ここでアマテちゃんはこう考える…   作:キシモト

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第14話「アマテ、酷い目に遭う ニャアンも酷い目に遭う 前編」

休日…

お昼前の晴れ日

MS博覧会広場前

 

「ふぁぁ…」

 

アマテはあくびをする。

今日はいつもの制服姿では無く私服姿。

 

「なんてこったい!入場列が…長蛇の列だよ…」

 

マジで今すぐ帰りたい…そう思った。

しかし帰りたいなと思っても帰れない。

こういうのはちゃんと来たか記録されるそうだ。

 

そして30分ほど経ちようやく会場に入ることに成功したアマテは

 

「これでママへの義理は果たした」

 

入場済みのチケットを手にすぐ出ようかと思ったが

 

「とりあえず来たんだから、少しは見て回るかのう…」

 

見て回れば一年戦争に活躍したMSが連邦ジオン問わず展示されており

 

「…こういうの見てると思い出すね。ムラサメにいた時代を…」

 

幼少期の自分は虐められていた。

要は暴力とか悪口とかそういうのだ。

ママもどうにかしてくれたけど、悪い子と言うのはアレコレ手口を変えてくる。

正にイタチゴッコ。

なのでアナタどうしようとパパに相談したら、なら自分が鍛え直してくれるわと地球へと強引に連れていかれ、パパの伝手でムラサメの中へと放り込まれた。

当時はムラサメ能力開発研究所だった。

そこで自分は徹底的に扱かれた。

一応雨風凌げて、食うには困らんかった。

ただ泣き言も何かも許さんという感じで肉体は鍛え上げられるわ、変なお薬は飲まされるわ。

中には髑髏マークの入ったお薬も飲まされたような?

色んな催眠学習を受けたり、ちょっとした悪質な洗脳も受けた気がする。

他にも銃の扱いとか格闘技、殺しの技術、諸々叩き込まれたよ…。

変な特技も増えたけど。

お陰でこの身長だよ。

みんなからチビチビ言われるけど、絶対あの時飲まされた薬の影響に違いない。

でまぁ、一年戦争が始まる近くまで居たんだけど、流石に最近の情勢がきな臭いということでパパがその研究所から引き取り、ママの居るイズマコロニーに返されたんだよなぁ。

このままじゃママの元に返せない云々でパパに懲らしめられたおまけつきだけど。

で…そこで過去に虐めてた連中と出会って、よぉ俺たちの玩具とからまれたから、まぁ軽くボコボコにしちゃったんだよねぇ。

何でこんなに弱いの?と思っちゃったよ。

特に主犯格には悪いことしたけど、そっちもボコボコにしてたんだからお互いさまということで。

親も親で治療代慰謝料を弁償しろと言ってきたから、稼ぎのいい職場で居場所を無くして懲戒解雇に追い込むいうちょっとしたお仕置きをしたけどさ。

意味不明な物の言い方だけど、こういうのって時々、よく分かんないけどよく分かっちゃうんだよな。

でもそのツケは大きくて、それで小学生の時に妙に恐れられちゃって友達全員離れて、中学からはハイバリー系列の学校に移っちゃったんだよ。

そして成績も何もかも隠すようになった。

まぁ何となく分かっちゃったんだよね。

人って劣等なやつを虐める。

でもさ、なら逆ならいいじゃないと思って駄目だった。

出来過ぎればただただ畏れる。

今度は孤独になる。

ハァ…嫌になっちゃう。

 

「しかしMSが多いねぇ…連邦の軽キャノンもいいけどさぁ」

 

欠伸しながら歩いていると…

 

(何か…きな臭い連中がちらほらいる気がする)

 

そういえば今日、偉い人が来てるとか言ってたなぁ。

博覧会のポスターに○○議員先生来たる!とか書いてたし。

 

(何事も無ければいいけど…)

 

「あれアマテ…?」

 

「ニャアンちゃんじゃん。昨日はデモの参加のバイト、今日は?」

 

「清掃員のバイト…」

 

