聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜 作:斉宮 柴野
友情を確かめに来たという教皇だったが、その胸には奇妙な予感が……。
一方、海皇ジュリアンはアスガルドへ!
極北へ集い始める者たちの思惑。
そして聖域に残されたデスマスクの運命は!?
君は、小宇宙を感じたことがあるか!
「うっ………お、おえええええええっっっ!!!!」
はいはい、髪は押さえてる。慌てなくていい。もう吐くものなんか残っていなさそうなのに、またか……。
濡らしたタオルを手元へ寄せる。背中をさすっている方の手は離せない。
いきなりこんな場面で悪いな。
俺はアッシュ。杯座の白銀聖闘士で、聖域の総参謀長。現代日本から転生して、聖域の組織をいじり回してきた男だ。
その俺が、今朝からやっていることは背中をさすることと、水を用意すること。妻の顔色を見ながら、次は何を持ってこようか考えている。
仕事は休んだ。ローマの実家に帰ってきている。
父親になるんだからな。少しは役に立ちたいんだよ。できれば、こんなに苦しそうな妻を楽にしてやりたい。
「……はぁ、はぁ……。妊娠とは……命を宿すとは、これほどまでに過酷で辛いものなのですか、アッシュ様……」
涙を拭いてやろうとしたところで、指先に小宇宙が触れた。
おい。その出力は何だ。腹に子供がいるんだぞ。
「……なんで小宇宙を限界突破させてんだお前は? ここは戦場じゃないぞ」
「スルトの炎の小宇宙で胃腸を焼き清めれば……少しは楽になるかと思ったのですが……」
「で、どうだ?」
「……ミリも変わりません」
「そりゃそうだろ。悪阻(つわり)は病気でもウイルスでもねえんだから、小宇宙で焼いたってどうにもならん。ほら、冷たい水でも飲め」
消えた。よし。
コップを渡すと、両手で受け取って唇をつけた。少しずつでいい。無理に飲まなくていいからな。
神闘士としては、恐ろしく強い嫁だ。アルベリッヒを鍛え直し、深夜に神々を叩き起こして特訓させるくらい元気だった。
今は水を飲むのも辛そうにしている。
こういう時に何もできないのは、つらいな。
「おいアッシュよー」
「あ! ルカ師匠、フレアの氷枕の替え、ありましたか?」
「いや、それより客だ。連絡もなしにいきなり最高権力者がローマの片田舎に乗り込んでくるんじゃねえっての。心臓に悪いだろ」
最高権力者?
もう嫌な顔が浮かんだ。いや、まさかな。あいつには休暇申請を出した。何のために休んでいるのか、読めばわかるはずだ。
「済まないな。急ぎの用件だったものでな」
いた。
師匠の後ろに、見慣れた顔。上等なコートを着込んで、ずいぶん落ち着いていらっしゃる。
教皇の正装で来なかったのは褒めてやる。それ以外に褒めるところは、今のところない。
「へっ、教皇猊下様は随分と『友情』にお熱いことで。お茶でも淹れてくるよ」
待ってください師匠。茶を出すと居座る。あと、その友情という言葉、妙に強調しないでくれませんか。
「サガ!! お前、なんでここにいるんだよ!? 聖域の執務はどうした!?」
「アッシュ! 無事か!?」
両肩を掴まれた。強い。近い。目が真剣すぎる。
俺の後ろを見ろ。水を持って座り込んでいる嫁がいるだろう。無事を確かめる相手を間違えてるぞ。
「……は? 倒れてるのは俺じゃなくてフレアだぞ。事情は有給申請の電子稟議書に全部書いたはずだが……わざわざギリシャからローマまで飛んでくるような話か?」
「うむ。誤解するなよ? 俺とてお前が構築した電子決裁システムのおかげで、お前が不在でも聖域の日常業務くらいは問題なく回していけるのだ。……だがな、アッシュ。あのアスガルドの視察からこっち、まるまる2ヶ月間も顔を合わせていないのだぞ? そろそろ……な?」
な、じゃねえよ。
何だよ、その声。なぜ潜める。なぜ俺の顔を覗き込む。
仕事が回っているなら結構じゃないか。そのためにシステムを作ったんだ。俺が休んだら何もできません、では困るから。
