川を渡った烏と首なき天使   作:しものふ指揮官

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小説の時間じゃおりゃ!!!
第一次ラプチャー進行時のCEOの状況が不明過ぎたけど!

サブスト見て私はにんまりですよー・・・

テトラも企業ですね~
うんうん♪
企業どもはそうでなきゃ!

後はエリシオン・・・君だけだけど・・・タクオバが最初から居たら、一番理性と道徳を持ってる企業ですね~

まあ、女子供をニケにしてる時点で、道徳とはって感じですがな!


14話:Mission1-?:主要拠点奪還

 

<レイヴン。現在の状況は?>

 

「目視確認でノーマルがざっと40と指揮個体が1。指揮個体が居るってことは、目視で確認できない部分でも恐らく追加で数十体はいると思う」

 

<数が多いな……行けるか?>

 

「私を誰だと思ってるの?」

 

<いや、そこについては心配してないんだが……斥候、大丈夫?>

 

「もう覚えたから心配しない。あと、作戦自体に不満が在ったらその時に言うって約束したんだし大丈夫だよ」

 

<そうか……頼むぞ>

 

「あーい」

 

 通信を切る。

 高くそびえたつ高層マンションのがれきの上に立ちながら、私は周囲を見渡す。

 ラプチャーの探知範囲外なので、隠れる必要もないのだが……まあ形式的にもやった方がいいよね? 

 

 斥候……

 敵を見つけたらすぐに報告すること。

 報告したら敵を間引きながらリリスのいる場所まで誘導すること。

 

 よし。

 問題ない。

 間引く度合いがどれくらいがいいのかはわからないけど、まあ、やってみればわかるでしょ。

 正直、敵を見つけた段階で攻撃したほうが手っ取り早いんだけど、まあそこはチーム戦ってことで我慢するしかないよねー……

 

 銃を両手に持ち、足に力を入れる。

「仕事はじめるよー!」

 他に仲間がいるわけではないが、もはや癖となってしまった言葉を口にし、地面をけり上げアサルトブーストを焚いた。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「んで? どうだった?」

 

 作戦終了後、基地に戻りデブリーフィングを行う作戦室。

 自分としては、まずまずの斥候具合だったと自負しているため、自慢げな表情で指揮官に尋ねる。

 

「よくやってるさ。作戦は成功。敵の数も把握できてるし、誘導もうまく行っていた」

 指揮官は顎に手を当てながら、私の評価をしてくれる。

 

 ふふーん。

 まあ、そうだよねー。

 確かに初陣の時は間違った認識をしていただけで、私に出来ないことなどないのである!! 

 

「ただし」

 

「ただし?」

 

「敵を間引き過ぎだ」

 

 ……そんなに? 

 リリスの攻撃能力を加味したうえで間引いているつもりだったんだけど、やっぱり足りなかったのかな? 

 

 私が不服そうに首を傾げているのを見て、指揮官は小さくため息をつく。

「報告の段階で、ノーマル個体が40体。指揮個体も確認できたため、追加で恐らく数十はいると言っていただろ?」

 

「うん、言ったよ」

 

「撃破数を言ってみろ」

 

「えーっと……」

「ノーマル33体と指揮個体1体だ」

 

 私がいくら倒したのか考えていると、指揮官は私の考えを遮るようにして正解を言う。

 

「……」

「……」

 

「間引き過ぎだね……」

「そうだな?」

 

「うん……」

 

 がくりと項垂れる。

 索敵はスキャンあるし、陽動もほぼ完璧なんだけど……

 やはり間引くというのはやってこなかったから、どうしてもやりすぎてしまうのかなぁ……

 追加戦力もいるだろうと仮定してたんだけど、まさかまさかの追加戦力なしだったから、余計に間引き過ぎてしまったのかも……

 まあ、次からは気を付けるしかないよねー……

 

「指揮官、発言いい?」

 リリスが、私と指揮官の会話を聞いて何かを思ったのか、発言の許可を求めてくる。

「どうした? リリス」

 指揮官もリリスの発言を許可する。

 

