聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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聖域――
そこは千年の伝統が、時に鉄よりも重く、若き闘士たちを縛りつける地。

だが今、杯座の白銀聖闘士・アッシュが立ち上がる!
石のように固まった因習、誰も逆らえなかった旧き掟――
それらすべてに、「令和の知恵」と「小宇宙の情熱」で挑む革命者が現れた!

正義とは何か?
本当に守るべきものは何か?
常識と非常識、伝統と改革、その狭間で交錯する聖域の未来――

迫りくる文官たちの妨害、
はびこる陰湿な噂、
立ちはだかる伝統バリア!

だが、アッシュの瞳は曇らない。
彼の隣には、サガとアイオロスという信頼の仲間たち。
そして、ロドリオ村で生まれた新しい風――
全てを味方に、アッシュは叫ぶ。

「伝統?上等だ! ならば、そのすべてをアップデートしてやる!」

次回――

因習への反逆!アッシュの現代革命(モダン・レボリューション)

伝統を越えろ、革命を起こせ!
君は、小宇宙(コスモ)を感じたことはあるか?



因習への反逆!アッシュの現代革命(モダン・レボリューション)

(アイオロス視点)

 

 

聖域。

 この地は神話の時代から闘士たちが命を賭して守り抜いてきた聖地であり、同時に、厳格な“秩序”によって運営されてきた巨大組織だ。

 僕、射手座のアイオロスは、幼い頃からその空気を嫌というほど味わってきた。

 伝統は、確かに聖闘士たちの誇りだ。けれど――

 時にそれは、何よりも頑強で、融通の利かない“鎖”にもなりうる。

 

 白銀聖闘士・アッシュ。

 彼は、僕やサガより少し年上の友人であり、ロドリオ村の改革者として一躍有名になった人物だ。

 ……だが、その輝かしい功績の陰には、あまりに陰湿な「敵」が存在した。

 

 

 

 それは、神話の怪物や、邪悪な神の眷属などではない。

 ――聖域の“文官たち”だった。

 

 彼らは普段は物腰も柔らかく、教皇シオンの下で黙々と日常業務をこなしている。

 が、その内実は、伝統と前例、そして自分たちの既得権益をなによりも重んじる、“変化を憎む者たち”だった。

 

 アッシュが聖域で目立つようになってからというもの、彼らの“敵意”は日増しに強まっていった。

 

 ――ある日のこと。

 ロドリオ村へ送るはずの医療物資が、なかなか届かない。

 「手続きに不備があったため再提出を――」

 書類の不備など、アッシュがやるはずがない。念には念を入れる几帳面さは、むしろ彼の特技だった。

 だが、文官たちは“書類の不備”や“上役の確認待ち”を言い訳に、物資を延々と倉庫で寝かせる。

 

 村で子どもが熱を出したと聞けば、僕も腹の底から憤った。

 それでもアッシュは、直接怒鳴り込むことなく、静かに、しかし諦めず、毎朝受領印をもらうために列に並び続けた。

 誰よりも強い男なのに、その忍耐は、聖域で一番だったと思う。

 

 

 

 それだけじゃない。

 

 「報告書が見当たりません。再提出をお願いします」

 アッシュの精密な調査報告は、何度も“紛失”された。

 書類の山のどこかに消えた、と言われ、結局は何十枚も何十回も、同じ報告を手書きで書き直していた。

 

 それを文官の一人が仲間とニヤニヤしながら話すのを、僕は偶然耳にした。

 「どこまでやるか試してやろう。きっとそのうちキレて、教皇様に噛みついてくるさ」

 「ええ、そうなれば“秩序を乱す者”として排除できますね」

 

 怒りで拳が震えた。

 聖闘士が外の敵と戦っている間に、内側ではこんな小賢しい策が張り巡らされているのか、と。

 けれど、アッシュは愚痴一つ言わなかった。

 「仕方ないよ、アイオロス。彼らにも彼らなりの正義があるんだ。むしろ、僕が突然“正義の味方”面してやってきたのが、眩しすぎたんだろう」

 

