ランニング オルフェンズ   作:うなぎの生姜焼き

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お久しぶりです。
書かないより書こう
と言うことで書きました。
かなり誤字脱字、全話との食い違いなとありますが、その都度指摘していただければと思います。


3話

 いきなりのプレゼンに意表をつかれたものの、名瀬はこのことがばら撒かれた場合と目の前のウマ娘たちを保護する損得を計算している。

 

 ばら撒かれた場合世間の評判に影響する。評判というのは恐ろしいことにコントロールできない。どれだけ落ちるのかそれとも落ちないのか予測がつかないのだ。

 

 それに対して保護する場合に起こることはほぼ予測できるだろう。違法労働させていた傘下を切り、ウマ娘の人数分の養育費を出す。加えてコレを報道されなくて済むし、逆にウマ娘たちを庇って保護するカバーストーリーを出して、帝和鶴の社会貢献をアピールしてもいい。

 

 ウマ娘たちを養っていくのは安くはない、安くはないが、あえて会社が傾くようなスキャンダルを世に出すリスクを取る必要はないだろう。

 

 「それで、お前らが出せるものはなんなんだ?」

 

 名瀬は試してみたくなった。コレだけの行動を起こす幼い少女たちを。

 

 「ウチがお前らを保護しとして、俺たちは何を得られるんだ?」

 

 場の空気が再び張り詰めていく、代表のウマ娘は気合いを入れ直すように後ろで組んだ手を握りしめる。

 

 これだ、試したくなったのは。この空気の中萎縮せずに噛みつこうと食らいついてくる精神、どんなに焦っても答えを見つけようとする姿勢、必ず目的を達成しようとする折れない心。

 

 「難しく考えなくていい、交換だ。俺たちはお前たちを保護してやる、それと引き換えに何をくれるんだ?俺たちにもメリットがなきゃ、不公平だろ?」

 

 おどけたように言う名瀬を睨みつける代表のウマ娘は悩んでいるようだ。コイツらはあらかじめこうなることがわかっていた。だが、その対価は払えないのか、それとも。

 

 張り詰めていた空気の中生まれた静けさはナイフのような鋭さを持っている。ナイフを持っているのは名瀬、切り付けられるのはオルガ達。だがオルガ達から攻めなければこの状況は突破できない。

 

 徐々に追い詰められていくオルガの足がじり、と後ろに下がる。知らぬうちに息が上がり心拍数が上がる。汗が滲んだ手から雫が一つ落ちた。それでもオルガは武器を構えない。

 

 「オルガ、いいよ」

 

 硬直を破ったのはオルガのすぐ横にいたミカヅキだった。

 

 「俺たちはついていくよ。だから俺たちも一緒に連れて行ってくれ」

 

 目を丸くしたオルガは自分の手の震えに気づく。いつのまにか空気に飲み込まれていたみたいだ、と汗を拭い深呼吸した。

 

 「いいのか?お前らまで巻き込んじまうぞ」

 

 振り返って確認すれば頼もしい顔で頷く仲間達がいた。

 

 「辛気臭ぇ顔しやがって!」

 

 「ま、俺たちも何もなしで交渉できるわけ無いって思ってたしな」

 

 「ああ、好きにしろ」

 

 「ついていきますよ!団長!」

 

 困ったような嬉しいような、いつもの調子で言うコイツらに毒気を抜かれた。いつのまにか1人で戦っているつもりだったのかも知れない。

 

 再び前を向いたオルガの顔には笑みが浮かんでいた。仲間との会話で感じた浮ついた雰囲気が残っているわけでは無い。先ほどまでの表情で悟らせまいと硬い表情とも違う、度胸と自信が滲むような顔だった。

 

 「話は決まったみだいだな。聞かせてくれよ、お前達の答えを」

 

 再び向き合った名瀬は変わらずオルガを圧倒するような圧を放っていた。気持ちが上向きになったとしても名瀬が手加減をしてくれるわけでは無い。状況は一つも変わっていない。

 

 だが、オルガは怯まない。もう悩むべき事はないし隙を見せまいとしていた名瀬には隙を晒した。ここまできたら後は迷わずやるだけだ。

 

 「正直、俺らに出せるもんは無い。金もないし、持ってるものもない。保護してもらおうとしてるくらいだしな。」

 

 孤児院に入っているオルガ達の財産など何も無い。強いて言うならランドセルと現場に来ていく服くらいだ。

 

 「だから俺たちは俺たちの未来を出す。受けた恩は忘れねぇ。あんたら帝和鶴で働く、コレが俺たちに今出せる全てだ。」

 

