アイドルVS不審者とか言う事案デュエルw
私が舞網市のデュエル塾の中でも最高峰のエリート校とされるLDSの融合コースに臨時講師として呼ばれた理由はいたって簡単、融合コースの担当講師が正体不明の不審者に襲撃されたからだ。どうもデュエルをして、不審者に敗れた可能性が高いという事に加え、襲撃された講師が実力者であったことから融合召喚を扱う事ができて、かつ(本気ではないにせよ)赤馬社長に勝ってしまったフリーの私に話が来たというわけだ。
手持ちのデッキでもおいそれと負けてやるつもりは無いが、襲撃の可能性が高い(だから危険手当含めて報酬マシマシ)となれば、相応の武器を準備するのが当然だ。LDSのビルに行く前に、目と鼻の先の距離にあるレオ・コーポレーション本社ビルに立ち寄り、研究棟へと入っていく。
「本気ですか? このカード群はまだテスト段階です、事件が起きている中でこれを使うというのは……」
「テスト段階だからテスターの私が握るんでしょ。デュエルディスクに異常が出ないなら大丈夫。このカードの性能なら、もし襲撃があったとしても簡単に負けたりしないよ」
不安げなレオ・コーポレーションのスタッフからカードを受け取り、デッキにしていく。
「これでよし、と」
デッキを形にしたところで、LDSへ向かう……こっちが警備厳重だから、コネも何もないとLDS側からレオ・コーポレーションに接触を図ろうとするのはまあ間違いじゃないんだがやり方に問題がありすぎたね。
LDSで、授業をこなしていく。襲撃直後という事でどうしたものかと思ったのだが、きちんと授業の記録が残っていたおかげで助かった。やる事が明確でありがたい。
「《
授業を終えたところで、特に熱心に授業を聞いてくれていた女子生徒に声をかける。
「光津真澄さん、だったね。臨時で呼ばれたからそこまで深い事は話せなかったんだけど、私の授業はどうだった?」
「ためになりました、ありがとうございます」
「そう言ってもらえてよかった」
「舞網市のアイドル、沢渡遊花さんが授業してくれるってだけで感動ものですよ!」
「近寄りがたいのかな、って思ったら授業聞いてみたら意外と気さくだしな」
「え、私そんなお堅いイメージ付いちゃってるの?」
ガラじゃないしスケジュールキツイからってバラエティの類の話を徹底して断ってるのが裏目に出たか……ちょっと心外だ。
「ええと、志島北斗君に刀堂刃君だっけ。アイドルって言っても、私は元々ちょっとデュエルが出来たおかげで沢渡家に引き取られて、恩返しで宣伝やってるだけだからね……根っこはお金も親も無かった孤児院時代の庶民生活が染みついちゃってるんだよ。実は髪も家族の髪色に合わせて染めてるけど、本当は黒髪なんだ」
それじゃ地味、というアイドル的な事情もあって染めてます、はい。地毛がカラフルなキャラが多い遊戯王世界とは思えない裏事情である。
「そんなわけで、実態は普通の高校生に近いと思うから、気軽に接してくれた方が嬉しい。それで、さ……融合コース、シンクロコース、エクシーズコースそれぞれで優秀な君らに先生として頼みがあるんだけど、良いかな?」
「頼み、ですか?」
「うん。君らと同じジュニアユースの子で、デッキの方向性に悩んでる子がいるから一度本格的な融合を使ったデュエル、エクシーズを使ったデュエルをしてあげて欲しいんだ。参考になるだろうから」
「それは構いませんけど、公式戦ですよね? 私も勝ち星稼いでおきたいので、倒しちゃいますよ」
「僕も、手は抜けませんよ」
「あ、良いの良いの。むしろ徹底的にボコボコにしてやって、その方が得るものあるだろうから。シンクロはデッキに入らないだろうから、刀堂君は任せる。それから、余裕があればジュニアコースの子を見てあげて欲しいかな。EXデッキの使い方教えてるところで、シンクロにも興味持ってる子がいるんだよね」
ただ、これでタダでと言うのは仕事をしている身としては無いだろう。
「報酬は前払い、って事でこれあげるからさ」
3人に、1枚ずつカードを渡す。
「《レスキューラビット》……」
