川を渡った烏と首なき天使   作:しものふ指揮官

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7月8月が忙しいと思ってたら、6月時点でめちゃくちゃ忙しかった・・・

が!
そんなことはどうでもいいんですよ!!

大変長らくお待たせいたしました!

二週間投稿難しい…
まあ、元々「投稿したりしなかったり」と言ってたし、いっか!って自分の中で二転三転してました。


アークレンジャーが熱い!!
ACより先にNIKKEがスパロボ入りしそう…(小並感)


19話:狂気に触れ、救済と成す

 

 ゴッデス部隊の拠点である空中空母。

 艦内中央ブロックにある指揮官執務室で、端末が短く電子音を鳴らした。

 

 最近、通知音が鳴るたびに億劫な気持ちになる。

 職務上、通知を切ることはできないのが辛いところだが……

 

 見るか見ないか最後まで葛藤しながら、

 私は手元の書類から目を離し、届いたばかりの暗号通信を開く。

 差出人は軍本部作戦統括部。

 

 ……嫌な予感しかしない。

 

「……ろくな内容じゃないな」

 

 小さく呟きながら本文へ視線を落とす。

 内容は簡潔だった。

 

 フェアリーテイルモデル追加投入までの期間、ゴッデス部隊は待機とする。

 全作戦参加を制限し独断による出撃は禁止。

 例外許可は軍本部決裁を必要とする。

 

 以上。

 

 私は無言で通信を読み終えた。

 

 ……。

 もう一度読む。

 

 ……やはり内容は変わらない。

 

「……待機か」

 

 椅子へ深く背を預ける。

 

 ……命令の意図は理解できる。

 

 ドロシーの起動は成功した。

 軍としては、遅延した計画を取り戻すため、残るフェアリーテイルモデルの完成を急ぎたい。

 

 だが、焦ってしまえば計画に別の問題が生じる可能性もある。

 そんなピリピリした時期にゴッデス部隊の誰かを失うことは避けたい。

 表向きの理屈はこんなところだろう。

 

 裏の理由は……世論と政治の調整だろう。

 民間感情を考慮すれば、逐一メンバーを追加していくよりも、全員を一斉に投入する方が都合がいい。

 インパクトとしても話題性としても……

 

 理由は分かる。分かるのだが──

 問題は別にあった。

 

 私は端末を机に置き、窓の向こうに広がる雲海を見上げる。

「どう説明するかな……」

 

 リリスは問題ない。

 不満はあっても命令には従う。

 

 ドロシーも同じだろう。

 納得はしなくても理解はする。

 

 問題は……最後の一人だけ。

 銀髪の問題児の顔が脳裏をよぎった。

 

「絶対揉めるな……」

 

 今日一番の溜息を吐きながら、天井を見上げる。

 

 断言できる。

 むしろ揉めない未来が見えない。

 

 彼女の戦闘・戦略・戦術の考え方は、異質だ。

 軍と相いれない性格・性質にもかかわらず、事作戦・戦術・戦略の考え方は正に軍そのものだ。

 いや、軍以上に合理的で、効率的で、冷徹。

 嫌な言い方だが、正に戦争屋。

 

 現在の戦力不足。前線状況。物資・兵站状況の劣悪さ。

 その状況で……待機命令。

 

 納得するはずがない。

 

 この後に発生しうる光景を想像するだけで、胃が痛くなってきた。

 次回の健康診断で、胃の検査を追加する必要があるかもしれない。

 

「……はぁ」

 

 何か上手い言い方はないか。

 

 待機命令。

 それ自体は覆せない。

 

 ならせめて、納得してもらえるような説明を──

 

「無理だな……」

 

 口に出してから、自分で苦笑した。

 

 レイヴン相手に上手い言い方を探すのは意味がない。

 彼女は言葉ではなく内容を見る。

 そして今回の内容は最悪だ。

 

 やり方に難があるにしろ、彼女なりに他のニケのためを思って行動している。

 その最たるものが、あの【アセンブル】構想だろう。

 現状のニケの戦力を最大限に活用するための構想。

 

 そのために、彼女は自分自身を広告塔にして各企業へ宣伝している。

 

「マスコットには適性がない……だったか」

 

 そういう割には、彼女は自分をマスコットにしている。

 それとこれとでは話が違うのだろうか。

 

 とにかく、そんな彼女が、今回の待機命令をどう受け止めるか。

「……絶対に納得しないな」

 

 なんなら説明の途中で反論が飛んでくる可能性すらある。

 というか飛んでくる。

 絶対に。100%。

 

「……考えるだけ無駄か」

 

 まさに、お手上げ状態だ。

 説得材料が足りない以上、どれだけ言葉を飾っても結果は変わらない。

 なら、やることは一つ。

 

 私は端末を操作する。

 

 ──リリス、ドロシー、レイヴン。

 至急ブリーフィングルームへ集合

 

 部隊メンバーが参加するグループチャットへ送信する。

 