 これはもしも交渉が上手くいかなかった場合に備えさて相談していた事だ。だが、これはオルガ達の未来を大きく制限することになる。自分たちの今のために未来を売る。果たして吉と出るか凶とでるか。

 

 今のまま孤児院の言う通りに働いていたら事故か怪我でまともに大人になれるかわからない。逆に保護されれば幼年期から青年期の大事な発育期にしっかりと体を成長させることができる。かわりに将来帝和鶴で働くしか道は無い。

 

 「おいおい、これでもウチは優良企業なんだぜ?給料もそれなりに高いし、毎年倍率は上位争いしてるんだ。わざわざお前らを育てて働かせるより、出来のいいやつを入れたほうが安上がりってもんだ。」

 

 それは強欲と言っても過言では無いほど無茶な交渉だった。今も取って、将来の職も確保する。なるほど、期待しすぎたか。まだまだ子供だなと結果を告げようとしたときだった。

 

 「違う俺達が働くのは現場でだ。」

 

 不意をついた言葉は名瀬を一時怯ませる。オルガは隙を見逃さないように食い気味に攻め立てた。

 

 「孤児院のクズ共に働かされてたからわかる、現場にいるウマ娘ってのは少ない。俺たちはそこで働く。その代わり俺たちを保護しろ。コレが俺たちの出せる全部だ。」

 

 成人男性より力があるウマ娘の現場需要というのは非常に高い。1人いれば10人の力を発揮できるウマ娘はどこの現場でも重宝される。いくら機械の力があるとはいえ、手作業で行わなければいけない現場や人じゃなければ作業できない場所というのはある。そういった場面での活躍も含めウマ娘というのは重要なピースの一つだ。

 

 しかし動く重機であるウマ娘にも弱点はある。その力に比例するように嗅覚、聴覚もまた人の何倍も良いところだ。建築や解体の現場の工具が鳴る音、物を崩す切る曲げる音や塗料や科学製品独特の刺すような匂い、それらを忌避して現場のウマ娘というのはかなり少ない。

 

 それがわかっているからウマ娘向けの求人での現場仕事はかなり高額な給金で募集されているし福利厚生も厚い。それでもウマ娘にとって現場仕事はやりたく無い仕事で、お金に困ったウマ娘くらいしか来てくれないのだ。

 

 名瀬はもし、目の前にいる20人ほどのウマ娘達が帝和鶴の為だけに働いたら、どれだけの利益を上げることができるのか。ふと考えた。ウマ娘でないと、ウマ娘であればできる仕事を仕込み、どの現場にも安定した人数を送り込む。無理に高い金で外から雇う必要も無く、年が経つごとに技術も現場も分かっていくウマ娘の職人。

 

いないわけでは無い。帝和鶴にも何人かそう言ったウマ娘はいる。だが、ストレスは離職率に直結しており、連続で現場に送り込む事はできない。これはどの会社でも同じだ。もし各現場にウマ娘の職人を無理なく送り込むことができるなら。それは帝和鶴の新たな強みになるだろう。

 

 欲しい。それが名瀬の出す答え。

 

 「ちょっと待ってくれ、お前らは今の現状から抜け出したいからウチに来たんじゃなかったか?」

 

 そう、それではオルガ達の望む結果では無いのでは?と名瀬は問いかける。矛盾している。思わぬ提案に足を取られた名瀬が尋ねる側になる。

 

 「俺たちはまだ体が出来上がってない。それに加え最近は働く時間も増えて体が痛てぇ。俺たちはあんなところで体をダメにしちまうのを避けたい。だが、孤児の俺たちが別の孤児院に行ったって今と同じ可能性もあるし、そこに全員でいける保証もねぇ。

 

 俺たちは家族だ。別れたく無いが現状から抜け出さなきゃまともに成長できない。

 

 だから俺たちは対価を払う。俺たちの望みを叶えるために未来を対価に差し出す。これが俺たちが出せる全部だ。

 

 だからどうか!俺たちを受け入れて欲しい!今まで3年現場で働いてきた。現場がどんなところかも知ってるし約束を反故にするつもりもない。頼む!」

 

 オルガが頭を下げる。それにならって後ろのウマ娘たちも頭を下げる。

 

 「……はぁ、まいったねぇコレは。いいぜ、保護してやるさ。頭を上げな。」

 

 降参だと言うふうに両手を上げておどける名瀬の言葉にオルガたちは顔を見合わせる。次の瞬間大きく歓声が上がった。




キャラの書き分けと文の書き分けがむずい!

一人称も三人称混じりまくってる!

許せサスケ
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