「レイヴンの戦力を加味すると現状のラプチャー相手には過剰すぎるようだから、次回は斥候ではなく、ともに赴くツーマンセルでの作戦を提案します」

 

 リリスの提案に指揮官が唸る。

「確かに、レイヴンの戦力を加味すると、斥候は過剰すぎるかもしれないな……」

 

 本来の斥候というのは、少数または限りない戦力で敵の情報を収集することが目的である。

 そう考えると、レイヴンの戦力は斥候には過剰すぎる。

 ニケとラプチャーの間に食物連鎖と言うような関係性があるとするなら、レイヴンはどう考えても狩る側の存在である。

 そんな存在を斥候に向かわせるのは、血に飢えた猛獣を餌がたんまりある狩場に放つようなものだった。

 

「分かった。次回はリリスとレイヴンのツーマンセルで行くことにしよう」

 指揮官はリリスの提案を受け入れ、次回の作戦はリリスと私のツーマンセルで行うことを決定する。

 

 そんなリリスの提案に私はというと、リリスとのツーマンセルとなった場合のアセンをぼんやりと考えていた。

 

 リリスの近接に合わせるのなら、現状遠距離アセンだよね……

 好きな武装で行くなら、ショットガン二丁にブレード構成なんだけど、天高くに浮遊する多連装ミサイルを装備した敵が出てきた際の事を考えると、やっぱり遠距離アセンが最適……

 ただ、そうなると近接で真っ向勝負に出てくる様な敵に弱くな……らないな……リリスがいるし。

 

「レイヴン的にはどうだ? リリスとツーマンセルで行くのはどう思う?」

 

「……え? あぁ、うん。いいと思うよ。リリスと一緒に行くのは楽しそうだし、何よりも私の戦力を活かせるからね」

 思考の海に沈む私に指揮官が声をかけとっさに答える。

 

「本当にいいの? 私が提案したことではあるけど、レイヴンの戦術的に近接が出来ずらい状況が生まれやすくなるけど……」

 リリスが私を心配しているのがわかる。

 

「大丈夫大丈夫。確かに近接は好きだけど、それに固着するとアセンの幅が狭くなっちゃうからねー」

 

「「アセン?」」

 

「あぁ、こっちの話。まあ、次回の作戦までに考えておくよ」

 

 それはそうと、遠距離アセンによるインファイトに持ち込まれる状況は極力避けたい。

 何個かあっちの世界で、遠距離武器を使用したアセンはあるけど、高速移動するインファイト機体にハマると事故る可能性があるからね……

 だからこそ……! 

 

「ねぇ、リリス。良ければ私と―—」

 

 ピピッ。

 

 私が言葉を発するのと同時に、脳内でT.A.C.Tから通知が入る。

 T.A.C.Tからの通知なんて今までなかったから、何事かと思って通知を確認すると、そこには「新しい依頼が追加されました」と書いてあった。

 

「……ごめん、リリス。今の話は忘れて」

 

「え? どうしたの?」

 

「それと、指揮官。ちょっと用事がはいったから、先に失礼するね」

 リリスの言葉に応える前に、指揮官に用事が入ったことを伝える。

 

 指揮官も何かを察したのか、顔を渋らせる。

 しかし、私の用事が何なのかは聞かず、「分かった。今日はお疲れ様。ゆっくり休んでくれ」と言って、私を解放してくれた。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 一人、自室に戻る。

 リリスから自室でしっかり休み・生活するようにと言われているため、部屋には武器となる銃のラックが3列に並べられており、しっかり生活感のある部屋になっている。

 

 椅子に腰かけ、再度脳内でT.A.C.Tの通知を確認する。

 差出人は、「ミシリス・インダストリー」とだけ記載されており、件名には「主要拠点奪還」と書いてある。

 

 正直、企業からの依頼が来ることは知ってたし、待っていたから驚きというよりも、やっと来たかという感じだった。

 まあ、そりゃニケ一機に対して企業から依頼を出すこと自体が前例のない事らしいし、企業側としても警戒と調整に時間がかかるのは当然だよねー……

 

 さて、どんな依頼が来たのかなー……

 そう思い詳細を確認しようとすると、いきなり受けるか受けないかの選択肢のみが出て来た。

 

 は? 

