聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜 作:斉宮 柴野
一方、北欧の主神オーディーンと対峙した海皇ポセイドンが語り始めたのは、現代社会を利用した驚くべき地上支配戦略だった!
海皇の新たな戦略に、オーディーンも興味津々!?
だが、会談が終わったその時。
海皇ジュリアン・ソロは、一人の美しき人魚姫と運命の出会いを果たす!
神々の因縁、すれ違う思惑、そして突然の求愛!
君は、小宇宙を感じたことがあるか!
私の名前は両星響子。グラード財団の幹部にして、製菓会社の社長よ。
会社では売上や新商品の相談を受け、日本を離れれば、神様同士の秘密会談に招かれる。ずいぶん忙しいアラサーになったものね。
いえ、招かれたというのは少し違うかしら。置き引きに遭った可愛い社員を迎えに来たら、こんな席へ座ることになったのよ。
テティスちゃんは無事。恋人もできた。そこは喜ばしいのだけれど。
『はーい! ヴィーナスよ!読者のみんな、私たちのこと覚えてるかな〜?邪神エリス編の決戦からしばらく出番がなかったから、忘れられちゃってないか心配だったのよ〜〜!』
……こら。妙なところへ呼びかけないの。
この賑やかな女神が、私と一緒の身体に暮らしているヴィーナス。アフロディーテとも呼ばれる、オリンポス十二神の一柱よ。
本人の挨拶に任せると話が長くなるから、私から紹介しておくわね。
来賓の席でお茶をいただきながら、正面の様子を眺める。
左には海皇ポセイドン。右には主神オーディーン。どちらも、相手に遠慮する気はなさそうね。
最近、神様が多すぎない?
スーパーの特売じゃないのだから、行く先々で会わなくたっていいでしょうに。
『そうね〜! 日本にはアテナ(沙織ちゃん)もアベルもエリスも揃い踏みなうえに、ここにも二柱も揃っちゃって。……それにしてもポセイドン、神話の時代とちっとも変わらないわね〜』
ヴィーナス。ポセイドンって、昔からあんな感じなの?
海商王の跡取りとして伺っていたジュリアン君の評判とは、ずいぶん違うわ。
神様が表に出ると、ああなるのかしら。
『そうねぇ……ポセイドンの「神の機工」って、大体こんな感じなのよ。
【海最高!!】
【余が海をすべて支配する!!】
【海を汚す不届き者は問答無用で皆殺し!!】
……っていう三つの思考回路だけで、全体の九割以上が構成されているからねぇ』
……随分と簡潔ね。
海を大切にするところは結構よ。環境保全の理念として、最初の一つは申し分ないわ。
では、残りの一割は?
『あとは、ド直球の性欲ね。有名な伝説でも、アテナの神殿の真っ正面でメデューサと堂々とおっぱじめて、アテナを激怒させたエピソードがあるでしょ?』
……あれ、事実なの?
神話の解釈や、後世の創作というわけではなくて?
『いいえ〜! 事実じゃないわ〜!』
そうよね。さすがに、そんな話をそのまま受け取るのは失礼だったわ。
神様の人間関係について、私も詳しいわけではないもの。誤解で責めるのはよくないわね。
『事実はね、メデューサだけじゃなくて近隣の美女を五人くらい誘い込んで、六人乱交パーティーで楽しく大騒ぎしていたのよ。一人くらいならアテナも「まあ神殿の外だし……」って見逃したかもしれないけれど、神聖な神殿の石段で六人は流石にアテナもキレるわよねぇ〜』
安心して損をしたわ。お茶を飲んでいなくて、本当によかった。
男の神様には、ろくなのがいないのね。
『失礼しちゃうわ! キョーコさん! 私だって神様よ! 私は至極マトモで純粋な愛の女神よ!!』
男の神様って言ったのだけれど。
まあ、あなたがフレイ様とのことを応援してくれているのは、わかっているわよ。
遠く離れて暮らすのは、思っていた以上に寂しいものね。連絡が来れば一緒に喜んでくれるし、会う予定が決まれば私より張り切るし。
そこには感謝しているわ。
だから、今は静かに聞きましょう。あちらも、いよいよ本題に入るようだから。
◇◇
「……ポセイドンよ。そもそも貴様はなぜ、それほどまでにアテナに突っかかるのだ?海だけでは飽き足らず、地上までそんなに欲しいというのか?」
アテナ。また別の神の名か。しかも、土地を欲しがって争っているという話らしい。
……なるほど。ようやく繋がったぞ。
ポセイドン教団は、アテナを崇める勢力と対立している。その争いに、北欧の教団を引き込もうとしていたのだな。
待てよ。アイザックの母校、パライストラも、アテナの護国精神を掲げていたはずだ。
理念として聞いていたから、古代ギリシャに由来する教育方針だと理解していたが……無関係ではないのか?
