SCP-001-KV 作:SCP-001-KV
その世界は、存在しない疑心暗鬼によって崩壊した。
ようやくSPTF財団に戻ることができました。SPTF学院も新しい建物がたくさん増えていました。
一息つきたいところでしたが、どうやらそうも言っていられなさそうです。
といっても、SPTF財団がとんでもないことになっているだろうことは、リオちゃんが脱退している時点でわかっていましたが。
「ヒマリちゃん」
「っ……ムガミ、ちゃん……おかえり、なさいッ……!」
「はい、ただいま帰りました。
随分と長い時間をお待たせしてしまいましたね」
私はヒマリちゃんに抱き着きました。
ヒマリちゃんの目からぽろぽろと雫が落ちていき、それが私の肩口を濡らしていきます。
私はそれを大人しく受け入れました。
私は去られる側の気持ちを理解しています。
財団職員として何度も同僚たちを見送ってきました。
Dクラス職員と比べれば、私たちCクラス職員は比較的安全です。
ですが、
そう考えれば、四年近い月日が経っていながら、別れる形が死別ではなく離脱であること。
それはとても幸運なのかもしれません。
「……ヒマリちゃん、再会を祝したい気持ちは山々なのですが、現状のことを教えてもらえますか」
「グスッ……そう、ですね。
実はちょうど、ムガミちゃんのお力を借りたい問題があるんです。
トップクラスに危険な案件ですが、ムガミちゃんであれば……これを平和な形で解決できるかもしれません」
「……」
……これはツッコミを入れていいのでしょうか。
いえ、だって、明らかに異変じゃないですか。
あのヒマリちゃんが、常に敬語で話しているなんて。
「サイト-05は……まだ、ムガミちゃんがいた頃にはなかった収容施設ですよね。
資料を持ってこさせます。
そこに立てこもっている人たちをどうにかしてもらいたのです。
……何かわからないところでもありましたか、ムガミちゃん」
「いえ、あの……真剣な話題のなか申し訳ないのですが。
なぜ、敬語を?」
正直、それを気にしてほとんど内容が頭に入ってきていません。えっ、この四年間で嫌われでもしましたか?
もう私って赤の他人扱いですか?
「……責任のある立場になったから、態度を改めただけですよ。
来ましたね、サイト-05の資料はこちらです」
そう言うヒマリちゃんですが、何かを隠しているのはわかります。伊達に友達やってません。
だけど、これを聞くべきは今ではないようですね。
まずは目先の問題を解決してからにしましょう。どうやら、火急の要件みたいですし。
「……これはつまり、そういうことですか」
サイト-05の資料を見て納得しました。
保管サイト-05『海賊島』の正体は島でした。そして、問題の
ちなみに、島自体には何の異常性もないようです。
それはいいのです。
問題はそのサイトの使用用途でした。
保管サイト。
それは名目上のものに過ぎませんでした。
「ヒマリちゃん……。
──あなたは、ここに
「……」
ヒマリちゃんは真顔でこちらを見つめました。
その視線が合いますが、ヒマリちゃんの感情を読み取ることは不可能でした。
そして、ヒマリちゃんは。
「はい、その通りです」
ハッキリと、私の言葉を肯定しました。
否定してほしかったです。
だけれど、ダメでした。
人が変わるだけの時間が経ったのです。
経ってしまっていたのです。
「……問題を、教えてください」
私は冷静に優先順位をつけました。
リオちゃんの離脱。ヒマリちゃんの変貌。それらを今すぐにでも問い詰めてしまいたいと心の底から思います。
だけど、私は財団職員です。
常に優先するのは
特に、今回のような
「ムガミちゃんは……あの頃のままですね」
そうヒマリちゃんが言いました。
改めてヒマリちゃんを見れば、身長は変わっていませんが、顔立ちが少しだけ大人っぽくなってします。
私はヒマリちゃんに近づいて、その頭の上に手を持っていきました。
「ヒマリちゃんも、あの頃のままですよ」
そう言って、私はヒマリちゃんの頭を撫でました。
ヒマリちゃんはきょとんとした顔をしました。
そして、過去を懐かしむような顔つきになって。
「そう、なら……嬉しいよ」
そう小さく呟きました。
私がいない時間で何があったのかは知りません。
だけど、時が多くのものを変えたとしても、私たちの友情が変わることはないのです。
それを証明するためにも、さっさとこの問題を解決しなければ。
その後に、
今回の件、問題の中心は不法投棄をされた
その存在を知り、それを悪用しようとした者たちがいたのです。
その者たちは元々SPTF財団所属の者たちでしたが、先日とある一件から行方知れずになったそうです。
ちなみに、四年前にはまだ財団に所属していなかった者たちでしす。
「機動部隊“
それが今回の首謀者たちです」
機動部隊。それも四年前にはありませんでした。
ですが、いずれ作るなら……と私は前世の話をいくつかしていました。
といっても、機動部隊の名前とそれぞれの担当分野を伝えただけでしたが。
そのなかでも“
というのも、この機動部隊はとある
つまりは。
「いるんですね。
──敵に、【
ぼくのかんがえたさいきょうのもんすたー。
それが、【
初っ端からなかなかに厄介な案件だと、思わず頭を抱え込みそうになりました。
サイト-05は実在する
アイテム番号:
SCP-025-KV
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
【
現在、立ち入りは禁止されています。
説明:
【
これは不定期に発火し、その際に「船が沈む」「裏切り者を殺せ」という内容の文章をネット上に出現させます。
なお、炎は自然に鎮火し、船に新たな傷が増えることはありません。
補遺1:保管サイト-05について
元々、保管サイト-05は異常性が不活性化した
しかし、実際は危険度の低いとされた
不法投棄された
補遺2:事案25-A
[データ削除済]*1
あいつらはうそをついてる、これはしんじつ。