 数秒後。

 既読が三つ並ぶ。

 

 リリス。

 ドロシー。

 レイヴン。

 

 全員既読が早い。

 いや、一人だけ異常に早い。

 

 送信から一秒も経っていない。

 

「……何してるんだ、あいつ」

 

 嫌な予感が増えた。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 数分後。

 ブリーフィングルーム。

 

 最初に入ってきたのはリリスだった。

「何かあったんですか?」

 

 無駄のない問い方だった。

 私の呼び出し方で、軽い案件ではないと察したのだろう。

 扉が閉まるより先に、こちらの顔色を一度だけ確認してくる。

 

「まあな」

 

 私は端末を机に置き、椅子の背に軽く体重を預けた。

 言葉を選ぶ時間が欲しい。

 

「軍本部から通達が来た。あまり気分のいい内容じゃない」

 

 リリスは数秒黙り、短く言う。

「待機命令ですか?」

 

「……勘がいいな」

 

「指揮官がそういう顔をする時は、大体その手の話です」

 

 言いながら、リリスは卓上の戦術表示へ視線を落とした。

 前回作戦の戦果ログがまだ残っている。

 敵戦力約二百。

 損耗軽微。

 数字だけ見れば、止める理由はない。

 

「理由は聞いても?」

 

「名目は編成再構築。実態は政治調整込みだろうな」

 

 リリスが小さく息を吐く。

「なるほど。現場は待て、ということですね」

 

「そういうことだ」

 

 リリスは頷いた。

 不満がないわけではないだろうが、表には出さない。

 この辺りの切り替えは、相変わらず助かる。

 

「ドロシーは納得します。おそらく、説明すれば」

 

「ああ。問題はそこじゃない」

 

「……」

 

 わざわざ名前を出すまでもない。

 私とリリスの間に、同じ顔が浮かんでいる。

 

 感情の起伏が激しい、我が部隊の問題児。

 じゃじゃ馬娘で、戦闘・戦術・戦略の考え方は軍以上に合理的で冷徹。

 それでいて、子供のように自由奔放。

 しかし、周りを惹きつける魅力。

 

 だからこそ、憎めない。

 

「「はぁ……」」

 

 リリスと共に溜息を吐く。

 

 そのタイミングで。

 自動ドアが開きドロシーが入室した。

 

「お待たせしました」

 

「いや、まだ全員揃っていない」

 

 そう言った瞬間。

 廊下の向こうから聞き慣れた足音が響く。

 

 走っている。

 

 指定した場所が悪かったなと、後悔し始めた瞬間。

 勢いよくドアが開いた。

 

「呼ばれた!」

 

 元気だった。

 非常に元気だった。

 戦場へ向かう直前くらい元気だった。

 

 帰りたい。

 居住地はここなのに、なぜだか凄く帰りたい。

 

 リリスが小さくため息を吐き、ドロシーは苦笑する。

 私は頭痛を覚えた。

 

 まだ何も話していないのに。

 

 私は咳払いを一つ挟み、三人の顔を順に見た。

 レイヴンは相変わらず前のめり。リリスは静観。ドロシーは姿勢を崩さない。

 

 私は端末を閉じ、三人を見た。

 

「軍本部から通達だ。フェアリーテイルモデル追加投入までの期間、ゴッデス部隊は待機任務へ移行する」

「全作戦参加を制限。独断出撃は禁止。例外許可は本部決裁のみ……以上だ」

 

 伝えきった後の空気感は、想像通りだった。

 

 沈黙。

 

 この空気感は……嫌いだ。

 慣れる慣れないの問題じゃない。

 だが、この空気の中でどう言葉を選べばいいのか、全く思い浮かばない。

 誰かが言っていたな。

 沈黙こそ、もっとも社交性のあるコミュニケーション……だったか。

 

 しかし、そんな空気感などお構いなしに、レイヴンは即座に口を開いた。

 

「やだ」

 

 即答だった。

 一拍の迷いもない。

 

「レイヴン」

「やだ。無理。却下。差し戻し。再提出」

 

 リリスが深くため息をつく。

「子供じゃないんだから」

 

「子供でも分かるよ、これ変だもん」

 レイヴンは机を指で叩いた。

「なんで今この時期に待機なの? 

