『暗がりの学校』から脱出した私は早速自宅で錬金を開始する。
「まずは……この制服かな?」
私が取り出すのは血で汚れた学ラン3着とセーラー服6枚だ。血まみれのゾンビが着ていただけあって鉄臭い臭いと乾かない血液が生地を汚している。
それらを一着ずつ錬金していく。
『名前:闇の学ラン
特殊効果:なし
『血濡れの学ラン』に特殊な加工を行うことで作られる服。
ただの学ランだが、ダンジョン由来のため耐久性はある。
動きづらいため、探索者には人気がない。』
『名前:闇のセーラー服
特殊効果:なし
『血濡れのセーラー服』に特殊な加工を行うことで作られる服。
セーラー服なので他の防具に比べて耐久性は劣る。
着ていると背筋が寒くなってくるので呪われていると噂。』
なぜかゾンビたちはスカートやスラックスを履いていなかったので上しかないが、一応いつもの取引サイトに登録する。下があればもっとよかったかもしれない。
『掃除魔の緑毛』に関しては単体では何もできそうにないため、ふざけ半分でポーションにしてみた。一応肌触り的にプラスチックではなく植物性だと思うのでポーションになるだろう。
『名前:洗浄ポーション
特殊効果:使用時、汚染状態を解除。
『掃除魔の緑毛』などの綺麗になりそうな素材で作られる薬品。
『高速錬金』スキルを保有していないと作成できない。
使用すると体の汚れは勿論、あらゆる汚染を解除する。
大地に使用した場合、一定の面積の毒素を消失させる。』
思っていたよりもすごい物が出来たが、1本しかないのでどう扱えばいいのか難しい。
取引サイトに登録をするというのも少々どうなのか微妙な代物であり、色々考えたがあかりちゃんに渡すことにした。
次の日、私はあかりちゃんに連絡をした。
するとすぐにあかりちゃんが自宅に到着し、私自身の用事は終わった。
しかしあかりちゃんはまだ私といたいようで帰る気配はない。
「もうレベル30になったんですね!私もうかうかしていると追いつかれちゃうかもしれません!」
「追いつけるように頑張るね……」
あかりちゃんと軽い感じで話していると、ポーションの話題になる。
「しかし……洗浄効果のあるポーションとはまた面白い物を見つけましたね!とはいっても主な使い道はダンジョン内ではなくダンジョン外の汚染地帯を洗浄することでしょうけど!」
あかりちゃんは明るく話しているが、実際にダンジョンが発生した当初はあのダンジョンゲート以外にも大量のダンジョンゲートが出現して魔物が出現したらしい。それにより世界の陸地の20%が汚染で人間が住める環境ではなくなった。あかりちゃんが言いたいのはこのポーションを使えばそんな土地をわずかながら浄化できるということだ。
「まあ説明を聞く限りでは黒璃さんにしか作成できないみたいなのでこれがそういった団体にバレると面倒ですね。そんな意味では取引サイトに出品しなかったことは素晴らしいことだと思います。ダンジョンを崇拝する団体に見つかると普通に殺される恐れがありますし、ダンジョンのせいで不利益を被った事を救済しようとする団体に見つかればいいように使い潰されるでしょう」
あかりちゃんは真面目なトーンで『洗浄ポーション』の瓶を撫でながら言う。あかりちゃんの表情は被害者救済しようとする団体について言うときに微かながら歪んだため、その方面で何かあったのかもしれない。
私はそんな様子を見ながら、あかりちゃんに面倒ごとを押し付けているような気がしてくる。
「あかりちゃん……」
「気にしなくていいですよ!黒璃さんのことは言いません!表情からして私に重荷を背負わせているとでも思っているんでしょうけど、私は交渉材料を得て嬉しいくらいです!」
あかりちゃんは私の考えを見透かし、頭を撫でてくれる。
私はあかりちゃんに頭を撫でられるのを少し恥ずかしく思いつつ、そのまま撫でられ続けるのであった。
本当はあかりちゃんの過去について知るべきなのかもしれないが、仮に知っても過去はどうすることは出来ない。
それと、あかりちゃんとの関係性が大きく変わるのでコミュ障の私には一歩踏み出せないのだ。