聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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アッシュ「で、次回予告は?」

エレナ「……ジャンル違いでしょう、アッシュ様」

アッシュ「え、でも俺らの出番だし」

エレナ「ギャグ回で星矢節全開は不協和音です。視聴者が脳を落とします」

アッシュ「そんな理屈で予告カットかよ……!」

エレナ「落ち着いてください、あなたは次回の笑い担当です」

アッシュ「それはそれで重責なんだが!?」


裸聖衣三者面談

(アッシュ視点)

 

 

 聖域の参謀長執務室。机の上は報告書のタワー、背後の壁は作戦図ギャラリー。俺は秘密の通信回線を起動し、日本の城戸邸にいるアイオロスと翔子へ接続した。

目的はエリス事件の顛末報告。……のはずが、モニターに映ったのは夕焼け色のカップル。

背景がやたら柔らかい。誰がこの回線を恋バナ用にした。

 

「……なるほどな。オルフェウスとヤンについては、こちらで白銀聖闘士への復帰を特例許可する。聖衣が彼らを選んだのなら、俺が口を出すことじゃない。返却は不要だ」

 

「恩に着る、アッシュ! 二人も喜ぶだろう!」

 満面の笑み。画面越しでも眩しい。青春、可視光線で殴ってくるのやめてくれ。

 

「それより、翔子さんの体調は? 女神と同居は前代未聞だ」

 

「問題ないよ!」と、翔子が前のめり。隣でアイオロスが頷く。

「昨夜も翔子が俺のために――」

 

 

 ここから惚気(のろけ)タイム開幕。

机の引き出しからメモ用AIを起動。「議題:惚気 監査ログ」。

 

 

 

惚気第一波:料理編

 

「まず、卵焼き。甘さは三段階あるじゃない? 

“ほんのり”“しっかり”“神話級”で、アイオロス君は“神話級”が好きで」

 

「翔子の卵焼きは、戦の前でも後でも心を整える」

 

『当然だ! ショーコの卵焼きは神々の宴の主菜に――』

 

「副菜ね」

 

『主菜だ!』

 

「副菜」

 

『……主菜寄りの副菜』

 

「はい勝ち」

 

 仲良し喧嘩。テンポがいい。俺のログに「惚気スコア+3」「漫才スコア+5」。

 

「味噌汁は出汁から。昆布と鰹の合わせ、火入れは80度手前で止めて」

 

「香りが来た瞬間、俺は“守るべきもの”を思い出す」

 

『味噌は赤白合わせろ。あと具は豆腐とワカメ、そして“愛”だ』

 

「そこだけ詩人やめて」

 

 俺の画面の端で蒸気のエフェクトが出てるのは誰の悪戯だ。

 

 

惚気第二波:お弁当編

 

「お弁当、今日は“体力チャージ版”で。ご飯は雑穀で、鶏むねは低温、ブロッコリーは塩でキュッと」

 

「蓋を開けた瞬間、俺は勝つ未来が見える」

 

『蓋を開ける前から勝つのだ。嗅覚で先制』

 

「職場でそんなこと言うの禁止ね」

 

『参謀長、判を押せ』

 

「参謀長は惚気の判を押さない」

 

 

 

惚気第三波:家事分担編

 

「洗濯物は色分け。彼は黄金聖衣の手入れがあるから、私が回す」

 

「いや、俺もやる。二人の暮らしだ」

 

『分担表を作れ。“戦場:彼 生活:彼女”ではない。“二人:二人”だ』

 

「え、珍しくいいこと言う」

 

『我はいつでもいいことしか言わぬ!』

 

「じゃあさっきの“主菜発言”は撤回しよう」

 

『……副菜寄りの主菜で手を打とう』

 

「和解成立」

 

 俺は首をかしげる。副菜寄りの主菜って何だ。

 

 

 

惚気第四波:学校&塾サポート編

 

「彼、高校のテスト前は朝型に切り替えるから、前夜は炭水化物控えめで」

 

「朝のバナナは勝利の矢だ」

 

『矢だ』

 

「二人とも語彙が原始的」

 

 メモAIが「惚気カウンター:××件」とか出してくる。表示を切れ。

 

 

 

惚気第五波:デート実務編(※規程違反ギリギリ)

 