 普通逆でしょ? 馬車馬並みに働かせるべきじゃん。

 余裕ない癖に主力止めるとか、バカなの?」

 

「言い方を選べ」

 私が低く言う。

 

 こんな私が低く言っても凄まれることは無いが、雰囲気だけでも出したい。

 威厳的な意味で。

 意味はないだろうが……

 

「じゃあ選ぶ。“戦略的に意味不明”。これでいい?」

「ぎりぎりだ」

 

 ふぅ……っと息を吐きだす。

 

 分かってはいたが、こういう時のレイヴンの言葉は鋭い。

 それも今回は政治的側面が強いのがさらに拍車をかけている。

 

 どう言い聞かせるべきかと悩んでいるとドロシーが静かに口を開く。

「待機は、戦力保全の意図もあると思います」

 

「戦力保全ねぇ……」

 レイヴンは心底呆れた顔で俯く。

 そして数秒の沈黙の後、大きなため息をつきながら、私を見つめる。

 

 俯きから戻ってきた顔には、諦めきれない顔と呆れが混ざっていた。

「正直な話だが、私も今しがた来た内容で寝耳に水なんだ」

 

 私自身、これから忙しくなると踏んでいたため、今回の通達は完全に想定外だった。

 私がそうなのだ。

 レイヴンならもっとそうだろう。

 

 私の言葉に、一瞬「じゃあ何故抗議しないのか!?」という表情をするレイヴン。

 が、すぐに「まあ、そうだよな」という表情に変わる。

 毎度思うが、何が無表情なのか……

 

「一応、聞くけど……抗議とかは?」

 

「したとして、時間の無駄だろうな」

 

「だよねぇ……ほんとバカバカしい」

 

「そうだな」

 

「気に入らない」

 

「だろうな」

 

「反対」

 

「理解はする」

 

「軍は馬鹿」

 

「それは後で本部に言え」

 

「ついでに指揮官は意気地なし」

 

「……」

 

 吐き捨てるように言うレイヴン。

 最後の一言については、完全に貰い事故だが、言い返す余地もない。

 

「……ふんっ」

 私の反応が気に入らないのかレイヴンは鼻を鳴らしながら立ち上がる。

 

「どこへ行く」

 

「待機なんでしょ? 部屋に戻る」

 

 ぶっきらぼうな返事だが、言葉の節々から怒気が伝わる。

 完全に不機嫌だった。

 

 それでいて妙に聞き訳がいい。

 それが逆に不気味に感じるのは私だけだろうか。

 

「レイヴン」

 

「なに」

 

「待機命令は有効だ」

 

 数秒の沈黙。

 釘をさすために、改めて言葉にする。

 

「……分かってる」

 レイヴンは視線を合わせぬまま、それだけ言い残して部屋を出て行った。

 

 

 レイヴンが出て行き、ブリーフィングルームに静寂が戻る。

 先程までの騒がしさが嘘のようだった。

 

「……難儀なものだな」

 ぽつりと漏らした私の言葉に、リリスが苦笑する。

 

「ええ。本当に」

 

「昔からああなのですか?」

 

 ドロシーが興味深そうに尋ねる。

 私は少し考え、首を横に振った。

 

「いや。昔というより……最初からだ」

 

「最初から?」

 

「ああ」

 思い返してみれば、初めて会った時からそうだった。

 

 命令は聞く。

 だが、納得しなければ最後まで食い下がる。

 理屈で勝てないと分かれば、今度は感情でぶつかってくる。

 

 そのくせ、決定が覆らないと理解した瞬間だけは、驚くほど素直に従う。

 

「子供ですね」

 ドロシーがくすりと笑う。

 

「それも、かなり手の掛かる」

 

「否定はできません」

 リリスも苦笑しながら頷く。

 

「それでいて、軍の資料には【無表情で感情が読めない】と書かれてた」

 

 本当にあの資料を書いた奴は、レイヴンを見たことがあるのだろうか。

 軍は良く都合のいい事しか書かないとは言うが、あれは酷い。

 

 ほぼ嘘である。

 

「……感情が読めない、ですか?」

 ドロシーが驚愕の表情で私を見つめる。

 

「あぁ」

 思わず苦笑する。

 

「初めてその資料を見た時は、別人の話かと思ったよ」

 

「確かに」

 リリスも肩を竦める。

 

「戦闘中こそ静かですが、それ以外は……」

 

「騒がしい」

 

「騒がしいですね」

 

 二人の意見が綺麗に重なる。

 

「しかも分かりやすい」

 私も続ける。

 

「嬉しい時は機嫌がいい」

 

「気に入らない時はすぐ顔に出る」

 

「褒められれば喜ぶ」

 

「叱れば拗ねる」

 

「腹が減れば機嫌が悪くなる」

 

「暇になると駄々をこねる」

 

「「……子供」ですね」

 

 三人の声が自然と重なった。

 

 ドロシーが小さく笑う。

「安心しました」

 

「何がだ?」

 

「レイヴンは私だけが子供っぽいと思っていましたので」

 

「いや」

 私は即座に首を振る。

 

「ドロシー、君は年相応だ」

 

「レイヴンは……」

 

 少しだけ考える。

 

「年齢だけ成長し忘れた子供だ」

 

 リリスが思わず吹き出した。

「言い得て妙ですね」

 

 そう答えながら、私は閉じられた扉を見る。

 

「だから……と言うべきかもしれんが──」

 

 二人もつられて扉へ視線を向けた。

 

「ああいう時ほど静かなのが、一番信用ならない」

 

「同感です」

 

 リリスが即答した。

 

「ええ」

 

 ドロシーも苦笑する。

 

「きっと今頃、部屋で大人しくしています」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 三人同時に沈黙した。

 

 そして。

 

「「「それはない」」」

 

 声が重なる。

 

 思わず顔を見合わせ──

 

 小さく笑った。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 あぁぁぁぁ!!! 

