真 生徒会の一存   作:Air1204

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増える生徒会

「世の中がつまらないんじゃない。貴方がつまらない人間になったのよ!」

 

いつも通り会長が小さき胸を張って格言っぽいことを言っている。俺、杉崎鍵は優良枠によってここ碧陽学園生徒会の副会長の座を手に入れた。

それこそ、去年のどうしようもなかった俺を変えてくれた人達に恩返し?がしたかったからだ。

あの頃の俺はもう死んだ!これからは新たな杉崎鍵として生きていこうそう決めた。

 

「はいっ!会長!」

 

「はい!杉崎くん!」

 

「って事は俺は童貞でもいいってことですかね?」

 

いつも通りの変わらぬ生徒会。俺はここで駄べっているのが好きだ。

 

「んにゃ!?なんで杉崎はすぐそっちの方向に考えるのよ!」

 

ピクピクと眉を痙攣させた会長。桜野くりむが呆れたように声を漏らす。この見た目で生徒会長、齢18になるなんて誰も思うまいよ…。

 

「甘いですね…会長。俺の頭脳はすぐそっちに繋がります。」

 

「仕方ねぇよ会長サン。コイツの頭、コレだから。」

 

くるくるぱーと手の動きで示すコイツは椎名深夏。俺と同じクラスで同じく副会長のスポーティーパワフル女子だ。

 

「でも、私はキー君のそういう所嫌いじゃないかも…?」

 

本から目線を逸らさずに呟くのは紅葉知弦さん。3年生で会計、会長のクラスメイトでくりむからかあかちゃんというあだ名で呼ぶ超絶美人さんだ。

 

「でも…節操ないのはどうかと思いますけどね…?」

 

この子は椎名真冬、深夏の妹で重度の腐女子な1年生だ。

 

「おやおや…皆様…手厳ようですねぇ…。」

 

「なーんでそんなに某途中下車のナレーションみたいな喋り方してんのかねぇ?」

 

いやはや、まさか伝わるとは思ってもいなかった。いつもと変わらぬ生徒会、だが今日はいつもと違う異質なところがあった。

 

「んで…真儀瑠センセ…?今日は珍しーく最初から居ますけど…。」

 

「そりゃあそうだろうな。」

 

「いやまぁなんとなくわかってます。分かってますけど…ねぇ?」

 

5人で視線を送る。生徒会室の奥、増設されたブロックに設置されたソファーの上でまるで猫のように丸まって眠っている人。

 

「あの…そろそろ説明して貰えませんかねぇ…?気になってお喋…会議じゃないんですけど…?」

 

「今お喋りって言いそうになってた!」

 

「いいえ?」

 

「なってた!!!」

 

「おだまりっ!」

 

ひぇっと声を上げて黙る会長。眼前でスヤスヤと寝息を立てるココの制服を着た黒とも藍色とも取れる綺麗な色をした男子生徒。てか、校則であんな長髪…ダメじゃなかったか?

 

「今日付けで3年生に転校してきた『栗花落 奏多』だ。よろしく頼む。訳ありでなぁ、チョッチ先生が預かることになってな

 

「その…良いんですか?あの長髪…。男子生徒ですよね…?」

 

「「は?」」

 

一同声を揃えて驚かれる。

 

「いやいや…キー君…あの子が…男の子に見えるの…?」

 

驚いたような知弦さんの声、それに続くように深夏も言う。

 

「驚いた…。鍵の美少女センサーを掻い潜れる女が居るんだな…。」

 

美少女…?いや…だって見えてんの制服と横顔だけ…。

あれ…?この横顔…どこかで見たような…。

 

「まぁ…生徒会長だから一応知らされてたけど…。杉崎あんたマジで気付いてないの?」

 

「この間杉崎先輩。テレビ見て興奮してたじゃないですか…。『俺もこんなスクールアイドル達をプロデュースしたいッ!』って…。」

 

は?え?それとこれに…なんの関係が…?全く状況が理解できない。頭がすでにぷすぷすと煙をあげている。

 

「ま、杉崎には無理もないか…。おい、そろそろ起きろ『問題児』」

 

バインダーの角で頭を小突く。

 

「むぅ…。」

 

痛かったのか唸りを上げる栗花落さん。確かに女性にしては低いが男性にしては高い声だ。そして目を瞑ったままだったがその顔が明らかになる。

…?うん。理解した、誰だか俺にもようやく分かった。

でもこの人がなんでここにいる?音乃木坂でトップスクールアイドル独走中の彼女がなんで…?