「ベンチで半分こルール。揚げパンは縦割り、コロッケは横割り」

 

「塩加減は、翔子の好みに合わせる」

 

『キスの塩加減もだ』

 

「やめなさい」

 

俺、「やめなさい」

 

 

 通信越しでツッコミ揃うのやめろ。

 

 

 

惚気第六波:緊急時プロトコル

 

「“割り込み禁止タイム”を作ったの。二十分」

 

『十八分だ』

 

「二十分」

 

『……十九分』

 

「二十分」

 

『よかろう。二十分』

 

「俺はその二十分を、命より大事にする」

 

「極端」

 

 議事録を回すな。参謀長回線は恋愛会議室ではない。

 

 

 

 

惚気第七波:朝の連絡網

 

「朝はグループに“おはよう”スタンプ。エリスが“てへっ”連打するから通知が死ぬ」

『てへっ』

 

「今打つな」

 

「俺は“今日も守る”だけを送る」

 

『だから惚れるのだ、ショーコ』

 

「うるさい」

 

 俺の通知まで“てへっ”で震えるの何。

 

 

 

 

惚気第八波:家族関連

 

 

「光政さんが“同居人連名提出書”の様式を作ってくれて」

 

俺「作るな」

 

『作れ』

 

「却下」

 

「俺は判を押す」

 

俺「押すな」

 

 

 

惚気第九波:嫉妬の扱い

 

「校門前で女子たちの視線が痛いの。オルフェウスのせい」

 

「俺は平気だ。翔子が笑っていれば、全員友軍」

 

『うむ。敵は“時間と書類”だ』

 

俺「書類は敵じゃない。味方だ。……たぶん」

 

 

 

惚気第十波:将来の話(ふわっと)

 

「焦らない。でも、同じ方向を見て歩く」

 

「いずれ、正式に――」

 

『参謀長、ここは聞かなかったことに』

 

「聞いてない。聞いてないから、議題戻せ」

 

 

 

 

 

 気づけば50分経過。俺の精神力ゲージ、残り2%。だが親友が幸せそうだから、まだ耐える。

 

「……まとめる。オルフェウスとヤンは白銀復帰。翔子さんのコンディションは良好。エリスは“同居継続・共同意思決定”だな?」

 

『共同意思決定である! 議長は我だ!』

 

「副議長は私」

「書記は俺でいい」

 

「会則は提出しなくていい。以上、回線切るぞ」

 

『待て、アッシュ! 最後に一曲――』

「やめろ。薔薇を出すな。ここは参謀長室だ」

 

 ブツン。静寂。俺は深く息を吐いた。親友が幸せ=世界平和の一歩。分かってる。分かってるが、情報量が多い惚気は武器指定にしてくれ。

 

 そこへ、完璧なタイミングで扉がノックされた。

 

「失礼します、参謀長。定例報告です」

 エレナ、姿勢、声、動線、全部完璧。机上の報告書が整列を始めるレベルの精度。

 

「なあ、エレナ……どうして俺には恋人ができないんだろうな……?」

 

 自分でも面倒くさい愚痴だと分かってる。でも口が滑った。

エレナは微動だにせず、即答。

「……さあ。参謀長は、少々仕事に没頭しすぎなのでは?」

 

「……まあ、俺には、君という美しく優秀な秘書がいるからな。それだけで満足すべきか……」

 渾身の——口説き文句(のつもり)投下。

 

「参謀長に恋人ができることは、永遠にありません」

 

「(即答!?)な、なぜだ!?」

 

 エレナは視線一つ動かさず、報告書を置きながら沈黙した。

「……(なぜなら、その座には、いずれ私が就くのですから)」

 

 致命打。脳内で鐘が鳴る。

「……そうか……」

 

 沈黙。エレナは一礼し、出ていく。扉が閉まる。残されたのは俺と量子端末と“てへっ”通知の残響。俺はそっと、端末の音量をゼロにした。

 

 

 

 

参謀長・被害状況まとめ(自分で自分に報告)

 

親友:常時惚気。幸福指数 MAX。

 

同居女神:合いの手職人。愛のメトロノーム。

 

周辺白銀:ホストと社盾として社会復帰(※特例許可済)

 

参謀長:恋人生成フラグ、全滅。

 

