作り売りの探索者   作:六道むくろ

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 一切ラストを決めずに書いているので途中でエタります。


1話

 米田黒璃(こめだこくり)は悩んでいた。

 

 ダンジョンで生計を立てるというのは決めており、卒業式の翌日に探索者登録をしにダンジョン局まで来ているのだが、極度の恥ずかしがりや故にまともに職員と話すこともできないのだ。

 

「黒璃様、大丈夫ですか?」

「……!はい!大丈夫です!すみません!」

 昔から会話が苦手なこともあり、ダンジョンという会話が必要なさそうな場所でお金を稼ぎたかったのに人と会話しなくてはならないとは悲しい。

 職員の説明もすべて聞いてはいるが、頭が緊張して大丈夫ですとしかいうことが出来ない。

 

「……まあいいですけど。ダンジョンに入るときはあちらにある入り口から入れます」

 職員は右の気持ち悪い色の楕円を指差して言う。あれがダンジョンに繋がるゲートとやらだろう。

 

「ありがとうございます!早速行きますね!」

「えっ!待ってください」

 私は早く人との会話を終わらせたくて職員の言葉を無視してゲートの方へ走り出した。しかし、ゲートの前でアラームが鳴った。

 

「えっ……!えっ……!」

「待ってくださいっていいましたよね?」

 職員が呆れた顔で私に近づいてくる。その手には一枚のカードがあった。

「ダンジョンに行くにはこれが必要です。ゲートの近くにある機械にかざしてください。また、レベルが上がると行くことのできるダンジョンは増えます。」

職員が私の名前が書かれているカードを渡してきた。

 

「……ありがとうございます!」

 私はカードを機械にかざす。

 すると、電子音が鳴り私は光に包まれる。

 

「びっくりした!……ここがダンジョンですか」

 光が消えると私は薄暗い洞窟『始まりの洞窟』に立っていた。

 このダンジョンは初心者向けのダンジョンで、レベル4まではこのダンジョン以外行くことは出来ない。

 

 人が近くにいないため、言葉もいつも通りに戻る。

 

「何も持ってきていないや」

 ふと私はダンジョン探索への用意をせずに来てしまったことを思い出す。

 探索者になればステータスとやらが手に入るが、素手で挑むは心もとない。

 しかし、すぐに帰るのも恥ずかしい。そのため少しだけダンジョンを進んで帰ることに決めた。

 

 足元の石ころを5個拾い、ズボンのポケットに入れる。

 そして進もうとするが、ふとステータスとやらが手に入ったことを思い出す。

 

「ステータスオープン!」

 私は受付で説明されたように、自分の能力を見る言葉を言ってみる。

 すると、プゥンという高い音がしてカードから自分の能力がホログラムみたいに出てきた。

 

『名前:米田黒璃(こめだこくり)

 レベル:1

 スキル

・魔法適性(炎・風):適性属性の魔法使用可能。レベルに応じて効果アップ。

・錬金:素材を使用することで物品生成可能。レベルに応じて品質アップ。また、自分で錬金した物を鑑定することも可能。

・急速生成:作業場でなくとも物品作成可能。』

                                

「色々持ってるなぁ」

 私はスキルの内容に驚いた。魔法はまあまあ使える人はいるが、錬金スキルは珍しい。また、急速生成とやらは聞いたことのないスキルだ。

 とにかく、私は高速でアイテムが作れるわけだ。

 

 嬉しさで小躍りしていると、前方から何かの気配がした。

 私がそちらを見ると暗がりから薄気味悪い声を上げながらモンスターが走ってきていた。

 

「あれは確か『ゴブリン』!」

 それは雑魚モンスターとして有名なゴブリンであった。

 醜い顔に涎を垂らしながら走ってくる姿は気持ち悪い。実際ゴブリンの気持ち悪さから探索者を諦める者もいるらしい。

 

