聖闘士星矢異伝 〜聖域なき聖域改革、時代遅れの場所には住みたくない〜   作:斉宮 柴野

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氷原を引き裂く吹雪の中、再び巡り合った親友――だが、その瞳は凍てついた無情の仮面!
カミュなのか、神闘士ミッドガルドなのか!?
友情を信じる蠍座のミロは、凍れる右腕を砕かれながらも、なお燃やす小宇宙で誓う!

「たとえ氷に閉ざされようと、この友情だけは砕かせはしない!」

氷原を覆うのは絶望か、それとも希望か!?


次回――『凍てつく友情!親友を裏切る氷の掟‼』

氷と炎が激突する!友情の誓いは永遠に燃え続けるのかッ!!


凍てつく友情!親友を裏切る氷の掟‼

アッシュがドルバルとの心理戦を繰り広げている頃、エレナたちの逗留する客間を、一人のアスガルド兵士が慌ただしく訪れた。

 

 

(エレナ視点)

 

 

報せを持ってきた兵士の言葉を聞いた瞬間、空気が一気に変わった。

「行方不明であられたカミュ殿のものと思われるマスクが発見されました!」

 

私は心の奥で確かに安堵した。だが同時に、胸に重く沈む警鐘を無視することはできなかった。

カミュが生きている可能性は高まった。だが、それは同時に「誰かが生きていることを示すために残した痕跡」という意味にもなり得るのだ。

 

隣で立ち上がったのはミロだった。

「本当か!やったぜ、カミュの奴、生きてやがった!よし、俺が今すぐ迎えに行く!」

 

彼は嬉しさと焦りに突き動かされ、聖衣を装着しようと部屋を飛び出しかけた。その肩を、私は冷たく、しかし力強く掴んだ。

 

「待ちなさい、ミロ」

 

振り返った彼の目は、炎のように燃えていた。

「なんだと!?カミュが待ってるんだぞ!」

 

「マスクが見つかっただけです。彼自身の姿は確認されていない。発見場所も、現在の安否も、何も分かっていません」

 

「でもよ!」

 

「闇雲に氷原へ飛び込めば、凍死するだけです」

 

声が自然に厳しくなる。私自身、冷たすぎると言われることには慣れている。だが、今この瞬間だけは、あえて冷酷でなければならなかった。

 

ミロは悔しそうに唇を噛み、私の手を振りほどこうとした。だが、その手に込められた私の力は揺るがない。

「お前に何が分かる!」

彼は怒りを爆発させた。

「カミュは俺の親友なんだぞ!あいつの居場所が分かったなら、走って行って当然だろ!」

 

私は一瞬だけ目を閉じ、そして低く告げた。

「分かります。あなたがカミュを大切に思っていることは。けれど…」

 

言葉を選ぶ。心臓を素手で握り潰すような感覚。だが、伝えなければならない。

「それと同じくらい、彼の生存を利用して我々を罠に誘う敵がいる可能性も理解すべきです」

 

沈黙が落ちた。アルデバランが巨体を動かし、低い声で口を開いた。

「エレナ殿の言う通りだ。今は焦るべきじゃねえ。ミロ、落ち着け」

 

ミロは歯を食いしばり、拳を震わせた。

「……クソッ!」

 

彼の叫びが客間に響く。私はその音を受け止めながら、心の奥でほんのわずかに胸が痛んだ。

 

「ミロ」私は声を落ち着けて続けた。

「あなたが彼を思う気持ちは理解しています。けれど、もし本当にカミュが囚われているのだとしたら――あなた一人が突っ込んだところで、助けるどころか敵に新たな人質を与えるだけです」

 

彼は黙ったまま、唇を噛み切らんばかりに強く噛んでいる。

 

私は心を決め、視線を兵士に向けた。

「そのマスクは、今どこに保管されていますか」

 

「はっ!現在は宮殿の北塔にございます!」

 

「分かりました。直ちに参謀長に報告を。あの方の指揮を仰がなければなりません」

 

兵士が駆けていくのを見届けて、私はミロに向き直る。

「あなたの力は、必ず必要になります。ですが、今はまだ時ではない」

 

「……チッ。分かったよ」

 

ミロは不満を隠しきれない声を漏らしたが、それでも座り込み、拳を膝に打ちつけていた。アルデバランがその肩を軽く叩き、黙って寄り添う。

 

私は深く息を吐き、胸の内で独り言を呟いた。

(参謀長…。どうか無事にお戻りください。あなたがここにいない時、私は冷徹でいなければならないのです)

 

けれど、心の奥で密かに願っていた。

もし彼がこの場にいれば、ミロの暴走も、私の冷酷さも、もう少し柔らかく中和できたはずだと。

 

 

 

 

ChatGPT:

 

承知しました!以下に、エレナ視点・シリアス・会話多め・4500字でまとめました。

 

本文

 

兵士が退出した後、部屋には私たち三人だけが残った。緊張の糸を張り詰めたまま、誰も口を開かない。ミロは椅子に腰を下ろすこともせず、立ったまま拳を握り締めていた。アルデバランは腕を組み、落ち着いた表情の裏で、慎重に状況を見極めているのが分かる。

