聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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三者面談――だが相手は教師でも親でもない。
片や白銀聖闘士、片や射手座の黄金、そして、真ん中に鎮座するは不和と戦の女神!
聖衣がきしむ沈黙、矢の切っ先が刺す緊張、女神の微笑みは試練か慈愛か!?
次回――「三者面談は女神付き」
その面談、平穏無事に終わるはずがない!




幕間~日常は笑いとともに~
三者面談は女神付き


(翔子視点)

 

 

 戦いは終わって、私は大学生、アイオロス君は高校生。はい、日常カムバック。……のはずだったんだけど、朝からホームドラマの方向性が迷子。

 

 城戸邸のダイニング。私はトーストをかじりながら課題の締切を数えてたんだけど、背後にスッ……と影が二つ。黒い燕尾服の執事(=オルフェウス)と、七三分けのスーツ(=ヤン)が同時に気配ゼロで出現。床がきしむ音すら出さないの何なの。

 

「…おはよう。二人とも、そんなところに立ってないで朝ごはん食べなよ」

 

 オルフェウスは優雅に一礼。いや優雅すぎてテーブルのカトラリーが恥ずかしがってる。

 

「いえ、我らは翔子様(とエリス様)の守護者。主君より先に食事を取るなど、ありえません」

 

「このヤン、生涯をかけてお二人をお守りすると誓いましたので」

 

 同時にスッ。傅く角度ぴったり同じ。双子か。光政さんが「戸籍も作っておいたぞ」って達成感の笑み。そこじゃない。私、今日の課題より前にパン食べたいだけだよ。

 

(こういうの、本当に苦手なんだけど…!)

『フン、当然の忠誠ではないか。もっと威厳を持て、ショーコ! まずは“臣下”と言わせてから朝食だ』

(朝の臣下はいらない)

 

 この日から、私の奇妙な日常が始まった。

 

 まず再就職問題。二人とも“元・伝説の聖闘士”って職歴が尖りすぎてるのに、光政さんのフットワークと謎人脈で、秒で仕事が決まった。さすがグラード財団、マジでなんでもある。

 

 

 

 数日後、大学の友だちとカフェ。話題は今一番バズってるホストクラブ「ヴァルハラ」。No.1ホスト〝フレイ〟の話でテーブルが沸騰。

 

「もう、フレイ様、本当に神みたいに美しいの! 昨夜も『今宵、君という名の神話に、我が魂を捧げよう』って…!」

「雑誌の特集見た? これこれ!」

 

 差し出されたページ。薔薇を咥え、目で契約を取りにくる系の微笑み。……うちの同居人。はいオルフェウス。はい“フレイ”。はい薔薇。ページ閉じていい?

 

「……」

「翔子、どうしたの? ……って、この人、翔子の知り合い!?」

「……うん、まあ……うちによく来る竪。琴のセールスマン……みたいな?」

 

(嘘だ! 琴で客席落とす人見たことない! ていうか私の友だち、あの台詞にハマってんの!? なんか、いや!)

 

『落ち着け。嫉妬は良い燃料だ』

 

(燃やすな)

 

 帰宅即・事情聴取。玄関で靴を揃える執事が“夜の蝶”のNo.1に早替わりできるの、どういう世界線。

 

「オルフェウス。あなた、ホスト?」

「守護者、であり接客業。敵勢力の情報収集のための潜入……が、いつの間にか売上目標が設定されまして」

 

「誰が設定したの」

「店長です。『お前、天職だわ』と」

「否定しなかったの?」

「仕事は選びません。主君を守るためなら」

 

 すごい真顔で言うな。正しいけど心がざわつく。ちょうどそこに、制服のアイオロス君が帰宅。玄関で二度見三度見。

 

「オルフェウス、その薔薇は何だ」

「営業用です」

「営業用?」

 

「はい。『今宵、君という名の神話に、我が魂を――』」

「言うな! ここで言うな!」

 

 エリスが爆笑してる。やめて。

 

『ショーコ、主の前で披露させてやれ。芸の確認だ』

 

(芸じゃない)

 

 そしてヤン。彼は「普通の会社員になりました」って爽やかに報告してきた。ほんとに? この人、戦場の蹴りで隕石壊すレベルだよ?

