聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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聖域(サンクチュアリ)に新たな風が吹く――
英雄たちは、まだ幼き少年から頼れる戦士へと、魂を燃やして成長する!

クロワッサン片手に、夢と友情を語り合う日々。
だが、訓練場では星系をも揺るがす激闘が、今日も繰り広げられる――!

新米師範・杯座のアッシュは、
個性豊かな候補生たちを前に、聖闘士の「型」と「魂」を伝えられるのか?
サガ、アイオロスと共に、バグった聖域に教育革命の嵐を巻き起こせ!

次回――
『杯座のアッシュ!英雄たちの成長疾走』

君は、仲間と共に、小宇宙(コスモ)を燃やしたことがあるか――!?


杯座のアッシュ!英雄たちの成長疾走

(アッシュ視点)

 

「聖域バグりすぎ問題」

――たった2年で、少年から英雄へ――

 

僕は、聖域名物のカチカチパン(正式名称:百年保存パン)をかじりながら、しみじみと思っていた。

 

「…なんでこの世界は、みんな成長スピードが異常なんだ?」

 

2年前、僕が聖域に「トイレ革命」を起こした時は、まだ僕もサガもアイオロスも“中身の濃い小学生”くらいだった。それが今じゃ――

 

 

 

朝のロドリオ村。

サガとアイオロスは訓練に励んでいる。

 

二人とも14歳(アッシュ)、13歳(サガ・アイオロス)――なのに雰囲気は完全に“頼れる兄貴と参謀”だ。

 

アイオロスは身長がすでに170を超え、眉目秀麗・筋肉バッキバキ。村のパン屋のおばちゃんは「将来はきっとギリシャ一のイケメン」と目を細める。

サガは相変わらず二重人格(?)だが、その統御も板についてきて、“青サガ”のときは聡明な哲学者、“黒サガ”のときは冷静な切れ者の風格すら感じさせる。

 

一方で僕――14歳のアッシュはというと、身長も地味に伸びたし、筋肉もまあまあついたし、聖衣のアップデート(自動クリーニング・コーヒーメーカー内蔵・USB充電機能)も完璧だ。

ただ…成長の方向性が明らかにみんなと違う気がする。

 

(え?進化のベクトル間違えてない?)

 

 

 

ある日の朝稽古。

僕が目覚めると、すでに二人は新設のグラウンドでスパーリングを始めていた。

 

アイオロス「サガ、もうちょっと全力で来いよ。手加減されるとつまらない」

サガ「ふっ…その言葉、そっくり返すよ。油断すれば君の“雷”に撃ち抜かれるのは僕の方だ」

アイオロス「じゃあ、いくぞ!アトミック――」

サガ「ギャラクシアン――」

アッシュ「ちょっと待ったァ!! 朝ごはんの前に星系を消滅させるな!!!」

 

冗談抜きで、彼らの技は普通に島一つ消し飛ばせる威力だ。

訓練グラウンドはもう5回は再建されている。僕の配管システムの苦労も水の泡。

 

ちなみに、村の子供たち(通称・アッシュ親衛隊)は、そんな二人に大興奮だ。

 

「アイオロス兄ちゃん、今日もかっこいい!」

「サガ兄ちゃん、哲学語録教えて!」

 

…うん、聖域ってたまに異世界転生チートみたいなノリが混じる。

 

 

 

昼――。

新装備の村カフェ(エスプレッソマシン導入済み)で、三人並んで休憩。

 

僕は新作の“クロワッサン・メロンソーダサンド”を頬張っていた。

横を見ると、アイオロスは黒パンとチーズ、サガは(なぜか)ギリシャヨーグルト。

妙に大人っぽい。

 

「…なあ、二人とも。なんか急に老けたっていうか、落ち着きすぎじゃない?俺ら、14とか13だよ?」

 

「“魂の成長”は肉体の年齢に縛られない。それが聖闘士さ」

「アッシュ、君だって小宇宙の高さは黄金並みだろ。見た目や年齢より、精神性だよ」

 

…いや、待て。それを真顔で言うの、普通に怖いから!

