聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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海皇軍の海将軍バイアン!

主君を守るため、挑んだのは――ソロ家の採用試験!?

落ちるクリシュナ!
追われるカーサ!
採用先を間違えられるアイザック!

そして、ついに海皇の三叉矛がソロ家へ運び込まれる!

だが、その気配を察知した者がいた!

君は、小宇宙を感じたことがあるか!



海将軍の採用試験! 海皇の矛をお届けします

私の名は海馬のバイアン。海皇軍の海将軍にして、現在はソロ家の執事見習い。

 

……執事見習い。

 

この肩書を得るために、何枚の書類を書いたことか。志望動機、学歴、職歴、資格。顔写真は三か月以内に撮影したもの。海将軍の鱗衣姿では駄目だと言われ、スーツで撮り直した。

 

こんな苦労をする予定ではなかったぞ。

 

元はといえば、シードラゴンからの暗号連絡だ。アスガルドへ潜入した結果、聖域に関して看過できない事実を掴んだという。

 

古代の戦士集団などと思うな。外交と教育を通じ、世界各国の中枢へ食い込んでいる。パライストラの卒業生は各地にいる。覚醒前の海皇様を拘束される恐れがある。先に身辺を固めろ。

 

それは大変だ。では、すぐにお側へ。

そう言って通れる屋敷ではなかった。

 

応募書類を提出してください。選考の結果は後日お知らせします。

 

……はい。

 

逆らうわけにもいかず、募集要項を受け取った。

海皇様のお屋敷へ海将軍が入るために、一般公募。

神の戦士としての忠誠心を書く欄はない。

 

そして他の連中ときたら。

 

 

 

◇

 

 

 

思い出すだけで頭が痛い。特にクリシュナ。面接後に何を話したのか聞いてみれば、堂々と同じ問答を再現してくれた。本人には、どこが悪かったのか見当もつかなかったらしい。

 

「え〜と……クリシュナさんですね。セイロン島のご出身……お若いですね、19歳でいらっしゃいますか」

 

「うむ。今回は、ジュリアン・ソロ様の側近候補として面接に参陣した」

 

参陣するな。応募しろ。

 

募集されているのは執事見習いだ。雑用も給仕も含まれる。それを側近候補と言い切り、椅子の上であぐらを組んでいたというから救いがない。

 

何をしに行ったのだ、お前は。

 

「え、ええと……何か特技や、これまで修められた学問などはございますか?」

 

「槍の扱いを嗜んでいる。また、幼き頃より仏道に深く帰依し、滝行と断食による苛烈な苦行を己に課してきた」

 

「はあ…………」

 

わかる。私も同じ返事になる。

 

槍は屋敷の備品に含まれていないし、客人に断食を勧めるわけにもいかん。せめて忍耐力に自信があると言えば、話の続けようがあっただろう。

 

「そもそも、この物質世界における宇宙の真理とは、迷妄の帳を打ち破りしクンダリーニの覚醒にこそあり――」

 

「お帰りください」

 

そりゃ帰される。

 

あの男にとっては真摯な自己紹介だったのだろうが、給仕を任せられるかどうか、何ひとつ伝わっていないぞ。

 

 

 

 

◇

 

 

 

カーサに至っては、面接の出来を論じる以前の問題だった。

 

「なになに……カーサさん……。ポルトガル出身、21歳……んん?」

 

「はい? どうしたんで? あっしの顔に何かついてやすかい?」

 

「あなた……現地リスボンの警察から、ストリートギャングのリーダーとして国際指名手配されていませんか?」

 

されていたのか。

 

その経歴を持って、なぜ身分証を素直に提出した。人間に調べられるはずがないと高を括っていたのか。大富豪の家で働く人間を採るのだぞ。名前くらい確認するだろう。

 

「あ………いや………その……あれは若気の至りというか、あっしじゃなくて影武者が勝手に……」

 

「警備員を呼んでください!!! 不法侵入者です!!!」

 

