ランニング オルフェンズ   作:うなぎの生姜焼き

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 筆が遅すぎる……


第2話

 ここは帝和鶴建築会社、借金だったり、やんちゃして社会からあぶれたならず者どもを従えたマクマード社長が率いる建設会社だ。

 

 マクマードの漢気と才腕で多くの実績を上げ社員からの信頼厚く、面倒を見てもらった恩を返そうと士気も高い。その様子は外から見ればヤクザもかくやといった感じだ。それはそれとして、彼らの根っこは未だ猛っているので出世争いも激しい。最近はマクマードも歳なので若い衆にトップを譲ろうか、などと言っているため社内に張り詰めた空気が漂っている。

 

 そんな場所に今場違いなほど幼いウマ娘達がいた。まだ大人の腰ほどしかない背のウマ娘達は小汚いブカブカの作業着を着てズカズカと社内に入ってくる。

 

 異様な光景にどうしようかと迷っているうちに先頭にいる銀髪のウマ娘が声を上げる。

 

「俺たちはあんたらの会社の未成年労働の証拠を持っている!!」

 

 まさかの告白にざわめき出す社内を見渡すそのウマ娘が次の言葉を言う前に血の気の多い社員が前に出る。ヤクザでは無いがナメたことを言うやつはそのままにしちゃおけない。そんな自分より数倍もガタイのいい男達に囲まれてもウマ娘達は怯まない。むしろ顔を上げ睨みつけてくるしまつだ。

 

「信じれないだろうが、俺達は本気だ!この証拠を町にばら撒いてやることだってできる!」

 

 再び社内にどよめきが走る。嘘だと言って切り捨ててもいい。だが、もし本当だったら?そいつはそんな動揺を見逃さずに最後の言葉を放った。

 

「要求は一つだ。俺たちをここの頭と合わせろ!」

 

 

________

 

 

 メリビットは帝和鶴で働く受付係だ。夫の雪之丞と共に働いている。

 

 いつも通り来賓の予定を確認していた平日の昼時、彼女達は来た。

 

 大人の作業着をブカブカに着た数十人ほどのウマ娘達が入り口から入ってきた。あまりに予想外の出来事に混乱していると彼女達は広場に居座り始めた。

 

 汚い身なりだった。ブカブカの作業着は引っかかることが多いのか破けているところが目立つし、塗料や土などがそこらじゅうに付いている。子供特有の柔らかな肌は遠目でもわかるほど硬く、顔立ちは幼いのにどこか大人びた雰囲気を感じる。そんな子たちだった。

 

 彼女らは人が集まるのを待っていたのだろう。騒ぎを聞きつけた社員たちが広場に集まったところで先頭のウマ娘が声を上げる。

 

 最初はイタズラだと思った。うちの社員たちに凄まれれば帰るだろうと。ウマ娘の身体能力は人間のそれより高いが、自分の3倍ほどある背丈の相手に囲まれたら濃くて逃げるだろうと。通報されることなども考えず無鉄砲に飛び込んできたのだと。

 

 だが、彼女達のその風貌はどこか無碍にできない雰囲気を醸し出していたし、何より彼女達の目が冗談では無いのだと語っていた。

 

 真っ直ぐな瞳だった。こちらを貫き通すような視線を感じた時この子達は必死なんだとわかった。邪なものは一切ない、ただ一つの為にここにいるのだと。

 

「なるほどねぇ、それでその子達を通したと」

 

「はい、勝手な判断をしてすみません」

 

「いやいや、いきなりで大変だっただろう?謝ることはないさ。それで、その子達は今どこに?」

 

「今は会議室で待ってもらっています。なにぶん人数が多かったので」

 

「わかった、あとは俺が対応するから仕事に戻ってもらって構わない」

 

「すみません、名瀬さん。お願いします」

 

 メリビットから話を聞いた名瀬はすこし考えたあと目的の会議室へ足を進める。

 

「ずいぶんと骨がある子達が来たもんだねぇ。それで、私の旦那様はどうするつもりなんだい?」

 

「んー、まぁその証拠とやらを見てからじゃないと何も判断できないな。全く、困ったもんだよ。」

 

 通路の壁に寄りかかった名瀬の妻、アミダが試すような目で名瀬に声をかける。

 

 未成年の、しかもまだ10歳そこらの子供を証人として社内に招き入れるなんて前代未聞だ。これがメリビット以外の受付なら入れることは無かっただろう。対応を任されたのが俺じゃなかったら何を聞くまでも無く追い返すだけだろう。

 

 「運命ね、まさか」

 

 「?何かいったかい?」

 

 「いいや、何も言ってないさ」

 

 頬を過ぎていく何かを感じた。目に見えないそれは名瀬に嵐の予感を伝えていた。

 

 

 

___________________________

 

 

 

 「おーおー綺麗に並んじゃって」

 

 名瀬が会議室に入るなり窓際に並んだオルガ達に声をかける。それは気遣いでもあり、オルガ達を測るものでもあり、場の空気を掌握する一手だった。

 

 全員の視線が名瀬に注がれしかしその全てを自然に受け止める姿があった。返すように向けられた視線に否応なく体が反応する。受けた視線をそっくり反射されているような錯覚におちいり、耳が締まり尾が固まる。

 

 光を吸い込むような黒い机、足が沈むような絨毯、壁にかけられた絵画。見たことのない、しかし一目見て普通の品ではないとわかる逸品達に囲まれて圧倒されていたのかも知れない。

 

 言葉が口で立ち止まる。思考に空白が生まれる。出遅れたことに危機感を覚え体が強張る。そして更に口が動かなくなりーー

 

 「っ!俺たちはCSS支部で働かされている!」

 

 声をあげれたのは子供ならではの生意気さからだった。風が吹いたら飛ばされてしまいそうなプライドがナメられたままではいられないと。やり返せと本能に訴えていた。

 

 「俺たちはあんた達帝和鶴が運営してる孤児院で世話になっている!そして面倒をみてもらう代わりにCSSで働かされている!」

 

 平静さを戻せないままがむしゃらに怒鳴り立てる。オルガには自分が何を言っているのかわからなかった。本当なら対応しにきた職員を証拠で脅して話を有利に進める手筈だった。それが今ただの一瞥で冷静さを失い手持ちの手札を晒している。

 

 「俺たちだって何もせずに面倒見てもらおうってわけじゃねェ、だが!俺たちが学校に行く時間さえも働かされるのは違う、そいつは俺たちを使い潰そうってことだ!」

 

 最悪のスタートをきったオルガだが、この状況ならこのまま畳み掛けるべきだと不思議と冷静な考えを浮かべていた。それは奇しくもオルガを突き動かした感情と一致していた。

 

 ここで止まったら終わる。

 

 心の一致、今オルガに迷いは無かった。未来への不安も、仲間の期待の重さも、失敗の後悔も。ただ、今は己を信じて進むしか無い。勝利を信じてありったけの力で声を張り上げる。

 

 「こんなところで立ち止まるわけにはいかねえ!俺たちの未来は俺たちで決める!だから今日はあんたらと交渉するために来た!」

 

 「俺たちは未成年への強制労働の証拠と引き換えに俺たちの保護を帝和鶴に求める!」




頑張って書いたはいいものの走るところを書けてないという。
がんばります
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