秘書:絶対零度の沈黙(※法的根拠は未確認だが口調が強すぎて反論不能)

 

通知:“てへっ”スタンプで無限震動。

 

結論:世界平和は近い。俺の平穏は遠い。

 

 ……よし、仕事しよう。まずは「惚気監査ログ」の機密区分を“極秘”に上げる。次に、杯座AIへ新タスク。「三者恋愛会議・議事録が誤って聖域全体へ配信されない仕組み」を作れ。

 

 最後に、自分向けのTODOを一行。“参謀長、まずは昼休みに外を歩け。日光を浴びろ”恋はさておき、ビタミンDが足りない。

 

 量子端末がピコンと鳴った。差出人:翔子

〈さっきはありがとう! アッシュさんも、“ちゃんと休む”!〉

 

差出人:エリス

〈参謀長、恋路の相談なら我が乗る。古今東西、戦も恋も兵站が命だ〉

 

差出人:アイオロス

〈いつでも力になる〉

 

 ——うるさい。……でも、ありがとな。

 参謀長、業務に復帰する。笑ってるうちに、世界は案外どうにかなる。

 

 

 

 

 

 

 

(エレナ視点)

 

参謀長の執務室を出た私は、廊下の真ん中で立ち止まった。さっきのアッシュ様――いや、参謀長は珍しく落ち込んでいた。いつもは不敵に微笑み、十手先まで読んでいるような人が、机に肘をつきながら「はぁ……」とため息をつく姿なんて、見たことがない。

 

(参謀長……あなたは今、私を「女性として意識できない」と嘆いているのね。わかります。言葉にせずとも、私にはわかりますとも)

 

勝手に脳内で参謀長の深層心理を分析し、私は即座に結論を出した。

 

(ならば、見せて差し上げるしかない。私の全てを!)

 

とはいえ、普通に裸で執務室に入れば、聖域警備部隊に拘束される。だから私はひらめいた。

 

(裸エプロン……ではなく、裸聖衣!)

 

下着を着けず、直接聖衣を装着する。これなら破廉恥すぎず、かつ「大胆なアピール」として成立するはずだ。参謀長もきっと「これは……!」と息を呑むに違いない。私の献身、女としての覚悟、そのすべてが彼の心を揺さぶるだろう。

 

作戦名は「オペレーション・アルターベア」

自室に戻り、私は迅速に普段着を脱ぎ捨てた。冷たい空気が肌を撫で、少し鳥肌が立つ。

 

(うう……寒い。でも、この冷たさこそ、参謀長の心を温める炎になるのよ!)

 

祭壇星座(アルター)の聖衣を次々と装着していく。胸当て、肩当て、腕甲、腰鎧、脚甲……装着完了。鏡を見る。

 

(……うん、いつも通りだ)

 

いやいや違う。中身は全裸なのだ。これは立派な裸聖衣である。自分にそう言い聞かせ、再び執務室へ向かった。

 

「参謀長、午後の業務報告です」

 

アッシュ様はペンを止めて顔を上げた。

 

「……ん? ああ、入ってくれ」

 

……無反応。いや、一瞬だけ眉が動いた……気がする。

(気づいた!? 今の反応は確実に……!)

 

彼の視線が私の肩口で止まった。

 

(来る……!)

 

「……今日、なんか薄着か?」

 

……それだけ!?

「え、ええ……まあ」

「ふーん」――以上。視線は書類に戻った。

 

私の決死の作戦は「少し薄着」扱いで終了した。参謀長の鈍感力は神話級である。

 

肩を落として廊下を歩いていると、角から教皇シオン(中身善サガ)が現れた。

 

「エレナ君。感心しないな」

 

(ギクッ!!)

