ダンジョン局に戻った私は、職員に呼び出された。私が作った装備についての話らしい。
呼ばれたからにはいかないといけないのは分かるため、2回にある応接室に職員の誘導で向かう。
「失礼します」
ドアを3回叩き、声をかけてから扉を開けるとそこには初老の男性が立っている。
白髪が目立つ頭だが、体格もよいことから今でも健康なのだろう。
その男性は、私が入ってくるのを確認すると親し気な笑みを浮かべて近づいてくる。
「初めまして、私はこのダンジョン局で局長をしている
「初めまして、米田黒璃です」
お互いに軽い自己紹介をすると、席に座るように勧められた。
私は特に気にすることなく席に座り、大犬走さんが話始めるのを静かに待つ。
「短い方が若者にはいいだろうし早速君を呼んだ理由を話しますね」
大犬走さんはそう言って、理由を話し始めた。
そこそこ長い話だったので簡単にまとめると、私が取引サイトで売った装備についてだった。
購入者から実際に会って他に持っているだろうものについて取引をしたいと要望があったとのことだが、私に内緒で勝手に許可を出すのは駄目だろうと呼び出したのだった。
私としては実際に会うのが怖いので断りたい。
「まあ……断っても問題はないですよ。取引については君がどうしたいかが一番です」
大犬走さんはそう言うと、私に考えさせるために黙る。
「取引を希望されている方はどんな方なんですか?」
考えた結果、取引相手を聞いてから決めることにする。
「相手は中堅の探索者です。希望する物品については私にも分かりませんが、局内でも評価は高い方ですよ」
「なら一度会ってみます
ダンジョン局内でも評価の高い冒険者なら多少は信用できる。私はその人物に会うことにする。
「そうですか!あちらとしては今日の午後4時ごろがいいとのことです。米田さんはその時間でいいでしょうか?」
「はい、その時間でお願いします」
会うと決めると大犬走さんは都合の良い時間を聞いてきたが、私は仕事をしていないためどんな時間でも大丈夫なのだ。
そして午後4時になり、私は取引などをするための個室の前にいた。
取引相手はもう来ているらしいが、ダンジョン局からの評価が高いこと以外は分からない。
「失礼します」
だが、出会わなければ何も分からない。私は扉を開けて中に入った。
そこにいたのはとても美しい女性だった。周囲にキラキラとエフェクトが出ているかのように錯覚するほどに輝いている。
「こんにちは……」
「こんにちは、取引に応じてくれてありがとう」
私は内心ビクビクしながら挨拶をした。それに相手が返してくれる。
「こんなにかわいい子だとは思わなかったよ。僕の名前は
「私は米田黒璃です。どのようなものが欲しいのでしょうか?」
自己紹介をしてくるが、なんかオーラがすごい。
「僕が求めているものか……。君と言いたいとこだけどね……」
「私は売り物ではないです!」
「うん、知っている。僕の欲しい物は剣だよ」
さらっとナンパしてきたが、皇さん流の冗談だったのだろう。すぐに自分が求めるものを言ってくれた。
「剣ですか……?どのような剣でしょうか?」
「両手剣がいいいかな。誰も持っていないような素材の剣が欲しいんだ」
その言葉で私は一ついいものを考えた。
『死霊の結晶』とほかの素材を合わせることで誰も見たことのない武器が作れる可能性がある。
「分かりました。では早速作りますね」
私はすぐに皇さんの目の前で『死霊の結晶』と余っていた『赤蟷螂の大鎌』を組み合わせて錬金してみる。
「『死霊の結晶』かい!?そんな素材で作ったものなんて見たことがないよ!」
皇さんはすぐに私の考えに気づき、驚いた声をあげる。
『幽霊蟷螂の両手剣
特殊効果:生者に与えるダメージ増加。重量半減
『死霊の結晶』と『赤蟷螂の大鎌』を合わせた両手剣。
その重さはとても軽く、片手剣ほどの重さしか持たない。
生きている者に対して与えるダメージが増加する性質を持っている。
才能なき者が作ろうとした場合、呪われるだろう。』
作られたのは刃が青く輝く両手剣だった。
「これはすばらしい剣だよ。持たなくても分かる」
「ありがとうございます。代金はどうしましょう?」
作った『幽霊蟷螂の両手剣』を見ながら皇さんはとても考える。
どう考えても自分の全財産を使ってでも欲しい剣だが、本当にこの剣に全財産を使っていいものか悩んでしまう。
「すまない、考え込んでいたね……。ではこの剣には1000万払おうかな」
考え抜いた末、全財産を払って購入することに決めた。
懐は正直とてもきついが、すぐにこの剣で稼げるだろう。
「すごい高いですね……。もっと安くてもいいですよ?」
「いや駄目だ!ちゃんと対価は支払わなければならない!」
私の言葉に少し怒ったように皇さんは反論してきた。
確かにその通りだったので、私は黙って剣とお金を交換する。
「いや……。いい買い物だったよ。これからも何か欲しいものが出来たら頼みたいぐらいさ!」
「本当にありがとうございます!ではこれで私は帰ってもいいですか?」
お互いが満足して取引を終了したため、私は家に帰ろうと断りをいれる。
「そうだね……、本当はもう少し一緒にいたいけどまあいいか。さようなら」
「失礼します!」
皇さんからの許可も出たので私はさっさと家に帰った。