私が出品した『群海鳥の飾り』などの商品は、新発見の魔物の素材で作成しただけあって高値で落札された。
『群海鳥の飾り』は1つ3万円、『群海鳥の片手剣』は6万円、『群海鳥の矢』は一本2万円だ。
とても美味しい稼ぎだったが、これも今だけなので違う商品を作らなくてはならない。
そんなことを考えながら自身のレベルを確認すると、30になっていた。
私はすぐにレベル30以上で入ることのできるダンジョンゲートの前まで行った。
ダンジョンの名は『暗がりの学校』。ネットの情報によると日本の学校を模したダンジョンで、出てくる魔物は部屋ごとに変化するらしい。また、入るとランダムな場所に転移し、出口は決まっているという面倒な仕組みになっていると書かれれている。そのため、人気がない。
私は意を決してダンジョンゲートをくぐる。すると出た場所は男子トイレであった。出た瞬間に掃除道具入れから目の付いたデッキブラシが飛び出してくる。
「出てくるのが早い……!」
私は瞬時に剣を取り出そうとしたが間に合わないと感じたので止め、デッキブラシの柄を掴んで振り回して壁に叩きつける。
叩きつけるとデッキブラシは消え、緑の毛が落ちた。『掃除魔の緑毛』という素材のようだ。
私は少々不快になりつつも、素材を拾うと男子トイレから出た。
男子トイレから出てすぐに窓から自分が何階にいるか確認すると、下に2つの階が見えたので現在地は3階だろう。
すぐに階段の方へ歩き出したが、100m程離れた場所にいきなり下半身のないセーラー服を着た魔物が出現した。『テケテケ』と名付けられている魔物だ。
「実際に見るとグロい……」
テケテケは私を視認すると異常な速度で近づいてくる。1秒後にはもう目の前まで来ていた。
咄嗟に蹴りを叩き込んで吹き飛ばすが、すぐに起き上がって近づいてくる。
「『ウインドカッター』!」
風の刃を飛ばし、テケテケを攻撃しつつ距離を取る。
そんなことを5分程続けていると、遂にテケテケが消滅した。移動速度が速いのに耐久力も高い面倒な魔物だ。
テケテケがいた場所に近づいてみると、そこには血で濡れたセーラー服の上だけが落ちていた。
それを使い捨ての鑑定用アイテムで鑑定してみる。
『名前:血濡れのセーラー服
特殊効果:装備時、移動速度上昇(低)
テケテケが落とすドロップアイテム。
付着した血は何度洗っても落ちず、乾かない。
一応女子が着ていたセーラー服なのでマニアに高値で売れる。』
装備品であるらしいが、私のサイズではないので着ることが出来ない。大きいならよかったが、あまりに小さすぎるのだ。装備の自動調性機能もドロップ品なためか付いていない。
そのため、私はこの『血濡れのセーラー服』は加工して販売することに決めた。
階段から下に下りると、学生服を着た体のパーツが無い男子生徒や女子生徒が歩いている。廊下では学生みたいな魔物が出るらしい。
それを倒しながら探索していると、図書室と書かれた部屋が見えてきた。私は正直ゾンビ系の敵を倒しすぎて飽きてきたため気分転換に入室すると決めた。
入ってみると、たくさんの本が所蔵されているちゃんとした図書館だった。入り口近くにあった本を見てみると、今年発売された児童書だったのでしっかりと蔵書更新がされているのだろう。ダンジョンなのに魔物の気配もしない不思議な部屋だ。
私は休憩も兼ねてしばらくここで読書をすることにした。蔵書は中学校に近いが、所々大学にあるような専門書があるあたり色々な学校の図書館が混ざっている。その中に私が小学生の頃に読んでいたシリーズがあったので読む。卒業後に出ていた巻も揃っているのでとても楽しい。
そうしてしばらく読書をしていると、扉が開いた。私はなぜか物陰に隠れた。
入って来たのはちゃらちゃらしたヤンキー風の男3人と女2人の集団だった。
「図書館じゃん!懐かしーな!」
「マジじゃん!漫画無いかな?」
ウェイウェイしながら本棚を荒らし始めた集団だったが、急に黙ると肉体がシュレッダーにかけられた紙屑と化して死亡した。
(えっ……?)
それに対し私は恐怖を覚え、もう一度図書館内を調査してみる。
すると壁に『図書館での過ごし方』と書かれたボードが飾られていた。
――――
1.
2.
3.
4.
――――
書かれていることは普通だが、ここはダンジョンなので破るとさっきの集団みたいになるのだろう。
私はすぐに逃げたい気持ちを抑え、読んでいた本を戻すと外へ出た。恐怖が強すぎて本を読むことも出来ない。
図書館から出てすぐに、玄関まで走り抜けて私はダンジョンの外へ出るのであった。