ARC-V転生美少女物語   作:らびどっぐ

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 今回は狂犬とデュエルです。なお、勝手に抜け出してきたのでオベリスクフォースとは別系統で独自行動を取っています。
 また、ここまで伏せていた仕掛けの正体も明かします。


★VS【月光】

 観客も選手達も食事休憩を終えて、散発的にデュエルが始まり出した頃……異変が徐々に人々の目に止まりだした。

 

『沢渡さん、そのインカムは?』

『警備ボランティアの各班リーダーと繋がっています。ルール上、参加選手以外も乱入可能ですからそうした部外者の排除が彼らのやる事なんです。早速報告が来始めてますね……梁山泊塾の塾生が2名倒されたとか』

『ほう! あの梁山泊塾の塾生を倒すとは頼もしい!』

『かなりギリギリだったみたいなんで、過信はできませんけどね』

 

 実のところ、この戦果の裏で既にオベリスクフォースと思われる仮面軍団との交戦報告が次々と上がっていた。【クリフォート】のデッキパワーと、あちらも積極的なカード化を行わない様子から被害は出ていないが戦況としては一進一退らしい。

 

(あれだけ戦力ぶち込んで五分五分……そりゃ本編程度の規模じゃ被害も拡大するわ)

 

 実は本編でもLDSの留学生部隊9名が投入されたが、足止め程度にしかならなかった。今回投入されたのは48名、栗田部長も立候補してくれたため投入し、私も含めれば50人と本編の実に5倍以上の戦力を投入している。戦いは数だよ兄貴。

 

『志島北斗選手の反応が無い、また、現場に投入された警備ボランティア3名も応答が無い』

 

 その報告を受けて、席を立つ。

 

「ちょっと行ってきます。解説ですが、ちゃんと代役もお連れしてあります」

『え!?』

「修行を積んできた、っていうのは伊達じゃありません。それに、私よりも実績は豊富な方ですよ」

 

 解説席に入れ替わりで座ったのは、2m近い巨漢だった。

 

『す、ストロング石島!?』

『おう。ヒヨッコ共のデュエル、じっくり見させて貰おうじゃねえか』

 

 遊矢に敗れたとはいえ、3年もチャンピオンの座を守り抜いた男を修行の旅でぶらつかせておくのはあまりにも勿体ない。事前にLDSの情報網で居場所を割り出し、この役目を頼んでおいたのだ。赤羽零児様々である。

 

 会場を飛び出し、報告のあった場所まで走る。

 

(バイクの免許持ってればなあ……)

 

 そんなもの取っている暇は無かったのだが、こういう時Dホイールがあればと思ってしまう。なお、専用ペンデュラムカードは念のため準備済みだ。

 

「ペンデュラム召喚、か……面白い召喚法だったが、私と戦うには少々力不足だったな」

「見つけた! 全く……手間かけさせないでよこの狂犬娘」

「何だ貴様」

「初めまして。私は沢渡遊花、アイドル兼教師兼プロ決闘者……かな? 一応この大会の運営側で、多分アンタより強い決闘者」

「私より強い? 面白い事を言うな」

「赤羽零児に聞いた。あんた、セレナでしょ」

「赤羽零児だと……貴様、アイツを知っているのか?」

 

 その名前に反応し、こちらを睨みつける目に鋭い光が宿る。

 

「知っているって言うか、プロ試験で戦ったし一応ビジネスパートナー、かな? 勝てる、とは言わないけど私は彼ともそこそこ戦えるくらいの実力はあるよ」

「面白い! 叩きのめして赤羽零児を引きずり出してやる!!」

「上等! 不公平だからね、アクションカードは使わないであげるよ」

 

 大嘘である。もう一度やったら赤羽零児には多分勝てないし私はアクションデュエルよりも通常のデュエルの方が得意なのだ。

 

「「決闘!!」」

 

「私の先攻!」

 

 セレナのデッキは【月光(ムーンライト)】。攻撃的な効果を持つ融合モンスターによる高火力攻撃を得意とするデッキだ。後攻ワンキルも得意なため、油断できる相手ではない。

 