「ふっ……離れていても心は通じ合っているとはいえ、やはり定期的に、俺たちの友情を確かめ合う時間が必要だろう?」
どうやって確かめるつもりだ。
会って元気かと聞くだけなら、今、済んだぞ。俺は元気だ。寝不足ではあるが、会話も歩行も問題ない。確認終了。帰ってよし。
何だ、その期待するような顔は。遠距離恋愛の恋人に会いに来たんじゃないんだぞ。
「くっ…………。教皇猊下、相変わらずの歪んだ重すぎる愛……。人の夫に何を言い出すのですか……」
フレア、無理に喋らなくていい。気持ちはわかる。俺もわかりたくないくらいわかる。
手を握るな、サガ。聞こえてるだろう、今の。嫁の前で何を始める気だ。
「アッシュよ……積もる話もある。今夜は美味い地酒を酌み交わし、二人でローマの温泉(テルマエ)にでも浸かって背中を流し合おうではないか」
「断る!! 妻がつわりで苦しんで酒も飲めないのに、俺だけ呑気に飲めるわけねえだろ!大体なぁ、なんでお前は隙あらば俺と一緒に風呂に入りたがるんだよ!?」
「いや………その………男同士の裸の付き合いというやつだ。……察しろ、アッシュ」
「察せられるかボケェッ!! なんで男が少女漫画のヒロインみたいに顔を赤らめてやがるんだよ気色悪い!!」
耳が赤い。本当に赤い。
冗談なら、そこは笑ってくれ。照れながら視線を逸らすんじゃない。
「教皇猊下。お戯れはそのくらいにしていただかないと、私が積尸気で貴方を冥界の穴へ叩き落とすことになりますよ」
助かった。もっと言ってやってくれ。
……いや、お前もいるのか。
「エレナ! 首席秘書官のお前まで聖域を留守にして付いてきたのか!?」
「はい、アッシュ。……フレアに一歩先を越されてご懐妊されたと聞きましてね。ぜひとも次は、私とも子作りの計画を立案・決裁していただこうかと馳せ参じました」
黒いタイトスーツで一礼。短い黒髪もきちんと整えて、いつもの秘書官の顔だ。
「…………フレアの次にエレナ、お前まで悪阻で倒れられたら、参謀長室の業務が完全に崩壊して俺が過労死するんだが……」
「ふふ、冗談です。……フレア、容態はいかがですか?」
ようやく、病人を気遣う声が聞けた。
横になれる場所へフレアを運び、手元にタオルと水を置く。背中を支えていた腕を抜く時に、袖を軽く掴まれた。
いるよ。どこにも行かないから、楽な姿勢になってくれ。
「うう…………エレナ……。このままだと、胃が裏返って死にそうです……」
「安心してください。万が一ショック死された場合は、私の『積尸気冥界波』で黄泉比良坂へ先回りし、貴女の魂を物理的に掴んで肉体へ押し戻しますから」
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします」
真顔で頼むな。順番がおかしいだろう。死なせないためにできることを考えようぜ。
……エレナなら本当に迎えに行きそうなのが、また何とも言えない。
◇◇
「……さて、私情はここまでにして。アッシュから事前に調査・警戒を命じられていた、地中海の海商王ソロ家の跡取り――ジュリアン・ソロの16歳のバースデーパーティーの件ですが」
「おお……! そうだった。沙織ちゃん(アテナ)たちグラード財団一家も出席した、あの夜会だな」
そうだ。そっちはどうなった。
ジュリアン・ソロの十六歳の誕生日。俺の知っている話なら、ポセイドンの覚醒に繋がる重要な日だ。思い出したくもない展開がいくつも浮かぶ。
星矢を専属護衛につけた。婚約者と一緒で沙織ちゃんは喜んでいたが、遊びに行かせたわけじゃない。裏にはミスティたちも入れている。
アイオロスもいる。翔子さんの中にはエリスもいる。そう簡単に連れ去られる顔ぶれじゃない。
だからといって、放置していい相手ではないんだよな。
「で、結果はどうだった? ジュリアン・ソロが急に消えたり、局地的な暴風雨や大津波の前兆はあったか?」
「?? いいえ? ジュリアン・ソロ本人は屋敷で至って元気に過ごしているとのことです。怪しげな大雨も、津波の予兆も一切観測されておりません」
……ない?