その卒業生が敵対するポセイドン教団に入ったとなれば、向こうからは裏切り者と見られかねん。
いよいよ、二人を置いて帰るわけにはいかなくなった。
とにかく答えよう。アテナはゼウスの娘。ポセイドンから見れば姪だ。
神話上の関係なら、私も知っている。
「ふん。余とて、あの生意気な小娘に無駄な執着をしているわけではない。かつてアッティカの領有権を巡って争って以降……我が海界を軽んじる姪に対し、目上として少々お灸を据えてやろうとしているに過ぎん」
この程度なら、神話の知識で話を合わせられる。
ここで弱気になるな。具体的な攻撃を約束したわけではない。
「ほう……。ならば、何ゆえに我がアスガルドをその私怨に巻き込もうとするのだ?」
……今考えているのだ。
私怨では協力を得られない。あちらにも利益がある話へ変えなくては。
「オーディーンよ。……貴様は知らんのか? この地上の理を」
「……何をだ?」
「歴史は悠久の時を流れ……神々が軽んじてきた矮小なる人間どもも、目覚ましい発展を遂げたということよ」
そうだ。現代の話へ持ち込もう。
話に付き合う必要はない。こちらは商売の勉強をしてきた。相手の教義より、そちらの方が遥かにわかる。
「神話の昔、どれほど遠く離れた者と瞬時に言葉を交わそうとも、それは小宇宙(コスモ)を極限まで研ぎ澄ました強者だけの特権であった」
さっきカリスが念話をしていたというのは、そういう設定なのだろう。
これなら、神の力を否定せずに話を進められる。
「しかし見よ! 現代においては、ただの子供ですら『携帯電話』なる端末を取り出し、地球の真裏にいる人間とリアルタイムで言葉を交わす!神の特権であった万能の権能に、人間どもの知性が追いついた瞬間だ」
「なるほどな。違いねえ。俺もスマホはえらい重宝しているぜ」
神の名を騙ってはいるが、科学技術を拒絶して暮らしているわけではないらしい。
「ええっ!? 持ってるの!? グリム、スマホなんてハイテク機器を!?」
「おおよ。あとで電話番号とメッセージアプリの連絡先、交換しような」
「うん……♡」
その親しげなやり取りが、どうにも気になった。
連絡先も知らなかったのか。それほど長い付き合いではないということか。
いや、今は考えるな。スマホを使うなら、こちらの話を理解する素地はある。
そこを押そう。
「ゆえに! 太古の昔のように、いたずらに大津波を起こして地上を水没させるなど……愚の骨頂よ!神の真の勝利とは、地上の人間どもの経済社会そのものを統括し、掌の上で支配すること!それこそが、最も血を流さず、最も容易に地上を掌握する道であると余は判断したまでだ。現に今の愚民どもは、適正な利益と資金を与えさえすれば、喜んで働くではないか!」
父上に聞かせられない言い方だと思った。
社員を愚民と呼ぶな。働く者には敬意を払えと、何度教わったことか。
だが、ここでは神らしく聞こえる言葉を選ぶ必要がある。
神殿の多湿が嫌なら、アメリカのダークプリズン社製の除湿機を買えばよい。食事に困るなら、まともな職を得て給料を受け取ればよい。
海を持ち上げたり、都市を沈めたりする必要が、どこにある。
◇◇
……なるほど。
セラフィナとして控えながら、私は海皇の言葉を吟味した。
洪水で地上を征服すれば、住民は従うかもしれない。しかし、その後に残るのは荒れた土地と、家を失った人間だ。支配の維持にも手間がかかる。
一方、生活を成り立たせる事業を押さえれば、人間は自分から働く。収入を得て暮らしが豊かになれば、その仕組みを壊すことも望まなくなる。
軍勢を差し向けるより、確実というわけか。
相手の口調は尊大だが、語っている中身は具体的だった。
指示を求めていたこちらとしては、ようやく方針が示されたこと自体、ありがたい。
だが……どうにも腑に落ちん。
侍女が可愛い、寒いのは嫌だと送ってきた神と、今の男が同じなのか。
覚醒すると、こうも変わるものか?