まさか、裸聖衣がバレた!? 私は慌てて傅こうとする。

 

「も、申し訳ございません!このような破廉恥な格好……!」

 

しかし、教皇猊下は笑みを浮かべ、手を上げて制した。

 

「素晴らしい!」

 

「……は?」

 

「いや、素晴らしい心掛けだ!何を隠そう、私も黄金聖闘士の頃は、よく全裸で聖衣を纏っていた!」

 

「ぜ、全裸で!?」

 

「そうだ!聖衣と肉体の間には、いかなる障害物もあってはならない!布一枚の隔たりが、小宇宙の伝達をコンマ1秒遅らせる!」

 

頭の中に、ストップウォッチを持って布を剥ぎ取る猊下の姿が浮かぶ。

 

「その1秒が、生死を分けるのだ!全裸装着こそ、聖闘士の究極の姿!」

 

「な、なるほど……!」

 

「考えてみろエレナ君、マラソン選手が長靴を履くか?剣士が手袋で剣を握るか?バイオリン奏者が軍手で弾くか?同じことだ!肉体と聖衣は、直接触れ合ってこそ真価を発揮する!」

 

「い、言われてみれば……!」

 

「さらにだ、布は汗を吸う!汗は冷える!冷えは筋肉を硬直させ、動きを鈍らせる!だからこそ我々は、風通しの良い――つまり全裸であるべきなのだ!」

 

「そ、そこまで深い理由が……!」

 

「深いどころではない!これは戦術だ!敵は見た目のインパクトに怯み、その一瞬の隙に必殺を叩き込める!心理戦としても有効!」

 

「た、確かに……!」

 

「極めつけは、洗濯の手間が省ける!戦場で布を干す時間があるか?ないだろう?全裸ならその問題も解決だ!」

 

「そ、それは……合理的すぎます!」

 

「そして忘れるな、全裸は己の精神力を鍛える修行でもある!裸で風を受け、太陽を浴び、大地と一体化する!これぞ宇宙との融合!小宇宙の真髄だ!」

 

「宇宙と……一体化……!」

 

「エレナ君、今日から君は裸聖衣道を歩むのだ!誇りを持て!次は是非、走り込みや素振りも全裸でやるといい!」

 

「は、はいっ!」

 

気がつけば敬礼していた。心の中では「全裸装着=至高」という方程式が完全に完成していた。

 

 

 

(アッシュ視点)

 

俺はただ、エレナを探して廊下を歩いていただけだった。

書類を渡したきり戻ってこない。いつもなら報告が終わればすぐに控室に戻る彼女が、妙に遅い。嫌な予感がして教皇の間の方へ向かったところで――見つけた。

 

……いや、見つけたのはいいが、教皇(中身善サガ)とエレナが、妙に距離感近く、何やら盛り上がっている。

 

「猊下、エレナ。一体、何の話を…?」

 

俺が声をかけた瞬間、教皇は満面の笑みでズイッと近づき、俺の肩をガシッと掴んだ。

 

「おお、アッシュか! いや、今な、エレナ君と我々の――これからの『裸の付き合い』について話していたところだ!」

 

……え?

耳が変な音した気がしたぞ、今。

 

「は…………裸の、付き合い…?」

 

頭の中で警報が鳴り響く。裸の付き合い? 何それ? どういうこと? え、俺が知らない間に、この二人、そういう関係に進展してたの? というか、そういうのって教皇と秘書で許されるの?

 

俺が混乱している横で、エレナが目をキラッキラに輝かせて同調する。

 

「そうなのです、アッシュ様! 全裸というものは、素晴らしいものなのです!」

 

……待て、なんでお前まで全裸を賛美してんの!?

俺の知ってるエレナは、冷静沈着、何を言っても動じない鉄壁秘書だぞ。それが今、妙に熱弁モードになってる。

 

「な、何の話をしてるんだ……?」

 

俺の疑問をよそに、善サガはさらに距離を詰め、こっちの肩を揺さぶりながら語り出す。

 

「いいかアッシュ、聖衣と肉体の間には何も挟むべきではない! 布一枚の隔たりが小宇宙の伝達を遅らせる! その一瞬の遅れが命取りになるのだ!」

 

「えぇ……」

 

「さらに、布は汗を吸い、冷えて筋肉を硬直させる! 全裸ならその心配もない! 風通し良好、太陽光直浴び、免疫力アップだ!」

 

「……えぇ……?」

 

「そして心理戦としても有効! 敵は驚き、ひるむ! 聖衣が壊れても全裸で突撃してくる相手に冷静でいられる者などいない!」

 

「……いや、それは……」

 

「最後に! 洗濯の手間が省ける!」

 

「……」

 

もうね、理屈が飛躍しすぎてて、反論以前に脳が停止する。

しかもエレナまで「そうなのです! 実際、とても開放的な気分になります!」と乗っかってくるもんだから、余計に混乱する。

 

俺の中で「もしかしてこの二人、何か切れてしまったのでは」という最悪の予感が膨らむ。

 

「……なぁ、エレナ。まさかお前も全裸で聖衣を……?」

 

「もちろんです、参謀長。今もそうです」

 

即答。

……今も? 今も!? え、ちょっと待って? 今って廊下だよね? 公衆の面前だよね? これ大丈夫なやつ?