 

「自己紹介もせずに眠りこける奴がいるか!いい加減起きろ!」

 

「あ痛ァっ!何もそんなに強く叩くこたねぇだろうよ!沙鳥姉!」

 

「学校ではそう呼ぶなと言ったはずだが?」

 

「ったく…バインダー痛えんだからな…。」

 

うん…。テレビで見るより粗暴だ。やれやれと表を上げ眠たそうに目を擦る栗花落さん。スクールアイドルの幻想ってこんなに儚く一瞬で散るんだね…。

 

「悪かったな…。余りにこのソファー寝やすくてよ…。」

 

「本人も起きたからな。自己紹介をしようか。奏多」

 

大きなあくびをして立ち上がる栗花落さん。明らかに目線が俺より高い。180cmはあろうかその身長に気崩された男子用の制服。そして…。たわわに実ったアレがはだけたワイシャツから見え隠れしている。

 

「今日付けで転校してきた3年、栗花落奏多だ。と同時にここの第2書記を努めさせてもらう。優良枠って奴だな。」

 

おいおい…優良枠は俺の特権だぞ…第一何よりこの人はテストを受けてないじゃないか…!

 

「ってことは杉崎お払い箱…?」

 

「会長!?そんなに俺に居なくなって欲しいんですか!?」

 

「え…?そりゃあ…。」

 

うんうんと4人、いや5人が頷く。そんなに俺って居ない方が良いの…?

 

「冗談だ、杉崎。そんな怯えた子犬みたいな顔しなくてもいいだろう?特例でな。2人目の優良枠って扱いだ。」

 

2人目…?訝しむ俺の肩を叩く真儀瑠先生。耳打ちで伝えてくる。

 

「『企業』絡みだよ。とは言っても杉崎、お前と同じくそれを阻止する側の人間として碧陽の理事会並びに音乃木坂の理事会が決めたんだよ。」

 

「理事会が…?」

 

「向こうで暴力事件を起こしたらしく退学寸前だったんだがな…。私という親戚が居るから良いでしょうと」

 

「いやいや…。音乃木坂って結構な名門…。と言うよりも一世を風靡したスクールアイドル達の在籍高だったところでしょう?暴力事件って…。」

 

「何やら義弟を虐めてたやつを一人で追っかけ回したんだってよ…。本当に地獄の底までな…。」

 

「あー…俺も…林檎が虐められてたらそうするかもな…。」

 

まだ眠いと言った感じで大欠伸をしている栗花落さんに目線を移す。気だるげな表情こそしてはいるがその瑠璃色の瞳は綺麗でまつ毛や髪の毛は毛先までしっかりと整えられている。

 

「それが原因で奏多はアイドル活動を辞めた。義弟を守るためとはいえ、人1人を死の淵まで追い込んじゃなぁ…?」

 

「だからこそココに身を隠すのがいちばん良かったと?」

 

「それだけじゃない。奏多は元々向こうでは生徒会長だし何よりアイツ自身の影響力も計り知れん。『企業』もそう易々と手は出せんだろうっていう考えの元だ。」

 

「成程です。」

 

「ま、生徒会役員諸君、仲良くしてやってくれ。」

 

そういうとつられて先生も大きく欠伸をした。とは言っても仲良くしてくれ…か。俺としては美少女だし大歓迎なんだけどなぁ…。余りにも…こうとっつきづらいと…。

 

「ねぇねぇ…栗花落さんだっけ?」

 

「あ?」

 

流石物怖じしない会長だこと…。

あれだけ誰も寄るなよってオーラを出してても寄っていけるのは会長の特権だろう…。

 

「おっきいんだね。」

 

「…まぁなぁ…。じゃなきゃ伊達にアイドルなんてやらねえだろうよ…。」

 

「そうそう!PV?って言うんだっけ?見たよ!かっこいいね!」

 

純粋無垢な言葉に照れた表情を浮かべた栗花落さん。

 

「いや…悪いな…なんつーか…オレ昔っから人付き合いが苦手なもんでよ…。」

 

ぼふっとソファーに腰掛け直した栗花落さんの顔はなんだか悲しそうで…。昔の俺を見ている気分になる、あぁ…だから…。

 

「ふふん。」

 

鼻を鳴らし楽しげに栗花落さんの上に飛び乗った会長は知弦さんの上に居る時と同じように脚をばたつかせた。

 

「気にしなくていいよ。かなたんは知らない土地に一人で来て知り合いが一人しかいない中で不安なのもわかるから〜。」

 

「かなたんって…。初対面なのにすげえな桜野さんは…。」

 

それが桜野くりむ、碧陽学園生徒会長のいい所だ。

よく言えば人懐っこい人だからな。

というかこの人普通にトップアイドルの膝に座ってるの凄いな…。

 

「私達、生徒会が君の居場所を作ってあげよう!ね?知弦!深夏!真冬ちゃん?」

 

うんうんと頷く3名。え?俺は?

しれっと忘れられてね?

 

「だからそんなにつんつんしなくてもいいんだよ?」

 

ニコニコと膝の上から栗花落さんの顔を見ている会長。畜生!羨ましいッ!

 

「そうねぇ?アカちゃんがそう言うんならね?」

 

「ホンットに会長はお人好しっつうか…。まぁそういうとこ嫌いじゃねぇけど…なぁ…。」

 

「お姉ちゃんの言う通りですぅ。でもまぁ私としても憧れのお人でしたから!良しとしましょう。」

 

困ったように3人の顔を見回す栗花落さん。いやまぁ…ずっと俺忘れられてるけど…。とりあえず声位は掛けてやるか…。忘れられてるけど!