「ご……ご、誤解だーーーーッッッ!!!」

 

窓の方で物音がして、警備員が走っていく。私は履歴書の控えから顔を上げず、無関係な応募者のつもりで椅子に座っていた。

 

頼む。私の名前を呼ぶな。逃げるなら一人で逃げろ。

 

あの時ほど、隣に座って話さなくてよかったと思ったことはない。

 

 

 

◇

 

 

 

 

 まだ期待できたのはアイザックだ。礼儀正しいし、受け答えも明瞭。退出してきた時の様子からも、採用の手応えはあった。

 

ただ、本人の顔は晴れなかった。

 

「あの……アイザックさん」

 

「はい。何でしょうか?」

 

「その……お顔の痛々しい傷痕は、どうされたのですか?」

 

「はい……これはシベリア留学中、友人が荒れ狂う極寒の海に落ちた際、彼を救出するために氷海へ飛び込み、氷角に削られて負った傷です」

 

「ほう……友人を救うために氷海へ……」

 

よい。実によい。

 

危機に際して逃げず、人を救うために動ける。身辺に置く人間として、これほど信頼できる話があるか。実際、その傷に関する話を疑う者は少ないだろう。

 

「……やはり、接客を伴う職場において、このような傷は不適切でしたでしょうか?」

 

「!! いえいえ! そのようなことは……まあ、格式高いお茶会などではご令嬢が驚かれるかもしれませんが、まったく問題ありません!……え〜と、経歴書を拝見しますと……おおっ!? あの超エリート育成機関『パライストラ』の卒業生でいらっしゃる!?」

 

「はい! シベリア校の第六期生です」

 

そこで声の調子が変わったそうだ。

 

パライストラ。シードラゴンの報告にあった名前が、こんなところで効いてくるとはな。

語学、国際法、護身術、危機管理。履歴書の学校名ひとつで、何を修めたか見当をつけられる。採用する側にはありがたいのだろう。

 

「アイザックさん!!」

 

「はい」

 

「貴方……ソロ家直属の『特別施設警備兵』に推薦します! 世界各国の要人警護部隊の幹部候補として、当主様の専属護衛チームへ配属いたしましょう!」

 

「え? あ? ……私は、ジュリアン様の執事見習い(側近)を希望して……?」

 

「ご謙遜を……! パライストラの卒業生が皆、極めて優秀な人材であることは重々承知しております! 貴方ほどの手練れなら、いずれ当主様の筆頭護衛官になれますよ!」

 

「あ、……はあ……光栄です……」

 

惜しい。守る相手が違う。

 

ソロ家のためにはなるが、我々の目的は御子息だ。屋敷の警備に仲間を置けたのは収穫として、肝心のお側が空いてしまった。

 

 

 

 

◇

 

 

 

仕方がない。私の出番だ。

 

バンクーバーの名門私立高校を首席で卒業。水泳の全国大会記録。海洋環境保全の論文による国際受賞。コスモポリタンアカデミーへの特待推薦。

 

偽造ではないぞ。全部、私自身の実績だ。

 

こういう時のために勉強してきたわけではないが、積み重ねたものは役に立つ。ソレントにも教養はある。だがあいつは今、北欧で笛を吹くのに忙しい。ここは私が引き受けよう。

 

「本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます。バイアンと申します」

 

袖口よし。襟元よし。笑顔も作りすぎるな。挨拶を終えたら顔を上げ、座るよう勧められるのを待つ。

 

クリシュナ、見ているか。これが面接だ。

 

「バイアンさんですね……むむ……! 実に素晴らしい、非の打ち所がないご経歴を進んでいらっしゃる。バンクーバーの名門校を首席卒業、水泳の全国大会記録保持者、そして海洋環境保全に関する論文での国際受賞……。あの『コスモポリタンアカデミー』からの特待推薦を蹴ってまで、我がソロ家へ来ていただけるのですか?」

 

来た。この質問は想定済みだ。

 

