と一緒にいる
すみません、ただの秘密結社に所属している小学生です。
ちょっと、趣味で世界を救っている系の。
「……って、あっ!!
ごめん! 今日、別の用事があるんだった……!!」
「ほう、君にも用事なんて立てられる頭があったのか」
「セイアちゃんは私のことをなんだと思ってるの?
って、本当に時間ないや!!
ごめん。埋め合わせはまたするから、ナギちゃんの紅茶は二人で楽しんできて!」
そう言って、ミカさんは嵐のように去っていきました。
セイアさんの
……いや。そういえば、ミカさんが好きなブランドの限定アクセサリーが今日発売だったはずです。
それを買いにいったのでしょう。
おそらく、明日になったら満面の笑みで自慢してくることでしょう。
「ミカのことは気にせず、三人で行くか。
ミカの言う通り、ナギサの紅茶に外れは──」
「百合園さん、ここにいましたか。
いま、お時間よろしいですか?」
そう話しかけてきたのは担任の教師でした。
二人は私たちから離れて会話を交わし、すこししてから戻ってきました。
「すまない、二人とも……。
派閥に関わることで話をする必要があって、今日はナギサの家に行けないかもしれない」
まさかの、セイアさんも離脱です。
困りました。そもそも、私はナギサさんの家に行くのは初めてです。
なので、誰かが一緒なら心強かったのですが……。
「お気になさらず……」
……いや、みんなから誘いを断られて落ち込んでいるナギサさんを前にしたら、行かないなんて選択肢はありませんね。
「ナギサさん、私でもよければお家に行ってもいいですか?
あまり舌が肥えていないので、紅茶の良し悪しを判断できるかはわかりませんが……」
「もちろんです!
いらっしゃってください、ムガミさん」
そう言って、ナギサさんは満面の笑みで返してくれました。
その際、安心したように一息ついていたのを私は見逃しませんでした。
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やばいです。迷いました。
空を見上げると、先程より雲が濃くなっているような気がしました。
予報では雨天確率が10%ほどだった気がしますが……。
念のため、折り畳み傘を持ってくるべきだったかもしれません。
ともかく、ナギサさんの家を……。
「あれ? ムガミちゃん?」
そこに救世主が現れました。
「ミカさん!
どうしてここに?」
「こっちの台詞だよ~!
私はあっちのデパートで欲しかったアクセサリーを買ったから、家に帰るところなんだ」
どうやら、ミカさんの用事は済んだようです。
私は迷ってしまった事実を伝えました。そして、ミカさんに道を聞こうとしたところ……。
その時、私たちの傍に一台の高級車が止まりました。
窓が開き、そこから顔を覗かせたのはセイアさんでした。
「二人とも、何をしているんだ?」
「あのね、ムガミちゃんが迷子になっちゃったみたいで、いまナギちゃんの家に送ろうとしてたところ!」
「それならちょうどいい。
私も、思ったより早く用事が終わったから、ナギサの家に向かおうと思っていたんだ」
と、そういうわけで。
私たちは三人で、ナギサさんの家に向かいました。
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天候は段々と悪くなっていますが、雨は降っていないようです。
といっても、いまはセイアさんのお家の車に乗っているので、降っても問題ないのですが。
それよりも、待ち合わせに相当遅れてしまいました。
ナギサさん、怒っていないといいのですが……。
遅れる連絡ができればよかったのですが、今更になって連絡先を交換していなかったことに気付きました。
今後のためにも、連絡先は交換しておいた方がよさそうですね。
ナギサさんの家は、玄関にある大きな門が最初のお出迎えをしてくれました。
「ナギちゃんは友達を家に呼んだ時、いつもこの花道を自慢するんだよー!」
「たしかに、これは素晴らしいですね……」
ミカさんの言う通り、そこから玄関まで続く道は左右に花が咲き乱れており、非常に美しいです。
この花道の面積だけで、私の家と同じくらいな気が……。
うん、あまり考えないようにしましょう。
世の中には比べるべきものと、比べるべきでないものと、比べると虚しくなるものがあるのです。
ちなみに、この言葉は前世の同僚が言っていました。
妙に実感がこもっていて……いえ、これ以上は彼女のためにも触れないであげましょう。
ちなみに、彼女の口癖は『胸はただの脂肪』でした。
「たぶん、ここで待ってたらナギちゃんは来ると思うよ」
「そうですか……。
それなら、先に連絡先を交換してもいいでしょうか?」
「もちろんだ」
ということで、私たちは連絡先を交換しました。
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それから、すこし経ってナギサさんはやってきました。
「ナギサさん、遅刻してしまい申し訳ありませんでした」
「いえ……気にしてはいないので、大丈夫ですよ」
やけに強張った、ナギサさんの表情が気になりました。
気にしてないって言っていますが、これは嘘なのではないでしょうか。
今度、遅刻したお詫びの品でも持って来ましょうか。
「そうだ、さっき私たちも交換したんだけど……。
ナギちゃんも、ムガミちゃんと連絡先を交換したら?」
「えっ……えぇ、もちろんです。
ムガミさんも構いませんか?」
「是非お願いします、ナギサさん」
ナギサさんの表情は気掛かりですが、ひとまず連絡先を交換します。
交換する最中、なぜか私の方をチラチラと見て、気に掛けるような様子をナギサさんは見せました。
……どうしてでしょう?
「それじゃあ……お家に向かいましょうか」
「あれっ、花道の紹介はしなくていいの?」
「その……天候も悪化してきましたし、雨が降ってしまってもいけませんので」
ナギサさんは最もらしい言い訳をして、私たちを家へ届けるため車に乗り込みます。
……思わず、私たちは見つめ合いました。
明らかに、ナギサさんの様子がおかしいです。