実は、遊花のデッキは少しずつ変えていますが最終地点となるデッキは決めてあったりします。
狂犬娘セレナに関しては赤羽零児社長に一任する為に会場に一度帰還して引き渡した。現在のペンデュラムカード取得数を中継で確認したところ、意外にもトップは黒咲で14枚。恐らく3人で襲ってきたオベリスクフォースから1人あたり2枚……6枚を奪い取り、更にバトルロイヤルでもカードを獲得したのだろう。
そしてシンゴは……2枚でブービー。調子に乗ったところで誰かに巻き上げられて拾い直したのが容易に想像出来た。所持数から見て、やったのは柚子ちゃんかな? こちらも10枚と上位にいる。トーナメントの活躍度で言えば番狂わせ、裏事情で言えば特大の爆弾なので出来れば大人しくしていて欲しいのだが現実は甘くない。
下手に戦果を上げて目立ってしまうと位置が割り出しやすくなるので、間違いなく素良が動く……せめてデニスには動かないでいて欲しいところだ。アイツまで本性見せたら対処しきれない可能性が高い。
ここで融合次元の連中に柚子ちゃんを確保されるのは非常にマズイ……と、そこで朗報が入る。ユートと素良が交戦状態に入ったそうだ。本編屈指の有能枠である月影と権現坂まで混ざり、そこに真澄ちゃんと柚子ちゃんで6人という大規模バトルロイヤルと化したらしい。これで勝ち残れば一気にトップ、ということで観客の注目も一点集中……これで素良とて極端な真似は出来まい。
安心出来る状況ではないが、とりあえず時間は稼げる。その間に鞄を開け、カードの山を取り出す。
(スペック差はともかく【メタルフォーゼ】はアイツとは相性が良くない。今のうちに……!)
敵を知り己を知れば、と言うやつだ。相手が分かっているなら相応の対策となるデッキは用意出来る。
デッキの準備を終えて、会場を飛び出したところで今度は最悪の知らせが入った。突如として素良と柚子ちゃんが消えたらしい。空気読め迷惑ブレスレット!!
混乱が広がったが、バトルロイヤルの最中という事で素良、柚子は不戦敗扱いになり進むようだ。あちらの状況は見えていないが、デュエル継続がかえって不都合になってしまった……月影、権現坂、ユートと有能枠が揃って足止めを食らっている事になる。真澄ちゃんの【ジェムナイト】もかなり強力なので誰が勝つか予想がつかない。
わざわざ混戦に首を突っ込んだところで出来る事は無いので、早く決着が着いてくれる事を祈りつつ別方向に走っていく……すると、程なくして見覚えのあるトマト頭が。
「遊花さん!?」
「やっほー、遊矢。調子はどう?」
「茂古田と大漁旗に勝って、ペンデュラムカードは8枚ある」
「まずまずだね」
「ミエルが助けてくれなかったら、危ないところだったよ」
話によれば、本編通り拾い集めたペンデュラムカードを餌に罠を張っていたらしい……危うく2対1でカードを奪われる所を、ミエルちゃんが割り込んでタッグにしてくれたそうだ。そして2人を倒して得られたカードは山分けして今の状態だという。
「バトルロイヤルだと一時共闘や頃合いを見ての裏切りも立派な戦術だからね。考えて動かないと、また嵌められるよ……差し当たりそのミエルちゃんとか、ウチの愚弟辺りと一旦組むのが良いんじゃない? アイツは今カードが少ないみたいだから、取引を持ちかける余地はあると思うよ」
「共闘か……」
それとなく、助け舟を出してやる……遊矢というよりシンゴの為だけど。あの愚弟は自発的に他人と組むという発想が欠如している節があるので、このままだと一人相撲で勝ち残れないというしょうもない展開になりかねない。ライバル意識が無駄に高いせいで共倒れになる可能性もあるが、この際贅沢は言いっこなしだ。
「わかった、もし会ったら話を持ち掛けてみるよ」
「榊遊矢! オレもまだツイてるぜ! デュエルだ、ペンデュラムカードを……」
その返事を聞いたのと同時に本人がやって来る。タイミング的な意味では本当持ってるなコイツ……上手く取引を持ち掛けられるかまでは面倒見ていられないのでとりあえず移動するか、と判断した所に突如爆音が響いた。
「リーーーーン!!」
「何だぁ!?」
「バイク!?」
ユートじゃなくてこっちに来るんかい!!