地位や待遇ではなく、ここで働く理由。ソロ家でなければならない理由を伝える。

海皇様にお仕えしたいという本音は、もちろん伏せておく。

 

「はい。私はかねてより、海洋環境の再生と持続可能な経済活動の調和を志して論文を執筆してまいりました。机上の空論ではなく、実際に世界の海運と海洋資源を統括されているソロ家でお仕えすることこそが、地球環境を考える上で最も直接的かつ確実な道であると確信したからです」

 

嘘は言っていない。

 

海をどう扱うか、人間の営みが何を残すか。私なりに真剣に考えて書いた論文だ。

海皇軍にいるからといって、その学びを捨てたわけではない。

 

そして、今の返答なら論文の内容と志望先が結びつく。わざわざ推薦を辞退した理由にもなる。

 

「ふむ……! なるほど……!我がソロ家としても、貴方のような現代的知性を備えた俊英を迎え入れることは、対外的に極めてクリーンで先進的なイメージを打ち出せますな。

……バイアンさん。将来的に我が家を背負って立つ跡取り、ジュリアン様の専属執事見習いとして、次期当主の薫陶役も兼ねて面談を受けてみませんか?」

 

よしっ。

 

顔に出すな。まだ採用が決まったわけではない。喜びすぎるな。次の面談で、ご本人にも気に入っていただく必要がある。

 

「は……はい! 喜んでお受けいたします!」

 

計画通り。

 

その後のジュリアン様との面談も、驚くほど話が合った。お側に置いていただき、こうして直々の命令を受ける立場になったのだ。

 

……その結果が、深夜の遺跡で矛を抱える私というわけか。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

「……回収したは良いが、これからどうする?これを夜陰に乗じてコソコソとジュリアン様の寝室に忍び込ませて枕元に置くか?……いや、そんな怪盗のような真似をすれば、もし屋敷の警備システム(それこそアイザックたちの厳重な見回り)に引っかかった場合、一発で不審者として射殺案件だ」

 

長い。光る。先端が三つに分かれている。

 

どこから見ても武器だ。上着の下に隠せる大きさではない。夜中にこれを持って寝室へ近づく男を見逃すようなら、ソロ家の警備もおしまいだろう。

 

アイザックなら私だと気づく。ただ、周囲に同僚がいたら、何も言わず通すことはできまい。お互いに説明が必要になる。

 

説明。

 

……そうだ。なぜ潜入することばかり考えている。

 

「そうだ……! 私は元より、ジュリアン様から直々に『岬の光を確かめて参れ』と正当な命令を受けてここへ来たのだ。コソコソ隠れる必要など微塵もないではないか!『岬を調査したところ、このような古代の遺物が発光しておりました』と堂々と屋敷に報告し、明日未明、旦那様とジュリアン様の立ち会いのもとで確認させれば良い!その際、ジュリアン様の手で直接触れていただきさえすれば、魂の封印は解け、晴れてポセイドン様としてのご覚醒が完了する!不審者扱いされるリスクもゼロ、私の忠誠心もアピールできて一石二鳥!ふふふ……さすがは私だ。秀才とはこういう時に頭が回るのだよ」

 

ジュリアン様に外出していただく必要もない。お父上の許可を取りつける苦労もない。見つけた物を持ち帰り、調査結果を報告する。それでよかったのだ。

 

危うく、窓から侵入する側になるところだった。カーサを笑えんな。

 

帰り道は足が軽い。持っていることを隠さず、通用口の灯りへ進む。

 

「おや、バイアン様……夜分遅くに。その手に抱えておられる光る槍のようなものは……?」

 

さあ、最初の一人。

 

「うむ。先ほどジュリアン様がバルコニーよりスニオン岬の異変に気づかれ、私の目で確かめて参れと命を受け赴いたのだ。遺跡の深部を調査したところ、このような古代の三叉槍が眠っていた。もしかすると、我がソロ家の領海における世紀の考古学的発見かもしれん。明朝、旦那様とジュリアン様にお目通しいただくゆえ、それまでは私の管理下で厳重に保管しておく」