 依頼内容の詳細は? 

 依頼内容を見ずに受けるかどうかを選べって……? 

 

 バカなのか? 

 それとも、甘く見られてるのか? 

 こんな得体の知れない依頼を内容を知らせずに送ってきたって誰が受けるんだよ……

 

 あ、そうか……

 

 頭を押えながら、私はようやく気づいた。

 依頼を送る人物が私しかいないから、傭兵間での競争なんて起こる訳もないし、受けないなら受けないでどうでもいいと言ったところか……

 

 いやいやいや。

 それにしたって、私も一独立傭兵だよ? 

 こんなの受けるわきゃないじゃん……

 

「まったく……」

 

『エア。いる?』

 私は悪態を付きながら、エアへ交信を飛ばす。

 

《はい、レイヴン。どうしましたか?》

『企業側から初めての依頼が来たんだけど……まあ、見てみて』

 

 暫くの沈黙。

《なるほど……これは酷いものですね……》

『でしょ? 内容も送らずに、受けるか受けないかとかありえないよね……』

 

 エアは《ふむ……》と考え込む。

《では、私が企業側とレイヴンの間での交渉役を務めましょうか? もし送って来なければ、こちら側から情報を抜き取るようにすれば問題ないかと》

 

『それをしてくれるなら助かるけど……エアの負担が大きい気がする……』

 

《ふふふ……やる事は以前と変わりませんので、問題はありません》

 

 ちょっとまって。

 それって、ベイラムだかアーキバスだかの依頼の時に同じ様に情報を抜き取ってたってこと? 

 ごめん、私それ知らない。

 

 いや、そもそも実体を持たないエアが依頼を持ってきたり情報を売って換金していたりしていた……事実があったなぁ……

『あぁー……やる事やってるね、エア……』

 

《なんだか悪者のような言い方ですね……》

『いや、そういう意味じゃないんだけど……』

 

《では、私が企業側と交渉してみますね。レイヴンは依頼を受けるかどうかの選択肢を選んでください》

『うん……』

 

 エアの手際の良さが逆に怖い。

 これエアが私に愛想つかされたら、完璧に終わらないかい? 

 なぜだろう……凄く頼もしいはずなのに、なんだか怖い……

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

《レイヴン。依頼内容が判明したため、ブリーフィングを開始します》

『うん、よろしく』

 

《依頼主は、ミシリス・インダストリー社。内容は、昨今のラプチャー進行により掌握された主要研究施設の奪還です》

『主要研究施設の奪還……?』

 

《はい。奪還対象の施設は、以前までニケ製造における最新技術の研究を行う施設の様で、人員から設備まで多額の資金を投入して作られた施設でした》

『それが、じわじわ進行してきたラプチャーたちに基地周辺含めて掌握されてしまったってこと?』

 

《厳密には、ラプチャーの進行速度が予想以上に早かったため、奪還対象の施設はラプチャー側の占領エリア内に入ってしまい基地の設備を残したまま撤退したようです》

『つまり、襲撃されたわけではないってこと?』

 

《はい。達成目標は、該当施設の安全確保とラプチャーの排除です》

『データの回収とかはないの?』

 

《データ回収は、奪還後にミシリスが保有するニケ部隊が行う。とのことでした》

 

『なるほど……』

 

 まあ、今更考えたら、そりゃそうかって感じだね。

 お相手さんからしたら、軍所属のニケがデータ回収なんてやらせるわけないよねー……

 そう考えると、ベイラムってバカなのか? 

 

『んで? 作戦に対する報酬は?』

《報酬は、前に0。後に500Kクレジットです》

 

 ……500Kクレジット……? 

 違和感を覚え、私は即座にパーツショップをひらいて、500Kクレジットがどれくらいの価値があるのかを確認する。

 

 ……はぁ?? 

『却下。安すぎ。舐めすぎ』

 

《まあ、そういうと思ってました》

 

 現状のパーツリストに並ぶパーツの中で一番安いパーツが2800kクレジット。

 その約5.6分の1の価値しかない500Kクレジットなんて、小遣い稼ぎ程度の価値すらない。

 

 初依頼による期待値とそれに対する現実の報酬の安さに、私は机をとんとんと叩きながら苛立っていた。

 皿頭パーツよりも安い報酬なんて聞いたことないよ! 