「《マジェスペクター・ラクーン》を召喚、召喚成功時効果発動、《マジェスペクター・ユニコーン》を手札に。スケール1《メタルフォーゼ・シルバード》を左ペンデュラムスケールにセッティング。シルバードのペンデュラム効果、ラクーンを破壊して《錬装融合》をセット、スケール8《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》を右ペンデュラムゾーンにセッティング! これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能! ペンデュラム召喚! 手札から《マジェスペクター・ユニコーン》、《メタルフォーゼ・ゴルドライバー》2体、EXデッキから《マジェスペクター・ラクーン》! 《錬装融合》発動、ゴルドライバー2体で融合召喚を行う! 鋼の戦士よ、2つの火を重ね合わせ、光り輝く炎となれ! 《メタルフォーゼ・オリハルク》!! 墓地の《錬装融合》をデッキに戻して1枚ドロー! ヴォルフレイムのペンデュラム効果、ラクーンを破壊して《メタルフォーゼ・カウンター》をセット。これでターンエンド!」

 

 《錬装融合》のドローがありがたい。妨害を引き込み何とか2妨害。少々物足りないが、これで凌げるかどうか……。

 

遊花 LP4000 手札1枚

フィールド 《メタルフォーゼ・オリハルク》(ATK2800)、《マジェスペクター・ユニコーン》(ATK2000)

Pゾーン スケール1《メタルフォーゼ・シルバード》、スケール8《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》

伏せカード1枚(《メタルフォーゼ・カウンター》)

 

「私のターン、ドロー! 《月光黒羊(ムーンライト・ブラック・シープ)》の効果発動、このカードを手札から捨てる事でデッキから《融合》を手札に加える。《月光白兎(ムーンライト・ホワイト・ラビット)》を召喚して効果発動」

「手札から《エフェクト・ヴェーラー》を捨てて《月光白兎》の効果を無効にする」

「チッ……ならばこうだ! 《融合》を発動、フィールドの《月光白兎》と手札の《月光紫蝶》を融合! 漆黒の闇に潜む獣よ、紫の毒持つ蝶よ、月の引力により渦巻きて新たなる力と生まれ変わらん! 融合召喚! 現れ出でよ! 月明かりに舞い踊る美しき野獣! 《月光舞猫姫(ムーンライト・キャット・ダンサー)》!!」

 

 墓地に《月光紫蝶》を落としたことから察するに、恐らく手札にムーンライトモンスターの攻撃力を2倍にする効果を持つ《月光蒼猫(ムーンライト・ブルー・キャット)》を握っている。《月光紫蝶》の墓地効果で、《月光蒼猫》を特殊召喚して《月光舞猫姫》の攻撃力を2倍にしたうえで《月光蒼猫》をコストに《月光舞猫姫》の全体攻撃を可能にする効果を発動、一気に片を付けるつもりだ……黒咲もだが、どうして殺意全開のくせに相手のモンスター効果を確認しないのか。ヴェーラー握ってなかったらもっと厄介だったのでその油断に救われた部分も少なくないが。

 

「《マジェスペクター・ユニコーン》の効果発動、自身と《月光舞猫姫》を手札に戻す」

「何だと!? くっ……墓地の《月光紫蝶》を除外して効果発動、手札の《月光蒼猫》を守備表示で特殊召喚し、ターンエンド……」

 

セレナ LP4000 手札2枚

《月光蒼猫》(DEF1200)

 

 【月光】は極めて攻撃的な反面、防御札に乏しい。セレナの手札はあと2枚あるが防御に使えるものではなく、《月光蒼猫》は戦闘及び効果で破壊された時に後続を持ってくる効果も持っている事から、これで何とかしのぐつもりだろう。

 

「私のターン、ドロー!」

 

 ここまで来たら《マジェスペクター・ユニコーン》をペンデュラム召喚し、その効果で《月光蒼猫》をどけるだけで勝てるのだが……ハッキリ言ってそれでは塩試合も良いところだろう。正直趣味ではないのだが、たまには派手なモンスターを出して決めるのも『エンタメデュエル』としては大事な要素だ。

 

「ペンデュラム召喚! 《マジェスペクター・ユニコーン》、《メタルフォーゼ・ゴルドライバー》2体、《マジェスペクター・ラクーン》! 《メタルフォーゼ・シルバード》のペンデュラム効果でラクーンを破壊、《錬装融合》をセット! 自分のモンスターが破壊されたことで《メタルフォーゼ・カウンター》を発動しデッキから2体目の《メタルフォーゼ・ヴォルフレイム》を特殊召喚! 《錬装融合》を発動! ゴルドライバー2体とヴォルフレイムを素材に融合! 鋼の戦士よ! その魂を極限まで燃やし昇華せよ! 融合召喚! 《メタルフォーゼ・カーディナル》!!」

「攻撃力……3000だと!?」

「何の効果も無いけどね。バトル! 《メタルフォーゼ・カーディナル》で《月光蒼猫》を攻撃!」

 

セレナ LP4000→400

 

