聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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燃えろ!明星は永遠の誓いを照らす!
空を翔ける神殿に、花嫁の誓いが響き渡る。
黄金聖闘士、女神、そして邪神までもが参列した前代未聞のブライダルロード!
涙か、笑いか、それとも爆音カラオケか――!?
翔子とアイオロス、運命を越えて結ばれる愛は、やがて新たな神話の扉を開く!
次回『セインティア翔 ~明星は愛を抱いて昇る~』
その瞬間、世界が祝福に包まれる!


セインティア翔 ~明星は愛を抱いて昇る~

(翔子視点)

 

 目を覚ましたら、雲の上だった。

 

(……いや、待って。ここ結婚式会場だよね? 次元潜航できる空飛ぶ機動要塞って何。大学の友達に「式場は空飛ぶ要塞です♡」とか言ったら、絶対「卒論のストレスで頭おかしくなった?」って心配されるやつじゃん)

 

 窓の外は一面の青空と雲海。飛行機の窓席よりさらに高い。もはや神話の領域。しかもこの要塞、名前が「闇のエデン」改め「三女神のエデン」。……思わず「厨二病すぎるでしょ」って突っ込みそうになったけど、今は豪華客船並みの内装。いや、むしろ神話級のテーマパーク。

 

 控え室では、姉の響子とヴィーナス様が入れ替わりながら大忙しで準備の総仕上げをしていた。

 

「翔子、もっと胸を張りなさい! せっかくヴィーナスがデザインしたドレスのラインが崩れますわ!」

 

「キョーコさん、祭壇を飾るこの虹色のオーロラ、もう少し出力を上げられないかしら? 愛の輝きが、まだ足りないわ!」

 

 二人とも全力。……いや、もう十分すぎるくらいキラキラなんですけど!? ドレスの裾から光が漏れてるし、祭壇はオーロラで目がチカチカするし、このまま結婚式というよりラスボス戦が始まりそう。

 

「もう十分すぎるくらいキラキラだよ……」と弱々しく抗議してみたけど、誰も聞いてくれない。

 

 さらに追い打ちをかけるのが、心の中のルームシェア相手。

 

「(フン、人間の婚礼など茶番だと思っていたが……悪くない。実に、悪くないではないか。ショーコよ、もっと堂々としろ! 我が半身が、その程度の輝きでどうする!)」

 

 はい、エリスノリノリ。さっきまで「茶番だ」とか言ってたくせに、今は完全に乗り気。なんなら式を仕切る気満々。

 

(いやいや、あなたまでテンション上げないで! 私が一番冷静でいなきゃいけない立場なんだから!)

 

 でもよく考えたら、私が冷静って一度もなかったわ。だいたい毎回ツッコミ役で終わる。

 

 外からはファンファーレの音が聞こえてきて、控え室のドアがノックされた。スタッフ役の聖闘士が恭しく頭を下げる。

「花嫁様、ご準備を」

 

 ……花嫁様。私だ。え、ほんとに私なの? 「この状況、バラエティ番組のドッキリじゃない?」って思いたいけど、ドレスの重みが現実を教えてくる。

 

 姉が背中をドンと叩く。

「ほら行くわよ、翔子! 主役なんだから!」

 

 いや、分かってるけど! 分かってるけどさ! 主役の自覚より「この光景、後でSNSに上げられたら炎上するだろうな」って心配の方が強いんだよ!

 

 歩き出すと、通路の両側に並んだ聖闘士たちが一斉に敬礼してくる。いやいや、これ軍隊のパレードじゃないから! 結婚式だから! しかも背景にオーロラと虹と光の柱が同時出力されてて、控えめに言って眩しすぎる。

 

「(よし、この輝き! 我が婚礼にふさわしい!)」

 

(違う! あんたの婚礼じゃないから! 私のだから!)