 詳細情報を見せないで、受けるか受けないかの選択肢を出すだけでも十分に失礼なのに、報酬も安すぎるなんて、ミシリスは私をバカにしてるのか? 

 

《落ち着いてください。レイヴン》

『うん……ごめん……』

 エアの言葉に、私は深呼吸をして落ち着こうとする。

 

 100歩譲って、報酬が安いのはいいとしよう。

 恐らく民間人からすれば、500kクレジットと言うのも大金なのだろう……

 しかも、得体の知れないニケへ依頼を出そうというのだから、なおさら警戒して、安い報酬しか出せないのもわからなくはない……

 そして、私自身も企業にアセンブルの良さを認知してもらいたいという思惑もあるから、安い報酬でも受けることはできる……

 

 でもなぁ……これでオッケーしちゃったら、今後もこれ基準で依頼が来る可能性があるんだよなぁ……

 それはちょっと……いや、かなり嫌だなぁ……

 

《では、こういうのはどうでしょう?》

 私がうんうんと悩んでいると、エアからの提案が入る。

 

《レイヴンが依頼を受ける理由は、今後の企業から新たなニケパーツの開発に繋げるためですよね?》

『うん、そうだよ』

 

《では、今回の依頼を受ける代わりに、ミシリスに対して、追加報酬としてパーツ作成または開発をしてもらうという権利を要求してみてはどうでしょうか?》

 

『エアって天才?』

 

 その手があった! 

 ミシリスに対して、追加報酬としてパーツ作成または開発をしてもらうという権利を要求する。

 これなら、今回の依頼を受けることもできるし、今後の企業からの依頼に対しても、パーツ作成または開発をしてもらうという権利を要求することができるから、今後の依頼の報酬の基準を上げることもできるし、何よりも私のアセンブルの良さを認知してもらうことができる! 

 

『よし! それで行こう! エア、ミシリス社に交渉してみて!』

 

 先ほどとは裏腹にわくわくした気持ちで、私はエアに交渉をお願いする。

 

 ふふふ。

 さあ準備だ準備! 

 基地奪還という事であれば、両手ショットガンのアセンがマストかなー

 遠距離型の敵のためにもミサイルが欲しいところだけど、まあ肩にビットあるし、ミサイルはなくてもいいかなー

 

 ……あれ? 現地までの移動はどうするんだろう? 

 まあ、移動手段はどうにかなるでしょー

 向こう側がヘリ用意してくれるだろうしね! 

 

 エアに聞いたところ、自力で行くことになるらしい。

 やっぱり私舐められてない? 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 今度から輸送用のヘリを用意してもらう事は必須、絶対に。

 アサルトブーストだってずーっと使えるわけじゃないし、切れた瞬間高度が下がり、ジェネレーターの充填が出来たら再度アサルトブーストを焚いて高度を上げるっていうのを繰り返すのは、かなり危険だし、何よりも面倒くさい……!! 

 まあ、その分早めに現地につけたからいいんだけど……

 いや、よくないよ疲れたよ。

 

《レイヴン。作戦領域に到着しました》

 

 エアの言葉を聞き、辺りを見渡せる場所を探すと、近くに丘のような場所があったので、そこへ着地する。

 廃墟が建ち並ぶ街を通り過ぎ、山岳地帯のような場所の中に、奪還対象の施設があった。

 つかさずスキャンを行うと、施設の周りにはラプチャーがうろついているのが確認できる。

 

『何かを探してる?』

 

 ラプチャーが人類の敵であるという事はもとより知っていたが、逆にそれ以外の情報があまりにも少ない。

 知能はあるのか、仲間意識はあるのか、人類殲滅以外に目的はあるのか、などなど……

 まあ、今までの戦闘経験から、仲間意識はほぼ無いだろうね。

 知能についても、指揮個体やロード級、タイラント級などがいないと統率すら取れないから、知能もほぼ無いんだろうなぁ

 色々気になるところではあるけど、ひとまずは……

 