神話では、このような策を好む神だったとは聞いていない。
海商王の知識が、よほど役に立っているのだろうか。
いずれにせよ、次に条件を聞かれるぞ。そこをどう答える、ポセイドン。
◇◇
「で? その人間どもの金勘定の話が、我らと一体何の関係があるのだ? という最初の問いに戻るぞ、ポセイドン」
よし。経済の話には応じたな。
ここからは、アスガルドにも利益があると示す番だ。ヒルダ殿が聖域や日本との関係を大切にしているという話も、先ほどから耳に入っている。
そして、パライストラとグラード財団。
この二つを使えば、辻褄を合わせられる。
「貴様らアスガルドの福祉や公営事業にも、極東の『グラード財団』――すなわちアテナの手の者たちの資本が、深く食い込んでいるのだろう?余は海を治める者として、それが非常に嘆かわしく、見過ごせんのだ。他国の小娘の手先に、自らの地を経済的に明け渡すかのような愚行……貴様ら、悔しくはないのか?」
「……………………」
返事がない。
外していたか? いや、すぐには否定されていない。こちらから余計な説明を足すな。まず提案を言い切ろう。
「余は今、海商王ジュリアン・ソロの肉体を依代として現世に君臨している。このソロ家が誇る財力と海運利権を駆使し、アテナの経済圏に対抗するためには……どうしても陸の拠点が欲しかった。それだけのことよ。……そちらにとっても、決して悪い話ではあるまい?アテナの資本によってインフラの発展はすでに十分。あとは我が海界と手を組み、アテナの支配から『経済的に自立』を果たすだけだ」
「だがよ……それじゃあ、アテナの紐付きから貴様の紐付きに首輪が掛け変わるだけだろうが?」
……まともな疑問だな。
この男、依存先が変わる問題は理解している。
ならば、なおさら話はできるはずだ。
「一度カラクリを理解した上で、対等なビジネスパートナーとして我らと結ぶのだ!同じ手口に二度も引っかかるほど、貴様の率いる民は無能で愚かなのか!?」
怒るか。ここで怒るなら、それ以上煽るのはやめよう。左右には兵士がいるし、こちらの後ろには血気盛んな二人がいる。
男は、喉を鳴らして笑った。
「……へっ、言ってくれるぜ、若造が……。――おい、ヒルダ様よ。今のポセイドンの言い分、どう思う?」
「……アテナたる城戸沙織とは、極めて友好的な間柄にあります。ですが……我がアスガルドが聖域や日本の資本の下風に立ち続ける現状は、独立国家として決して健全とは言えません。一考の余地はあります」
……ん?
アテナたる、城戸沙織。
あの礼儀知らずの山猿娘か?
あれが、敵対教団の頂点にいるというのか。
……確かに、妙な力は見えた。白銀の輝きの奥にも、何かあったように感じた。
だが、それを神の証明として受け取るつもりはない。
私に神の魂があるという話と同じで、強い力を持つ人間を教団が担ぎ上げている可能性がある。
それにしたって、あの娘が。
アイオロス殿や翔子殿も、その件を承知しているのか?