喜んでいい報告なんだろうな。少なくとも、人が流された話じゃない。沙織ちゃんも無事だ。
じゃあ、ポセイドンはどうした。
誕生日を間違えたか? いや、そこは招待状にも書いてあった。本人が十六歳になったことは確かだ。
もう、俺の知っている順番では進まないのか。
そりゃ、アイオロスは生きているし、沙織ちゃんはギャルになっている。原作通りかと聞かれれば、首を縦には振れん。俺自身、そのために動いてきたんだからな。
海皇の件も、どこかで変わった? それならいい。覚醒そのものが起きないなら、大歓迎だ。
確認はしておこう。
「ジュリアン・ソロの身辺に、不審な強力な小宇宙の持ち主が紛れ込んでいた形跡はなかったのか?」
「現地に潜伏させたミスティからの詳細な暗号報告書によりますと……。まず、ジュリアン・ソロの新たな側近として採用された『バイアン』と名乗る男。これは相当な体術と小宇宙の使い手であるとのこと。さらに、ソロ家の特別施設警備兵として新たに雇用された『アイザック』という青年。彼は我が聖域の『パライストラ・シベリア校』の第六期卒業生ですが、卒業後に一時消息を絶っていたところ、ソロ家に就職していたことが判明しました。ミスティの評価では、バイアン、アイザックの二名とも、一般人としては破格……下手をすれば並の白銀聖闘士に匹敵する小宇宙を秘めている、とのことです」
いたじゃねえか!
バイアン。海馬。アイザック。クラーケン。
二人とも名前を隠す気がないのか。専属側近と施設警備兵って、きっちり本人のそばに入り込んでいるじゃないか。
アイザック……お前、そっちへ行ったのか。
シベリア校も優秀な成績で卒業していた。これなら大丈夫だと思っていたんだぞ。
ちゃんと地上で暮らしていけると。
就職先がソロ家。履歴書で見れば、文句なしの勤め先だろう。親御さんが聞いたら喜ぶ話かもしれん。
俺は喜べない。よりによってポセイドンの依り代の家だ。
小宇宙の評価も、そのまま受け取るのは危ないな。二人が抑えているなら、ミスティに見えている強さがすべてとは限らない。
正面から力を試させるのはやめておこう。監視のために入れたんだ。余計な衝突を起こす必要はない。
「……分かった。引き続きミスティたちにソロ家の監視を継続させろ。何か少しでも不穏な変化があれば即座に報告を――」
「あ、それなのですが。そのジュリアン・ソロ一行ですが、今朝未明、プライベートジェットで地中海を発ち、アスガルドへと向かったとのことです」
「…………は? アスガルド……!?」
「表向きは、現地の産業視察と文化交流とのことですが」
そっち?海底神殿に籠もるんじゃなくて、飛行機で北欧?
何を見に行くんだ。観光業か。あそこの発展ぶりなら、産業視察という名目は十分に通る。海運事業との提携を持ちかけられて、断る理由もなさそうだ。
普通の跡取り息子ならな。偶然の旅行で済ませるのは無理だろう。
ヒルダはどう出る。ドルバルには話が行っているのか。向こうに着いてから急に面会を求められたら、何の準備もなく会うことになるぞ。
聖域への正面攻撃を避けたのか?