よく見ればちょっとそれっぽい制服を着ていた。

 

「ふ~~~ん」

 

「アマテは何しに来たの?」

 

「ママに頼まれてここに来た」

チケットピラピラ~

 

「なんで頼まれるの?」

 

「ウチのママ一応このコロニーの官僚なのさ。それでこのMS展はそこの主導…まぁ兎に角、大人の事情諸々なのさね」

 

「お母さん、偉い人なんだ…」

 

「たぶんニャアンが思ってる程じゃないと思うよ。それよりいいの?仕事して無くて…」

 

「ちょっと今休憩中だから」

 

「ならジュースでも買おうか…ニャアンも飲む?」

 

「私は私で…買うから。アマテに買って貰うのも」

 

「奢られること気にするタイプ?」

 

「少し」

 

「そんなの全然気にしなくt」

 

その瞬間である。

アマテはニャアンにとびかかり、突き飛ばしつつ地面目掛けて押し倒した。

ニャアンは悲鳴をあげたが、さっきまで二人がいた場所に何かしらの空を切る音が聞こえた。

 

オマエタチ、全員大人しくして貰おうかぁっ!!

 

響く銃声

 

イヤァ

 

タスケテクレー

 

「いっ…アマテ、なっ」

 

「黙って」

 

「…っ!」

 

そこにいつものアマテは居なかった。

ただただ冷静な顔つきをした彼女がそこに居たのだ。

 

「ニャアン、身を低くしながらあそこのベンチに行こう」

 

ニャアンは無言で頷いたが

 

「そこのお前たち…」

 

柄の悪い男性が銃をアマテとニャアンへと向けてこっちへとやって来る。

 

「何のご用事?私は用は無いんだけど?」

 

「お前、よくこの状況で…」

 

「一つだけ聞いていい?」

 

「何だ?」

 

「目的は何?私達を拘束して…身代金を巻き上げるとか?」

 

「勿論それもあるが…目的は、ここのMSを奪うことだ」

 

「へぇ…ならさっさと奪いに行ったら?私たちは二の次なんでしょ?」

そう言いつつ、アマテは少しだけ足を動かし

 

「オイ、下手なことしたら撃つぞ」

 

「ならマシンガン撃ちゃいいじゃん。ただし撃ったら反撃するよ拳で」ヘラヘラ

ゴンッ!とアマテは拳を鳴らす。

 

「はいはい、どうやってやるんでちゅか~」ニヤニヤ

 

舐め切った態度を取って来る男。

それに意に介さず近寄るアマテ。

 

「今から手品をお見せしましょう~♪」

 

すっと男の腕の裾を掴み

 

「へっ!?」

 

「嘘…」

 

男はクルリと宙を舞い、地面に強く打ちつけられ

 

「アガッ!?」

 

同時に顎に掌底で一撃を喰らい男は呆気なく気絶に追い込まれ

 

オイ!オマエタチ!

アイツガタオサレタゾーッ!

 

「ニャアンッ!」

 

ニャアンは直感だった。

アマテに導かれるままその場から一気に駆けて逃げ出していく。

 

アイツラ!

 

ウチコロセー!

 

パパパパッ!と乾いた音が聞こえてくる。

周囲のモノにそれが直撃し、抉れる音、何かが壊れる音が聞こえる。

ニャアンはそれに必死ではあるが、マチュは何故か冷静だった。

ただ、こう言うだけ。

 

上着から取り出した、覆面と手袋を装備しながら

「大丈夫…銃というのは、そう簡単に命中しないよ…」

 

息を切らさず言う目の前の少女にニャアンはちょっとした怖さを覚えていた。

というかなんで…覆面と手袋を持ってるんだろう?とニャアンは思った。

持ってる理由は、アマテが過去にムラサメで受けた色んな訓練からくる癖である。

 

私、顔バレとかするの好きじゃないんだよね…

平凡に生きたいからさ…

 

アマテはそう思いつつ、今はとにかくこの場から逃亡すべく足を動かし続けたのであった。

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