 

「ま、そういう事です。栗花落さん…。いや奏多さんと呼ばせてください。彼女らもそう言ってますし…お試しでも構いませんから、ここに来たらいいんじゃないですかね?」

 

「オレ…迷惑かけっかもしれねえぞ?」

 

「えぇ、迷惑上等。俺らはそのトラブルを解決するための生徒会ッスから!」

 

「それ!私のセリフだよ!杉崎ッ!」

 

今それを言うてくれるなよ会長…。かっこよく締めたのに台無しじゃあないか…。

 

「…わかった。よろしく頼むよ。杉崎君、紅葉さん。桜野さん。深夏ちゃん。真冬ちゃん。」

 

「そんな他人行儀は嫌だよ。もっとほら砕けた感じで!」

 

「そうねぇ…。紅葉さんって…ちょっと他人行儀すぎるかしらね?」

 

「アタシもちゃん付けは嫌いだな。」

 

「私はそのままでも構いませんよ?何せ推しに名前呼んでもらってるんです!興奮ものですよ?」

 

というかいつの間にか真冬ちゃん…BLだけじゃなくてアイドルオタクもやってるのか…?

 

「ちっち…。杉崎先輩。時代はスクールアイドルですよ。その辺のプロより素人っぽいのが堪らんのです。」

 

「心の声を読むんじゃないよ!君は…。俺は…。まぁ呼びやすいように呼んでくれれば構いませんよ。」

 

「あー…。くりむ…?知弦さん…?深夏に鍵…?」

 

「それでよし!じゃあ今日の業務パパっと片しちゃお!」

 

「あ、それなら俺がやっときましたよ。」

 

「んえ!?いつの間に…?」

 

「そりゃあ会長が来る前にですよ。」

 

その言葉にキラキラと目を輝かせた会長がぴょんっと奏多さんの膝から飛び降りた。

 

「じゃあ今日の業務は…!?」

 

その笑顔ににっこりと笑顔で返す。

 

「終わりです。あとはいつも通りに。」

 

「やったあ!知弦!うさマロ出して!」

 

「はいはい…。本当にアカちゃんはこのお菓子が大好きね?」

 

母子のようなやり取りにほっこりと和む。

とりあえず佳境を乗り越えたと言わんばかりの奏多さんに近づく。

 

「まぁうちの生徒会はいつもこんな感じなんですよ。だから気張る必要も無いです。」

 

「あぁ…そうみたいだね…。」

 

お、さっきより口調が穏やかになったな。少しは緊張がほぐれたって感じか?

 

「さっきは威圧するような態度をとって悪かったよ。すまないね…。」

 

「謝る必要は無いですよ。前の学校であんなことがあればそりゃあ嫌にもなる。」

 

「…まぁね。」

 

何となく馬鹿な俺でも察しはつく。恐らくだが、奏多さんが『企業』を憎む理由は…そのスクールアイドルとして、グループの活動に関わっていたからだろう…。

 

「オレはぶっちゃけ先公の事は信用してないんだよ。どいつもこいつも『企業』が怖くて手が出せ無いからね。」

 

ワイワイとお菓子を広げて盛り上がる4人を尻目に俺と奏多さんは話を続ける。

 

「音乃木坂もそこは変わらず…ですか…。」

 

「あぁ…。だからあんな悲惨な虐めが起きるんだよ。」

 

苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた奏多さん。だが今日はそういう日じゃない。この人を歓迎する日にしたいからな。

 

「奏多さん…。そのおは――」

 

「ねぇ!かなたん!こっち来て!みんなでお喋りしようよ!杉崎なんてどうせ口説いてるだけなんだからほっときゃいいのよ!」

 

「んな!そんな言い方ないでしょうよ会長!」

 

「奏多さんはスクールアイドルだった身なんだからな…お前にゃ不釣り合いだぞ?」

 

「あぁん?深夏ぅ…ならお前が俺の女になれよ!」

 

「ふんぬ!」

 

「ぐべらっ!」

 

正拳突きを腹に貰う。これぞまさにいつも通りの生徒会だ。

つか普通に手加減しろって!

 

「ぷっくく…。」

 

「あー!笑った!ねぇ知弦笑ったよ!」

 

「そうね?テレビで見るよりも可愛いわね貴方。」

 

「なんか女のアタシでも惚れちまいそうなくらいいい顔で笑うんすね…。」

 

「はわわわ!まじ笑い!?すごいでふっ!」

 

興奮しすぎて真冬ちゃん…噛んでるし…。でもまぁ笑ってくれたんならそれで構わないか。

 

「いってて…。まぁこんなもんすここは…。」

 

「ね…。思ったよ。久しぶりに笑えた気がするわ。」

 

「さ!こっち来て座って!」

 

ぴょんぴょんとうさぎのようにはね回る会長が椅子を引いて奏多さんを呼ぶ。

そこに座るや否や嬉しそうな笑顔で

 

「ようこそ!我が生徒会へ!歓迎するよ!奏多さんっ!」

 

「うん。よろしく頼むよ。」

 

ま、これにて大団円って感じかと真儀瑠先生へと視線を移す。

コイツ…!寝てやがる!いやまぁ自由な人だけど自由すぎるんじゃね?

