SCP-001-KV 作:SCP-001-KV
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私たちは来客用の部屋に通されました。
流石お金持ちというか、来客用の部屋だけで大中小と様々なサイズの部屋があるそうです。
そのなかで小の部屋に入った私たちは、そこでナギサさんおすすめの紅茶を飲んでいました。
ミカさんやセイアさんが言っていたように、その紅茶は美味しかったです。
普段、あまり紅茶を飲まない私でも高いんだろうなとわかる味でした。
うん、値段は聞かないようにしましょう。たぶん、私のお小遣いの数十倍はするでしょうから。
そうして、紅茶の試飲会をしていたら、ナギサさんの調子も戻ってきたようでした。
「雨が心配なので花道のご紹介は後日にしますが、よければ中庭を見に行きませんか?
あそこにも、綺麗なお花が咲いているんです」
「この時期だとガーベラとかだっけ?」
「ガーベラは様々な色に咲くので綺麗ですよね」
「久しぶりに見に行くのもいいね」
前世、花好きの同僚がガーベラの話をしていたので、それを覚えていました。
ガーベラは赤、ピンク、オレンジ、黄色、白などたくさんの色があり、それぞれ異なる花言葉を持っているそうです。
そして、扉を開けて部屋の外に出ようとした時……。
「──あんな子供に紅茶の味なんてわかるのかしらねぇ。
いつも高い紅茶ばかりを買って、将来は宝石とかをたくさん買い込むようになるんじゃないの」
「そうよね。金銭感覚が壊れていそうだわ、お嬢様は。
いずれ悪政を敷くタイプよ」
そんな陰口が、聞こえてきました。
私が思わず固まっていると、ミカさんが怒ったように口を開きました。
「なにあいつら。
家主の娘をバカにするなんて、即刻解雇でいいじゃんね。
ていうか、いま
「待つんだ、ミカ。
ここは人通りも多いし、帰宅している最中を狙うべきだ」
しかも、目が本気なんですが!! 本気と書いてマジなんですが!!!
とにかく、いま二人を止められるのは自分しかいません。
「お、お二人とも、落ち着い……シキ?」
ふと、その時。
普段は私の影に潜んでいるシキがそこから這い出て、私の目の前に来ました。
そして、何かをじっと見つめています。
その視線の先にいたのは……ナギサさんでした。
「えっ、黒い犬!?」
〖はかせ、あぶない。
これ、すきっぷ〗
「ナギサさんが……!!?
お二人とも、下がってくださいッ!!」
私は安全のため、二人を下がらせます。
ナギサさんが
なぜ、突然になって。
そもそも、何の
ふと、私は窓の外を見ました。
そこには……。
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世界の全てを覆い隠さんとする、巨大な雲がありました。
「……──圧倒的、曇天……?」
【
それは停滞する雲です。ただし、それと接触した雲もまたその一部となります。
また、それと形ある物が接触した場合、形ある物は分解されます。
それは周囲の雲を吸収していく形で段々と体積を増やしていき、地上は全て雲に覆われました。
そして、果てには地底さえも雲に呑み込まれ……。
と、全人類死滅によるバッドエンドを迎えるのがこの
しかし、なぜ?
それがどうして、
「圧倒的……
いや、まさか。そんな言葉遊びみたいな。
しかし、それだと辻褄が合います。
問題は、それをどうすれば解決できるのか。
この曇天は本来、不可逆です。
体積が増すことはあっても、減ることはありません。
しかし、その点はナギサさんという融合体がいるため、解決の糸口があります。
「この曇天はナギサさんにしか制御できません。
──つまり、これを解決する鍵はナギサさんにあります」
ナギサさん次第で、この雲を晴らすことも可能なはずです。
「で、でも、どうやって?」
「仮説を検証します。
……ナギサさん、声は届いていますか?」
「どうせ、わたしなんて……。
わたしなんて、いなくてもいい……」
焦点が合っていない瞳。
しかし、仮説を検証するためには声が届いていると信じて話し掛けるしかありません。
「今日は遅れてしまってごめんなさい。
決して、ナギサさんからのお誘いが嫌だったわけではないんですよ。
本当です、私はナギサさんのお家に行けるのがとても楽しみでした」
「……うそつき……。
どうせ、みんな……わたしのことをきらって……」
「そんなことないよ、ナギちゃん!!
なんで、そんなこと思うの!!?」
「そうだ、ナギサ。
私たちがナギサを嫌うなんてありえない」
ナギサさんから反応が返ってきました。
ひとまず、安心です。声はちゃんと届いているみたいですね。
「その通りです。
二人がナギサさんのお誘いに乗らなかったのは、のっぴきならない用事があっただけです。
傍から見て、お二人があなたのことを好いているのは、まだ短い付き合いの私でも断言できます」
「す、好いてるっていうか……まぁ、幼馴染だし……。
……大切な、親友でもあるから当然じゃんね……っ」
ミカさんは恥ずかしいのか、顔を赤くしながら気持ちを伝えてくれます。
セイアさんは少し思案顔をして……何かを思いついたようで、パッと顔を上げました。
「……もしや、そういうことか」
「えっ、セイアちゃん何かわかったの!?」
「ムガミのやりたいことを、何となくだが……。
ナギサ、もしかしたら見ていたかもしれないが、玄関前で連絡先を交換していたのに他意はない」
「あぁ、流れで交換することになったやつね☆
ナギちゃんを待つ時間が暇で……あっ、ごめん……」
セイアさんの言葉を聞いて、セイアさんが私の仮説と作戦を把握したことを理解しました。
ミカさんはわかっていない様子ですが、ナギサさんがいるこの場で伝えるのは難しいので……。
ミカさんはナギサさんを責めるような言い方になったのを謝っていますが、逆にこの場合はそれが正解です。
正直に伝えること。
正確に言えば、ナギサさんに私たちの言葉が本心からのものであると信じてもらうことが重要なのです。
「……わたし……きらわれて、ない……?」
「当然だよ!」
「当たり前だ」
「そうですよ、ナギサさん。
あなたはみんなに愛されています。
もちろん、私もナギサさんのことが大好きです」
この世界でナギサさんと出会ってからもそうですし、この世界に来る前……ブルアカのキャラとしても大好きでした。
実は私、清楚っぽい雰囲気の女の子に弱いんですよね。ついでに、弄り甲斐があるとなお良しです。
その点、ナギサさんは気高く清らかですし、
ナギサさんの目に光が戻っていくのを確認して、私は改めて窓の外を見ました。
つられたように、みんなが私の視線の先を見ます。
「晴れたね☆」
外は雲一つない快晴でした。
どうやら、私の仮説は正しかったようです。
──圧倒的曇らせ。
雲はナギサさんの心と連動していました。
心が曇れば空も曇り、不安や悩みが晴れれば雲も晴れる。
ですが、やっぱり。
「曇らせは晴らしてこそなんですよ」
曇った後の空は、いつにも増して輝いて見えました。
圧倒的曇らせ
アイテム番号:
SCP-012-KV
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
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説明:
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桐藤ナギサの心の曇り具合でその質量を増減させます。