 

「おお……! 流石はジュリアン様の側近でいらっしゃるバイアン様! 承知いたしました、そのように記録しておきます!」

 

通った。

 

記録にも残る。私の帰着時刻、持ち込んだ品、明朝の報告予定。問われれば、その記録を見せればよい。

 

返礼をして通用口を抜ける。追いかけてくる声はない。靴音が廊下に響く。ようやく頬の力を抜くと、笑いが漏れた。

 

「ふふふ……完璧だ。すべては我が掌の上よ……!」

 

明朝には海皇様がご覚醒なさる。

 

アスガルドにも知らせねばならんな。シードラゴン、そちらの仕事はどうなっている。こちらは首尾よく進んでいるぞ。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

「むっ………! この小宇宙は…………」

 

ポセイドン?

 

眠っているショーコを起こさぬよう、意識を表へ出す。瞼を開くと、天蓋の布が薄く見えた。寝具の中は暖かい。隣にはアイオロス。

 

……よりによって、こんな夜に。

 

気配は一度強まり、屋敷の内側へ移った。海から遠ざかる。我々を狙っている感じではない。さて、何を持ち込んだ。

 

「……むにゃ……ん……どうしたんだ、エリス……? 翔子は寝たのか……?」

 

ああ、起こしてしまった。

 

寝ぼけた声で私の名を呼ぶのは、少々ずるいぞ。ショーコと間違えず、すぐに気づく。

こんなことを喜んでしまうのだから、私も随分と変わったものだ。

 

「あん♡ 我が愛しき夫よ……♡ 起こしてしまって済まない……。だが……何やらこの屋敷の敷地内で、妙におかしな小宇宙が蠢いたような気がして……」

 

「……何? 敵の襲撃か?」

 

眠気のない声になった。首筋へ寄せていた顔を離す。今すぐ寝床を飛び出されると困る。娘のいる屋敷で異変となれば、この男は加減を忘れるからな。

 

「いや……違う。この独特の重苦しい潮の香りと、神威の残響……。間違いなく、ポセイドンの小宇宙だ。……だが、本体ではない。神の器そのものではなく、何かが持ち込まれたような……妙な気配だね」

 

人の小宇宙なら、これほど均一には続かない。敵意の高まりも、こちらを探る動きもない。

 

神器か。

 

それなら納得がいく。持ち主の力を帯びた品を、誰かが運んでいる。ご丁寧に、同じ屋敷へ泊まっている私へ知らせるような強さで。

 

隠すつもりはないのか。それとも、私がいることを知らぬのか。

 

「エリスママぁ〜……」

 

今度はこちらか。

 

扉の隙間から、枕を抱えた娘。シルクのパジャマに、不機嫌な顔。悲鳴も上げず、ノックもせず。襲われた様子ではないが、感知して相談に来た顔にも見えんな。

 

「沙織か。……お前は、今のアレを全く感じなかったのか?腐ってもアテナの魂を持っているんだろう?」

 

「うん、全然? レーダー感度は普通の白銀聖闘士並みなのよ。それよりさぁ……星矢のやつ、何なのよ!?せっかく地中海の超最高級リゾートホテルみたいなスイートルームなのに、『護衛として明日に備えますから、今日はもうお休みください』とか言って、隣の部屋に引きこもっちゃったのよ!!」

 

それより、か。

 

ポセイドンの気配より、婚約者に構ってもらえないことが重大らしい。枕を抱く手に力が入っている。星矢も今夜は気疲れしただろうに。

 

「…………それはそうだろう。あの子は至極真っ当で健全な少年だよ」

 

「バカ! 星矢のバカ! 堅物! もう寝る時間とか誰が決めたのよ!こっちはドレス着て一日中お淑やかなお嬢様やっててストレス爆発しそうなのにさーっ!」

 