 

沈黙を破ったのは、私自身だった。

「……仕方ありませんね」

 

二人の視線が私に向く。私は深く息を整え、参謀長が不在の今、自分が采配を下すしかないと腹を決めた。

 

「ミロ」

 

名を呼ぶと、彼は不満げに眉をひそめた。だが、返事はした。

「……なんだ」

 

「あなたには、正式にカミュの捜索任務を命じます」

 

その瞬間、彼の全身に再び火が灯った。だが、私は続けた。

「ただし条件があります。必ず兵士から正確な場所を聞き、装備を整えてから向かいなさい。勢いだけで飛び出すのは許されません」

 

ミロは目を見開き、そして小さく息を吐いた。

「……ああ、分かった。悪かったな。さっきは頭に血が上ってた」

 

「理解してくださればいいのです。カミュ殿は、あなたの小宇宙を感じ取るでしょう。親友であるあなたなら、きっと見つけ出せます」

 

そう言うと、彼はほんの少しだけ柔らかい笑みを浮かべた。

「信じるぜ、エレナ。任せろ」

 

次に、私はアルデバランに向き直った。

「アルデバラン」

 

「おう、何でも言ってくれ」

 

「あなたには、聖域への報告をお願いします。町まで降りて通信施設を確保してください。今の状況を本部に伝えるのは、あなただけに任せられる役目です」

 

彼は太い腕を組んだまま、うんと頷いた。

「分かった。オレの図体なら、吹雪でも何でもぶち抜いて行けるからな。必ず報告を届けよう」

 

「お願いします」

 

二人の返事を確認してから、私は最後に言った。

「……そして私は、参謀長の支援に向かいます」

 

その言葉に、ミロが思わず声を荒げた。

「おい、本気か!あのアッシュなら一人で大丈夫だろ!」

 

「ええ、あの方なら大丈夫でしょう。でも、万一ということがあります。私は秘書官として、常に参謀長のそばにいるのが役目です」

 

「だけどよ……」

 

彼は言いかけて、言葉を飲み込んだ。アルデバランが横から助け船を出す。

「いいんじゃねえか、ミロ。誰にだって役割ってもんがある。エレナ嬢にとっちゃ、それが一番自然なんだろう」

 

私は感謝の意を込めて頷いた。

 

「では、それぞれの任務に移りましょう。参謀長が戻らなくても、この状況を乗り越えられるように」

 

三人で短く頷き合う。私の心は少しだけ軽くなった。誰一人として命令を拒まず、それぞれの役目を理解してくれている。これが聖域の精鋭だ。

 

だが、胸の奥では違う鼓動が鳴っていた。

(参謀長……どうか無事で。私がここで冷静でいられるのは、貴方様が必ず戻ってくださると信じているからなのです)

 

ミロが聖衣を纏いに部屋を飛び出す。アルデバランも、町へ向かうため厚手のマントを羽織り始める。私は一人、外套を整えた。

 

誰も見ていない隙に、私は小さく呟いた。

「待っていてください、参謀長。必ず貴方様のもとに参ります」

 

冷たい風が窓を揺らす音の中で、心臓の鼓動だけが妙に鮮明に聞こえていた。

 

 

(ミロ視点)

 

 

吹雪が顔に叩きつけてくる。黄金聖衣に守られているはずなのに、骨の髄まで冷えるような寒さだった。俺はそれを歯を食いしばって耐えながら、ひたすら氷原を駆け抜けていた。

 

カミュのマスクが見つかったと聞いたとき、俺は胸が張り裂けそうなほどの希望を抱いた。生きてるはずだ。あいつが、こんな場所で死ぬはずがない。俺はその想いだけを頼りに進んでいた。

 

だが――吹雪の中で、妙な小宇宙を感じ取った。

 

(なんだ……この気配は……?カミュに似てる。いや、間違いなく似てる。だけど、どこか歪んでる……ねじれてる。冷たさの質が違う。これは……)

 

警戒を強めながら足を進めると、白銀の雪煙の向こうに一人の戦士が立っていた。仮面をつけ、重々しい鎧を纏った男。奴から発せられる冷気は、俺が求めていたそれにあまりに近かった。

 

「……お前の小宇宙には、覚えがある。一体何者だ?」

 

俺が声を張ると、仮面の男はわずかに肩を揺らし、低い笑い声を漏らした。

 

「フン……知っているはずさ、蠍座のミロよ」

 

次の瞬間、奴は自らのマスクを外した。現れた顔を見た瞬間、俺は息を呑み、思わず駆け寄っていた。

 

「カミュ……!お前、無事だったのか!」

 

そこにいたのは、俺がずっと探し続けていた親友、水瓶座の黄金聖闘士カミュ、その人だった。

 

「……ああ、少しばかり吹雪に迷ってしまってな。心配をかけたようだ」

 