 

「毎朝、満員電車に乗るのが修行です。私は揺れに合わせて重心を移動し、周囲の方を守ります」

「いや周囲の人、あなたに守られたら驚くから」

「営業先では『御社の盾となります!』が決め台詞でして。大変、受注率が高いです」

「そりゃそうだよ。盾って言われて嫌な会社ないよ」

 

 名刺には――“総合防御ソリューション営業”。肩書きから強い。商談の後、クライアントの要望で“ボーン・クラッシュ・スクリュー”の回し蹴りデモやらされたって聞いて、普通を通り越して非日常が混じってるの気づいて?

 

 

 

 

 平日。私は大学、アイオロス君は高校。朝の玄関、靴の列にビジネス靴とタキシード靴が混ざってる違和感をスルーしつつ、それぞれ出発。昼休み、メッセが飛んでくる。

 

アイオロス〈今日、購買で揚げパン二本確保。帰り道で渡す〉

私〈神〉

エリス〈主語は“神”ではなく“女神”にせよ〉

私〈はいはい〉

 

 放課後。学校前の道で待ってると、オルフェウスがさりげなく電柱の影に立っている。執事服で電柱、情報量。

 

「護衛です」

「ここ校門前。護衛いらない」

「主君の安全は、場所で変動しません」

「じゃあせめて、雑誌の切り抜き持って来ないで。友だちに見つかったら地獄」

 

 彼は素直にファイルを引っ込めた……と思ったら、今度は遠くに女子高生の行列ができてる。看板に“本日フレイ様アフター満席”。いや、ここ校門だってば。

 

「いやいやいや、仕事は?」

「今日は非番。ファンサービスの見学です」

「ファンサービスの見学って何」

 

 そこへヤンも現れる。七三分けで資料バッグ。やっぱり校門。

 

「偶然です。近くに取引先が」

「偶然が渋滞してる」

 

 アイオロス君が来る。人だかりを見て、ちょっと眉が動く。はい、分かるよ、その微妙な表情。安堵と警戒のミックスね。

 

神を器に残してる事情、彼はプロだから絶対忘れてない。ありがたいけど、今はとりあえず揚げパンを受け取ってほしい。

 

「翔子、これ。二本」

「ありがとう。一本あげる」

「いや、翔子が食べろ」

「じゃあ半分こ」

 

 半分こした瞬間、背後から歓声。「尊い!」って声、誰。オルフェウス、いつの間にかステージ照明みたいな微妙な角度で光を反射させるのやめなさい。学内がライブ会場になるから。

 

『よいぞショーコ。恋は見せつけていけ』

(うるさい)

 

 

 

 夜。城戸邸“同居人会議”

 

議題「うちの常識を刷新する」

 

議長=私。副議長=エリス(勝手に就任)

出席=私、エリス、アイオロス君、オルフェウス、ヤン、そしてたまたま通りかかった光政さん。

 

「まず第一条。トーストは座って食べる。背後で傅かない」

「異議なし」

「異議なし(即答)」

「……了解しました」

 

「第二条。校門前で職場のファンミを開催しない」

「異議……はい、無しです」

「渋谷でやります」

「やらなくていい」

 

「第三条。契約獲得の決め台詞『御社の盾となります!』は社外での大声使用禁止」

「……小声対応に切り替えます」

「あとデモで壁を蹴らない。壁は会社の資産」

「はい。代わりにクッションにします」

「クッションも資産」

 

「第四条。デート中に護衛は三歩下がる。薔薇を咥えて割り込まない」

「……承知」

「……かしこまりました」

 

 エリスが手を挙げる。はい議長、何でしょう。

 

『第五条。ショーコは威厳を持つ。家臣は“臣下”と呼ぶ』

「採決前に却下」

『独裁だ!』

「議長特権!」

 

 光政さんが「では新様式“同居人連名提出書”を用意しておこう」とか言ってる。やめて、役所に提出しないから。

 

 

 

 翌日。私は講義、ヤンは営業、オルフェウスは謎の接客トレーニング。昼にヤンから写真が送られてきた。満員電車で周囲を守るために“盾の型”を披露してたら、乗客に自然に輪ができて“朝の稽古サークル”が発足したらしい。都心の朝に新しい文化つくらないで。

 

 夕方、カフェで課題をしてると、友人AとBが駆け込んでくる。

 

「翔子! ヴァルハラのフレイ様、チャリティーイベントで子猫保護してたって!」

「あと、No.2の『ティール』って人もすごいんだって! “御社の盾”って言うの!」

「それヤン!」

 

 思わず卓を叩いた。Bがビクッとする。ごめん。でも私の周囲、元・伝説勢が着々と市民権を得ていくの、心が追いつかない。

 