グラード財団の後ろ盾を得た教団というのなら、ソロ家の名前を狙う連中がいるのも頷ける。
資産家の子供を神に仕立てる手口が、あちらにもあるのかもしれん。
……顔に出すな。今、初めて知りましたという顔をしてどうする。
「つまり、余が持ちかけているのは、神々の戦争ではなく『経済戦争』よ!直接的な砲火の被害は出ん。家も街も燃えん。だが、敗れた者は社会的に干上がり、勝った者はすべてを手に入れる。……そのような、戦いへの誘いだよ」
これで、少なくとも武力行使の話は遠ざけられた。
経済戦争といっても、まともに条件を詰めるなら簡単には始まらない。取引先も契約もある。ソロ家の名を使うなら、父上の承認も避けて通れない。
その時間を使って、セラフィナと話す。
私の目的を忘れるな。教団の資金調達に協力しに来たのではないのだぞ。
「……良いだろう。聞く価値を大いに含んだ、極めて面白い提案だな。…………しかし貴様、昔に比べて、随分と頭が回るようになったじゃねえか? そんな策を考えられる頭があったとはな」
……失礼な男だ。帝王学を修めた人間へ、よく言えたものだな。
お前の知っているポセイドンと、私を一緒にするな。
「余を愚弄するか、隻眼の男よ」
「ふふ……愚弄など。素直に褒めているのですよ、ポセイドン」
壁際から、白衣の男が進み出てきた。
……誰だ。当然知っているだろうという態度を取られると、いちいち困るのだが。
睨み返してから、神の演技を続ける。知らない者にへりくだれば、こちらの立場を弱くする。
「そこにいたのか? あまりに存在が矮小すぎて、視界の端にも入らなかったわ。……む? 貴様、名を何と言ったかな?」
眉が動いた。まずかったか。名を聞くために、少々強く言いすぎたかもしれん。
「このロキを相手に、そこまで傲岸に言い放つとは……。ふっ、やはり貴方は貴方だ。まったく変わらない」
こっちも神か。
この教団、幹部同士で何年も役を演じ続けているのではあるまいな。
互いの言葉を訂正する者がいなければ、何を言っても神話の出来事として話が繋がってしまう。
私の無礼な態度も、教義を補強する材料にされている気がするぞ。
「……よっしゃ、今日の会談はここまでだ!ヒルダ様、そのポセイドンの提案の具体的な条件を、実務担当者で詰めさせておけ」
……よし。実務担当者へ回すと、向こうから言った。
ここでセラフィナを希望すればよい。落ち着いて話すためにも、これからの連絡を確実にするためにも、女官へ協力を頼むのは自然なことだ。
「承知いたしました。――セラフィナ、イレーネ。貴女たちも知恵を貸しなさい。我が陣営の精査に入ります」
望みどおりの名が出た。もう一人ついているが、まずは接点ができれば――。
「ならば、海界側の説明役は私が務めましょう。経済と数字の実務は、現場の我々が直接詰めるのが最も迅速でございます」
バイアン……お前が先に出るか。
その働きぶりは、従者として正しい。
話を具体化するために、自分から仕事を引き受けた。褒めるべきなのだろう。
だが、私がセラフィナへ直接話しかける機会がなくなったではないか。
ここで割って入れば、彼女にだけ用事があると周囲に悟られる。
バイアンを下げる理由もない。
焦るな。少なくとも、実務の場には関われる。次の機会を作ればよい。
そう自分へ言い聞かせ、私は会談の席を離れた。
◇◇
ようやく息がつけた。
神のふりを続けるのは、想像以上に疲れる。尊大な言葉を選び、知らない名前に驚かず、怒っている相手へ笑い返す。
私自身の名で話ができれば、もう少し簡単だったはずなのだが。
セラフィナとの接触は先送りになった。だが、武力衝突は起きていない。私も拘束されずに部屋を出られた。
これをまず、屋敷へ知らせておこう。
コートへ手を入れかけたところで、後ろから足音が近づいた。小走りの、軽い音だった。
「…………ジュリアン様……。いえ……海皇ポセイドン様……!」
振り返ると、テティスさんが目の前へ回り込んだ。
そして、床へ膝をつく。……頼むから、やめてくれ。
さっきの演技は、教祖の前でこちらが不利にならないためだ。君に跪いてもらうためではない。私は、ただの十六歳なのだぞ。
こちらを見上げる瞳に、言葉が詰まった。
近くから見ると、一層美しい。白い肌に、淡い光が差している。濡れたような金色の髪が肩へ流れ、澄んだ翠の瞳が私を捉えていた。
先ほども見惚れた。だが、近くで顔を合わせると、何と言えばよいのかわからなくなる。
……落ち着け。
彼女も教団に使われている人間だ。
わかっている。
それなのに、胸の奥が熱い。
声をもう一度聞きたい。さっき壇上で他の男へ向けていた笑顔を、私にも向けてほしい。