 

 心の中で全力ツッコミ入れながらも、私はゆっくりと歩みを進めた。……うん、確かにこれは「盛大すぎて開いた口が塞がらない」ってやつだ。

 

 

 

 

 

 

 

 式の直前。神殿の一角に突然まばゆい光のゲートが開いた。思わず「え、なに、異世界転移?」と叫びそうになったけど、出てきたのは聖域の面々。いや、出オチ感がすごい。

 

「やあ、翔子さん、アイオロス。おめでとう」

 

 真っ先に現れたのはアッシュ君。もちろん片手にはお約束のメロンソーダ。どんなフォーマルな場でも炭酸は必須らしい。

「いやはや、サガの目を盗んでここまで来るのは骨が折れたよ。『緊急の外交任務』ってことにしてあるけど、帰ったら書類の山だろうな…」

 

 お祝いと愚痴を同時に口にできる男、ここに降臨。肩をすくめる姿が妙に様になってるのが悔しい。

 

 その後ろから、黄金聖闘士の面々がずらり。普段は鎧でキラキラなのに、今日は揃いのスーツ。いや、似合いすぎて雑誌の撮影かと思った。

 

 小声でぼやく声が耳に入る。

「おいアフロ、見ろよ。女神が三柱揃い踏みか。壮観だが、面倒ごとの匂いしかしねえな」

 

 声の主はデスマスクくん。結婚式で第一声が「面倒ごと」って、あなたは親戚のおじさんポジションなの?

 

 それに優雅な声で返すアフロちゃん。

「美しきものには、常に波乱がつきものさ。それより、あちらのご家族…素朴で、実に良い表情をしているな」

 

 アフロちゃん、こっちは家族の緊張で石像みたいになってるんだけど、それを「素朴」と表現するのやめて。

 

 実際、視線の先にいるのはモーニングに身を包んだ父と、ドレスアップした弟と妹たち。普段は地元のスーパーで割引シール争奪戦してる一家が、雲の上の神殿に呼ばれ、黄金聖闘士やら女神やらに囲まれてるんだから、固まるのも無理ない。

 

 父なんて小声で私に耳打ちしてきた。

「翔子…本当に、いいんだな。お相手は…その、人間離れしているが…」

 

 心配のベクトルが独特すぎる。いや、分かるよ。彼氏が黄金聖闘士って、親目線だと「どんな職業? 収入は安定してるの?」って次元じゃないからね。

 

「うん。世界で一番、真面目で優しい人だよ」

 

 私はそう答えて笑顔を作った。父の顔が一瞬ゆるんだのを見て、ちょっと安心した。

 

 ……でも周りは安心どころか、ザワザワが止まらない。黄金聖闘士ズがずらっと並んだせいで、完全にファッションショー会場。弟なんて小声で「姉ちゃんの結婚式っていうより、なんかの受賞式にしか見えねえ」と呟いてる。ほんとそれ。

 

 妹は妹で「お姉ちゃん、あの水色髪の人きれい! なんで女の人なのにあんなにきれいなの?」と素直に爆弾発言。相手はアフロちゃんだよ!男だよ!!! 本人に聞こえたら笑顔で花びら飛んできて窒息するからやめて!

 

 アッシュ君は相変わらずメロンソーダをぐびぐび飲みながら、「参列者用の炭酸が足りないな」とか言ってるし、デスマスクくんは「式の後は飲み放題あるのか?」とか世俗的な心配してるし。黄金聖闘士って、もっとこう神聖な存在じゃなかったっけ?

 

 もう、私のツッコミも限界。結婚式前から体力削られてる。

 

 

 

 

 

 

 オルフェウスさんの竪琴が、会場にふわっと響き渡る。「いよいよ始まります」って雰囲気になって、私は喉がカラカラ。

 

 父に腕を引かれて、ヴァージンロードを一歩ずつ進む。左右を見れば、聖域から来た黄金聖闘士たちと、日本の仲間たちがずらっと並んでいる。緊張で足がすくみそう。

 

 その先に立つのは、白いタキシード姿のアイオロス君。いつもは鎧でキラキラなのに、今日は正装。まっすぐ立ってこっちを見てる姿があまりに眩しくて、心の声が漏れそうになる。

 

(白いタキシード……かっこいい……ああ、ダメだ、緊張で泣きそう……)

 

 涙腺崩壊寸前の私を救ったのは、思わぬ人物。前を歩くフラワーガールの沙織ちゃんだ。

 

 くるりと振り返って、笑顔で言った。

「ママ、きれい!」

 

 花びらを撒きながら無邪気にそう言われて、もう心臓が爆発しそう。会場中から「ほっ」と温かい笑いがこぼれて、私の緊張も一気に緩む。ありがとう、娘。あなたの一言でママは正気を取り戻せました。

