SCP-001-KV 作:SCP-001-KV
その世界は、たった一人の圧倒的な武力によって崩壊した。
私は彼女に一つ提案をしました。
彼女は悩んだ末……それを、受け入れました。
「お疲れ様でした、ムガミちゃん。
成果は……気絶した女性一名と、幼女一名ですか」
「はい、残念ながら【
「……」
何か言いたげなヒマリちゃんの視線が突き刺さります。
ですが、私はそれを無視して話題を変えました。
「それで……そろそろ、聞いてもいいでしょうか。
──リオちゃんと何があったんですか?」
いい加減、気になっていたのです。
「……方向性の違いというやつでしょうか。
具体的には……
異常性がシンプルなものや収容が容易なもの、特段研究の必要性がないものなどがこれに当てはまります。
「私はそれらを不要と判断しました。
収容に手間暇を惜しむのはお金の無駄遣いだとも。
なので……知っての通り、私はそれらを海へ不法投棄しました」
「……」
気持ちはわからないでもないです。
気持ちは共感できようと、その行為を肯定することはできません。
私たちはSPTF財団の理事会です。トップが理念に沿わない行動をすれば当惑するのは下の者です。
私は前世でそれを嫌というほど、下の立場から見てきましたから。
言葉がすぐに変わる上司は信用してもらえません。
部下を守るつもりで部下からの信頼を失っていれば、本末転倒です。
「リオは逆に、
ですが……ある時、財団を脱退すると言われたのです。
明確なきっかけは私にもわかりません」
「突然のことだったんですね」
「えぇ……本当に。
脱退と同時にいくつかの
「過去形、ですか?」
「はい……なんて説明すればいいでしょうか。
それらのアイテム……
……なるほど。
でも、あり得る話です。この世界の
ヒマリちゃんたちは私が語った
今回のように、
「では、純粋な
「……正直なところ、区別がつかないのが現状です。
残っている
ですが、それは私たちの調査不足という可能性もあります」
この世界に
……そもそも、この世界の
昔、一通りの仮説を提唱してみたことはありますが、検証する方法なんてどこにもありませんし。
「一度、
それと、リオちゃんが持っていたものに関する情報も」
「用意させておきます。
ただ、リオの持つものに関しては、現在の状態がどうなっているのかわかっていません」
「そうですか……。
それでは、幸運に期待しましょうか」
「……?」
ヒマリちゃんは不思議そうな顔をしました。
それを見て、手を打っておいてよかったと感じました。
リオちゃんに関しては調べたいと思っていたのです。
ですが、私が素直に行って話してくれるかはわかりませんでした。
ヒマリちゃんのこの様子だと、私が素直に行っても応対してくれなかった可能性が高いです。
「財団も人手不足ですし、どこかにちょうどいい人材が転がっていればいいですよね。
きっとリオちゃんも人手は多いに越したことはないはずです。
例えば……ちょうどよく財団と敵対していて、ちょうどよくどこにも所属していなくて、ちょうどよく
そんな人物がいれば、リオちゃんは何だかんだ言って拒めないでしょうね」
「……まさか!?」
それが、私が飛鳥馬さんに提案した内容です。
要約すれば、飛鳥馬さんにはリオちゃんの組織への潜入調査を依頼しました。
自由にすると言ってすぐにこんな任務になってしまったのは申し訳ないですが……。
飛鳥馬さんにとっても、自由とは何かを見直すいい機会になるのではないでしょうか。
子どもは自由を何にも縛られないことだと言います。
ですが、大人になれば何かにある程度縛られている時ほど自由だったと実感できるものです。
例えば、保護者が子どもを見守るのは、子どもを危険から遠ざけるためです。
例えば、TPOがあるのは、自分や他の人物が不快な思いをしないためです。
自由を楽な生活だと定義するのであれば、ある程度の束縛は認めなければなりません。
飛鳥馬さん自身がどの程度まで許容できるのか、自身で確かめて来てはどうかと私は提案したわけです。
「今回の事件、SPTF財団は
これは間違いなく財団の汚点となるでしょう。
ですので、機動部隊“
──今回、私が飛鳥馬さんと対面して話したという事実も丸ごと」
もし、私と飛鳥馬さんが話していたと知れば、リオちゃんは飛鳥馬さんの存在を警戒するでしょう。
だから、隠す必要がありました。
でも、今回の事案を報告書に書く場合、必ずどこかに私の名前を載せる必要があるでしょう。
それならば、いっそ……機動部隊“
幸い、今回の事件は情報を隠すための理由となってくれました。
「……ムガミちゃんは、どこまで……」
ヒマリちゃんが呆然とした様子で呟きました。
目が真ん丸となって、驚いている様子です。
天才であるヒマリちゃんをそこまで驚かせることができたのなら、私も案外捨てたものじゃないですね。
だけど、残念ながらこれはきっとそんなにいいものじゃありません。
「ハッキリ言ってくれてもいいんですよ?
──性格が悪そうな搦め手の方法だって」
「そんなことは……っ」
「大丈夫です、そういう方法ですから。
ですが……きっと、大人とはそういう方法を取る人のことを言うのです。
いえ……そういう方法を取ってなお、一線を超えない人物を大人と呼ぶのかもしれませんね」
私たちは冷酷です。
ですが、残酷という線を越えてはいけません。
といっても、私だって人間ですから、その線引きをミスることはあるでしょう。
もしかしたら、既にやりすぎてしまっているのかもしれません。
それでも、立ち止まりはしません。
それが私なりの、責任の取り方だと思っていますから。
アスマ
アイテム番号:
SCP-024-KV
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
【
説明:
【
【
また、何もない空間から黒い無光沢のブレードを出現させることができます。
事案25-Aより、【
また、特別収容プロトコルの改訂が審議されています。
補遺1:事案25-Aについて
[データ削除済]*1