 ――そんな言葉を、どれだけ苦し紛れに笑いながら口にしていたか、僕は知っている。

 

 

 

 極めつけは、陰湿な「噂話」だ。

 「ロドリオ村の白銀聖闘士は、神をも恐れぬ不敬者だ」

 「聖域の規律を破壊する異端者だ」

 そんな根も葉もない流言が、いつの間にか闘士たちの間でもささやかれるようになった。

 

 闘士たちは信じない。けれど、聖域の中枢で働く者たちにとって、“空気”というものは何よりも重たい。

 孤立していくアッシュ――

 サガや僕が励ましても、彼はどこか「壁」を感じていたはずだ。

 

 正義は、必ずしも力では勝ち取れない。

 ましてや、目には見えない“悪意”ほど、恐ろしいものはない。

 

 

 

 だが――

 全ては、「ヘファイストス・ラビュリントス」事件で一変した。

 

 神の遺産たる自動迷宮。歴代の白銀聖闘士も歯が立たなかった怪異を、アッシュは力ではなく知恵と応用力で解決した。その活躍は、村の子どもたちだけでなく、聖域中に知れ渡った。

 

 「聖域を救った英雄」

 「教皇様が直々に称賛した闘士」

 

 その日を境に、文官たちの態度は一変した。

 

 「アッシュ様、いつもお世話になっております」

 「何かございましたら、些細なことでもお申し付けください」

 

 今まで彼の報告書を机の隅に置いていた役人は、椅子から飛び上がって出迎え、物資輸送の担当者はダッシュで村まで届けに行く。

 すり寄ってくる“空気”が、今度は異常なほど心地悪かった。

 

 その変わり身の早さに、僕は、また怒りを覚えた。

 どこまでも“権威”と“実績”に弱いこの組織――それは決して、本物の絆ではない。

 

 

 

 だが、アッシュは少しも驕ることなく、以前と変わらぬ柔らかな微笑みで、みんなに丁寧に接していた。

 村の子どもたちが「アッシュ兄ちゃん!」と駆け寄れば、屈んで目線を合わせて話し、年配の役人が相談を持ちかければ、根気よく耳を傾ける。

 

 「アイオロス、僕は英雄なんかじゃない。ただ、聖域に住むみんなの“普通の幸せ”を守りたいだけなんだよ」

 

 その言葉は、僕の胸に深く刺さった。

 

 英雄とは、戦いで勝つ者ではない。

 自分の信念を、誰よりも静かに、けれど最後まで曲げない者なのだと。

 サガもきっと、同じ思いで彼を見ているに違いない。

 

 聖域に吹く新しい風――

 僕は、友人であるアッシュのそばに、これからも立ち続けたいと、強く願っている。

 

 

 

 

 

 

(サガ視点)

 

 

 俺の名前はサガ。

 双児宮の黄金聖闘士。普段は聖域でも冷静沈着、規律と伝統を愛する、真面目な少年だ――ということになっている。

 

 ……だが、今の俺は正直言って自分でも恐ろしいくらい腹が立っている。

 なぜかって? 文官どもだ。

 アッシュに対する陰湿な妨害、嫌がらせ、根も葉もない中傷。

 ヘファイストス・ラビュリントスの一件で一時は頭を垂れたくせに、今や自分たちの権威を守るため、「聖戦」と称してアッシュの足を引っ張り続けている。

 

 俺は自分でも理性が飛びそうになっていた。

 ――ここまでやられて、どうしてアッシュは黙っているんだ。

 あいつの努力と成果は誰よりも明らかなのに。

 彼らの中傷や卑劣な罠で、どれだけ正しいことが踏みにじられるのを見てきたか。

 

 ふと気づけば、俺の拳は震えていた。

 文官どもの部屋に今すぐ乗り込んで、ギャラクシアンエクスプロージョンで更地にしてやりたかった。

 

 

 