 

 その花びらも普通じゃない。小宇宙で淡く光りながら舞ってるから、完全にディズニーシーン。さすが女神。将来はどんな推し活をするんだろうって考えたら笑えてきて、逆に肩の力が抜けていく。

 

 祭壇の前に着くと、アイオロス君が優しい笑顔で私の手を取ってくれる。その瞬間、「これ本当に夢じゃないんだな」って実感がこみ上げてきて、鼻の奥がツンとした。

 

 で、問題はその隣。神父役のドルバルさん。

 

 正直、誰が神父やるのかと思ったら、まさかのドルバルさん。スーツ姿で聖書っぽい分厚い本を抱えてる姿は、完全に聖職者。え、似合いすぎじゃない? いつもの「やれやれ胃が痛い」オーラはどこにいったの。

 

 でも、彼の口から「誓いますか」とか出てきたら、多分私吹き出す自信ある。式中に花嫁が笑い転げたら伝説になっちゃう。

 

 後ろを振り返ると、響子お姉ちゃんとヴィーナス様が満面の笑みで親指立ててる。「いいぞ妹!」「輝け花嫁!」って全力でエール送ってくるのやめて! 緊張より恥ずかしさで倒れる!

 

 さらにエリスが心の中でノリノリ。

「(よいぞショーコ! 堂々と歩んだではないか! さあ、このまま世界に宣言するのだ! 我ら二人まとめて花嫁だとな!)」

 

 いやいやいや! 誰も二人まとめてとは言ってないから! ここは私の人生最大イベントだから横取り禁止!

 

 でも手を握るアイオロス君の温かさと、沙織ちゃんの花びら、そして周りの笑顔に支えられて、私はなんとか笑顔を作れた。

 

(……よし、ここまで来たら、もう突っ走るしかない!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祭壇の前で、私は緊張で手のひらが汗だくになっていた。オーロラと虹が混ざった空間演出のせいで、目がチカチカして余計に落ち着かない。

 

 そんな中、神父役のドルバルさんが荘厳な声で口を開いた。

「ここに集いし神々と英雄たちよ! 今、我々は新たな神話の誕生を目撃する!」

 

 会場が一瞬で静まり返る。普段は胃を押さえて呻いてる人と同一人物とは思えない。さすが理事長、切り替え力がすごい。

 

「射手座のアイオロス、汝、健やかなる時も、邪神に憑依されし時も、翔子を愛し、敬い、その魂と共に歩むことを誓うか?」

 

 邪神に憑依って、式のセリフに入れるワードじゃないよね!? 会場のど真ん中で「邪神」って響きが流れると、ちょっとしたホラー演出にしか聞こえないんだけど!?

 

 でもアイオロス君は真っ直ぐに私と、そして私の中にいるエリスを見つめて、はっきり答えた。

「はい、誓います。俺は、アテナの聖闘士として、そして一人の男として、生涯、翔子と……エリス、君たちを守り抜くと」

 

 ……やめて! 私、泣いちゃう! もう涙腺が限界。会場のどよめきが耳に入るけど、そんなのどうでもいい。アイオロス君の言葉が全部胸に刺さって、心臓が忙しすぎる。

 

 ドルバルさんが再び声を張る。

「仔馬座の翔子。汝、健やかなる時も、聖衣を忘れて戦場に行く時も、アイオロスを愛し、支え、その魂と共に歩むことを誓うか?」

 

 ……聖衣を忘れて戦場に行く? いや、それ私がよくやらかすから! なんで結婚式で暴露されてるの!? 父が小声で「おい翔子、本当なのか」って心配そうにしてるのが見える! 後でちゃんと弁解しないと!

 

 頬が赤くなるのを感じながら、必死に笑顔を作って答えた。

「はい、誓います!」

 

 会場から拍手が沸き起こる。ドレス姿で誓いを宣言するなんて、自分の人生にこんなイベントがあるなんて思わなかった。

 

 そして指輪の交換。アイオロス君の手が震えてるのを見て、少し安心する。ああ、やっぱり緊張してるんだね。私だけじゃないんだ。

 

 そして――誓いのキス。

 

 唇が重なった瞬間、幸せすぎて頭が真っ白になった。脳みそが「エラー発生しました」ってサイン出してるみたい。

 

(アイオロス君……アイオロス! 愛してる!)