『殺(や)りますか』

 

《メインシステム。戦闘モード起動。レイヴン、仕事を始めましょう》

 

 地面を蹴り上げ、アサルトブーストを焚いて、戦闘モードに入る。

 轟音と共にラプチャーたちへ突撃する。

 

 静寂からいきなり轟音が鳴りラプチャー側も即座に戦闘態勢に入るが、既に私の攻撃範囲だ。

 今回は、任務達成以外にも、もう一つ個人的な目的として、企業側にアセンブルの自由度を認知してもらう狙いがある。

 どうせ、どっかから私の戦闘は見てるだろうしね。

 

 そ・こ・で! 

 本日のアセンは! 

 

 右手武器:ショットガン

 左手武器:サブマシンガン

 右肩武器:ライフル

 左肩武器:ロケットランチャー

 

 普段では絶対にしないチグハグ過ぎる組み合わせだが、今回は特別! 

 正直、これでネストに籠ったら最後、確実に苦戦するので絶対にしないアセンである。

 

 というかコンセプトがブレッブレなんだよねーこのアセン……

 まあ、強敵らしい敵が出てきたら、ショットガン以外パージして、インファイトに持ち込む予定だけどね

 

 さて、戦闘開始だ! 

 

 既にチャージしていたショットガンのトリガーを引き、ラプチャーへ攻撃を仕掛ける。

 クイックブーストなんてものを装備していないラプチャーたちは回避も出来ぬままコーラルの爆撃と爆風を受け、次々と爆散していく。

 

『うわぁ……』

 

 初めて使ったチャージショットに若干引く私。

 二脚だと、どうしても止まっちゃうから、チャージショットはあまり使わない。

 でも今回は、敢えて見せつけるつもりで使ったけど……

 

 威力ヤバすぎじゃない? 

 

 効果範囲も広すぎだし……

 よかった、室内で使う前に外で使ってみて……

 というか、この威力を研究所内で使わせようとしたの? エア? 

 

《??? 。室内でも多用していたではありませんか? レイヴン》

 

『そ……れは確かに?』

 

 でも、この世界耐久終わってるから、リスク管理的にダメでは? 

 

 攻撃範囲外に居るラプチャーからプラズマミサイルが飛んでくるが、緩やかに上下に動き回避する。

 ショットガンとライフルを持ち替え、左に持つサブマシンガンを連射しながら、ライフルで狙撃する。

 弾幕と精密射撃で、ラプチャーたちを次々と撃破していく。

 

 それにしても……。

 単調な戦闘だなぁ……。

 

 ラプチャーたちとの戦闘しだして、早数ヶ月……

 学習もせず、同じような攻撃を繰り返してくるラプチャーたちとの戦闘は、退屈以外の何物でもない。

 学習してくれとは言わないが、せめて攻撃パターンを増やしてくれないかなぁ……

 

 そんなことを考えている間に、施設周辺のラプチャーは全滅していた。

 スキャンを用いて施設内に居る敵を確認すると、施設内にも数体のラプチャーがいることがわかった。

 

《施設内に入るため、入り口付近に何か端末などはありませんか? 私の方で操作しま──―》

『まって、エア』

 

《??》

 

 エアの言葉を遮り、私は施設の入り口を見つめる。

 そしてにこやかな笑みを浮かべその入り口に対してロケットランチャーを構える。

 

『あっち側では、コーラル製のロケットランチャーなんて見たことなかったじゃん?』

《……そうですね……》

 

『やってみたくない??』

 いたずらを思いついた子供のような笑みを浮かべ、私はエアに問いかける。

 エアは《ふむ……》と考え込むが、《入り口付近に重要な機械などはありません》と暗にロケットランチャーで入り口を破壊しても問題ないことを伝える。

 

『よし。じゃあ、行くよー!』

 ロケットランチャーを構え、入り口に向かって発射する。

 

 ショットガンのチャージショットですら結構な威力があったため、少し出力を落として発射したが、まあ手持ち武器だしね? 