 

 ブリーフィングルームを後にし、ずかずかと廊下を歩きながら思うのは罵詈雑言。

 

 馬鹿! 

 アホ! 

 無能! 

 

 脳筋のくせに、変なところで知恵があるのが余計に腹立たしい。

 いや、今の時点で保守に走るから脳筋じゃないね。

 意気地なしだ。

 

 負けも負け。

 頭が勝つ気がなけりゃそりゃ負けるでしょうね! 

 

 負けを認めた人間に価値はない。

 負けを認めない人間に価値がある。

 

 武器を壊されたなら、牙で。

 牙を折られたなら、爪で。

 爪を折られたなら、体で。

 

 倫理なんてかなぐり捨ててニケを作ったにもかかわらず、こんなところで怖気づく。

 最強戦力が手元にあっても使わないその姿勢。

 

 百歩譲って、リリスとドロシーを待機させるのは分かる。

 私は使えよ! 

 

《落ち着いてください。レイヴン》

 

『……ッ。エアは!? 歯がゆい気持ちとかないの!?』

 

《ないと言えば、嘘になります。ですが、こういう時こそ冷静で居るべきです》

 

 エアの声が頭の中に響く。

 頭を掻きむしりながら、呼吸を整える。

 

 あぁ……あぁぁぁぁ!!! 

 

 深呼吸による落ち着き失敗。

 

《はぁ……》

 

 エアの溜息が聞こえる。

 

 何でエアはそんなに落ち着けるのさ! 

 一周回って、冷静なエアにさえ腹が立ってくる。

 

《八つ当たりは駄目です。……そもそもレイヴンは何に対してそんなに苛立っているのですか?》

 

 はぁ? 

 何に対してって……そりゃ、今から忙しくなると思ってわくわくしてたのにさ! 

 それが、待機命令だよ!? 

 しかも、理由はどぉ────でもいい政治的な調整と来た! 

 

 私の! 

 楽しみと! 

 わくわくが! 

 全部台無しじゃないか!!! 

 

 部屋に着き、自動ドアが開く前に手で強引にドアをあけ放ち、再度強引に閉める。

 自動ドアから鳴っちゃいけない音が鳴るが、そんなことはどうでもいい。

 ベットにドサッと体を投げ出し、ぐるぐると体を回転させる。

 

 そうしていると、やっと頭が冷えてきた。

 

「……バカバカしい」

 

《落ち着きましたか、レイヴン?》

 

『……まあ、少しは』

 

 そして考える。

 今回の待機命令。

 表向きは戦力保全のため。

 裏向きは世論と政治の調整のため。

 

 ……というか理由付け下手すぎでしょ。

 リリスとドロシーと私、前回の戦闘における大きな戦果と消耗率の低さを見れば、私たちの誰かが欠けるなんて考えにくい。

 なのに、なぜか待機命令。

 

 そんな余裕……ある? 

 

《……ないと考えるのが普通でしょう》

 

 ……。

 でもそれを実行するってことは、軍はそれなりの余裕があると見てるわけだ……。

 

 ……

 分かんない。

 どこにそんな余裕が? 

 下手をすれば、人類みんな仲良く滅亡なわけだから必死なはずなのに……

 

 あー、だめだ。

 考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。

 

『……疲れた』

 

《そうですね》

 

『暇』

 

《そうですね》

 

『軍は無能』

 

《そうですね》

 

『……出撃したい』

 

《……》

 

『なんかしゃべってよ』

 

《すみません、レイヴン》

 

 はぁ……。

 他のメンバーって、いったい何人なんだろう。

 頼むから、数人であって欲しい。

 

 暇を紛らわせるために、T.A.C.Tを起動させ、パーツショップを開く。

 だが、こういう時に限って、要らぬところに気づくのも早い。

 

 アセンブルできる設備が無いとやっぱり意味ないよね……

 エイブ……早く作って……

 

『企業からの依頼もないし……待機中ホントにどうしようか……』

 

《企業からの依頼なら来ていますよ?》

 

『うんうん。そうだよね……ん?』

 

 ……はい? 

 

『え? 来てるの?』

 

《はい》

 

『待機命令中なのに?』

 

 そんなことある? 

 軍は私たちを待機させたいんじゃないの? 

 

《恐らく、本音と建て前と言ったものではないでしょうか? もしくは、軍内部も一枚岩ではないという可能性もあります》

《事実、レイヴンの活動停止を良く思っていない組織は存在します》

 

 あぁ……。

 企業たちか。

 

『ご愁傷様……って感じだね』

 

 ……。

 さて、どうしようか。

 

 考えを巡らせる。

 軍が敢えて作った抜け穴であれば、利用しない手はない。

 暇となった時間を有効活用するにせよ、資金調達にせよ……ね? 