 

その時、善サガが急に真剣な顔になって俺を見つめ、低く熱のこもった声で言った。

 

「アッシュ……我らは長年の戦友、互いを知り尽くした親友だ。だからこそ――裸で情熱をぶつけ合おうではないか!」

 

「いやだ!! 俺はお前を親友だと思ってるが、そういう関係にはなりたくない!!」

 

即答&全力ツッコミ。

でも善サガは「ははは! 照れるな!」と豪快に笑って、肩をバンバン叩いてくる。

……照れてるんじゃねぇ、ドン引きしてるんだ。

 

そして横でそのやり取りを聞いていたエレナが、なぜかほっぺを赤らめ、口元を押さえている。……いや、まさか。

 

「……エレナ? お前、何でよだれ拭ってんだ?」

 

「い、いえ……失礼しました……。その……今の会話、何か……とても……」

 

「とても、何だ」

 

「……尊いと……思いました……!」

 

尊いって何だ尊いって!

やめろ、妙なCP妄想始めた顔すんな!

 

俺が混乱していると、善サガとエレナが同時にこちらを見て、満面の笑みで放った。

 

「アッシュよ! お前も我々と一緒に『裸の付き合い』をしないか!」

 

「アッシュ様! ぜひご一緒に!」

 

……お、おれ……誘われてる……?

なんだこれ、なんの勧誘だ……?

 

あまりのことに固まっていると、善サガは「よし!」と勝手に納得し、さらに理論を追加してきた。

 

「全裸は信頼の証だ! 己を隠さず、仲間にすべてを晒す! これこそ真の友情、真の絆! 裸の付き合いは心まで裸にするのだ!」

 

「そうなのです、参謀長。服という壁を脱ぎ捨てた時、人は初めて真に理解し合えるのです!」

 

「……理解し合わなくていい……!」

 

心の中で全力で拒否しつつも、二人のテンションに押されて、否定の声がだんだん弱くなっていく。

しかも善サガが「ではまず、明朝の訓練は全裸で行う!」と勝手に決めるし、エレナは「承知しました!」と即答するしで、俺の平穏な日常は秒で終わった。

 

「……俺は……絶対に参加しないからな……!」

 

必死にそう言い残し、その場を離れた俺だったが――翌朝、本当に全裸で走り込みしている二人を見てしまい、全力で二度見したのは、また別の話だ。

 




エレナ「……はぁっ、はぁっ……それにしても、あなた、本当に全裸でもマスクは外さないのですね」

サガ「教皇としての威厳は、どんな時も失ってはならん」

エレナ「なるほど。ですが……その胸板、腕、腹筋……お年を召しても、ずいぶんと鍛えておられるのですね」

サガ「……ふ、まあ……鍛錬は怠らん主義だ」

エレナ「さすがはシオン様です」

サガ「……っ!?」

エレナ「ああ、もちろん、仮にも200年以上生きておられる方ですもの、これくらいの肉体維持は当然でしょうが……まさかここまでとは」

サガ「え、ええ……まあ……長く生きると、いろいろと……な」

エレナ「しかし走り込みまでとは存じませんでした。しかも全裸で」

サガ「鍛錬に服は不要だ」

エレナ「さすがは……シオン様」

サガ「(……まずい、完全にそう思い込んでいる……!)」

エレナ「あ、汗が光って……まるで大理石のようです」

サガ「……そ、そうか」

エレナ「ええ、ええ……あ、足を止めないでください。あと三周です」

サガ「……っ、わ、分かっておる……」

エレナ「よもや、全裸で教皇が走り込みをなさる日を見るとは……これも神殿の歴史の一幕ですね」

サガ「(頼む……途中で気づくな……!)」

十二宮編の最後は誰と誰の対決に?

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