作り売りの探索者   作:六道むくろ

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8話

 魔法銀の剣を持ち、黒璃は『荒れ果て町』へのゲートをくぐる。

 ダンジョン局内で、何度も話しかけられたが少し話したらすぐに逃げて躱した。

 

 ダンジョンから出てすぐに見える景色はどこか澱んでおり、瘴気を漂わせる空気にボロボロの町並みをしている。

 このダンジョンは雰囲気の不気味さと出てくる魔物のグロさが相まって人気のないダンジョンらしい。

 実際にゲート近くには人が全くおらず、生きた人間の気配も感じない。

 

「不気味なとこだけど……。魔法銀の剣があれば大丈夫でしょう」

 私は静かに腰の鞘を擦り、自分の中にある恐怖心を鎮める。

 

 そうしてダンジョンに入って数分後、私の目の前におぞましい化け物が現れた。

 それは腐ったような体をした魔物『村人ゾンビ』だ。武器は何も持っておらず、近くの者に襲い掛かることしかできないこのダンジョン最弱の魔物である。

 私はすぐに剣で村人ゾンビを切断してみる。この剣の切れ味もこれで分かるだろう。

 すると、村人ゾンビの肉体を剣は何の抵抗もなく寸断した。

 その瞬間、村人ゾンビは消滅しドロップアイテムだけを残した。

 

「凄い切れる剣だ!」

 私はあまりの切れ味に驚いて叫んでしまった。

 私の声に引き寄せられて、大量のゾンビが集まってくる。

 大半は村人ゾンビだが、中には腐食した鉄装備を纏ったものもいる。『兵士ゾンビ』だ。

 剣や槍を持つ兵士ゾンビは、とても強い。

 このダンジョンに行くことのできるレベル10ではどうあがいても勝つことのできない魔物として有名なのだ。

 

 しかし私には魔法銀の剣があった。

 連続でゾンビを切り付け、数分で30体はいたゾンビたちを消滅させることが出来た。

「これがゾンビのドロップアイテムなんだ……」

 私は村人ゾンビのドロップアイテム『死者の布きれ』と兵士ゾンビが落とした『死者のクズ鉄』を拾う。両方とも錬金でもまともなものが作れない程のクズ素材だ。

 売っても100円くらいしかしないため、探索者もこのダンジョンに寄り付かない理由がよくわかる。

 

 そうして拾い終わった時、背後に不思議な気配を感じて飛び退く。

 そして今さっきまで自分がいた場所を見てみると、そこには半透明な骸骨がいた。

 それは『ゴースト』と呼ばれる霊体の魔物であった。

 冷気を操る魔法を使って戦う魔法使いとして嫌われる魔物である。

 ゴーストはすぐに氷魔法を放ってくる。

「ファイアボール」

 小さな氷の針がこちらに向かって飛んでくるが、私はそれを炎魔法で無力化する。

 ゴーストが炎の玉でこちらを視認できなくなった隙に、私は魔法銀の剣で切り付けた。

 ゴーストはうめき声をあげながら消滅していく。

 後に残ったのはドロップアイテムである『死霊の結晶』だけであった。

 この素材は魔法の効果を上昇する杖などの装備に使用される魔法職からありがたがられている素材だ。

 そのため、すぐに私は単体では使い道のない『死者のクズ鉄』と錬金することにした。

 

『死霊の指輪

 特殊効果:魔法威力増加(小)、魔法使用時における消費魔力低下(大)

 『死霊の結晶』と『死者のクズ鉄』を合わせて作られる特殊アクセサリー。

 一定以上の才能がある者しか作ることのできない装備であり、才能がない者が作ろうとすると失敗して鉄屑が生まれる。

 装備している者の魔力効率を上昇させるとされる。』

 

(なんかすごいのができちゃった……)

 私は作れたものに驚愕した。

 ネットで急いで調べてもこの装備アイテムの情報は出てこないため、相当レアなものなのだろう。

 装備効果も駆け出しレベルのダンジョンで作れるアイテムにしてはすごい。

「ファイアボール」

 私は急いでその指輪を自分の指にはめて、魔法を撃ってみる。

 その魔法は今までのものよりも威力は高く、体にかかる負担もだいぶ楽になっている。説明通りの効果ということだ。

 

(もしかして……『死者の布きれ』と合わせてもいいものが作れるのでは……?)

 そう思った私は、ゴーストやゾンビを狩りまくった。

 そして大量に錬金をしてみる。

 

『死霊のスカーフ

 特殊効果:装備時、スキル『気配遮断』の発現

 『死霊の結晶』と『死者の布きれ』で作られる装備。

 一定以上の才能がある者しか作ることのできない装備であり、才能がない者が作ろうとすると失敗してボロ布が生まれる。

 装備している者の気配を消すとされている。』

 

 これもいい装備ができてしまった。

 しかも悪用できるタイプの装備なので売るのは社会的にマズいものである。

 そのため私は、大量にできてしまった『死霊のスカーフ』を1つ除いてアイテムポーチに入れる。

 悪用されないためにはこれが一番安心できるのだ。

 

 そして私は一度このダンジョンの探索を止めて、ダンジョン局で休憩をするためにゲートに向かった。

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