 それこそ、アセンブルできるようになったら、お金がいくらあっても足りないし。

 

 ……でも

 

『受けちゃっていいのかな?』

 

《いいのではないでしょうか?》

 

『軽く言うね』

 

《今一度確認しましたが、制限対象はゴッデス部隊です》

 

 ……? 

 

 あー、なるほど。

 他のニケ達、ひいてはリリスやドロシーと違って、私は部隊としての活動とは別に個人としての活動もやってる。

 だから、私を本格的に縛るのなら、【ゴッデス部隊およびレイヴン個人の任務制限】とする必要がある……わけね。

 

 そして、今回の待機命令には、そこまでの制約はない。

 ……さすがに、言い訳が過ぎない? 

 

《では、断りますか?》

 

『別に断るなんて言ってないよ? 依頼は内容を見てから断るものだし』

 

 ニヤリと笑いながら、そう断言する。

 これが意図的であれ、無意識であれ、利用しない選択はそもそもない。

 

 だって? 

 そもそも私の楽しみをどうでもいい政治的な調整のために奪ったんだよ? 

 そんな連中に私から気を利かせる理由なんてない! 

 

《悪い顔になってますよ、レイヴン。……分かりました。それではブリーフィングを再生します》

 

 え? 

 ブリーフィングあるの!? 

 

《はい。おそらくは、レイヴンの意欲を引き出すため総合的に判断され追加されたものかと》

 

 うわぁ……企業の適用速度早すぎ。

 

 ……それにしても。

 

『なんか、既視感が凄いね。無断で出撃する過程が……』

 

《そうですね。久々に二人きりでの任務ですから》

 

 エアの声がよそよそしくなる。

 

 え? 

 そっち? 

 

 私はカーラとの初対面でもあるグリッド086の事を言いたかったが、エアはどうも別の事を思っていたらしい。

 

 でもさ、エア殿。

 あの任務での後、ウォルターから心配されて結構心に来たんだけど……? 

 

《最終的な決断をしたのはレイヴンですから、私だけに罪を負わせるのは不公平です》

 

 うぐ……。

 それを言われると、何も言い返せない。

 

 帰投後に指揮官とリリス、ドロシーからお説教を受けると分かっていながらも、意気揚々と出撃準備をする私は、おそらく駄犬だろう。

 

 事前相談は絶対にしない。

 ダメって言われるの分かってるのに、相談するわけないじゃん。

 事後報告でよい! 

 

《緊急性は高くないですが、それでいいと思います》

 

 ほら、エアもそういってるし。

 多分! きっと! 大丈夫! 

 

 

 

 

 

 

 

《三大企業の一つ。エリシオンからの依頼です。ブリーフィングを開始します》

 

 

 

 

 ──こちらは、エリシオン。

 ──レイヴン大尉に依頼したい案件がある。

 

 ──約十八時間前、我が社直属の分析分隊が軍との合同作戦に参加。

 ──担当区域におけるラプチャーの戦術・行動データの収集を実施した。

 

 ──任務自体は成功。

 

 ──しかし、撤退中に敵大規模群との接触により部隊が孤立。

 ──現在は廃工場跡地にて籠城戦を継続している。

 ──友軍による救助も検討したが、救助部隊の損耗率が高く、作戦遂行は困難と判断。

 

 ──よって、本任務を貴官へ依頼する。

 

 ──任務内容は二つ。

 

 ──分析データの回収。孤立した分析分隊の救出。

 

 ──分析データは、現在進行中の前線作戦において極めて重要な情報資産となる。

 ──本任務における最優先事項はデータの回収だ。

 ──隊員に損害が発生しても任務は継続。

 ──最悪の場合、部隊の生還は問わない。

 

 ──データのみでも必ず持ち帰れ。

 

 ──報酬は成果に応じて支払う。

 

 ──分析データ及び全隊員の救出達成。

 五百万クレジット。

 

 ──分析データのみ回収。

 二百万クレジット。

 

 依頼内容は以上だ。

 確実な遂行を期待する。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 砲声が、近い。

 

 いや、近いなんてものじゃない。

 近すぎる。

 建物の壁が揺れるたび、天井のひび割れたコンクリート粉がぱらぱらと落ちてきて、ヘルメットの上で細かく跳ねた。

 

「弾薬、残り少ないです!」

 

 誰かが叫ぶ。

 声がうわずっているが、それを責める事なんてできない。

 

 分析分隊として、前線の情報収集を任されていた私たちは、ラプチャーの大群に包囲され、孤立していた。

 

 現在は、廃工場跡の二階。

 さっきまで味方がいたはずの通路は、今はもう瓦礫で埋まり、外からはラプチャーの脚部が擦れる音と、金属を引き裂くような低い唸りだけが聞こえる。

 

 地上はまさに地獄だった。

 