 だが――

 「待て、やめろ!」

 脳内で聞こえるもう一つの声。

 え? 逆じゃないか? と自分で思う。

 

 そうだ、俺の「悪の心」――

 本来は冷酷な行動派、理想のためには手段を選ばない“裏の俺”が、なぜか必死で止めに入ってくる。

 

 「おい善サガ、落ち着け。ここで暴れたら、アッシュもお前も終わりだぞ!」

 「でも許せないんだ! あいつらは自分たちの保身しか考えていない。アッシュを貶めて何になる!」

 「いやいや、分かるけども! 俺たち今、黄金聖闘士だぞ!? ここで騒ぎ起こしたら、完全に文官たちの思うツボだろう!」

 

 冷静な悪サガが、必死の形相(※脳内イメージ)で俺の肩を掴んでいる。

 善サガ(俺)は、もう少しで「悪」になりそうだ。

 

 

 

 「お前は冷静さが取り柄だろ! 感情で暴走するな!」

 「でも、この怒りは止められない!」

 「待て、せめてロジックで攻めろ! 証拠を掴んで叩き潰すとか――ギャラクシアンエクスプロージョンは最後の手段だ! な?」

 

 ……ああ、もう本当に訳が分からない。

 正義感が暴走しそうな“善”を、“悪”が止めているこの異常事態。

 でも、俺は分かっている。

 この「怒り」は、アッシュという友人の努力が無視され、正しさが愚弄されているからこそだ。

 

 そして、“悪サガ”が俺を止めてくれるおかげで、俺はまだ理性を失わずにいられる。

 

 

 ――いつか、この腐った秩序を叩き壊す日が来るかもしれない。

 だが、それはアッシュと共に「本当に意味のある改革」を成し遂げる、その日まで。

 

 今は、闇雲に怒りをぶつけるのではなく、友と肩を並べて戦うために、

 冷静に、冷徹に、この“偽りの正義”を見据えてやる――

 そう、今は心に誓うしかなかった。

 

 

 

 

(アッシュ視点)

 

ロドリオ村の朝は、今日も平和だ。

 村の広場では子供たちがスマホ片手にピカ◯ュウを追いかけ、パン屋のおばちゃんは「アッシュさん、これが“インスタ映え”ってやつですか?」と自慢のクロワッサンの写真を撮っている。

 世界は着実に、僕(アッシュ)の手で“令和基準”に近づきつつあった。

 

 そんな朝、僕はなにげなく自分の杯座(クラテリス)の聖衣を眺めていて、奇妙な違和感に気づいた。

 

 ……おいおい、なんだこのポート。

 

 見慣れない端子が、聖衣の側面――ちょうど肩の縁あたり――にシームレスに融合している。

 しかも、そのデザインが妙に洗練されていて、まるで最新のiPhoneのLightning端子か、はたまたSurface ProのUSB-Cポートのようじゃないか。

 

 (まさか……お前、また勝手にアップデートしたのか!?)

 

 僕は思わず聖衣に向かってツッコミを入れる。

 聖衣は例によってピカピカ点滅して、どうだと言わんばかりにドヤっている。

 うん、絶対に自覚あるなこれ。

 

 

 

 とりあえず、試しに小宇宙をポートに流してみる。

 すると、僕の聖衣のマスク――通称“スマートメット”のバイザー部分に、信じられない光景が映し出された。

 

 Goo〇leのロゴ。

 Twi〇erの鳥。

 You〇beの再生ボタン。

 そして、謎の検索バー。

 

 (これ……もしかして、インターネット……!?)