「うあああ!! 何だ今のダメージは!?」

「《メタルフォーゼ・オリハルク》の効果。メタルフォーゼモンスターが守備表示モンスターを攻撃する場合、2倍の貫通ダメージを与える」

「そんなっ……」

 

 《月光蒼猫》で後続を出したところで、オリハルクの攻撃力も2800と相当高い。攻撃表示であれ守備表示であれ、わずか400のライフでは耐え切れない。

 

「どうする? 《月光蒼猫》の効果は使う?」

「……効果は、使わない! さあ来い!!」

「その心意気やよし。《メタルフォーゼ・オリハルク》でプレイヤーに直接攻撃!!」

 

セレナ LP400→0

 

 正直ひやひやしたが、蓋を開けてみれば案外何とかなってしまった。セレナは負けたら負けたで「カードにするなりなんなり好きにしろ」とくっ殺みたいなことを口走りだしたのでとりあえずゲンコツかまして引きずって行った……こっちは暇じゃないのである。

 

 一方、警備ボランティア達も最初こそ一進一退であったが、徐々に優勢になり始めていた。そのカラクリはバトルロイヤルのルールにあった。

 

「何だこれは!?」

 

 これまでの『バトルロイヤルモード』はデュエルの途中であっても2000ポイントのライフを代償に自由に乱入が出来た。しかし、それが出来なくなっていたのだ。

 

 一度、冷静に考えてみて欲しい。榊遊矢がペンデュラム召喚を成功させて以降『ペンデュラムゾーン』が作られ『マスタールール3』ヘルールが移行した。そもそもそれ以前から制限改定は当然のように行われ、そうしたルール変更は都度OCGだけでなくアニメにも反映されていた……つまり『後からルール変更を行う事』は全然可能なのである。

 

 バトルロイヤルのルール変更、と言っても極端なものではない。開始時は通常通りだが、乱入に関しては『デュエル中のプレイヤー全員の同意』を必要とするようにしただけである。これにより『増援によるゾンビ戦法』を封殺したのだ。また、明確な穴となっている開始時点についても条件付きで『チームバトル』に移行することを可能にしてある。

 

 チームバトルの条件は

・偶数人である事(4人、6人等)

・デュエルの参加者内で『チーム申請』が可能であるため、それに同意する事

 

 これにより条件さえ整えればバトルロイヤルモードとは名ばかりのタッグバトル、チームバトルに移行する事ができる。チームバトルの場合、チーム全員が敗北しない限り敗北とみなされなくなる。また、チームの仲間に攻撃を行う事は出来ない。

 この改定により、集中砲火による一方的な敗北からのカード化という展開をある程度ではあるが減らす事が出来る。場当たり的な対応なので、相手によるルール改定の可能性もありいつまでも使える手法ではないが、意外と細かいルール変更には目が行かないものであり、効果は覿面だった。

 こちらの警備ボランティアも3人のチームで行動させる事で、オベリスクフォースと戦っても3対3のチーム戦、かつ増援無しなので相手が持っていた数のアドバンテージは完全に消失。条件が同じならオベリスクフォースの【古代の機械】に対して【クリフォート】が互角以上に戦えることは既に証明済みである。

 

 結局柚子のガードに関してはユートにほぼ丸投げになってしまったのだが、こうして初動を抑え込んだことで、被害を格段に軽減する事が出来た。時間としては、まだ日が落ちる前……夜には更なる来訪者が待っている。




 いやー、ムーンライト怖い。意外と難産でした。
 というわけで、遊花の【メタルフォーゼ】にマジェスペクターを出張させてみました。最初は【メタル竜星】を考えていたのですが先攻でぶん回させた結果闇属性の効果発動無効のチョウホウ+九支2枚とか言う人の心案件になってしまったのでこちらにしました。ボウテンコウとかいう奴が悪い。

 バトルロイヤル対策は『ルール変更で許可制にしちゃおう』でした。乱入ゾンビ戦法を封じて同人数でのチーム戦に持ち込めば条件は五分と五分、と言うわけです。
 序盤に出した『ヒントはオリンピック』というのは、実は冬季オリンピック、特にスキージャンプは日本人が散々暴れ散らかした結果欧州勢によってルール変更と言う形でゴールポストを動かされてきたという事からです。

 結果的に北斗こそ救えませんでしたがその他の参加選手被害は格段に押さえられています。セレナに関してはこの後赤羽零児に引き渡してとりあえず対処を丸投げ、遊花は次なる強敵であるバナナをどうにかしに行く事になります。

 余談ですがストロング石島、実際あのデッキでチャンピオン3年保持はかなり頑張っていた隠れた有能だと思ったので再登場させてみました。
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