「真澄さんの【ジェムナイト】は通常モンスター多いでしょ? これで2体デッキから引っ張ってこれるよ」
「《輝光子パラディオス》……」
「ランク4で光属性限定のエクシーズモンスターだけど、志島君の【セイクリッド】は光属性主体のデッキだから入れておいて損は無いと思う」
「《ナチュル・ビースト》……」
「刀堂君のデッキは確か地属性の【Xーセイバー】だよね。地属性限定シンクロで、制圧力がめちゃくちゃ高いから狙えるなら狙ってみると良いよ」
「「「ありがとうございます!!」」」
とりあえず、これで遊勝塾で悩んでいる柚子、遊矢も良い刺激を受けられるだろう。ジュニア組も物のついでで調整を手伝ってもらえばジュニア選手権上位に食い込める可能性は高い。
授業は終わったが、もう1つの仕事はこれからだ……LDSのビルを出たところで、背後から声をかけられる。
「貴様もLDSか」
「あんた、この町の住人じゃないでしょ」
振り返って、サングラスをかけた長身の不審者に告げる。
「……何故わかる?」
「私もこれでアイドルだからさ、出待ちされるのは珍しくないんだよね……でも、そんな変わった呼び止め方をされたのは初めてだよ。普通は『沢渡遊花さんですか?』って聞かれる。で? LDSに何の用? 私はただ単発で臨時講師頼まれただけなんだけど?」
「深く関わってはいないか。だが、LDSの背後を動かす必要がある……俺とデュエルしてもらおう」
「なるほど? 要するに、騒ぎを大きくする事でお偉方に話を通させたいわけだ。回りくどいと言うか、乱暴と言うか……良いよ、相手してあげる。ただし、勝っても負けてもそれでこういう物騒なのはやめてよね……LDSの上に話をしたい、って言うなら私が口利いてあげるから」
「何だと!?」
「私はフリーの教師兼フリーのプロ決闘者でね、一応赤馬社長とはビジネスの契約を結んでるから、面談のアポを取るくらいならなんとかできる。そこから先はあんた次第だね」
「……ならば、力を見せてみろ。お前の言葉が信用に値するかはデュエルを通して判断する」
「「デュエル!!」」
「私の先攻、永続魔法《補給部隊》を発動、ペンデュラムゾーンに《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》と《レアメタルフォーゼ・ビスマギア》をセッティング! 《レアメタルフォーゼ・ビスマギア》のペンデュラム効果、《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》を破壊して、デッキから『メタルフォーゼ』魔法・罠カードをセットする。《
「ペンデュラム召喚だと!? 俺の知らない召喚法だ……そんな方法で最上級モンスターを出すか!」
「そりゃ知らないよね、この町でも最新の召喚法なんだから。でも、これで終わりじゃない。ペンデュラムゾーンの《メタルフォーゼ・シルバード》のペンデュラム効果、《レアメタルフォーゼ・ビスマギア》を破壊して、《メタルフォーゼ・カウンター》をセット。エンドフェイズ、《レアメタルフォーゼ・ビスマギア》の効果、デッキから《メタルフォーゼ・スティエレン》を手札に加える。これでターンエンド」
「俺のターン、ドロー! 《
次から次へと……流石の展開力だ。しかし、地盤固めで終わらせる気は無いだろう。次はどう来るか……
「1体目の《RR-フォース・ストリクス》を対象に《
こいつ、1ターンでケリをつけるつもりか。甘く見られたものだ。
「《RR-エトランゼ・ファルコン》の効果、エクシーズモンスターをエクシーズ素材に持っている場合、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで相手モンスター1体を破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを与える! 《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》を破壊!!」