 

 目の前に一瞬で「世界」が広がる。

 しかも、回線が尋常じゃなく速い。

 たぶんどこかの霊脈を利用して、聖衣が独自の量子通信網を勝手に構築したらしい。

 もはやロドリオ村のADSLどころか、聖域のどんな通信障壁も“意味なし”状態。

 聖域のどこにいようと、Wi-Fiどころか“聖衣-Fi”でサクサクだ。

 

 

 

 ついでに、肩のパーツにも違和感。

 よく見ると、なんか紙を差し込むスリットがあるぞ? しかも“SCAN”と小さく書かれている。

 

 (試しに、文官から送り返された“紛失扱い”の報告書を通してみるか……)

 

 ……ピッ。

 即座に聖衣のバイザーにデータが取り込まれ、ワンクリックで手書き風PDFが生成される。

 さらに右肩パーツからは、「ジジジジジ……」と昔懐かしいドットプリンター音を響かせて、完璧な書類の山が排出された。

 

 (おいおい、どこの複合機だよ君は……)

 

 これで報告書の再提出、何度だろうが一瞬でクリア。

 文官どもがどれだけ「書類が紛失したので再提出を」と騒ごうが、こっちは「はい、百部どうぞ!」とばかりに無限印刷。

 「字体が違う」と言われたら「オリジナルフォント24種類からお選びいただけます」。

 手書きの温もりが欲しい? 聖衣製“アッシュ直筆フォント”で対応可能!

 

 

 

 その日から、僕は報告書や申請書を“デジタル一括管理”で送信。

 物資の申請は自動化、輸送のスケジュールも“聖衣グーグルカレンダー”で管理。

 果ては文官の提出書類に不備があったら、自動でエラーメッセージまで送り返す。

 

 文官「アッシュ様、先日の書類は……」

 僕「既にクラウドにアップしてあります。アクセス権はあなたに発行済みです」

 文官「いや、クラウドって何です?」

 僕「説明会は今夜、ロドリオ村公民館にて。無料Wi-Fi完備です」

 

 もはや文官たちの嫌がらせは、「アナログおじさんの悪あがき」と化していた。

 

 

 

 もちろん、彼らは負けじと新しい嫌がらせを考えてきた。

 「手続きが煩雑なので、三枚綴りのカーボンコピーで提出してください」

 ――わかった、即席で“カーボンコピー再現機能”を実装。

 「筆圧が弱いと認められません」

 ――聖衣に“筆圧モード”追加。ガリガリ音まで再現可能。

 「ハンコを必ず手押しで!」

 ――プリンターから“アッシュ印”スタンプ自動捺印!

 

 最終的には文官たちが「あの若造、何者だ……」と呆然とするしかなかった。

 

 

 

 正直、もう文官たちの嫌がらせは、一顧だにしない。

 彼らが「伝統と格式」を振りかざせば振りかざすほど、僕の“杯座聖衣AI”は勝手に進化していく。

 

 夜、村の屋根で寝転がりながら、聖衣と一緒に星空を見上げる。

 「なあ、君も楽しいだろ? 最先端の聖衣って、こういうことだよな?」

 

 聖衣は、相変わらずピカピカと嬉しそうに点滅していた。

 

 ――ああ、もう“紙とハンコ”には負けない。

 僕と聖衣がいれば、どんな聖域の伝統も“アップデート”できるさ!




サガ「……これ以上、アッシュへの妨害が続くようなら――」

文官A「さ、サガ様……これは聖域の伝統を――」

サガ「伝統を守るのと、陰湿な嫌がらせは別物だ。」

文官B「……わ、我々も職務を――」

サガ「勘違いするな。お前たちの“職務”は、聖域と民を守ることだろう?
自分たちの保身や面子のために、正しい者を貶めるなど――俺は絶対に許さない。」

(沈黙)

サガ「……警告はした。だが、度が過ぎるようなら――」

文官A「……?」

サガ「その時は、俺が“黄金聖闘士”である理由を教えてやる。
お前たちを、生かしてはおけなくなるかもしれないぞ。」

(静寂。文官たち、震えながらうなずく)

サガ「……分かったなら、さっさと仕事に戻れ。」

大きな章ごとに新しい作品として分けて投稿しますか?それとも今まで通り一つの作品として連載し続けますか?

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  • 章ごとに作品を分けてほしい・十二宮編など
  • どちらでも良い/お任せします
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