 

 心の中で叫んだその時、すかさずもう一人の居候が口を挟んできた。

「(フン……まあ、我が半身の夫としては、及第点を与えてやろう。ショーコよ、主導権を代われ。我の方がもっと情熱的な口づけを……)」

 

(ダメに決まってるでしょ!)

 

 精神世界で即座に拒否。結婚式で人格交代とか、ホラー映画になっちゃうから!

 

「(ちっ……)」

 

 不満げな舌打ちが響く。でもさすがに譲れない。ここは私の瞬間。

 

 アイオロス君が少し照れた笑顔を浮かべて唇を離した。会場から歓声と拍手。響子お姉ちゃんが涙ぐんでる。ヴィーナス様は花びらを撒き散らしてる。オルフェウスさんは竪琴で祝福の旋律を奏でてる。デスマスクくんは「キス長くね?」って小声で突っ込んでる。会場カオス。

 

 でも私の目には、ただ一人、目の前の彼しか映ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 披露宴の会場は北海道のエリス神殿。結婚式を空飛ぶ要塞でやったのに、披露宴は地上開催というアンバランスさ。まあ、招待客を全員上空まで輸送するのは無理があるから仕方ない。

 

 会場に入った瞬間から雰囲気が聖域と全然違う。神々しい光が差し込む厳粛さよりも、完全に「親戚一同大集合」のノリ。テーブルごとに豪華な料理が並び、あちこちで笑い声とグラスの音が響いている。

 

 その一角で光政さんが早速ドルバルさんを捕まえていた。

「いやぁ、ドルバル殿! パライストラの次の事業計画ですが……」

 

 この人ほんとに隙あらば商談するな。今日くらいは親の顔でいてほしい。

 

 そこに割って入ったのがヤンさん。営業部長の本領発揮で、スッと二人の間に入って微笑んだ。

「お義父さん、まあまあ。今日は娘さんの晴れの日ですよ」

 

 その一言で空気が一気に和んだ。お父さんも「おお、そうだな」と笑顔に戻る。ほんとこの人、どこでも盾役が完璧。私は感謝しかない。

 

 そして壇上にアッシュ君が立ち、マイクを握った。まさか乾杯の挨拶が彼だとは。

 

「……というわけで、聖域の年間予算を一部〝有効活用〟し、この祝賀会を開催できたことを嬉しく思います。サガにはバレないように。……二人とも、結婚おめでとう。乾杯」

 

 言い切った瞬間、会場中が爆笑。いやいや、笑ってるけどこれ絶対バレたら後で面倒なやつ。私は笑いながらも「笑ってる場合じゃないのでは」と冷や汗。

 

 でも乾杯の声が響くと、すぐにグラスがあちこちで掲げられて、空気が祝福一色になった。料理もデザートもどんどん運ばれてきて、あっという間に宴会モード。

 

 私はあちこちのテーブルを回って挨拶してたけど、気がつけばアッシュ君がアイオロス君の隣に座っていた。あの二人が並ぶと、不思議と絵になる。聖闘士同士の親友感というか、信頼感というか。

 

「しかし、驚いたな。ヴィーナスにエリス、そしてアテナか……。日本は、いつの間にか神だらけだな」

 

 メロンソーダを片手に、アッシュ君がぼそっと言う。

 

「ああ。だが、おかげで毎日が賑やかで、退屈しないさ」

 

 アイオロス君が柔らかく笑って返す。その表情があまりにも自然で、胸がじんわり温かくなる。戦いの中でボロボロになってきた二人が、今は肩を並べて穏やかに笑っている。それを見ているだけで涙が出そうになった。

 

 ……まあ、同時に背後からはエリスの声が響いてくるんだけど。

「(ふふふ、神だらけとはいい響きだ。次は我がプロデュースで聖域アイドルユニットでも作るか)」

 

(やめて! 披露宴で新事業立ち上げないで!)

