インフィニット・ストラトス 花の道を進みし白い騎士 作:夢の翼
一夏が『@クルーズ』へ向かった後の一夏の住むマンションの部屋に一人の少女が入って来た。少女は部屋を見渡すと机の上に置かれているドライバーが入ったケースの前に来る。
「・・・・・・」
その少女の正体は、スコール達とチームを組んでいる亡国機業の実行部隊の一人。Mこと織斑マドカだった。マドカは緑のマークが描かれたケースの鍵を開けその中に入っている赤いドライバーと水色のクリアにメロンが描かれた『E.L.S.-04』のロックシードを手に取る。
「これさえあれば……私は姉さんを越えられるのか」
ドライバーとロックシードを見つめながらそう呟くマドカ。世界最強の座に君臨した初代ブリュンヒルデこと織斑千冬、2年前に消息不明となり人間を越え超越した存在となったオーバーロード『ロード・ゼロ』こと織斑一夏。そんな二人が居る中、自分には何もないただのテロリストで織斑千冬のクローン。
「・・・・・・・」
彼女は生まれた時から『強さ』を憎んでいた。『力』手に入れた人間は優しさを忘れその『力』に溺れ弱者を踏みにじる、彼女が生まれた研究所にいた人間達もそうだった。織斑千冬も『力』に溺れた女なんだろうと考えていた時期もあったが彼女の事を調べた結果、彼女は自分の姉は『強さ』を持っていたとしても決して優しさを忘れてはいなかった。だがその優しさが逆に仇となる時があった、それはあの一夏の誘拐事件の日だ。
「消えたと思えば、オーバーロードに進化していた……姉さんには及ばない弱者であったあの男が」
誰よりも優しさが強かった人間だった頃の織斑一夏、『力』を持ち優しさを忘れなかった織斑千冬やその織斑千冬の遺伝子から作られ彼女と同じ力を持って生まれた自分。そして『力』持たず優しさだけが誰よりも強かった織斑一夏。だから彼女は織斑一夏を憎んだ。何故『力』を持っていないのにそんなに強いのか、何故『力』持っていないお前が姉さんの隣にいるのか、と。人間は『力』やその『強さ』に引かれる生き物。、だが織斑一夏だけは『力』持っていなかったのに優しさだけで沢山の人々が彼の周りに集まった。自分はきっとそんな彼に嫉妬していたのだろうと、数日前彼と会ったあの日の後からそう思い始めた。
「『正義を持たない力』……か」
ある特撮ヒーローの映画でその台詞が頭の中に響いた。もしかしたら織斑一夏はその『正義を持たない力』に溺れるのを恐れ『力』持たなかったのではないのだろうか?、自分が見て来た人間達は誰もが『力』と『欲望』に溺れ優しさを忘れて行った者たちばかり、だがら織斑一夏は優しさという『正義を持つ力』を守る為に『力』を持たなかったのではないのだろうか。マドカは『正義を持たない力』の意味を深く考えていた。
「っ?」
ふと窓の外へ視線を向けると、ある個所から煙が上がっていた。マドカは窓からその場所にサイレント・ゼフィルスのハイパー・センサーで拡大する。するとそこには『@クルーズ』から少し離れた場所で鎧武・白夜叉が美雪と無双セイバーの二本で下級インベスと戦っている姿が見えた。するとサイレント・ゼフィルスのプライベート・チャネルに通信が入った。
《M、聴こえる?》
「あぁ、状況はこちらでも確認している」
《なら、今すぐ現場に向かってちょうだい。私とオータムも今向かっているところだから》
「了解」
スコールとの通信が切れるとすぐさま行動に移るマドカ。ケースにドライバーとロックシードを入れるとケースを片手に玄関へと向かう。
「それが貴様の正義なのなら、私は私の正義を貫く。織斑一夏」
―――――そうだ、お前はそれでいい…それがお前さんの正義なのならな――――――
「っ!?」
聞いたことがない男性の声が聞こえたマドカは後ろを振り返るが、勿論今ここには自分だけしかいない、空耳かと思いすぐさま一夏の部屋から飛び出していった。
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