こちらの外交関係も、教育機関も、敵にとっては鬱陶しいはずだ。先にアスガルドと手を組めば、北から圧力をかけられる。手を組めなければ、力で押さえるつもりかもしれない。
……考えすぎならいい。
行ってみたら、本当にただの視察だった。そうなったら安心して帰ってこよう。笑い話にされるくらい、どうということはない。
今、何も確かめずに見送る方が怖い。
ベッドへ目を向ける。さっきより少し顔色は落ち着いたが、まだ唇が乾いている。俺の手を見つけて、指先が伸びてきた。
せっかく休みを取ったのにな。
「………フレア」
「……行ってらっしゃいませ、アッシュ様。私なら大丈夫です。我が故郷アスガルドに、不穏な影が迫っているのでしょう?参謀長として……そして我が夫として、かの地を守り抜いてください」
先に言わせてしまった。
行くなと言われた方が、まだ返事を考えられたかもしれん。故郷を頼むと言われたら、もう頷くしかないじゃないか。
「……すまない。つわりが一番辛い時期に、そばにいてやれなくて」
「安心してください、アッシュ。フレアの身の回りの世話は、この私が責任を持ってお引き受けいたします。最高品質の点滴と、栄養学に基づいた特製流動食もすでに手配済みです」
助かる。さっきの冥界行きの相談はともかく、こういう手配を任せられる相手がいるのはありがたい。
師匠もいる。俺が留守にしても、一人にはならない。
なるべく早く戻ろう。見るべきものを見て、必要なことを済ませて。この手を離すのが惜しくなる前に、動かないと。
「頼む、エレナ。……よし、俺は至急アスガルドへ飛んで――」
「よし。ならば、俺も行こう」
お前は帰れ。
何でコートの襟を直してる。出発準備を始めるな。今の話のどこに、教皇がついてくる必要があった。
「おいおいおいおい!! お前は何を言い出すんだサガ!!教皇のお前は大人しく教皇庁に戻って電子決裁の山を捌いてろ!!」
「そう言うな、アッシュ。ここ最近の平和と事務作業の連続で、俺の体もいい加減になまってきていたところなのだ。たまには前線で、骨のある強敵をギャラクシアンエクスプロージョンで粉砕したくてたまらんのだよ」
「お前のその好戦的な暴走癖は相変わらずだな! だいたいお前、3ヶ月前にアイオロスと殴り合いの大立ち回りを演じたばかりだろうが!!」
骨のある相手と戦ってるじゃないか。射手座のアイオロスだぞ。何が不満だ。
そもそも前線になると決まったわけじゃない。確認しに行くんだ。
「……いやな、アッシュ。冗談抜きで……なぜか、行かなければならない気がするのだ。
胸騒ぎがする。アスガルドの地に……奇妙で懐かしい小宇宙の揺らぎを感じるのだ」
「半身……?」
双子座特有の第六感か?
懐かしいと言ったな。誰か知っている相手なのか。さっきの温泉話と違って、照れも笑いもない。
これは、連れていかなくても勝手についてきそうだ。
戦力として頼れることは否定しない。こいつが隣にいるなら、対処できることは増える。増えるが、聖域をどうする。
教皇と総参謀長と首席秘書官が、そろって留守だぞ。
「安心しろ。聖域の留守居役なら、一時的にデスマスクに全権を委任してきたからな」
「デスマスクに任せてきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?!?!?」
仕事を回せると言ったのは、それか!
