そう、カルストンライトオならね
※某所で投稿したものを修正して投稿
※pixivにも同時投稿しています
※旧題「二重カルストン実験」
ヒシミラクルの前にカルストンライトオが立っていた。
ピシリと真っ直ぐ格好良く立っている。
ヒシミラクルは、さすがわたしと違うなあ~と感心しながら眺めていたが、どうにも後ろに何か妙な気配を感じる。
振り向くと、カルストンライトオが立っていた。
なんだ、ライトオちゃんか~と正面に向き直れば、変わらずカルストンライトオが立っていた。
相変わらずピシリと真っ直ぐ立っている。そういえば後ろのライトオちゃんも真っ直ぐだったな~と思った時、脳裏に走る違和感。
恐る恐る、振り返る。
カルストンライトオが立っていた。
素早く向き直り、そしてまた後ろを見る。
どちらにもカルストンライトオが立っていた。
訳が分からない。どうして前にも後ろにもいるのか?
どうにもむず痒くなってその場からダッシュで離れてみる。
すると、二人のカルストンライトオが追走してきていて、あっという間に挟まれてしまった。
然しものヒシミラクルも現状を理解して脚が止まる。カルストンライトオが二人いる!
「あわわ、ライトオちゃんが二人も!」
「「両方私です」」
「どっちかはニセモノですね、騙されませんよ!」
「「両方私です!」」
両方本物だからどうしたというところでもあるが、そんなツッコミをする余裕は今のヒシミラクルにはなかった。
「なんでライトオちゃんが二人に見えるの」
「簡単な事です。私はそれ程に早い」「そして2倍になればもっと早い」
「えぇ……そんなに速くなってどうするの。っていうかなんでわたしを囲んでるの~!」
「速ければ速い程良いに決まっています」「それにヒシミラクルさん、貴方が挟まっているだけです」
どうやら話が通じそうにない。
好きで挟まってる訳ではないし、じゃあなんでさっき追ってきたのか。
ヒシミラクルはげんなりした。
このまま挟まっていたらリバーシみたいに白い自分まで黒いライトオになってしまいそうだ。
そこでふと、もしかしてどちらかのカルストンライトオが残像か何かではないかと思いつく。まだ自分はヒシミラクルのままだ。
とはいえ確かめるには触れてみる必要がある。
考えていても埒が明かない。思い切って正面のカルストンライトオに飛びかかり、タッチをしよう手を伸ばす。
しかし感触が無い。飛び込んで距離を詰めたはずなのに、飛び込む前と変わらない距離にライトオが立っていた。
振り向くと、やっぱり変わらない距離に後ろのライトオが立っていた。
まるで動いた素振りも無いように真っ直ぐと立っている正面のライトオが宣言する。
「残像です」
堂々と言われればそれはそれでシャクだなあ、と考えるのが精一杯だった。
ヒシミラクルの頭は疲れ果てていた。
「やっぱりどっちかはニセモノなんじゃ……」
「どちらも残像でどちらも本体です」「私は遍在できる。速さを極めるとはそういう事です」
言っていることが分からない。
頼むから分かる言語で喋って欲しかった。
残像でも本体でもあるとか偏在しているとかなんなんですか。
もう目の前の事について考えるのが辛い。
が、そこでヒシミラクルにひとつの疑問が浮かぶ。疲れた頭は特にそれを推敲せずに口に直接出力した。
「そういえば……どっちのライトオちゃんが速いの?」
「「!!!」」
ある意味、この場で最も言ってはならない言葉であったかもしれない。
ようやくとんでもないことを言ったかもしれないと気付いたヒシミラクルであったが、既に二人のライトオは言い合いを始めていた。
「最速の座はひとつだけ、そこに二人も必要ない」
「最速は私、カルストンライトオただ一人だけだ」
「本物の方がより早いはずだ偽物め」
「いいだろう。1000直を光速をも超えたカルストンライトオ速で駆け抜ける姿を見せてやる」
「「最速は私だ」」
「えぇ~……」
つい先ほどの両方私であるという宣言を最速で翻し、理解しがたい争いが始まる。
そして二人のカルストンライトオは、稲光の様な速さでどこかに駆けてあっという間に見えなくなった。
ヒシミラクルはもう何も考える気になれず、その場にへたりこんだ。
◇◇◇
「ハッ!……ゆ、夢かあ~」
目が覚めたヒシミラクルは、先程まで見る羽目になっていた訳の分からない夢の内容を残念ながらしっかり憶えていた。
どうして寝ている間まであんな目に遭わなければいけないのか。
滅入る気分を引きずり、耳までしなしなになりながら登校する。
校内に入った時、ちょうど目の前にカルストンライトオが立っていた。
「げえっ!ライトオちゃん!!」
「げえっとは何ですかしかしその反応の速さは評価しましょう」
まさかこの場で会うとは思わず、不覚にも呻くヒシミラクル。
ライトオの顔を見ただけで疲労が一気にぶり返しそうな事を思えば無理もない事であった。
そして目の前の光景から猛烈に嫌な予感がして、らしからぬ速度で振り返る。
後ろにも、カルストンライトオが立っていた。
ひとつの夢
二人のライトオ
しましまのミラ子