 帰宅すると、リビングでオルフェウスが紅茶を淹れ、ヤンが経費精算。経費の科目に“薔薇(販促物)”“クッション(防御用)”とある。私の財務の常識が泣いてる。

 

「二人とも、その仕事、楽しい?」

「ええ。人が喜ぶ顔は、戦で見た勝利とは違う種類で、悪くない」

「はい。契約とは、守る約束。言葉で盾を作るのは、気持ちが引き締まります」

 

 ……まっすぐだなあ。まっすぐすぎて、笑っちゃうし、ちょっと泣きそうにもなる。

 

『ショーコ。誇っていい』

(うん)

 

 

 

 土曜。道場で軽く汗を流してから、アイオロス君と商店街へ。屋台のコロッケ、最高。ベンチで一個ずつ食べてたら、向かいのビルの屋上からシャボン玉が降ってきて、逆光でキラキラ――って、浸ってたら背後でシャッター音。オルフェウス、やめろ。現像するな。フォトブックを作るな。タイトル“君という名の商店街”。やめろ。

 

「アイオロス君、こういうの、慣れてきた?」

「慣れたとは言えないが……守る範囲が増えただけだ。翔子を、そして翔子の普通も守る」

 言い方がズルい。心臓が忙しい。隣でエリスが“合格”って言った気がする。誰の試験。

 

『合格だ』

(何の)

 

 

 

 夜。寝る前、ベッドで天井を見ながら、今日を振り返る。日常って、静かじゃなくても日常なんだな。トーストの後ろに執事と会社員が立ってても、校門でNo.1が待ってても、満員電車で盾が量産されてても、私たちが笑って帰ってくるなら、それで日常なんだ。

 

『ショーコ』

(なに)

『お前、よくやってる』

(……ありがと)

 

 スマホが震える。メッセが三つ同時に着信。

差出人:オルフェウス「明朝、ご朝食に“薔薇ジャム”をご提案」

ヤン「明朝、“盾になるヨーグルト”を調達」

アイオロス君「明朝、揚げパン二本」。

 

(うん、我が家の朝は強い)

 

 というわけで、我が家の常識は世間の非常識。けど、非常識が常識になっていく過程って、案外、悪くない。……ただし、トーストは座って食べさせてください。本当に。お願いします。

 

 

 

 

 そんなこんなでストレスが溜まる中、アイオロス君とのデートが唯一の癒やし。でも、世間の目はちょっとだけ痛い。

 

通行人A「え、あのカップル、彼女の方が年上じゃない?」

通行人B「最近の若い男の子は、年上に甘えたいのかしらねぇ」

 

(聞こえてますけどー!一歳しか違わないんですけどー!)

 

『何を気にする、ショーコ! 神の器たるお前と、英雄の血を引くあの男だぞ! 年齢など、宇宙の歴史から見れば誤差だ!』

(普段そう言うくせに、口出しは細かいよね?)

 

 その証拠に、夕焼けの公園。ベンチで手をつないで、いい雰囲気のやつ。アイオロス君が真剣な顔で「翔子……」って言った、その瞬間。

 

『ショーコ! 今だ! ここで女の涙だ! 男はか弱い女に弱い!』

(泣く場面じゃない!)

 

『ならば上目遣いで庇護欲を煽れ! さあ、早く!』

(だからそういう雰囲気じゃないって!)

 

 内側で取っ組み合いしてると、外の顔が「笑顔→真顔→怒り顔」の三連コンボ。結果、彼の眉が悲しい形になる。

 

「翔子……? 大丈夫か? 顔色が、めまぐるしく変わっているが」

 

(ごめん、今、脳内が三車線で渋滞してる)

『中央分離帯は我がいただく!』

(返して)

 

 とどめはコレで来た。エリスが実力行使。口を乗っ取って大声。

 

「アイオロス! 貴様、煮え切らないぞ! いつになったらこの娘を本当の意味で“女”にするのだ!」

 

「えっ!? えっ!?」

(ストーップ!! 私じゃない、今の私じゃない!!)