 

さらに悪いことに、二人とも最近は「次代の聖域をどう導くか」「聖闘士の倫理観」「現代社会との調和」みたいな難しい話題ばかり語り合う。

 

「私は、革新こそが大切だと思う。ねえ、アッシュ?」

「聖闘士は力だけでなく、心の成長も必要だよね?」

 

「……ま、まあ、うん。とりあえず今夜はゲーム大会で決着つけない?」

 

話題だけ大人、やることはガキ。それが聖闘士の日常。

 

 

 

そして夜――。

今日も会議室に、アッシュプレゼン資料の山が積まれる。

 

「聖域全体へのWi-Fi導入計画」

「防音壁による睡眠環境最適化案」

「クロワッサンの定期補給スケジュール」

「サガの二重人格対策・AI自動監視システム(冗談)」

「アイオロスのための“筋肉強化プロテイン”共同購入プラン」

 

プレゼン中、サガが「また新案か…」と苦笑し、アイオロスが「アッシュ、君はどこへ向かっているんだ?」と心底不思議そうに首をかしげる。

 

(いや、俺も分からんよ)

 

それでも、二人とも最後には必ずこう言ってくれる。

 

サガ「私たちは、君の提案や夢を見る力に何度も助けられてきた」

アイオロス「アッシュの革新精神が、聖域を変えてきたのは事実だ」

 

あれ、なんか本気で照れるなこれ…!

「やめてくれよ…まだ14だぞ、俺」

 

と誤魔化すと、二人は珍しく同時に肩を組んできて、「これからも頼むぞ、相棒!」とイケメン全開で笑うのだ。

 

(…ちょっとだけ、サガとアイオロスに惚れそうだ)

 

 

 

こうして、聖域に新たな時代が訪れつつある。

たとえ魂が“バグって”早熟になっても、笑い合える仲間がいれば、まあ悪くない人生だ。

 

…というわけで、明日も僕はトイレの点検と新しいWi-Fi中継器の設置に走り回るのであった。

 

 

 

 

 

――これは、俺の“教師デビュー戦”である。

 

「……今、なんて言いました?」

 

俺は思わず聞き返していた。

教皇の間。荘厳な玉座の前、サガとアイオロスが両脇に立ち、そして正面に教皇シオン。その口から放たれた一言――

 

「杯座(クラテリス)のアッシュを、次期黄金聖闘士候補生たちの総師範に任命する」

 

――もう一度言う、なんて?

だって今、「総師範」って言ったよね?

一瞬、鼓膜のバグを疑った。

 

「お前が最適だと、私たちも思う」

サガが、珍しく私、という落ち着いた声で肯定した。

「君ほど、十二星座の型を正確に再現できる者はいない。理屈も説明できるし、誰よりも分かりやすく教えられるはずだ」

アイオロスも静かに頷く。「私も賛成だ。アッシュ、君の知識と応用力は黄金級――いや、それ以上だと確信している」

 

……いやいやいやいや、待て。

 

「俺、たしかに教えるのは好きだし、模倣や理屈は得意だけど……でも、教える相手って、黄金候補生だぞ?各国から選ばれた、未来の“英雄”たちだぞ? それ、ハードル高すぎない!?」

 

シオンはふっと笑って言う。「ならば、お前が彼らを“英雄”に仕立て上げよ」

 

――老害、もとい教皇様はやはり話がデカすぎる。

 

 

 

翌週――

俺は、黄金聖闘士候補生を前にして立っていた。

 

総勢二十数名。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米……多国籍・多民族な顔ぶれ。

しかもみんな、やたらと目つきが鋭い。「聖域を担う次代」だと煽られてやってきた精鋭たちだ。

 

「……じゃあ、今日から俺が総師範な。分からないことは、なんでも遠慮なく聞け」

 

……うん、視線が冷たい。

「なぜ黄金聖闘士でもない“イタリア人”が俺たちの師範なんだ?」って目がバシバシ飛んでくる。

 

ま、慣れてる。最初はいつもこんなもんだ。

 

 

 

初回は「型(フォーム)」の講義からだ。

 

俺はまず、聖衣のネットワーク機能で“星座ごとの黄金技”の映像資料用紙を全員に配信する。

 

「ほら、これが射手座の光速拳。これが獅子座のライトニングプラズマ。双子座のアナザーディメンションは空間干渉の応用だ」

 

そして、実演――

俺は一瞬で射手座の“構え”になり、アイオロスに劣らぬフォームで光矢を「再現」。

獅子座の構えに変わり、稲妻のような拳撃を高速で打ち込む。

ついでに、双子座の「次元転移」を応用して教室の机を消した(※再現のスケールは抑えた、念のため)

 

生徒たちの目が「なんだこいつ……」という呆然を通り越し、「ガチだ、こいつ本当に全部できる…!」に変わっていく。

 

俺「どの型も、“意味”が分かれば技術として修得できる。重要なのは“再現性”と“応用力”だ。伝説も、理屈で咀嚼すれば君たちのものになる」

 