 遮蔽物の向こうから撃ち込まれる砲弾。

 床を突き破って伸びてくる触肢。

 背後で崩れる鉄骨。

 誰かが「左!」と叫んだ次の瞬間には、もう別の方向から撃たれている。

 

 ラプチャーの群れは、こちらを囲んでいるというより、こちらを削り潰しに来ていた。

 

 逃げ道はない。

 あるとしたら、ここを維持して救助を待つことだけ。

 でも、その救助が本当に来るのかも、誰にも分からない。

 

「まだ通信はつながらないの!?」

 

 隣の班の子が私に聞く。

 頬に泥がつき、涙も混じっている。声も震えていた。

 

 私は端末を見下ろす。

 表示は赤いまま、途切れたままだった。

 

「駄目。ノイズだらけ。たぶん、ジャミング……」

 

 言い終わる前に、外で爆発音がした。

 床が跳ねる。

 膝が床につきそうになって、慌てて銃床で支える。

 

 怖い。

 

 こんなに怖いの、いつぶりだろう。

 訓練でも、実戦でも、ここまで一方的に追い込まれたことはなかった。

 相手が強いとか、数が多いとか、そういう話じゃない。

 私たちは、ずっと“狩られている側”だ。

 

「右翼、来ます!」

 

 誰かの叫び。

 反射で振り向くと、窓の外を黒い影が横切った。

 

 次の瞬間、壁が爆ぜた。

 

 ラプチャーの突進。

 工場の外壁ごと腕のような装甲が突き破ってきて、室内に火花を撒き散らす。

 目の前のニケが吹き飛び、床を転がった。

 

「下がって!」

 

 私も叫ぶけれど、下がる場所なんてない。

 足場のほとんどは崩れている。

 半壊した機械ラックの陰に飛び込み、震える指で引き金を絞る。

 

 撃っても、撃っても、止まらない。

 

 弾道が装甲に弾かれるたび、胸の奥が冷えていく。

 命中しても壊れない。

 壊れても次が来る。

 こちらの弾倉は、減っていく一方なのに。

 

「もう無理……」

 

 どこかで誰かがそう漏らした。

 聞こえた瞬間、たぶん全員が同じことを考えた。

 

 ほんとうに、無理かもしれない。

 

 その時だった。

 

 通信が、かすかに生き返る。

 

<──こちら、レイヴン。到着したよ>

 

 最初は、誰も理解できなかった。

 

 いや、理解する前に、外が光った。

 

 赤い閃光。

 爆発。

 衝撃波。

 

 工場の外壁が、今度は内側からではなく外側から吹き飛んだ。

 瓦礫の向こう、夜の煙を裂くように、ひとつの影が降りてくる。

 

 黒い装甲。

 赤く光るライン。

 背中の巨大なユニット。

 細身なのに、場の空気を全部引き連れてくるみたいな、異様な存在感。

 

「……援軍……?」

 

 誰かが呟く。

 私は呆然と、その影を見た。

 

 レイヴン。

 写真や噂では何度も聞いた名前。

 シミュレーションでのランキング1位。

 ゴッデスの一角をなす最強戦力。

 一般ニケ部隊を特殊部隊まで押し上げた、最強のネームド。

 でも、実際に見ると、全然違った。

 

 強い、なんてもんじゃない。

 あれは、戦場そのものだ。

 

 レイヴンは瓦礫の上に着地すると、周囲を一瞬で見回した。

 視線が走る。

 何かを見切った次の瞬間、両腕の武装が上がる。

 

 速い。

 速すぎて、私の目が追いつかない。

 射撃音が一度鳴ったようにしか感じないのに、次の瞬間には三体のラプチャーが同時に崩れ落ちている。

 

「え……」

 

 思わず声が漏れた。

 

 私たちが何分もかけて削っていた外縁部が、数秒で穴になっていく。

 レイヴンは地面を滑りながら撃ち、空中へ飛びながら撃ち、止まらない。

 撃った先のラプチャーだけじゃない。

 次に動く個体の軸、装甲のつなぎ目、火器の反動の癖まで、全部見えているみたいだった。

 

<左の子、そこに居ると危ないよ>

 

 淡々と書類仕事を片付けるかの様に、レイヴンは私たちの位置を指摘する。

 言われた通り伏せた直後、私の頭上を赤い光線が通過した。

 レイヴンのガンビットらしきものが、まるで自分の意思を持っているみたいに敵の首元を貫いている。

 

 援軍だ。

 間違いなく援軍だ。

 

 助かった。

 

 そう思った瞬間、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。

 怖さで縮こまっていた身体が、ほんの少しだけ前を向く。

 

「いける……!」

 

 誰かが叫んだ。

 その声に、私も弾を込め直す。

 

 レイヴンが来た。

 なら、まだ終わってない。

 まだ戦える。

 

 でも、それは本当に、最初の数十秒だけだった。

 

 私はすぐに気づいた。

 レイヴンの戦い方が、私たちと違う。

 

