聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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彼女の家に招かれた黄金聖闘士・アイオロス。
迎えるのは、武道一家・両星家!
道場に響く拳の音、氷柱を割る美少女、家族総出の“日本流おもてなし”――
果たしてアイオロスは、義父の眼光と“普通”の修行についていけるのか!?

「いやいや、日本の女子高生は、これが普通なのか!?」

恋あり、修行あり、そして山盛りご飯!
待ち受けるのは、愛と根性の“異文化ドタバタ青春劇”――!

次回『恋と修行と家族飯!アイオロス、初めての実家訪問』

……翔子に小宇宙を感じるんだが…。


恋と修行と家族飯!アイオロス、初めての実家訪問

(アイオロス視点)

 

「お邪魔します!」

日本で初めて“彼女の実家”なるものに訪問するこの緊張――

聖域で最強の黄金聖闘士として名を馳せた俺でも、手足が妙にぎこちなくなる。

だが、ここは日本流の礼儀正しさを大切に。玄関先で靴をきちんと揃え、手土産の高級和菓子を両手で差し出し頭を下げる。

 

「ご挨拶が遅れました。城戸アイオロスと申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます!」

 

玄関の奥から、道着姿の堂々たる男が現れる――翔子の父、両星道場の師範その人だ。

一目で分かる、熟達した武道家の風格。その腕、拳、背中の広さ……まるで黄金聖闘士と渡り合うレベルの小宇宙を感じる。

(いや、実際はただの気迫なのだが)

 

だが、表情は険しい。

「……ほう、娘の友人とは聞いていたが、随分と“優男”だな。しかも異国の青年か」

 

(そ、そんなに違和感があるのか!?異文化交流の壁、思ったより分厚い!)

 

「娘は今、修行の真っ最中だ。見ていくがいい」

と案内されるまま、俺は道場の奥へ。

 

そこで目にしたのは――

滝行のごとく冷水を浴びながら静かに瞑想する翔子。

次の瞬間、分厚い氷柱に正拳を打ち込むと「ガシィィィン!」という音とともに、氷柱が一撃で木端微塵。

そして道場中央で目隠しをしながら、次々に突きを繰り出すその姿――まるで武神のようだ。

 

(な、何ということだ……!)

 

思わず、俺は喉を鳴らして息を呑む。

(が日本の女子高生たちは、こうして己を極限まで鍛えるのが普通なのか!?)

 

翔子の父は腕を組んで満足そうに頷く。

「どうだ異国の青年よ。我が道場の稽古は厳しいぞ。娘にも一切容赦はしない」

 

 

(す、すごすぎる!俺もギリシャで子供の頃から血の滲む修行を積んできたが、日本では“女子高生”がこれほどの荒行をこなすのか……!この国の求道精神、恐るべし……!)

 

翔子は稽古を終えて汗だくのまま、はにかんだ笑顔で俺の元へ駆け寄る。

 

「アイオロス君!今日は来てくれて嬉しい!」

 

その瞳の奥に輝く闘志……いや、これは‥‥確かに小宇宙を感じるぞ。

俺はつい直立不動、背筋ピン、声も妙に大きくなる。

 

「し、翔子!その……すごい修行だった!尊敬する!!」

 

翔子は少し照れながら、「いや~、うちはちょっと厳しめだけど、全然普通だよ」と言う。

(やはり、これで普通なのか!)

 

父が一歩前に出る。「ところで、君は何か武道の心得は?」

「え、ええと……まあ、多少は……」

「よし、一手見せてみろ」

 

……しまった。

(俺の“普通”がギリシャの聖闘士レベルだったこと、つい忘れていた!)

 

道場の中央に立ち、構えだけ“和”を意識してみるが――

後ろで翔子が「大丈夫かな」と小声で心配している。

 

(やりすぎはよくない。控えめに、控えめに……)

 

道場の柱に向かって、そっと正拳突き。

「……っ!」

 

“バゴン!!”

あ、あれ!?ちょっとだけ触れただけなのに柱が……ぐらついてる!?

翔子の父が「ほう」と目を細めた。

「なかなか良い筋をしているな。が、まだまだだ」

 

(ほっ……バレてない。よし、これが日本の流儀か……)

 

その後は道場では翔子の妹弟たち(全員小中学生)がバットを素手で折ったり、板を割ったり、二重跳びの縄跳びを1000回続けたりと微笑ましい修行風景を見せてくれた。

 

 

「アイオロス君、ご飯食べていく?」

翔子が笑顔で誘う。

「よろこんで!ぜひ、頂戴したい!」

家族そろっての食卓、茶碗のご飯は山盛り、味噌汁の鍋は直径50センチ。箸を持つ手が震える。

 

(鍛錬、気合、家族愛、飯……日本の家族って、どれも濃すぎる!)

 

食事の途中で翔子がそっと耳打ちする。

「うちの家族、ちょっと変わってるかもだけど……引かないでね」

 

(全然!むしろ最高だ!君の強さも、優しさも、全部尊敬している!)

 

そして帰り際――父が「また来い」と無表情で告げる。

俺は全力で頭を下げて返事する。

 

(俺も男として、もっと精進しなければ……!)

 

 

 

 

 

 

(翔子視点)

 

 

今日はいよいよ、念願のアイオロス君とのデート!

場所はグラード財団が主催する、最新鋭の「水族館×遊園地」テーマパーク――

女子高生の私からしても、非日常感MAXのデートスポットだ。

 

せっかくだから、今日はちょっと頑張って、大人っぽい服装。

(いつも道着や体操着ばっかりじゃ、女として意識してもらえないもん!)