「くうっ……!」
遊花 LP4000→1600
「罠カード《メタルフォーゼ・カウンター》を発動! 自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合、デッキから『メタルフォーゼ』モンスター1体を特殊召喚する! 《メタルフォーゼ・ゴルドライバー》を特殊召喚! 更に永続魔法《補給部隊》の効果で1枚ドロー!」
「フン、まあいい。バトルフェイズに入る」
「ならその前に速攻魔法《
「融合だと……!」
明らかに苛立った様子を見せる不審者……思いっ切り地雷なのはデッキを受け取った時点で承知の上だ。
「《フルメタルフォーゼ・アルカエスト》の効果、相手ターンに1度、相手モンスター1体をこのモンスターの装備カードとして装備して、その元々の攻撃力分、このモンスターの守備力をアップする!」
《RR-エトランゼ・ファルコン》を吸収。【メタルフォーゼ】では割と普通の妨害だが、ブチ切れる不審者。まあ、そうだよね。
「貴様ぁ!!」
「怒るのは勝手だけど、チェーンはある?」
「……チェーンはない。バトルフェイズは何もせず、このままターンを終了する」
フィールドには守備力2000になった《RR-フォース・ストリクス》。ライフは全く減っていないので、ワンチャン耐え切れば次で返せると踏んでいるか。実際、生き残られると切り返される可能性は高そうだ。
「私のターン、ドロー!」
だが、このターンで決める。
「墓地の《メタルフォーゼ・カウンター》の効果、墓地のこのカードを除外する事で、私のEXデッキから表側表示の『メタルフォーゼ』モンスター1体を手札に加える。《レアメタルフォーゼ・ビスマギア》を回収して、そのままペンデュラムゾーンにセッティング。《メタルフォーゼ・シルバード》のペンデュラム効果、装備カードとなっている《RR-エトランゼ・ファルコン》を破壊してデッキから《
灼熱を纏った鋼の戦士が舞い降りる。
「《メタルフォーゼ・ミスリエル》の効果発動、墓地の『メタルフォーゼ』カード2枚をデッキに戻し、フィールドのカード1枚を手札に戻す! 墓地の《重錬装融合》と《メタルフォーゼ・スティエレン》をデッキに戻し、《RR-フォース・ストリクス》を手札に戻す!」
「っ……エクシーズモンスターの《RR-フォース・ストリクス》は手札ではなく、EXデッキに戻る」
「バトル! 《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》、《メタルフォーゼ・ミスリエル》の順に直接攻撃!!」
? LP4000→1600→0
「ぐっ……」
「勝負あったね。約束通り、赤馬社長には連絡とってあげるからまずそのサングラスとって素顔と名前くらいは明かしてくれても良いんじゃない?」
デュエルに負けたからか、意外と潔くサングラスを取る。
「黒咲、隼……」
知ってたけどね。
「ふうん、なかなか美形じゃん……ん?」
そこで、ある事に気付いて思わず顔をしかめる。
「ちょっとあんた……臭っ! もう! こんなんで社長に会わせられるわけないでしょ! どうせ同じような状態だろうから、今すぐあんたの連れも呼んで!!」
「何故、連れがいるとわかる?」
「あんたみたいな乱暴な奴、フォロー役がいなかったらもっと無茶してるに決まってるでしょうが! サッサと連絡する!!」
私は思った以上に酷い状態だった黒咲と、半ば強引に連絡させた連れ……ユートをある場所に連れていくことを決めるのだった。
鉄の意志と鋼の強さ云々いうから、金属モチーフの【メタルフォーゼ】をお出ししました。本来の【RR】ならレディネス準備してもう少し防御固めると思うのですが、尺の都合でこうなりました。アニメ本編の謎プレイングに近いものとお考え下さい。
次回はちょっとアニメ本編から外れつつ、脇を固めるエピソードを書いてみるつもりです。
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