何を期待していたのか、だいたい想像はつく。もう少し婚約者らしい時間を過ごしたかったのだろう。

 

そう頼めばよいものを。

口を開けば、バカ、堅物。あの子に向かって同じ調子で怒ったのではあるまいな。

 

「ははは……星矢は立派だよ、沙織。お前を本当に大切に想っている証拠じゃないか」

 

娘の頭へ伸びる手。さっきの鋭い目つきは、すっかり父親のそれになっている。

 

気配は屋敷の中で止まった。力を解放する兆しはない。今から探りに出れば使用人を起こすし、客の立場で寝室を抜け出す理由も要る。

 

朝になれば、相手の顔も見られる。誰が何を持ち込んだか、聞きようもあろう。

 

「やれやれ……。まあ、ポセイドンの小宇宙の件は、今すぐ血を見るような事態にはならなさそうだな。夜明けを待って、明日の朝にでもゆっくり確かめてみようか」

 

「ああ。明日の朝一番で、ソロ家の屋敷を少し探ってみるとしよう」

 

よし。夫の同意も得た。

ショーコにも起きたら話しておこう。知らずに朝食へ行って、目の前で神器を披露されたら驚く。沙織にも、今の会話を少しくらい覚えておいてほしいが。

 

「もういい! 今夜はパパとママの間で寝る!!」

 

聞いていたか、お前。

沙織。星矢に構ってもらえなかったからと、親の寝床を占領する気か。

 

布団が持ち上がり、枕の置き場を要求された。私の隣は夫なのだが。たった今、ようやく静かに休もうと決めたところなのだが。

 

……足が冷たい。そんな足を押しつけるんじゃない。

 

困った娘だ。朝になったら星矢に謝りなさい。

遠くの神気を、もう一度確かめる。動かない。こちらへ近づく者もいない。

 

ポセイドン。何を始めるつもりか知らないが、今夜は大人しくしておくれ。




【アッシュの用語集】

■海馬のバイアン

海皇ポセイドンに仕える海将軍の一人。

今回、ソロ家の執事見習いとして採用された。

名門高校首席卒業、競泳大会記録、国際論文賞。

…………。

普通に優秀じゃないか。

海将軍を引退しても就職先には困らなさそうだな。

■ソロ家の採用試験

世界的大富豪の屋敷で働くための、厳格な選考試験。

履歴書、身元確認、面接。

当たり前の手続きだ。

……神話時代の戦士だからといって、省略されるわけではない。

■クリシュナ

インド洋を守護する海将軍。

槍術と修行に優れた人物。

執事見習いの面接で、宇宙の真理について熱弁したらしい。

…………。

次は面接対策講座を受けような。

■カーサ

リュムナデスの海将軍。

今回、採用面接で国際指名手配の事実が発覚した。

…………。

いや、まず警察へ出頭しろ。

■アイザック

北氷洋を守護する海将軍。

パライストラ・シベリア校の第六期卒業生。

優秀な経歴を評価され、ソロ家の特別施設警備兵に推薦された。

希望していた職種とは違ったらしい。

……まあ、本人の能力が正当に評価されたことは喜ばしい。

■パライストラ

聖域の教育改革によって、現代的な知識と技能を習得できる育成機関となった。

卒業生の社会的評価も高まっているようだ。

いいことだ。

ただ、アイザックはやはり海将軍に…。

…………。

教育に国境はない。

そういうことにしておこう。

■三叉の矛(トリアイナ)

海皇ポセイドンを象徴する神器。

スニオン岬の遺跡に眠っていたが、今回バイアンによって回収された。

ソロ家の屋敷へ正式な手続きを踏んで搬入されたらしい。

……待て。

普通の考古学的発見として持ち込んだのか?

厄介なことにならなければいいが。

■エリスの感知

ポセイドンの神威を帯びた何かが屋敷へ持ち込まれたことを、エリスが察知した。

どうやら翌朝、調べるつもりらしい。

……海皇軍。

相手が眠っているからといって、油断するなよ。
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