 私はすぐにポケットから石ころを掴んで投げつける。

「アギャッ!」

 投擲した石ころは、ゴブリンの顔に命中する。衝撃でゴブリンは後ろに倒れて後頭部を地面にぶつけた。

 しかし、この程度で死ぬほど魔物とは脆くない。すぐに立ち上がると怒ったような声を上げて襲い掛かってくる。

 

「近づかないで!」

 投石が間に合わないと感じた私は襲ってくるゴブリンの顔を、素手でぶん殴った。

 拳にゴブリンの首が折れる感触がし、すぐにゴブリンの体が消えていく。

 ダンジョンの魔物は死ぬと靄となって消える。そしてたまに素材を落とすのだ。

 

「痛いけど……素手でもゴブリンって勝てるんだ!」

 私はゴブリンを殴った腕を擦りながら、素手でも意外と大丈夫だと理解した。

 

 油断したその時だった、背後から私は突かれた。

 急いで背後を見ると、それはナイフを持ったゴブリンであった。

 ナイフは私の背中に突き刺さり、わずかに赤で彩られている。

 

(油断した……)

 私は己の愚かさを悔しく思いながら、足を後ろに蹴り上げた。

 私の踵がゴブリンの股を蹴り上げ、硬いものを潰した感触をさせる。

 ゴブリンは呻き声を上げ、白目をむいてナイフを手放す。

 

 ゴブリンがなぜかナイフから手を離した隙に、私はゴブリンを蹴り飛ばした。

 サッカーボールのように蹴ったゴブリンは、壁に激突して靄となる。

 

 残ったのは刺さったナイフだけだった。

 一応ドロップアイテムなのかもしれないと思った私は、ナイフを抜かずにゲートからダンジョン局へ戻った。

 

「お早いお帰りで、攻撃を受けたんですね」

 私を迎えてくれた職員はナイフが刺さった私に特に驚かなかった。たまにあることなのだろう。

 すぐに、ナイフを抜いて何か液体を噴射する。

「霧吹きに入れたポーションです。この程度なら一噴きで消毒できます」

 そう言われてすぐに、背中の痛みが和らいだ。完全ではないが、日常でする切り傷ぐらいには回復している。

 

「ごめんなさい!」

「いいですよ。次は気を付けて探索してくださいね。できれば武器も持って行った方がいいですよ。次からは治療費を取りますからね」

 謝る私に微笑みながら、職員はアドバイスをしてくれた。

 初めてなので無料でしてくれたが、本当はお金がかかるらしい。

 優しさで、最初の時よりも緊張していないが、目を合わせるのはまだ駄目だ。

 何度も頭を下げて、私はゴブリンのナイフと石ころを職員に預かってもらい家に帰った。

 

 家に帰って晩御飯を食べ、風呂に入った後錬金とやらを使ってみる。

 錬金しようと思ったら頭の中にやり方が流れ込んできた。

 やり方通りに家にあった釘数本と、ゴブリンが持っていたナイフに魔力を流す。

 すると瞬時に、釘とナイフが融合して綺麗なナイフへと生まれ変わった。

 ゴブリンのナイフにあった刃こぼれは消え、新品同様のナイフとなったのだ。

 

『修繕ずみゴブリンナイフ

 特殊効果:なし

 ゴブリンが落とすナイフを金属で修繕したナイフ。

 作った者は素材の無駄遣いをする浪費癖のある者か、落ちた物は有効活用しなくてはならないと思っている者だろう。』

 

 何か説明にボロクソ言われているが、装備を買うお金は無いため、しばらくはこのナイフで進むことにする。

 ダンジョン内以外のモノでも錬金できることも分かったため、基本はダンジョンで素材を集めて足りない部分を家やホームセンターで集めるのもいいだろう。

 

 そう自分で決めて、ベッドに入り眠りについた。

 沢山時間はあるのだから、のんびりとダンジョンを攻略していこうと思いながら……。

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