雨がしんしんと降り頻る梅雨にこれが俺と奏多さんの出会い。

いや…。本格的な『企業』との戦いの幕開けとなったのだった。

 

小休止

 

まさか…終わるとは思ってないよね?こんな重い話で終わるのは俺の議事録じゃない。

ちゃーんとそこからの楽しい話も書くのが俺の流儀だからな。

 

「なぁなぁ聞いてくれよ。」

 

「ん?なんだ深夏?」

 

「昨日見た夢なんだけどよ…。鍵が実は人間じゃなくてな?宇宙人でいずれは地球を滅ぼすって言うから仕方なくアタシはお前を殺したんだけど…。実は宇宙人ですらなくてお前はバームクーヘンだったんだよ。泣きながらアタシはお前を完食して…。そうしたら空から女の子が!」

 

「お前の夢の話は止めてくれ。夢すぎて頭が痛くなる。」

 

「なんでだよ!こっからがおもしれぇのに!それでよ降ってきた女の子がお前の…」

 

「止めて!本当に!おかしくなるわ!」

 

「っちぇ…こっからがおもしれぇのにさぁ?」

 

「はい、アカちゃん。あーん。」

 

「あーん。むぐむぐ…。いちごあじだぁ…。」

 

「ふふふ…。絶対に落としてみせますよ…。アクシズは!」

 

いつもと変わらぬ自由な生徒会。その姿を見て不思議そうに見渡す奏多さん。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、音乃木坂の生徒会はもっと殺伐としてたからさ…なんつーか新鮮でね…。」

 

「まぁ基本ウチは制服以外自由っすからね…これで偏差値63は笑えますよ。あぁ、そういえば編入試験のテストってどうだったんですか?優良枠って聞きましたから…。」

 

「あ、それそれ私も気になる!」

 

「確かにそうね…キー君が500点の満点。水瀬さんが498点。」

 

バツが悪そうな表情を浮かべる奏多さん…。五教科だからそれ以上の点数は無いはず…。なのにこの顔は…なんでだ?

 

「い、いやぁ…オレはさ…ほら…3年生の問題だからさ…。鍵とかその水無瀬っつーのとは土俵が違うから…。」

 

「なんで言わないんですか?そんなに悪いのにって事っすか?」

 

詰め寄る深夏に更にバツの悪い顔をする。

 

「ふぁーあ…。よく寝たなぁ…。」

 

ナイスタイミング。このタイミングで起きたこと、神に感謝。

本人がダメなら先生に直接聞きゃいい。

 

「真儀瑠先生!かなたんの点数ってどれくらいだったの??」

 

無邪気に聞く会長。だが先生ですらバツの悪い顔をする。

 

「…言わなきゃダメか?」

 

「「モチのロン!」」

 

「「はぁ〜…。」」

 

2人の大きなため息が出る。そんなに点数が悪かったってのか?

 

「点数は満点だよ。」

 

なんだぁ…。俺と大差ないじゃんか…。そう答えた奏多さんは更にバツの悪そうな表情をする。

観念したのか先生は口を開く。んなら最初っから言えってんだよ…。

 

「満点は満点でもな…コイツは…全教科、その問題の誤字や欠点を全て訂正した上での回答で満点だ。」

 

「「は?」」

 

意味が理解できない。と言うよりもそれは学生の本分なのか?

 

「しかも元の文での回答も書いた上で訂正したあとの回答も書いてたからな…。主任の戸次の泣き顔っつったらもう最高だったな…。」

 

あの英語の厚化粧若作りモンスター戸次が…?

だから化粧落としが廊下に転がってたのかよ…。

 

「だからこいつの満点は満点以上。相当以上なんだよコイツは…。」

 

ド肝を抜かれた俺達は空いた口が塞がらずに奏多さんを見つめた。恥ずかしそうに頬を掻く奏多さんは。

 

「いや…。まぁ…一応学士号持ちだしな…オレ…。」

 

「「はァァァ!?」」

 

一同声を揃えての驚嘆の声。当たり前だろうが。普通じゃない女子生徒がここにいるんだから…。

 

「だからこそコイツには服装の自由、そして試験の免除、授業参加の拒否権そして教員への裁量権があるって訳だ…。」

 

裁量権…。これに関してはあれだ。『企業』への抑止力として与えられているんだ。俺にはそう分かった。

 

「うへぇ…なんだかよく分からないけれどかなたんは凄いんだねぇ…。」

 

凄いなんてもんじゃない。が、お子ちゃま会長には難しい話なのも事実。というかこの人がこの高校に入れた意味がまるで分からない。

頭はくるくるぱーだしお世辞にもいいとは言えない。それでも鉛筆を転がして脅威の正答率99%と言うのだから凄いもんだ…。

 

「あ、あんまりオレを見るなよ…照れるだろ…?」

 