 そう楽観視していたのだが、ロケットランチャーの威力は予想以上だった。

 

 火薬を使った爆発とは違い、コーラル製のロケットランチャーは、エネルギーを収縮させた発射体を射出するものだった。

 まあ、詰る所、飛ばせるコンパクト版AA(アサルトアーマー)である。

 

 爆風ではなく熱風を含んだ衝撃波が全身を襲い、入り口は一瞬で吹き飛んでいった。

 

『……』

《……》

 

『出力を抑えてコレ?』

 

 いやいやいやいや……

 手持ち武器の威力じゃないよ! 

 

 全身に冷や汗をかきながら、引き攣った顔で手元のロケットランチャーを見つめる。

《なるほど。出力の調整をしなければ、撃った瞬間に自分も吹き飛んでしまう可能性があるということですね》

『そりゃ、兵器化されるわけないよねー……』

 

 こんなもの欠陥以外の何物でもないよ……

 撃った瞬間に手持ち武器ともども自身のACも爆散する可能性がある兵器とかカーラですら笑わないよ……

 

 吹き飛んだ入り口から施設内に入る。

 待ち構えていたであろうラプチャーであったガラクタが入り口付近に散乱している。

 これを見ると、吹き飛ばして正解だったかな? とも思うが、いやいや、やっぱりだめでしょ。

 

 この世界での室内戦は、かなり気を使った。

 どんな壁も脆いし、どんな物も壊れるから、私が持ってる武器はすべて使いずらい。

 なので……

 

「ふんっ!」

 

 瞬間的にアサルトブーストを使い、ラプチャーを蹴り飛ばす。

 数百キロの速度の物体が当たるだけでも十分にダメージがあるのに、そこにさらに私の質量と攻撃力が加わるのだから、ラプチャーは吹き飛びながらばらばらになっていく。

 

 他のラプチャーから銃弾が飛んでくるが、射線をずらしながら回避し、殴る。

 ちなみに持っていた武器はすべてパージしている。

 収納機能があればいいけど、重量と速度を考えたら、パージして投げ捨てるのが一番安全だし、何よりも速いからね! 

 なんだかんだで、近接でパンチとキックを多用するコンボの研究出来たのは結構収穫だったかなー。

 

 手の甲がラプチャーから出たであろう油のようなものでベタベタになりながらも、ラプチャーを次々と撃破していく。

 スキャン機能を活用しながらの戦闘であったため、施設内をしらみつぶしに探す手間が省け、施設奪還はほどなくして終わった。

 

 

「ふぅ……」

 

《レイヴン。作戦終了の報告が完了しました。帰投しましょう》

『はーい』

 

 総評。

 施設内の殲滅系はめんどいから極力受けない! 

 ホントに疲れた……

 というか脆すぎでしょ! 

 まさか、全武装パージして戦うことになるとは思わなかったよ……

 

 まあ、でも、これで企業側にアセンブルの自由度を認知してもらうことができただろうし結果オーライかなー

 ……結果オーライなのかなぁ……? 

 まあいっか! 

 

 あ、そうだそうだ。

 パージした武器回収しなきゃ。

 捨てたパーツを回収しようと再度施設内に入り探し始める。

 その時、戦闘開始前に感じた疑問が頭をよぎる。

 

『ねえ、エア。こいつら何を探してたのかな?』

 

《……確かに気になるところですね》

 

 知識もないラプチャーが何かを探すことってあるかな? 

 それとも、何かもっと上の存在からの指示で動いてる? 

 もしそうだとして、誰からの指示? そして、その指示は何のために?? 

 

 パージした武器を回収したが、やっぱり気になる。

 試しに最奥の部屋に行ってみると、施設内の端末の傍で倒れているラプチャーを見つける。

 もう倒してしまったので、何もすることができないのが残念だ。

 まあ、倒さなくても何もできなかっただろうけど……

 

《レイヴン。そのラプチャーに対してアクセスしてみてください。何か見つかるかもしれません》

『……おっけー』

 

 そのラプチャーに近づく。

 するとエアが遠隔操作でラプチャーの体内にアクセスする。

《ひとまずデータのみを抜き取り、解析してみます》

 

 抜き取りが完了したのを見計らい、施設をあとにした。

 回収チームを待ってヘリで帰るという手もあるけど、私は一応ゴッデスメンバーなので、こういう依頼で素性を知られるのはあまりよろしくない。

 なので、帰りも自力で帰ることにする。

 

 え、自力で帰るの?? 