あいつに何と言って頼んだ。教皇の代理だと、ちゃんと説明したんだろうな。全部やっておけと端末を渡して、逃げてきたんじゃないだろうな。
サガ。その晴れやかな顔は何だ。
俺は今、ちっとも安心できていないぞ。
◇◇
赤い。どの画面も赤い。
未承認。確認待ち。差し戻し。至急。
全部至急にするんじゃねえよ。順番ってもんがあるだろうが。
こっちは通した。こっちは添付が足りねえ。こっちは同じ書類が二つ来てる。
どっちが新しいんだ。日付を見ろ、俺。名前は同じか。更新時刻を見よう。
くそ、習ったな。習ったよ。アッシュ師範に叩き込まれた。だからわかる。
わかっちまうから、放り出せねえ。
俺はデスマスク。蟹座の黄金聖闘士だ。
今朝は、こんな椅子に座る予定じゃなかった。
いい椅子だよ。腰も痛くならねえ。肘掛けも高さを変えられる。机も広い。モニターも何枚も並んでる。
だから何だ。居心地がよけりゃ際限なく働けると思うなよ。
「うおおおおおおおおっっ!!これは……こうで! この予算案はこっちのフォルダにドラッグして……承認印をドラッグ&ドロップ……!クソがぁぁぁぁぁぁっ!! 『最新の家庭用ゲーム機とレアソフトを一式買ってやるから留守番してろ』っていうサガの甘言に釣られるんじゃなかったぜぇぇぇっ!!業務量が半日どころの騒ぎじゃねえぞ!! 手伝えアフロ!! お前も黄金聖闘士だろうがよぉぉぉっ!!」
嬉しかったよ。そりゃ嬉しかったさ。欲しかったんだからな。半日、椅子に座っていればいいなら、安いもんだと思った。
椅子に座るだけじゃねえじゃねえか。
承認を押すと別の確認欄が開く。閉じると通知が増えてる。減らしてるんだぞ、こっちは。なぜ増える。
うっかり予算を通したら、あとで師範に呼び出される。サガに言われました、と答えて済む気がしねえ。
読むしかない。数字も見るしかない。
ああ、そっちのソファが遠い。歩けば数歩なのに、座りに行く暇がない。
「ふむ……。近隣諸国およびグラード財団との外交関係の電報は、美しき私が精査してやろう。……それにしてもデスマスク、タイピングの速度だけは無駄に上がっているな。アッシュ師範のIT研修の賜物か」
美しき私じゃねえよ。
いや、外交文書を読んでくれるなら助かる。
お前に任せた方がいい。そういうのは認める。
速くなった? そうだろうな。遅けりゃ終わらねえからな。
報酬のゲーム機が届いた頃には、ボタンを押す気力も残ってなさそうだ。
また通知。
わかったよ。見てるよ。そんなに音を鳴らさなくていい。教皇猊下宛てって書いてあるんだから、本人のところへ飛んでいけよ。
どこにいるんだ、あの双子座。
帰ってきたら、半日という言葉の意味を確認してやる。ソフト一式で足りると思うなよ。周辺機器もだ。椅子も……いや、こんな仕事用の椅子はいらねえ。
「茶を飲んでねえで書類の一束でも承認しやがれ美人がぁぁぁっ!!くそったれ! 早く帰ってきやがれアッシュ師範!! サガもエレナもいねえ聖域なんて、ただのブラック企業以下の地獄じゃねえかぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
叫んだら、少し喉が痛くなった。
紅茶、俺にも一杯くれ。飲みながらやる。もう、それでいい。
ここを押して、確認して、承認。
よし。一件減った。
……三件増えた。
【アッシュの用語集】
■悪阻(つわり)
妊娠中に生じる吐き気や嘔吐などの症状。
フレアは現在、かなり苦しんでいる。
本人はスルトの炎で焼き清めようとしたらしい。
小宇宙でどうにかなる問題ではない。
俺もできる限り支えるつもりだ。
■教皇サガ
現在の聖域を統べる教皇。
黄金聖闘士としての実力も、統治者としての能力も申し分ない。
ただし。
友情の距離感については、いまだに問題が多い。
二か月会わなかったくらいで、ローマまで押しかけてきやがって。
■双子座の胸騒ぎ
サガがアスガルド方面から感じたという、懐かしい小宇宙の揺らぎ。
どうやら、かなり気になる相手らしい。
双子座の半身……。
俺にも思い当たることはある。
あるんだが。
……嫌な予感がするな。
■ソロ家の監視任務
海運王ソロ家の跡取り、ジュリアン・ソロの動向を警戒するための任務。
現地にはミスティたちを潜伏させている。
バイアン、アイザックという人物の存在も確認された。
■電子決裁システム
聖域の業務改革によって導入した電子的な決裁制度。
申請書を回覧し、担当者が内容を確認して承認する。
本来は業務の効率化が目的だ。
……もちろん、仕事そのものが消えるわけではない。
■教皇代理デスマスク
サガの不在中、一時的に聖域の決裁権を委任された蟹座の黄金聖闘士。
報酬は最新のゲーム機とソフト一式らしい。
ちゃんと書類を読んで判断できるほど成長したのは喜ばしい。
……ただな、サガ。
代理を任せるなら、業務量くらい説明してやれ。