恥ずかしそうに縮こまった奏多さんはモジモジとその身体を動かす。いや…可愛いな…。

 

「んま、それ以外は並だけどな。コミュ力は皆無だから余計にだろうが…。」

 

「それは言い過ぎだ沙鳥姉…。オレも会話ぐらいは出来てんだろ…。」

 

「そこに関しては椎名妹が男と会話する時より最悪だぞお前は。誰でも彼でも睨みつけるもんじゃない。」

 

あいやぁ…。そういう事か…。よくそれでアイドル出来たもんだなあ…。

 

「マイク、握らせたら最高のコミュ力なんだけどな。」

 

ボソッと呟いた先生の一言を俺らは聞き逃さなかった。すかさず、来月の文化祭用と準備したスピーカーやらマイクやらを引っ張り出し準備を進める。

誰と言わずに各々それを引っ張り出した。

そして、マイクを持った真冬ちゃんがそのマイクを差し出した、その目をキラキラと輝かせながら。

 

「1曲…どうですか?」

 

「ぜぇったいに嫌だ!」

 

ぐっとそのマイクを押しのけた奏多さん。だがそれを見てニヤニヤと笑う先生は「1曲ぐらい歌ってやれ」と微笑む。

ムッとした顔の奏多さんは渋々マイクを真冬ちゃんから受け取る。

ぶっちゃけ俺だって聞きたい。なにせこの栗花落奏多さん。

あの『try Valkyrie』のメインボーカルである『さーちゃん』こと『栗花落 彩凪』なのだから。

 

「『湊 彩凪』久々の活動だな?」

 

「その名はとうに捨てたんだよ沙鳥姉…。」

 

きっと真冬ちゃんと自分の歌を歌いたくない、そう思ったのだろうか。流れ始めたメロディーは我らがマクロスΔの『いけないボーダーライン』。奏多さんの声にはもってこいの歌である。

マイクを持つと人が変わる。そう言われていた奏多さん。

先生はニヤリと笑むと「明日の報告書は杉崎にでも書かすか」と何やら不穏なことを呟いた。

あのさぁ…。俺この後まだ業務あるんですけど…。

前奏が流れそしてAメロに入る。その瞬間、奏多さんの表情がテレビでよく似たあの顔つきに変わった。間近で見るそれは鳥肌もんだ。

 

「♪〜。♪〜〜。」

 

その圧巻な歌声に全員が黙る。

テレビで見たそれとは違う音の響き。合成ではない、録音でもないそれは真の奏多さんの歌声を響かせる。

 

「〜♪」

 

いやいや…自分の自分達の歌じゃないのにこの歌唱力は…流石に本家越え過ぎやしないか…?なによりマイクを持つとあそこまで楽しそうに歌うのか…?

やっぱりスクールアイドル部は碧陽にも作るべきだ。マジでそう思う。

1番、2番と終わり〆の大サビに入る。歌唱力もさることながら踊りも俺らを魅了する。偶像としての『湊 彩凪』スクールアイドルとしての一種の局地を垣間見る。

というかそのペンライトどこから出した真冬ちゃん。うちわは!?

会長…その法被はどこにあったんでしょうか…。

 

「♪〜。…ふぅ…。」

 

額に汗をかいた汗を拭いなんとも言えぬ恍惚とした表情を浮かべた彩凪。だが自分の表情に気付いたのか咄嗟にいつもの奏多さんに戻る。これが…可愛い?いかんいかん…余りにもアイドル過ぎたその所作に俺の中のアヤナミ(仮称)が飛び出てきてしまった。

 

「うわぁ!すごい!すごいよかなたん!!!」

 

大興奮の会長は奏多さんの手を握ってぴょんぴょんと跳ねる。

…いつもの3倍増しで跳ねてますけど…体力もつんですかね?

知弦さんと深夏に至っては見たこともない熱い視線を送ってる。ずるいやい!俺のハーレムだぞっ!

 

「まぁ、ストレスの発散くらいにはなったんじゃないか?」

 

「ん゛ん゛ぅ゛。いや…踊るもんじゃないな…。」

 

「いや…アイドル自体はアタシたちにとっちゃ珍しくもなんともねぇんだよ…クラスメイトに居るしな…。でも巡にも見せてやりたい歌唱力だったな…。」

 

「深夏…みなまで言うな…。ご当地アイドルってのはそんなもんだ…。」

 

ふっと嘲笑の笑みを浮かべた奏多さんはパタパタとワイシャツを仰ぐ。だらしなくはだけてはいるがその姿さえも様になるのは流石と言ったところか…。

 

「奏多さん!もう一曲だけ!お願いできませんか??」

 

「え、あ…いやあ…。そんなに全員で見つめられるとオレも困るんだが…。」

 

問答無用。普通に次の曲を流し始めた真冬ちゃん。

曲選が上手いのなんの…。気が付けば生徒会室の入口には人集りが出来ていた。

というか今更気づいたがこれ校内に流れてんじゃねえか!!

真儀瑠先生…やりすぎだよう!