「テティスさん。……跪く必要などありません。どうか、立っていただけますか?……これほど美しい貴女に床に跪かれるのは……男として、忍びないのです」
手を差し伸べると、彼女は顔を上げた。
「は…………はい…………」
返事を聞き、その手を取った。
立ち上がるのを待ち、指を離そうとして……離せなかった。
私は、生まれてから欲しいと願ったものを、諦めたことがない。学ぶ必要があれば学び、努力が必要なら続けてきた。
家の力を借りたことも多い。それを恥じるつもりはない。人を助けるために使えるなら、使えばよい。
バイアンも、アイザックも、必ず教団から連れ戻す。
セラフィナにも、安心して働ける場所を用意しよう。
そして、この女性を。
危険な任務へ送り込まれ、神の下から、連れ出したい。
今は怯えているのだろうか。私を見て頬を染め、返事に詰まっている。
神としての威厳など、いらない。彼女の前で演じ続ける必要はない。
自分から膝を折った。大理石の冷たさが膝へ伝わる。彼女の手を持ったまま、その顔を見上げる。
「え……!? ぽ、ポセイドン様が……私に、跪いて……!?」
驚かせてしまった。だが、もう言葉を引っ込める気にはなれなかった。
「――貴女に、恋をしました。……私こそ、貴女という一輪の美しき花に、生涯をかけて跪かせていただきたい」
救い出す。ソロ家へ迎え、これから先の暮らしを共にしたい。
思いつきで誰かへ告げてよい言葉ではないと、教えられてきた。
性急なのは、わかっている。
だが……初めてなのだろうか。
声を聞き、手を取った時から、どうにも懐かしい。どこかの社交の場で会ったという記憶ではない。もっと遠いところで、あったことがあるような気がする。
……また、あの矛に触れてからの感覚か。
「あ…………あぅ…………ジュリアン……様…………っっっ!?」
真っ赤になった顔から、私の名がこぼれた。
ポセイドンではなく、ジュリアン。
それが嬉しくて、私は彼女の手を取ったまま、次の言葉を待っていた。
【アッシュの用語集】
■愛と美の女神ヴィーナス
ギリシャ神話ではアフロディーテと呼ばれる、オリンポス十二神の一柱。
愛、美、情欲などを司る女神だ。
響子さんの身体には、この女神が共存している。
まあ、女神だからといって恋愛の話ばかりしているとは限らない。
限らない、はずだ。
■海皇ポセイドン
海を司るギリシャ神話の大神。
ゼウスとハデスの兄弟で、強大な神威を持つ。
地上の支配権を巡ってアテナと争ってきたことでも知られている。
俺の知る原作でも、極めて危険な敵だった。
ただし、現代社会でどう動くかまで、原作知識で判断するのは危険だな。
■アテナとアッティカ
ギリシャ神話には、アテナとポセイドンが都市の守護権を争ったという伝承がある。
アテナはオリーブの木を、ポセイドンは泉を授けたとされる話が有名だ。
その結果、都市はアテナの名を取ってアテネと呼ばれるようになったという。
……神々の縄張り争いも、ずいぶん昔から続いているんだな。
■経済戦争
軍事力ではなく、資本、貿易、金融、資源などを通じて争うこと。
戦車や軍艦を動かさずに、他国へ大きな影響を与えられる場合もある。
ただし、血が流れないからといって、必ずしも被害が少ないとは限らない。
失業や物価高騰など、人々の生活に深刻な影響が出ることもある。
外交で扱うなら慎重に考えるべきだ。
■グラード財団
城戸家が運営する巨大な財団。
教育、福祉、経済支援など、幅広い分野に関わっている。
聖域との関係も深い。
俺としては、財団の資金をうまく活用して、世界中の人々が暮らしやすくなるなら、それが一番だと思っている。
ただ、資本の影響力が大きいほど、相手の自主性にも配慮しないとな。
■海将軍(ジェネラル)
ポセイドンに仕える七人の最高幹部。
それぞれが強力な小宇宙と鱗衣を持ち、七つの海を守護する。
聖闘士にとっても、決して侮れない強敵だ。
ところで。
海将軍が外交交渉まで担当する時代になったのか?
俺が聖域で事務教育を広めてきたことも、多少は関係しているのかもしれないな。
■マーメイドのテティス
海皇ポセイドンに仕える海闘士。
人魚を象った鱗衣を身に纏う、美しい女性だ。
ジュリアン・ソロとは、原作でも深い縁がある。
それにしても、人魚姫か。
海の神に仕える存在としては、実に象徴的だな。
■神への忠誠と人間の意思
神々に仕える戦士たちにとって、主君への忠誠は非常に大切なものだ。
だが、相手が神だからといって、人間の意思を無視してよいわけじゃない。
まして、恋愛や結婚となればなおさらだ。
俺はそう思う。
まあ、俺自身も家庭と仕事の両立について、まだまだ勉強中なんだけどな。