次の日、私は様々なダンジョンを巡って素材を集めた。
今回は魔物の素材というよりも採取できる素材を中心にした。
今まで積極的に拾ってはいなかったのだが、ダンジョンにはそれぞれ採取できる素材が存在している。
最初のダンジョンは一般的な銅や鉄しか採れないが、次の『ざわめきの森』からは特殊な素材を採取できるのだ。
家に帰った私は、まず初めに『ざわめきの森』で採取できる木の枝『鳴り木の枝』で何か作る。
『鳴り木の枝』は風で揺れるたびに、一般的な木の3倍の騒音を放つ騒がしい木の枝だ。
その性質は武器にしても変わらず、振るたびに大きな風切り音が鳴り響く。
探索は静かに行わなければならないので、すごく人気のない枝なのだ。
しかし、風切り音が鳴り響く木刀は中学生らへんの不良には人気なのでそういった店にはこの枝で作った木刀が売られている。
『名前:鳴り木の木刀
特殊効果:振るうたびに音魔法『サウンド』発動
振るたびに音系の魔法を発動させる木刀。
『サウンド』は対象の音を大きくさせる魔法であり、振るたびに木刀の音を肥大化させる。その騒がしさから探索者からはとても不人気。』
ちゃんとした木刀が出来たため、後で換金所に渡してみる。
次に、『獣の森』で採取できる素材『力み草』を使って『筋力増強ポーション』を作ってみた。
このポーションは医薬系クランが一般流通させている薬品であり、他人に使うには免許が必要なものだ。
自分に使う分には必要な免許も資格もいらないので自分で使うように作った。
使用すると5分の間筋力が1.1倍になる微妙な効果しかないが、水分補給もしつつ少しの間筋力を上昇できると考えればいいかもしれない。
次に使うのは『響きの海岸』で採れる素材だ。
このダンジョンは『水鋼』以外にも数種類の素材が獲得できる。
まずは砂浜に紛れている『水の欠片』だ。この素材は1つだけでは素材にもならないが、30個ほど集めれば魔法使いが使う杖の素材として使える。
私は欠片と『獣の森』で拾える『剛木』を合わせて頑丈な杖を作り出した。
『名前:潮の杖
特殊効果:装備時水魔法の威力上昇(低)
『水の欠片』を使用して作られた杖であり、普通の木で作った場合は『水の杖』になる。
この杖の場合は『剛木』を使用しているため、頑丈で接近戦でも多少使える。
その分重いため、腕力を鍛えてから使うのがいいだろう。』
一般的に売られている杖とは違った杖が生まれてしまった。
持ってみると両腕でなくては持ち上がらない程に重く、腕力が貧弱な者が多い魔法使いでは使えない可能性がある。
私はこれは取引サイトで売ることにする。
次に『女王の清水』を使ってポーションを作成してみる。
この水はマーメイドクインがいる部屋にしか存在しない水のため、女王に認められていなければ採取は難しい。
私は契約しているので快く採取させてくれたが、他の人が採取できるかは微妙だ。
『名前:悲恋のポーション
特殊効果:摂取者の恋愛運低下(中)。寝取られ率上昇(高)。死に別れ率上昇(高)
飲んだ者に悲恋を与える呪われたポーション。
女性が飲んだ場合は、効果がすべて1段階上昇する。
嫌がらせ以外で使用されることは無いだろう。 』
私が思っていた物とは違う代物が生まれてしまった。
魔力が籠っている水ならばいい回復ポーションが作れると思ったのに、こんなポーションが出来るとは思わなかった。
一応薬草も入れているのに、回復効果すらないのはどうかと思う。
説明にもあるように、嫌がらせで飲ませる以外の使い道が無いのでポーチ内で封印しておく。
最後に『獣人の洞窟』で手に入った『獣鉱』を使って武器を作ってみる。
『名前:野蛮なる剣
特殊効果:装備時『狂暴化』を付与
装備した者の精神を蝕み、暴れることしかできなくする呪物。
『獣鉱』のみで作った場合は必ずこの効果は付与される。
装備した者が獣と化すのか、装備者の欲望を引き出すのかは不明。』
また使いづらい武器が生まれてしまった。
あまり『獣鉱』を使った武器が流通していないのも分かる効果だ。
探索者は勇猛であるべきだが、蛮勇であってはならない。
そのため、こんな武器を好んで使う探索者などいるはずがないのだ。
私は作ったものがほぼ全て微妙な物なのに肩を落としながら疲れを癒していった。