 いや、そんなこと、見れば分かる。

 異質すぎる正確さ。

 そして、それ以上に……容赦がない。

 

 ラプチャーの群れを見ても、ひとつひとつを“倒す”感じじゃない。

 道筋そのものを消している。

 前進の邪魔になるものを、全部まとめて削り取っている。

 生き残りや逃亡経路なんて、考える余地もない。

 

 ショットガンで装甲を砕く。

 サブマシンガンで視界を潰す。

 ブーストで間合いを詰めて、近接で核を潰す。

 しかも、その切り替えが速すぎる。

 

 効率が良すぎるのだ。

 

「……どうなってるの……?」

 

 隣で誰かが小さく言った。

 私は答えられなかった。

 

 ラプチャーの数がみるみる減っていく。

 それは救いのはずなのに、見ているうちに、なぜか背中が寒くなってきた。

 

 そこには迷いがない。

 ためらいもない。

 敵を前にした時の、人間らしい乱れが、薄い。

 いや、薄いどころじゃない。

 ほとんど、ない。

 

 ラプチャーが一体、膝を折る。

 次の瞬間、レイヴンはもう別の個体の背後に回っていた。

 あまりに滑らかで、私たちの視界に「間」なんてものは存在しなかった。

 

「うそ……」

 

 別の班の子が息を呑む。

 誰も止めない。

 止めるどころか、目が離せない。

 

 戦場に居るはずなのに、まるでポップコーン片手に映画を見ているよう。

 

「撃って!」

 

 別の子に怒鳴られて、私はようやく我に返った。

 いつの間にか、銃口は下がっていた。

 レイヴンから、目が離せなかった。

 

 レイヴンが動くたび、ラプチャーは壊れる。

 壊れ方すら無駄がない。

 装甲が裂け、砲門が潰れ、足が落ち、動きが止まる。

 

 それを見ていると、さっきまでの絶望が少しずつ変質していく。

 

 助かった。

 それは確かだ。

 でも同時に、私たちは今、ひどく危険なものを見ている気がする。

 

「……味方、 なんだよね?」

 

 あれは、味方だ。

 味方のはずだ。

 なのに、ラプチャーを処理する手際が冷たすぎて、目を逸らしたくなる。

 

 レイヴンは、救うために来た。

 それは分かる。

 けれど、救う過程で、敵を一切の感情なく潰していく。

 

 人間でもないラプチャーに対し、私たちも倒す以外の感情はほとんどない。

 そう“ほとんど”ない。

 怒りや憎しみは、ある。

 でも、レイヴンのアレは、ソレすらない。

 

 そこにあるのは淡々と作業する機械のような冷たさ。

 

 どこまで壊せば最短か。

 どこを潰せば群れが止まるか。

 どの順番で殺せばこちらが生き残るか。

 

 そういう種類の冷たさだった。

 

「あはは……」

 

 私は知らず知らず、銃を握る手に力を入れすぎていた。

 

 戦場で怖いのは、強い敵だけじゃないんだ、とその時思った。

 強すぎる味方も、こんなに怖い。

 

 レイヴンの到来によりラプチャーたちの動きが鈍る。

 統率を失ったのが、見て分かる。

 そしてその崩れ方が、ひどく美しい。

 

 怖いのに、目が離せない。

 

 私は、そんな自分に気づいてしまって、さらに怖くなった。

 

 この人は何なんだろう。

 私たちと同じニケなのに。

 同じ戦場に立っているのに。

 なんでこんなに違うんだろう。

 

 だが、そう思った次の瞬間、レイヴンの背後に大型が迫った。

 

 巨大な腕。

 避けきれない速度。

 

「あぁ……! まずい!!」

 

 叫んだのは、私じゃない。

 誰かの悲鳴に近い声だった。

 

 けれどレイヴンは振り返りもしない。

 ほんのわずかに姿勢を沈めただけで、相手の腕の軌道をずらし、そのまま反撃に入る。

 

 近距離。

 至近。

 大型の装甲が、内部から弾けた。

 

 その瞬間。

 私の中で、何かが壊れた。

 

 怖い。

 やっぱり怖い。

 でも、それだけじゃない。

 

 あまりに冷酷で、あまりに速くて、あまりに無駄がない。

 なのに、確実に私たちを助けている。

 助けるために、ここまで徹底して壊す。

 

 その矛盾が、目を逸らせなくさせる。

 

 私の隣で、最初に「援軍だ」と言った子が、もう泣きそうな顔で笑っている。

 

「……なんか、やばいね」

 

 誰かが言った。

 

「やばい、けど……」

 

 言葉が続かない。

 でも、みんな同じ顔をしていた。

 

 最初は、歓喜だった。

 レイヴンが来た。

 助かる。

 生き残れる。

 

 次に来たのは、恐怖だった。

 あまりに冷たい。

 あまりに効率的。

 あまりに迷いがない。

 

 そして最後に残ったのは、別の感情だった。

 