 

 もう誤魔化せない。私は観念して全部話した。女神エリスもアイオロス君が好きっぽいこと。

 

 彼は真顔でうなずいて、私の両肩をつかんだ。手があたたかい。

 

「そうだったのか。翔子、辛かっただろう。エリスも、永い封印で人の愛に飢えているのかもしれない。よし、わかった!」

 

 そして、迷いゼロの顔で宣言。

 

「これからは三人で話し合おう。翔子も、エリスも、そして俺も、三人が幸せになれる方法を!」

 

 ――というわけで、私たちのデートは“恋愛カウンセリング三者面談”になった。ここからが地獄。いや、ある意味天国? いややっぱ地獄よりの天国。

 

 

 

 

 

 

 

◆第一回 三者面談 in 公園

 場所:ベンチ。参加者:私、エリス、アイオロス。議題:スキンシップの段階表。

「まず、手。次に肩。次に――」

『次は唇だ!』

「いきなりフルスロットルやめて。段階の概念を覚えて?」

「段階は大事だ。訓練も段階を踏む」

『では第三段階“ほっぺ”。第四段階“おでこ”。第五段階“勝利の――”』

「そこで勝利を出さない」

 

 面談を締めた直後、犬の散歩のおばさんに「青春ね~」って拍手された。違う意味で青春です。

 

◆第二回 三者面談 in 図書館

 静かにする場所でやる内容ではないけど、雨だったから仕方ない。議題:発言権の順番。砂時計を置いたら、エリスが秒で学習し、砂が落ち切る瞬間に「異議あり!」と割り込む技を開発。やめて。

『ルールは守る。が、ルールの縁は攻める』

「それ、反省してるって言える?」

「ではタイマーを使おう。音が鳴る」

『その音、我が止める』

「チート禁止!」

 

 司書さんに「受験生は静かにね」と注意され、三者で頭を下げた。受験じゃないけど静かにします。

 

◆第三回 三者面談 in 商店街

 議題:外食時の“護衛とデートの両立”。結果、ヤンが三歩後ろで盾、オルフェウスが四歩横で薔薇。絵面が濃い。串カツ屋の大将が「撮影?」と聞いてきたので、「心の映画です」と答えた。自分でも意味不明。

 

『ショーコ、串のソースは二度づけ禁止だ。衛生のためだ』

(常識は知ってる)

『常識を守るお前、かわいいな』

(そこで急に甘やかすのやめて)

 

◆第四回 三者面談 in 映画館

議題:暗所での干渉ルール。結果、ハンドサインを制定。「親指=続行」「人差し指=中断」「小指=アイス買ってきて」。……小指が一番使われた。アイスは平和。

 

「翔子、手、握っていいか?」

「うん」

『よろしい、では反対側は我が握る』

(両手ふさがるからポップコーン食べられない!)

 

 鑑賞後、出てきた途端、オルフェウスが「本日のアンコールを!」と薔薇を出してくるので、映画館のスタッフさんに止められた。助かった。

 

◆第五回 三者面談 in 神社

 議題:将来の話。ここは慎重にいきたい。

「俺は焦らない。翔子が決めるペースで」

『我は焦る。時間は神にも平等ではない』

「それは分かるけど、今は学生だからね?」

『では暫定合意。“合図二回で主導権交代”。緊急時は我が割り込む』

「緊急時ってどこから?」

『心が震えたら』

「広い!」

 

 賽銭を入れて、三人で願い事。中身は秘密。でも多分、方向性は似てる。

 

◆第六回 三者面談 in 家

 議題:親への説明。光政さんは「ほう、三者連名か。書式つくろう」と目を輝かせた。何の申請? AI端末が勝手にフォームを増やして「恋愛合意書(試作)」が生成されたのは誰の仕業。杯座?

 

 あと、家の朝。いまだにオルフェウスとヤンが背後で直立する。私は言った。「せめて座って食べて」。二人は同時に「しかし主君より先には」と言いかけて、アイオロス君の「座れ」の一言で同時着席。強い。彼、家庭内の指揮権をいつの間に取得したの。

 

◆番外編 街角の声対策

 通行人の「年上彼女ね~」に対抗するため、私たちは“同い年風プロトコル”を策定。アイオロス君が大学生風の私服、私は高校生風のざっくりカーデ。結果、逆に怪しまれた。やめた。

 

 ちなみに、校門前の女子たちの視線はまだ痛い。オルフェウスのせい。あとヤンが朝の駅で“盾の型”講座を始めたせいで、「翔子さんの彼氏、護られ力が高い」って謎の噂まで立った。護られ力って何。

 

◆そして、事件はまた公園で

 夕陽。ベンチ。風。彼が小さく息を吸って、私の名を呼ぶ。「翔子」

「なに?」

「……好きだ」

 はい出ました。世界が一瞬静かになるやつ。心臓が忙しい。

 

『よし、涙!』

(違うって!)

『では上目遣い!』

(違う!)