だが後の祭り、歌が終われば拍手喝采、歓声とアンコールの声が響く。

その観衆に気付いた彩凪さんはアイドルとしての表情を崩すこと無く笑顔で手を振る。

こりゃあ明日の朝にゃ噂になってんで…。あの『湊 彩凪』が碧陽学園に来たってね…。

つか真儀瑠先生は何を考えてんだ…?

元凶はニヤリと笑うと奏多さんのマイクを掴む。

 

「えー…生徒諸君…。とは言っても放課後だからな…残っている生徒は少ないとは思うが…本日付で『湊 彩凪』は本校の生徒だ。たまーにこうしてライブをしてやる。その代わりにあまり口外するな。メディアなんかがここにこられちゃ困るからな。わかった奴からアンコールと手拍子ッ!」

 

あ、おい!流石にやりすぎだって!!

…4人ともそっち側なんですか?ええい!ままよ!なら俺もそっち側に立ってやる!

 

こうして、奏多さん。いや『湊 彩凪』の校内ライブ?は幕を降ろした。

結局、あの後5曲を歌ったあと先生はしっかり見物料を徴収してた。先生がそれを校内でやっていいのかよ…。

 

「んー!」

 

大きく伸びをしたのは会長。今日も楽しかったと言わんばかりに笑顔を振りまく。

後ろをついて行く俺たちは下駄箱に着く。

 

「あ、会長。すみません…俺、忘れもんしちゃったみたいで…。」

 

「おっちょこちょいねぇ…」

 

「先帰ってていいですよ!」

 

そう。俺にはまだやることが残ってる。

 

 

っつって議事録書いてくれませんか?なんて差し出されたから補足だけしとく…。文章書くの好きじゃないんだけどな…。

取り残された5人は下駄箱でローファーに履き替えた。

その際深夏がやれやれと呆れて大きなためため息をつく、それに続くように知弦さんもふっとため息を吐いた。

 

「お二人さんはなんでため息を?」

 

だからオレはその疑問を2人になげた。

 

「またやってるんだなぁって思ってねぇ?深夏もでしょ?」

 

「あのバカアタシらが気づいてないと思ってるんですよ。」

 

どうやら鍵の事らしい。忘れ物を取りに行ったんじゃないのか?

 

「仕事、終わるわけねぇんだ…あんなに短時間で…。」

 

そういえばそうだ。オレが音乃木坂で生徒会長を勤めてた時も皆書類に目を通しては険悪な雰囲気で了承や拒否の判子を押してたな…。あんなに駄べってられる時間なんかなかった。

 

「それに気付いてないのはアカちゃんだけ。でも私達は何も言えないのよ。」

 

「?なんで?みんなでやりゃ終わんの早くなるんでは?」

 

「ギスギスしたくねぇらしいんですよ。アイツ。俺のハーレムだから苦労は掛けたくないって。」

 

あぁ、だから下手な芝居をして生徒会室にもどるのか…そうでもしないと会長が黙ってないだろうから。

 

「かなたーん!ちづるぅ!みなつー!早く帰ろー!!」

 

無邪気なくりむの声。真冬ちゃんもわかってはいるんだろうけど無闇に口にしないのは彼女なりの配慮か…。

ま、これから世話んなる奴だし手伝ってやってもいいかななんて思う。深夏や知弦さんに一応声はかけておこう。

 

「あ…。やば…。オレも生徒会室に忘れもんしたかも…。」

 

「えぇ…?まぁ…いいわ。行ってらっしゃい。」

 

「すまない。知弦さん。深夏。先に帰ってくれて構わないからさ。」

 

「奏多さんもかよ…。でもまぁ…1人より2人の方が早く終わるだろうし。頼みますわ。」

 

そう言ってオレは上履きに履き替えて階段をかけ登った。

 

 

「しかし杉崎も本当に物好きだよな…。進んで居残り雑務とは…。」

 

「いいんです。美少女達に雑務をやらせるよりは俺がやった方が良いでしょ?あ、先生、その書類こっちです。」

 

「ん、ほれ。でも私に手伝わせてるって事は私は美少女には含まれてないって事だよな?」

 

「まぁ残念美人ではありますけどね…。」

 

「あ?なんか言ったか?」

 

いや、その凄み方は生徒にしていいもんじゃ無いでしょ…。

てか普通に美人は褒め言葉だと俺は思うんだが…スタイルも良いし顔も良いだけどなんだか残念オーラを纏ってるのが真儀瑠先生だからな…。

 

「ったく…都合が悪くなりゃ黙るんだからなぁ…。気が変わった、私は職員室に戻る。」

 

「そんな殺生な!!」

 

「あとは1人で頑張ってくれたまえよ。」

 

ガラガラと扉を開けて出て行ってしまった。畜生め…。

仕方ない…。碧陽祭までおおよそ1ヶ月、予算の申請やら部費やら色々と面倒な小言が多い。バイトの時間ギリギリまでやってから帰ろう…あとは明日の朝にでも来てやれば…。

と思ったのもつかの間ガラガラとまたしても扉が開いた。

まったく!真儀瑠先生もお人が悪い!ただ飲み物を買いに行っただけならそう言ってくれればよかったんだよ!