穏やかな笑みを浮かべ、あいつは右手を差し出してきた。再会を祝す握手を求めるその仕草に、疑いの心は一瞬で霧散した。俺も満面の笑みで、その手を握り返す。

 

「この、人騒がせなやつめ!」

 

俺は胸の奥が熱くなるのを感じていた。もう二度と会えないかもしれないと覚悟していた。だから、この握手に込めた想いは、生きていてくれたことへの心からの喜びと安堵だった。

 

――その刹那。

 

カミュの顔が、信じられないほど冷酷な無表情へと変わった。

 

「ククク……」

 

「なっ……」

 

握った右手に、鋭い冷気が一気に走る。瞬間、手首から先が凍りつき、感覚が奪われた。砕けそうなほど分厚い氷に閉ざされ、俺は声を押し殺して呻いた。

 

「カ、カミュ……これは……!?」

 

あいつは俺を見下ろすように言った。

 

「ミロよ。その右手、もはや使い物にはならんぞ」

 

「なにを……言ってやがる……!冗談だろ、カミュ!」

 

「冗談ではない。私はもう、お前の知るカミュではない。ドルバル教主の神闘士――ミッドガルドだ」

 

その名を聞いた瞬間、胸の奥が裂けるように痛んだ。目の前にいるのは、親友じゃない。心を凍らされ、教主の傀儡と化したただの戦士。

 

「ふざけるな……!カミュ!お前がそんな安っぽい操り人形で終わるわけがないだろ!」

 

俺は必死に叫んだ。だが、握られた手はなおも凍りつき、血が通わなくなる。

 

「……情けは無用だ、ミロ。お前が情で動けば、必ず命を落とす。氷の掟を教えてきたのは他でもない、この私だったはずだ」

 

「だったら、教えを返してやるよ……!俺は蠍座のミロだ!情けも友情も捨てられん!お前がどんなに氷の中に沈もうと、俺は必ず引き上げる!」

 

喉が焼けるほどに叫んでも、あいつの瞳は凍てついたまま。そこには昔の温かみなんてひとかけらも残っていなかった。

 

(くそ……どうしてだ……!どうしてお前がこんな姿にならなきゃならないんだ!)

 

俺は歯を食いしばり、右腕に小宇宙を込めようとした。だが、氷に覆われた手はまるで鉛のように重く、言うことを聞かない。

 

カミュ……いや、ミッドガルドは無情に言い放った。

「その右手を失ったお前に、勝機はない」

 

冷酷な声が、俺の胸を深く抉る。友情を信じて飛び込んだ俺の心を、あっさりと打ち砕いた。

 

「まだ……だ……!」

 

俺は必死に小宇宙を燃やし、残った左腕で抗おうとした。だが、目の前に立つのは氷原を支配するほどの冷気をまとった神闘士。親友を救いたいという想いだけで、果たして立ち向かえるのか。

 

雪が激しく舞う。握り潰される友情。絶望に似た寒さ。俺は、自分の不覚を呪い、そして親友を弄ぶこの非情な運命を憎みながら、氷に囚われて立ち尽くしていた。

 

(カミュ……絶対に、お前を取り戻す……!この命に代えてでも!)

 

俺の叫びは吹雪にかき消され、氷原の闇に吸い込まれていった。




「……はぁ。参謀長が帰ってこられるまで、私が動くしかありませんね」

久方ぶりに、祭壇星座(アルター)の聖衣箱を開ける。
金属の光が、月明かりの下で妖しく輝いた。

――ギギ……ギィィ。

「……?」

装着しようと腕を差し出した瞬間、聖衣がぷいっとそっぽを向くように動きを止めた。
まるで「いまさら何?」と言わんばかり。

「……あなた、拗ねているのですか?」

返事のように、鎧片がカタカタと震える。
明らかに「そうよ!」と抗議している音だ。

「なるほど。確かに、長いこと着ていませんでしたから……。普段は参謀長の側で書類整理ばかり。実戦はめったにありませんでしたものね」

――ギシ。

「はいはい、ご不満はもっともです。でも今夜は必要なのです。参謀長を支えるために」

――コトン。

聖衣の肩当てが、わざと落ちてみせる。完全に「まだ許さない」アピールだ。

「子どもみたいな……仕方ありませんね」

私はそっと聖衣箱に両手を置き、囁いた。

「拗ねているのは分かります。ですが……私とあなたは運命共同体。参謀長を守るため、力を貸してください。お願いします」

――ピシィィンッ!

まるで返事のように光が弾け、聖衣の各パーツが次々と浮かび上がる。
さっきまでの不機嫌が嘘のように、流れるように私の体を覆っていった。

「ふふ……やっぱり素直じゃない。ですが、そういうところも嫌いではありません」

装着完了。身体を包む金属の重みが、久々に心地よく感じられる。
私は背筋を伸ばし、鏡に映る自分に小さく微笑んだ。

「……さあ、参謀長。エレナも戦場に出ます。必ず、貴方様のもとに追いつきますから」

氷原を切り裂く風音に混じり、聖衣が満足げにカランと鳴った。

十二宮編の最後は誰と誰の対決に?

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