 自分で言っておいてなんだけど、疲れたこの状態で自走して帰るのか……

 シンプルにしんどいのですが? 

 

《仕方ないですよ。レイヴン》

 

 独立傭兵はつらいね……

 軍所属だから独立傭兵ですらないけど……

 

 

 

【おまけ:新たなビジネスモデル】

 

 

 薄暗い会議室の壁一面に、複数のモニターが並んでいる。

 そこに映し出されているのは、先ほど回収されたばかりの戦闘ログだった。

 

 施設外周に展開していたラプチャー群の殲滅。

 武装ごとの切り替え速度。

 入り口破砕時のコーラル反応値。

 そして、施設内で全武装をパージした後の近接制圧。

 

 どの映像も、既存ニケの戦闘ログとは明らかに異質だった。

 

「……面白いですね」

 

 誰かが、ぽつりと呟く。

 

 その一言を皮切りに、静まり返っていた会議室にわずかなざわめきが広がった。

 

「面白い、で済ませるな。評価を言え」

 

 卓の最奥に座る男が、感情の見えない声で告げる。

 モニターの光を反射する眼鏡の奥で、視線だけが鋭く映像を追っていた。

 

「はい」

 

 端末を操作していた主任研究員が姿勢を正す。

 

「該当個体──レイヴンの戦闘ログを既存フレーム群と比較した結果、すべての項目において異常値を記録しています。

 機動、武装切り替え、近接移行判断、索敵精度、学習速度……単純な高性能機では説明できません」

 

 別モニターに、既存ニケの平均値とレイヴンの数値が重ねて表示される。

 その差は、比較というより断絶だった。

 

「コーラルと呼称される物質の反応は」

 

「依然として不明瞭です。

 ただし、各武装の出力変動と連動している可能性が高いかと」

 

「可能性、か」

 

 男は短く言い、椅子の背に深く身を預けた。

 

「ならば結論は簡単だ。再現は後回しでいい。まずは分解しろ」

 

 誰も反論しない。

 この場において、“分解”とは現物を解体することだけを意味しない。

 挙動、思考、武装選択、移行判断。そのすべてを工程ごとに細分化し、別々の技術として取り出すという意味だ。

 

「問題は、どこまでが個体依存で、どこまでが構造依存かです」

 

 別の研究員が資料を切り替える。

 

「例えば、施設内戦闘時の武装パージ判断。

 あれは単に速度と安全性を優先しただけにも見えますが、通常ニケであれば、そもそもその判断に至りません」

 

「判断ではないのかもしれんな」

 

 男が言う。

 

「“身体感覚”だ。思考の前に最適解へ到達している」

 

 その言葉に、会議室の空気がわずかに変わる。

 

 それは称賛ではない。

 研究対象としての危険性が、一段深く認識された瞬間だった。

 

「では、プロジェクト化しますか?」

 

「当然だ」

 

 男は即答した。

 

「申請を上げろ。最優先案件だ」

 

「名称は」

 

 一拍の間。

 

 男はモニターの中で、ロケットランチャーを見つめながら引きつった顔をしているレイヴンを見た。

 圧倒的な戦果を出しておきながら、自分の火力に自分で驚いている。

 その幼さと異常性の同居が、かえって厄介だった。

 

「“Rシリーズ”でいい。

 表向きは次世代高機動試験フレーム。内部名称は──」

 

 その視線が、別モニターへ移る。

 そこには、レイヴンの武装ログと身体挙動が詳細に分解されたチャートが映っていた。

 

「“レイヴン・トレース”」

 

 主任研究員が静かに復唱し、端末へ入力する。

 

「目標は完全再現ですか?」

 

 その問いに、男はゆっくり首を横に振った。

 

「違う」

 

 会議室が静まる。

 

「完全再現は不要だ。

 あれをそのまま再現すれば、制御不能の鉄クズが増えるだけだ」

 

 冷たい物言いだった。

 そこに人間性を見出す余地はない。

 