初日は、ド肝を抜くのがコツだ。

 

 

 

休憩時間――

生徒たちはワイワイ騒ぎながら、映像を見返し、型を真似しては笑いあっている。

一部の“空気読めない組”は「師範、射手座の奥義をもう一回やってください!」とせがんでくる。

 

俺「分かった分かった。でも、模倣じゃなく“自分の色”を出すのが大事だからな?」

 

このへん、現代の進学校の指導法が役に立つ。

 

アイオロスが陰から見守りながら微笑む。「アッシュは、教えるのも本当に楽しそうだな。私も久々に習いたいくらいだ」

 

サガは冷静な顔で観察しているが、「型」だけでなく「理屈」まで平然と語る俺に、満足そうな小さな笑みを浮かべている。

 

 

 

午後――

応用訓練。生徒の一人が「でも先生、僕たちは自分の“星座”じゃない技も習っていいんですか?」と聞いてきた。

 

俺「もちろんだ。星座は運命の指標だけど、技術は自分の努力でいくらでも拡張できる。俺が証拠だ」

 

サガ(私)は思わず口を挟む。「だが、最終的には“自分の小宇宙”を極めることが肝心だ。アッシュの再現力は特別だが、それを模倣するだけでは黄金にはなれない」

 

俺はすかさず頷く。「そうそう。再現は最初の一歩だ。“そこから先”を見つけるのは君たち自身だからな」

 

やたらカッコつけてるけど、心の中では(このテンション、塾講師バイトしてた頃と同じやん…)と若干冷静に突っ込んでいる。

 

 

 

夕方――

一日の訓練が終わり、サガとアイオロスが残った生徒たちの質問に応じている。

 

アイオロス「皆、素晴らしい努力だった。アッシュ師範を信じて、己の可能性を広げてほしい」

サガ「型を極め、理屈を理解し、そこから“自分だけの技”を見つけてほしい」

 

俺は机に座って、今日の反省をメロンソーダで流し込みながら考える。

 

(いやー、思ったより楽しいな、これ。最初は反発されるかと思ったけど、見せて、話して、やらせて、褒める。……これ、教育の王道じゃん)

 

気づけば、教室の片隅で生徒たちが俺のマネして、メロンソーダ片手に「再現ごっこ」をしている。

 

「これが“杯座流”だ!」

「今日の型、明日も練習しようぜ!」

 

――ん?

…なんか、“杯座のアッシュ道場”みたいになってないか?

 

 

その夜、サガとアイオロスと三人で反省会。

 

サガ「やはり、君に任せて正解だったな」

アイオロス「アッシュ、今日の授業、私も見ていて勉強になった。子供たちも君を完全に信頼していた」

 

俺は少し照れつつも、「まあな。だが、これからが本番だよ。型だけじゃなく、魂まで伝える師匠にならなきゃな」

 

サガがクスリと笑う。「珍しく気負ってるじゃないか。……期待してるぞ、総師範」

 

アイオロス「私も、“先生”アッシュの更なる活躍を楽しみにしているよ」

 

こうして――

“バグった聖域の教育革命”は、今日も俺のメロンソーダと共に、着実に進行していくのであった。




アッシュ「――さあ、今日は本気でいくよ。サガ、俺の“再現”がどこまで通じるか、確かめたい!」

サガ「フッ、面白い。ならば、俺も手加減はしない――ギャラクシアンエクスプロージョンッ!!」

アッシュ「――来た!俺も負けない――ギャラクシアンエクスプロージョン!!」

(銀河が交錯するような大爆発!眩い閃光と衝撃波が、空をも揺るがす――!)

サガ「……!? 全くの互角だと……?」

アッシュ「うわ、本当に止め合った!? ねぇサガ、これ、どっちも“本物”なんじゃ……?」

サガ「……まさか、ここまで再現するとは。アッシュ、君は本当に――驚異だな」

アッシュ「いやいや、そっちの“本家”がヤバいだけでしょ!? ていうか、まだ互角ってことは……これ、あと何発撃てば勝負がつくの?」

サガ「さあな。だが――次は本気でいくぞ」

(ふたり、思わず顔を見合わせ、同時に吹き出して笑う)

アッシュ「……もう、今日は引き分けでいいや!」

サガ「賛成だ。まったく、君には毎度驚かされる」

(夕暮れの聖域に、ふたりの笑い声と、まだ燃える小宇宙だけが響いていた――)

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