 

 さらに横を見ると、デスマスクくんが「二次会はススキノか?」と小声で相談していて、アフロちゃんは「私はスイーツビュッフェの方がいいな」と優雅に答えていた。黄金聖闘士、自由すぎる。

 

 そんなカオスな宴を眺めながら、私は心の中でしみじみ思った。

 

(神と人と聖闘士。肩書きがごちゃごちゃで、なんだかんだ問題も山積みだけど……やっぱり幸せだな)

 

 そう思った瞬間、エリスがまた茶々を入れてきた。

「(ふむ、我も悪くない気分だ。だが、次の余興は我が仕切るぞ)」

 

(だからやめろってば!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 披露宴の賑わいから少し離れて、私はアイオロス君と二人で神殿の庭に出た。夜風が頬を撫でて、ほんのり冷たい空気が心地いい。あれだけド派手な演出を浴び続けていたせいで、静けさが新鮮に感じる。

 

「本当に、すごい一日だったな。空飛ぶ神殿で式を挙げて、女神たちに祝福されるなんて」

 

 アイオロス君がしみじみと呟く。真面目ボイスで言われると、「空飛ぶ神殿」ってパワーワードが妙に納得できちゃうから不思議。普通なら頭おかしいワードなのに。

 

「ふふ、私たちの普通は、もう普通じゃないんだよ。でも……」

 

 私はそっと彼の肩に寄りかかった。……ドレスの裾が芝生に引っかかってプチっと音がしたけど気にしない。今はロマンチックに集中。

 

「でも、アイオロスが隣にいてくれれば、どんな普通じゃないことも、全部幸せだって思える。……私はきっと、幸せだ」

 

 口に出してみたら、胸の奥がじんわり熱くなった。彼は何も言わずに私を抱きしめる。その腕の温かさに包まれると、すべてが安心に変わっていく。

 

 ……と思ったら、すかさずエリスの声が頭に響いた。

「(ふん……我が半身よ、我も幸せだぞ。この場にメロンソーダさえあれば完璧だ)」

 

(今ロマンチックシーンなんだから黙ってて!!)

 

 心の中で全力ツッコミ。なんで毎回台無しにしてくるの、この女神。

 

 でもまあ、これが私の人生。神様と同居、空飛ぶ神殿、黄金聖闘士の旦那。どこを切り取っても普通じゃない。でも、不思議と怖さはない。むしろ笑えてくる。

 

 きっとこの先も、お姉ちゃんやヴィーナス様やフレアさんを巻き込んで、事件だの戦いだの大騒動だの、次から次へとやってくるんだろう。絶対平穏なんて来ない。

 

 でも、そんな未来でも大丈夫。だって、この腕の中が私の帰る場所だから。

 

 夜空を見上げると、まん丸の月が静かに光っていた。雲ひとつない空に浮かぶその光は、なんだか「がんばれよ」ってエールを送ってくれているようで、ちょっと泣きそうになった。

 

 隣でアイオロス君がぽつりと呟く。

「翔子、これからも一緒に歩もう」

 

「うん。一緒にね」

 

 私は笑って答えた。その声は夜風に溶けて、満月に吸い込まれていった。

 

 ……と、ここで披露宴会場から爆音が。どうやらデスマスクくんがカラオケを始めたらしい。エコー効かせすぎてマイクがハウリングしてる。ロマンチックな締めを完全に破壊するセンス、ある意味尊敬する。

 

(……まあ、これが私たちの世界の“普通”なんだよね)

 

 私はアイオロス君と顔を見合わせて笑った。未来は混沌。でも最高に幸せ。そう思える今が、一番の祝福なんだと思う。

 

 

セインティア翔編 ~明けの明星~ 完




翔子「ふぅ……やっと終わった……。これで平和に新婚生活スタート……」

エリス「待て翔子! 夜の順番を決めておらん!」

翔子「えっ、なにその物騒な響き!? ……っていうか、私とアイオロスの新婚初夜なんだから、あんたは関係ないでしょ!」

エリス「ふん、我も花嫁。ならば我が先に愛を注がれるべきだ!」

翔子「ちょっと! 同居人の分際で“花嫁”名乗らないで!」

――ドタバタの口論の最中、当のアイオロスは布団の端で真っ赤になりながら小声で。

アイオロス「……どっちでもいいから、頼む、静かに寝かせてくれ……」

……新婚生活、前途多難である。

この物語の着地点は‥‥。

  • 十二宮編までで十分
  • ハーデス編で終わらせて
  • ΩやNDまで続けて欲しい
  • エピソードGの世界線も欲しい
  • 黄金魂とか海皇再起も手を出そう
  • もうつまらない。今すぐ完結
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