「必要なのは、あの個体の“使える部分”だけだ。

 判断速度、武装切り替え、状況適応、局所的な高出力運用──そこだけ抜き出せ」

 

「では、出力は制限を?」

 

「当然だ。全体性能は落とせ。

 代わりに安定性と量産性を優先する」

 

 つまり、レイヴンという完成不能な異常個体を雛形に、

 “扱える失敗作”を大量に作る。

 

「加えて」

 

 男が続ける。

 

「レイヴン本人との接触は継続だ。

 追加依頼を用意しろ。戦闘ログは多いほどいい」

 

「企業側に対する警戒心は強い個体です。今回も報酬に対し即座に不満を示しました」

 

「知っている」

 

 男は淡々と答える。

 

「だが、金で動かないのなら都合がいい。

 ああいう手合いは、より強い餌を見せれば自分から近づいてくる」

 

「追加報酬として提示した専用パーツ開発権も、その一環ですか」

 

「そうだ」

 

 モニターの中で、レイヴンが施設内を駆けていく。

 その戦い方は、兵士というより生き物に近かった。

 考えているようで考えていない。だが結果だけが異様に正しい。

 

「あれは首輪では繋げない」

 

 男が小さく言う。

 

「ならば、興味で繋げる」

 

 誰もが、その言葉の意味を理解していた。

 

 強制ではなく、自発。

 拘束ではなく、誘導。

 それが、この異常個体を扱う唯一の手段だ。

 

「CEOへの打診は?」

 

 主任研究員が確認する。

 

 男はわずかに口元を吊り上げた。

 それは笑みに見えて、実際には研究対象を前にした技術者の欲望そのものだった。

 

「上げろ。

 レイヴンの戦闘データを基にした新型ニケ開発計画としてな」

 

「素体設計からですか?」

 

「いや」

 

 即答。

 

「まずは既存フレームの改修案から入る。

 段階的に“あれに近づける”。近づけるたびに、どこで壊れるかを見る」

 

 その発想に、何人かの研究員がわずかに息を呑む。

 だが、それも一瞬だった。すぐに端末入力の音が再開される。

 

「鉄クズは壊れる前提で使え」

 

 男は静かに言った。

 

「壊れたなら、次を作ればいい」

 

 会議室に並ぶ研究員たちは、ただ黙って頷く。

 

 モニターの中では、レイヴンが施設を去る直前、再び中へ戻っていく様子が映っていた。

 パージした武器を回収するために。

 

 その姿を見て、男はほんのわずかに目を細める。

 

「……武装を捨てる判断ができる。だが、捨てっぱなしにはしないか」

 

「回収行動も含めて合理的です」

 

「違うな」

 

 男は首を振った。

 

「合理的なだけじゃない。

 “自分のもの”として認識している」

 

 研究員が黙る。

 

 男は最後に、短く命じた。

 

「次の依頼は、もう少し深い情報に触れさせろ。

 戦わせるだけでは足りん。あの個体が“何を見て、何を考えるか”まで観測する」

 

「了解しました」

 

 命令が下りると同時に、各端末へ新たな開発タスクが振り分けられていく。

 

 高機動近接補助フレーム。

 高出力制御兵装。

 パージ前提軽量武装群。

 限定的な即応アルゴリズム。

 

 そのすべての起点に記されたのは、たった一つの名称だった。

 

 ──Raven Trace.

 

 人類の希望たるゴッデス部隊に属しながら。

 軍にも企業にも完全には従わず。

 それでいて、既存戦力の設計思想そのものを書き換え得る異常個体。

 

 レイヴン。

 

 ミシリスにとってそれは、決して触れてはならない危険物ではなく──

 何よりも欲しい“設計図”だった。




レイヴン「企業の皆様~♪ここに良いビジネスモデルモデルがいますよ~(チラチラ」

企業「ぐへへへ・・・じゃあちょっといい事しましょうや・・・!」

レイヴン「触んな殺すぞ?(バシッ!」

企業「ヒデブ!!」

なんか、今後のレイヴンの活躍次第では、AC6の真レイヴンみたいなことしでかしそうで怖いですね・・・

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