 

「先生!戻ってくれるなんて思いも…し…。」

 

振り返った視線の先扉にもたれ立っていたのは奏多さんだった。

 

「よう、鍵。忘れ物取りに来たわ。」

 

「奏多さん?」

 

何を忘れたんだろうか。スタスタとこちらに来て席に座る。

 

「あの…忘れ物って…?」

 

「お前。」

 

はい?おっぴろげた書類を自分の前に纏めそれに視線を落とした奏多さん。

忘れ物が…お前…?

 

「カッコつけんなよ。1人の処理能力じゃ限界があるだろ?オレにも貸しな。」

 

え?この人…。態々今日初めて会った俺の為に戻ってきてくれたのか?

 

「お前、嘘が下手くそすぎるんだよ。深夏にも知弦さんにもバレてんぞ。」

 

あっちゃー…。上手い嘘だとは思ってたんだけどなぁ…。

 

「逆に気を使わせてどうすんだよ。お前が一人でやるって言ったからギスギスしたくねえって言うから皆なんにも言えねぇのよ。」

 

「いやいや…すんません…。」

 

書類に目を通しては仕分けを繰り返す奏多さん。

というか…これだけ馬鹿げた枚数の書類をあの速度で仕分けしてるって…えぇ?

 

「いいか?これからはオレに言え。こういう作業には慣れてる。ことの善し悪しもオレの独断と偏見で仕分ける、オレがいいって思った書類を読め、そんでその後はお前の独断と偏見で選べ。」

 

優しさなんだろうけど…やっぱり怒ると怖いな…この人。

口が悪いからだとは思うが…

 

「すみません…奏多さん。」

 

「いや、謝る必要は無いさ。お前の格好つけたい気持ちもわかるからさ。オレも音乃木坂の時はピリピリギスギスしてる生徒会が嫌すぎて招集すらかけなくなったもんだよ。」

 

「…だからそれ程の処理能力が…?」

 

「元々本を読むのは早かったからな。磨きが掛かったのはそのおかげではあるな。」

 

ごちゃごちゃと広がっていた書類はもう殆ど纏められていた。

 

「この後は何やんだ?オレがやっていいもんだったらやってやるよ。」

 

「え、あぁ…助かります、奏多さん。」

 

「そう抱え込みすぎてお前は去年の秋口に倒れたんだろうが…。」

 

え?誰がその話を…?

 

「んでもってクラスメイトを探すのに必死こいて真冬に公園で倒れるしな…。」

 

うそん!そこまでバレてんの!?怖いよ音乃木坂!碧陽学園!

 

「でもまぁ春夏秋冬、いい出会いがあったね。」

 

うひゃあ…。すごいやぁ…この人…。

ビックリするぐらい俺の情報握ってらァ!

 

「えっと…奏多さん…?俺の…情報…って誰から…?」

 

「沙鳥姉。」

 

アイツか!なんでそんなこと知ってんだよ!まだ俺が生徒会に入る前のことだろうが!!

 

「まぁ誠実な男じゃねえし…。どんなアホかと思ってたけど…会って話してみたら良い奴だしな。『企業』と戦うのは俺一人でいいと思ってたけど、お前になら隣を任せても良いかなと思ったよ。」

 

「そう言ってくれて助かります…。」

 

「ほら!」

 

「うわっちょ…。」

 

投げ与えられた缶コーヒーを受け取り損ねる。

 

「餞別だよ。よしなにしたまえ。」

 

「あ、ありがとうございます…。」

 

転がった缶コーヒーを拾いながら礼を言う。

 

「昔話をしようか…。オレの」

 

さっき言いかけていた暴力事件の話か…。

俺一人がきいていい話なのだろうか…?でもまぁ、女同士じゃ話しにくいこともあるだろう…。

 

「オレの親父はシングルファザーでな…。オレが高一の時に再婚したんだよ。そんで出来たのが弟の『中目黒 善樹』。」

 

は?え?中目黒…善樹!?イマジナリーの存在じゃないの!?うっそだろお前…。

 

「2年に上がってスクールアイドルとしての活動も本格化してきた。あれよあれよと3年に上がった時に事件が起きた。善樹が入学した時に起きたんだよ。」

 

待って中目黒が実在する話のせいでなんにも頭に入ってこない!

大事な話なのに!!