「翔子?」

「……私も、好き」

 言えた。ちゃんと自分の声で。エリスが中で少し黙って、それから小さく拍手した気がした。

 

『合格』

(だから何の)

 

 手を握る。今度は顔、変わらない。三者面談、地味に効いてる。慣れって大事。

 

 ……その瞬間、茂みから「尊い!」の声。オルフェウス、薔薇をしまえ。ヤン、拍手をやめて。アイオロス君がため息、でも笑ってる。

 

「賑やかなのも、悪くないな」

「うん。……まあ、たまには静かなのも欲しいけど」

『了解。静寂の確保、我が交渉しよう』

(相手だれ)

 

 帰り道、三人で今日の反省会。私は言う。「次は“割り込み禁止タイム”を作ろう。二十分だけ」

『十五分でどうだ』

「二十分」

『十七分』

「二十分」

『……十八分』

「二十分」

『……よかろう。二十分』

 交渉成立。勝った。たぶん。

 

 家に着くと、光政さんがにっこり。「夕食は三者連名メニューだ。揚げパンと薔薇ジャムと盾型ハンバーグ」

「盾型って何」

「食べれば分かる」

 

 いただきます。たぶん、こうやって笑ってるうちは大丈夫。平穏はどこにもないけど、うるさい幸せは、ちょっと気に入ってる。

 

(でも本音を言うと――たまにでいいから、二人きりのキス、ください)

『議題として次回に』

(今じゃない!)

「今じゃない!」

 

 私と、女神と、英雄。三人で、今日も歩く。たぶん明日も、揉めて、笑って、また決める。そういう毎日。

 

◆おまけ回 三者面談 in ゲーセン

 議題:写真問題。プリクラで記念撮影、のはずが、出来上がりの全員の瞳がキラーンと発光。機械のせいじゃなくて小宇宙のせい。店員さんが「最近のAI補正すごいですね」って笑った。違います。あと、落書きペンで“翔子♡アイオロス♡エリス”って三つ並べたら、知らない女子高生が「関係が最新」とメモ取っていった。最新って何。

 

◆連絡網の地獄

 グループ名は『三者恋愛会議』。アイコンは謎に金色。議事録は杯座のAIが自動作成。便利だけど、要約が妙に戦略会議っぽい。「第七議題:校門前における手つなぎ作戦。効果:高。リスク:オルフェウス露出」って出るのやめて。返信スタンプはエリスが気に入りすぎて連打。「てへっ」スタンプが画面を埋める。やめて。

 

◆“親子に見える問題”

 休日、スーパー。背後で「お父さん、買い物上手~」って子どもが言うのと同時に、通りすがりの人が私たちを見て「年の差カップルね」と囁く。だから一歳差。しかも彼、制服。誰が父だ。アイオロス君が小声で「父ではない」と真顔で否定して、余計に笑われた。かわいいけど悔しい。

 

◆絵馬の追記

 後日、神社に行ったら、絵馬が一枚増えてた。筆跡は達筆。『等々力翔子とエリスとアイオロス、三者にそれぞれ相応しき試練と、それを越える知恵を。――争いの女神より』って書いてあって、巫女さんが「この“女神”の漢字、バランスが完璧」と褒めてた。そこ?

 

 ……ね、やっぱり平穏はどこにもない。でも、全部まとめて私の生活。今日も明日も、三人で“普通”の新記録を更新していく。

 

◆実証実験:割り込み禁止タイム

 初回、二十分のはずが、四分で玄関チャイム→宅配→オルフェウスが代金を“薔薇で支払い”しようとして揉める→ヤンが“盾型ダンボール”で受け取り、カメラ付きインターホンに私たちの三者面談が全国配信されそうになる。以後、宅配時間は避けることを決議。

 

 それでもね、結論。デートの邪魔者は女神です――でも、味方も女神です。矛盾してるけど、私の恋。

 




翔子「……ねえ、なんであんたスーツ着てるの?」

オルフェウス「おや、気づきましたか翔子さん。これ、ホスト用の勝負服です」

翔子「ホスト!? あんた聖闘士やめたの!?」

オルフェウス「いえいえ。昼は聖闘士、夜はホスト――二刀流です」

翔子「二刀流ってそういう意味じゃないから!」

オルフェウス「女神付き同居人のあなたがいるなら、こちらも客層を女神級に合わせないと」

翔子「なんか口説き文句が寒いんですけど!?」

オルフェウス「失礼な。今日の同伴、翔子さんで予約入れておきますね」

翔子「絶対行かないから!」

十二宮編の最後は誰と誰の対決に?

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