 怖いのに、見たい。

 危ういのに、目を離せない。

 あの戦い方の先を、もっと見たい。

 

 戦場の空気は、さっきまでの絶望とはまるで違っていた。

 まだ怖い。

 まだ震えてる。

 でも、その震えごと引きずられるように、私たちはレイヴンの背中を見ていた。

 

 ラプチャーを削り潰す、その赤い光を。

 無駄のない射撃を。

 冷酷なまでの効率を。

 命を守るために、ここまで徹底して敵を壊す手を。

 

 魅入られた、と思った。

 

 たぶん、私だけじゃない。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

【エリシオン社内通信記録】

【日時:██/██ ██:██】

【送受信者:██████ → ██████】

【分類:機密 / 閲覧制限:Aランク以上】

 

 ──今回の依頼結果を報告します。

 ──レイヴン大尉は、任務を完遂。

 ──分析データ全件回収。孤立分隊、全員生還です。

 

 ──確認した。

 ──損耗ゼロは想定外だ。達成手段は? 

 

 ──レイヴン大尉の単騎突破です。

 ──救助側の通常シミュレーションでは損耗率五割超。

 ──同条件での再現は現行戦力では困難です。

 

 ──つまり、彼女は我々の想定上限を超えている、と。

 ──……久しぶりに「正しい強さ」を見たな。

 

 ──映像ログは回収済みですが、主目的外記録のため断片的です。

 ──索敵ログ、射撃ログ、熱源追跡の一部に副次記録あり。

 ──ただし精度不足で、完全解析は不可能です。

 

 ──足りんな。

 ──次回以降は依頼設計段階で、データ取得系タスクを意図的に組み込め。

 ──戦闘継続時間、武装切替、反応遅延、再使用間隔。

 ──観測点を固定して、毎回同じ形式で採ること。

 

 ──了解しました。

 ──レイヴン大尉への接触方針は、現状維持でよろしいですか。

 

 ──現状維持では遅い。

 ──所属要求はしない。あれは逆効果だ。

 ──代わりに、依頼難度と報酬を段階的に上げる。

 ──「最も条件が良い依頼主」を維持し続けろ。

 ──彼女の優先順位を、自然にこちらへ寄せる。

 

 ──監視レイヤはどうしますか。

 

 ──強化する。

 ──制御不能な強者は、資産であると同時に脅威でもある。

 ──依存を作り、同時に監視する。

 ──軍とVTCの動きも並列で追跡。

 ──綱引きで負けるつもりはない。

 

 ──合わせて、企業への対応も確認します。

 ──救出された分析分隊の処遇についてはいかがしますか。

 

 ──評価は下方修正。

 ──生還は成果ではない。今回は借り物の生還だ。

 ──自力で帰還できなかった事実を基準に再査定。

 

 ──再配置のみでよろしいですか。

 ──それとも再教育プログラムを適用しますか。

 

 ──両方だ。

 ──希望者ではなく、必要者として再教育へ回す。

 ──……いや、例のプロジェクトに組み込め。第一被検体として。

 ──本来であれば死んでいた部隊だ。「生まれ変わる」とした方がいいだろう。

 ──弱さは事情にならない。

 

 ──了解しました。

 ──レイヴンへの報酬は規定通り五百万クレジットを送付します。

 

 ──そうしろ。

 ──それは救助分隊への褒賞ではない。

 ──レイヴン大尉への対価だ。

 

 ──最後に任意報告を共有します。

 ──生存者の複数名より同趣旨の記述。

 ──「恐怖を感じた。だが、目が離せなかった」

 

 ──妥当な感想だ。

 ──強さは、見る者に二つの反応を起こす。

 ──服従か、模倣だ。

 

 ──次回依頼案を提出します。

 ──条件は「高報酬・高難度・高観測密度」で設計します。

 

 ──承認。

 ──彼女を所有できないなら、せめて我々の側に固定する。

 ──それが戦略・戦術だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この救助作戦から七日後。

 

 エリシオンはコア構想実証試験の開始を発表。

 同日、ミシリスおよびテトラも同様の計画を公表した。

 

 これにより、ニケを戦術パッケージとして運用するための研究・実証試験が、三大企業において同時に開始された。




ニケをコア構想に組み込むとどうなる?

知らんのか?

地獄が始まる。

7/11で何とこの小説を投稿しだして一年になるんです!!
・・・時間たつの早くない?

ここまで続けられたのも、読んでくださる皆さまがいてこそでございます。
この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございます!!

今後もゆるやか~に投稿していこうと思いますので、長ーくお付き合いしていただければと存じます。

目指せ!
次回作ACまでに最新46章ぐらいの時間軸に小説を持っていこう!

その前にニケが一区切りつきそうですけどね!

1話あたりのカロリーについて

  • 1万字以上でも読み応えあるから良き!
  • 1万くらいがちょうどいい
  • 1万字はカロリー高いから分割して欲しい
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