 

「…お前話聞いてる?」

 

「え、ああはい…聞いてます。聞いてますとも。」

 

やっべ!バレなくて良かった!兎に角…ちゃんと聞こう。

中目黒は頭から消さなきゃ…。

 

「メンバーの一人だった奴が週刊誌にすっぱ抜かれたんだよ。バパ活の現行犯ってところをな。」

 

確かに…聞いたことはある。音乃木坂のトップアイドルグループのメンバーが不純異性交友をしてたと…。

変わらず視線を書類に落としたままの奏多さんは話を続ける。

 

「ソイツにオレはリーダーとして活動の自粛を言い渡したんだよ。んでソイツは…。自分がした事を棚に上げオレを逆恨んだ。でもオレには手出しは出来ねえ。だから善樹が狙われた。」

 

あ?いや…そんなことって…。

 

「精神的に責めるつもりだったんだろうがオレには逆効果さ。でも普通にオレは気づくのが遅かったんだ。善樹がボロボロになってからだったんだよ。」

 

なんつーか…。表の面しか見えないアイドルの裏話と言うのは…心にくるものがある。

ボロボロになるほどに虐められるって…。ここに来る前の俺を思い出す。

 

「だからオレはソイツを精神的に追い詰めることにした。お天道様に顔向けできないような事もした。精神を病んだソイツは普通に俺を刺しに来た。だから返り討ちにしたんだよ。」

 

「まぁ…刺されそうになったらそうしますよね…。」

 

「でも世間はそう認めなかった。なにより出資者であった彼女の父親が自分の娘はオレに追い詰められた結果おかしくなった、そうなった原因はオレにあるってだから自業自得だと、善樹の事は隠蔽されちまった。出資者っつーのが『企業』の幹部っつー奴だったみたいでな…。」

 

だから奏多さんは『企業』を憎むのか。

自分の為ではなく、弟の為に…。

 

「何より許せなかったのは黙ってた先公共だ。善樹の母である理事長ですらその事は表沙汰にはしなかった。自分の血の繋がった息子であるにもかかわらずな…。」

 

そんな悲惨な話、あってたまるかよ…。何より中目黒も…その為に1人戦った奏多さんがいちばん報われない。力になってやらない義母もそうだが…何よりもようやくきっかけができたと言わんばかりに本拠地を潰す為にその当事者を送り込めるその精神が理解できない。

 

「っと!とりあえずお前に言われた仕事は終わったよ。」

 

は?え?あれだけ重い話しながら仕事は終わらせられんの!?

俺なんか手止まっちゃってたけど!?

ふっと短く息を吐いて伸びる奏多さん。さっきまで降ってた雨は勢力を弱めて雲の隙間からは夕日が漏れている。

 

「わるいね。変な話に付き合ってもらって…。」

 

「気にしなくて良いですよ。ここは俺のハーレムです。それのメンタルケアも主たる俺の仕事ですから。」

 

我ながらかっこいいこと言ったな俺。自分で褒めてやろう。

 

「会ったばっかのオレでもハーレム一員扱いかよ…。」

 

「そりゃそうです。美少女は全員俺の彼女ですから!」

 

胸を張りそう答える。学園が、世界が彼女の敵になったとしても俺だけは味方で居なきゃならない。『企業』というのはそういうもんだ。

 

「だから、俺が守りますよ。これから先、『企業』の深淵に近づいてしまった時に奏多さん。貴方が狙われた時には…。」

 

「そうか…。ありがとう、鍵。」

 

そう屈託のない笑みで答える奏多さん。

 

「兎に角さっさと終わらせようぜ。オレもバイトの面接あるからギリギリなんだよ。」

 

「ならなんで今話したんですか!早く終わらせないと!!てかあとやっておくんで帰っていいですよ!」

 

「あー…乗りかかった船だからなぁ…。やってから行くよ」

 

「いいや!あとは俺がやります。奏多さんは帰ってくださいっ!」

 

そう言って無理やり生徒会室から押し出す。

ってかこの人普通に力強いな…。

 

「あ、おい…。鍵!」

 

「気をつけて帰ってください!急いで帰って事故とかならないように!」

 

よし…これで内側から鍵をかけてしまえば…。

入っては来れまい…。?…深夏とかにするのと同じ感覚でやってしまったけど…。アイドルの背中を直接押せる経験って…中々無いよな…?畜生っ!もっと堪能すべきだった!なんなら表から押し問答してムフフなことしても良かったんだ!足がもつれて倒れて!「あ…あや〇み!ごめんっ!」みたいなことをしても良かったんだ!畜生!

 

「ったく…強情なやつ…。んじゃまた明日な。」

 

諦めたのか帰ってくれたようだ…。しかし俺も時間が無い。

少しでも終わらせて帰りたいところだが…。

仕分けられた書類に目を向ける。

流石とは言わんばかりか…要点を抑えられたものしか仕分けられていない。的を得ていないものは全て却下の方に放り込まれている。

アイドルやって生徒会長やってって…。どういう能力してんだあの人…。

兎に角、俺達碧陽学園生徒会に新たなメンバーが加わった。俺としては美少女でめっちゃ嬉しい限りなんですけどね?

 

〈追記〉

急いでバイトに向かった俺。勿論、ここに書くってのはそういうことで…。奏多さん…バイトの面接…ここだったよ…。

あ、勿論次の日の朝業務は終わらせましたとも。奏多さんと一緒にね…。

 




色々とネタは盛り込んでみました。
次回から日常回です。
葵せきなさんのような書き方は出来ないですがそれとなーく生徒会の一存っぽさが伝われば私としても良しとしたいところですね。
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