 

思い切ってミニスカートと、肩が少し出るトップスにしてみたら……

「翔子……今日は、その、すごく綺麗だ」と、出会ってすぐにアイオロス君が顔を真っ赤にして固まった。

かわいい。普段は真面目で無表情だけど、こういう反応、最高。

 

それでいて「危なくないか?寒くないか?腕を絡めても大丈夫か?」って、ずっと気遣ってくれる。

私がギュッと腕を絡めると、全身カッチカチで歩いてて、まるで修行中の木彫りの仁王像みたい。

本当にアイオロス君、変わってるなぁ……でも、すごく好き。

 

 

最初に入ったのは、絶叫コースター。

普通なら怖がるはずだけど、私もアイオロス君も、体幹とバランス感覚はバッチリ。

むしろ、「前方宙返りの姿勢を意識すると負担が減るよ」とアドバイスをくれる彼。

 

隣の席のカップルが「ギャアアア!」と絶叫してる中、私とアイオロス君だけ無言でスッと乗り切る。

(みんな、運動神経ないなあ……これくらい、普通だよね?)

 

その次はお化け屋敷。

 

「アイオロス君、こういうの苦手?」

 

「いや。悪霊は、聖闘士として排除するべき対象だから……」

 

(聖闘士ってなに?そういう意味じゃない!)

 

案の定、入ってすぐ。

血まみれのゾンビメイク役者さんが「うらめしや~」と飛び出してきた瞬間――

 

「翔子に仇なす悪霊め!!」

 

アイオロス君の瞳が真剣そのもの。右手を天に掲げ――

 

「アトミック……サンダーボルト!!」

 

本当に稲妻がほとばしる。

私は慌てて後ろから羽交い締め!

 

「待って待って、作り物だから!ここ、エンタメの場所だから!!」

 

アイオロス君はポカンとしつつ、「え、これは……作り物?」

役者さんはその場で腰を抜かし、スタッフが慌てて救護。

 

(まったく、彼って本気で“純粋”なのよね……)

 

 

 

次に向かったのは、射的コーナー。

ぬいぐるみが欲しくて「アイオロス君、あれ取って!」と頼むと、

「任せてくれ!」と、コルク銃を構える彼。

 

周りの男子たちが、弾を外しまくる中――

アイオロス君は、指先にオーラ?を集中させて、百発百中。

的どころか、景品が次々に落ち、気づけば店の棚が全て空に。

 

店主のおじさんが「やめてぇぇ!もうやめてぇぇぇ!」と半泣き。

 

「えっ、これくらい普通じゃ……」

私もアイオロス君も、不思議そうに顔を見合わせる。

 

(なんだか世間のみんなって、やっぱり鍛錬が足りないのかも?)

 

 

 

その後も――

 

・水族館ゾーンの大水槽の前で、アイオロス君がマグロの泳ぎ方を真剣に語り出し、「なるほど、回遊魚も聖闘士も休まず進むのか……」と哲学する。

・絶叫マシンの頂上で、「ここから飛び降りても余裕で着地できるよね」と二人で確認し合う。(スタッフに本気で怒られる)

 

最後に、観覧車。

カゴの中、私が「今日はありがとう」と言うと、アイオロス君はまた真っ赤になって、

「翔子が一緒だと、毎日が本当に楽しい」と真っ直ぐに言ってくれる。

 

たまらず、こっちも顔が熱くなってきて、

「……アイオロス君、好きだよ」と小声で伝えると、

 

「俺も、翔子が……好きだ」

 

――やっぱり、照れてる顔が一番可愛い。

 

 

 

(アイオロス視点)

 

 

デートの帰り道――

夕暮れの街を翔子と二人、手を繋いで歩いていた。今日一日、遊園地と水族館で最高に楽しかった。

彼女は楽しそうに笑い、俺はその横顔を見て、「これが“普通の青春”なんだな」と胸が熱くなる。

 

翔子が前に駆け出して振り返ったその時――

 

「ガシャン!ガラガラッ!」

 

上空から工事現場の足場が崩れ、巨大な鉄骨が落下してくる光景が、スローモーションのように目に入った。

 

(危ない!翔子が下敷きになる――!)

 

反射的に、俺は全身の小宇宙を爆発させた。

 

「翔子、危ない!」

 

彼女を守ろうと、猛ダッシュで駆け寄る――

 

……その瞬間。

 

「わっ!」

 

翔子の叫び声と共に、彼女の身体がふわりと宙を舞った。

 

片足で路上を蹴り、まるでバネ仕掛けの人形のように、しなやかに宙返り。

鉄骨の落下コースを、完璧な伸身宙返りで回避――

次の瞬間、着地もピタリと決まっている。

 

え?

ええ?

 

俺の動きより、速かった……?

 

(な、なんということだ……!今の跳躍、反射速度、空中姿勢――まるで青銅聖闘士並だ!いや、それ以上か!?)

 

翔子は「きゃー、びっくりしたー!」と、ケロッと笑って駆け寄ってきた。

 

俺はその姿に呆然としながら、心の底から思った。

 

(やはり日本の女子高生は凄い。鍛錬の賜物……!驚異的な身体能力……!俺の修行も、まだまだ足りないのかもしれない……!)

 

「翔子、本当にすごい!君は……やっぱり特別だ!」

 

でも翔子は首を傾げて、「え?これくらい、普通じゃない?」と笑う。

 

(……素晴らしい!日本の女子高生の“普通”、恐るべし……!)

 

俺はまた一つ、この国の奥深さを知った――。

 

 

 

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