「2人はデュエルするでも手を組むでも良いから離れて! いきなりバイクで乱入とか、話が通じる気がしない。部外者の相手は私の仕事だからここは任せて」
「アイツは……うっ!!」
「遊矢? 何でかは分からねえけど、顔色悪いな……引き受けてくれるってんなら、逃げた方が良さそうだ」
遊矢に肩を貸して背を向けるシンゴ。こういう時ちゃんと手助けが出来るという点で、やはり根は悪い奴ではない……ナイスアシストだ。
「待て! リンを返しやがれ!!」
「はいストップ。多分、盛大な勘違いだから。一旦頭冷やして話す気は無い?」
「そんなヒマがあるか! あの野郎の肩を持つなら、お前もぶっ倒す!」
気持ちは分からないでもないけど、完全に頭に血が昇って話を聞く気皆無だわ……。
「仕方ない。じゃ、相手してあげるからコレ受け取って」
「あん?」
「今こっちはイベント中でね、その2枚を持ってないとデュエルディスクが対戦を受け付けてくれないんだよ」
ペンデュラムカードを投げ渡す……これはセレナが持っていたものだ。私自身が非常用に持っていたのは2枚だけなので、そういう意味でも先にセレナを倒したのは好都合だった。
「「決闘!!」」
「オレの先攻! 自分フィールドにモンスターがいない時、《
知ってた。そしてコイツを通したが最後、好き放題展開されるのは目に見えている。
「させない。手札から《
「クソっ! それなら、《
???
LP4000 手札3枚
フィールド 《HSR魔剣ダーマ》(ATK2200)
しっかりシンクロ召喚してくるか。魔剣ダーマには墓地の機械族1体を除外する事で500のバーンダメージを与える効果があるが、使ってこないのは後の備えだろう。電々大公は墓地から除外する事でスピードロイドチューナーを手札・墓地から展開できる。ベイゴマックスも何らかの手段で再利用できれば、再び展開に繋げられる。
「私のターン、ドロー! スケール5の《マジェスペクター・フロッグ》とスケール2の《マジェスペクター・ユニコーン》でペンデュラムスケールをセッティング! これでレベル3と4のモンスターが同時に特殊召喚可能! ペンデュラム召喚! 《マジェスペクター・ラクーン》、《マジェスペクター・クロウ》、《マジェスペクター・フォックス》!!」
「何だあ!? 手札のモンスターがいっぺんに!?」
「これがこの次元最先端の召喚法、ペンデュラム召喚だよ。特殊召喚成功時、3体全部効果発動。チェーンは……フォックス、ラクーン、クロウの順で。逆順処理で《マジェスペクター・クロウ》の効果、デッキから『マジェスペクター』魔法カードを手札に加える。《マジェスペクター・ストーム》を手札に。次に《マジェスペクター・ラクーン》の効果でデッキから『マジェスペクター』モンスター1体を手札に加える。《マジェスペクター・キャット》を手札に。最後に《マジェスペクター・フォックス》の効果、デッキから『マジェスペクター』罠1枚を手札に加える。《マジェスペクター・テンペスト》を手札に。《マジェスペクター・ストーム》を発動、風属性・魔法使い族のモンスター1体をリリースする事で、相手モンスター1体をデッキに戻す。《マジェスペクター・クロウ》をリリースして《HSR魔剣ダーマ》をEXデッキに戻す」
「いいっ!?」
魔剣ダーマは自己再生効果まで備えているので、下手に破壊しない方が良い。
「《マジェスペクター・キャット》を召喚して、バトルフェイズ。キャットから直接攻撃」
「攻撃宣言時、手札の《
流石に無防備という事は無いか。
「……バトルフェイズ終了。メイン2、カードを1枚セット。エンドフェイズに《マジェスペクター・キャット》の効果発動。2枚目の《マジェスペクター・ラクーン》をデッキから手札に加える。これでターンエンド」
遊花
LP4000 手札1枚(《マジェスペクター・ラクーン》)
フィールド 《マジェスペクター・ラクーン》(DEF900)、《マジェスペクター・キャット》(DEF1800)、《マジェスペクター・フォックス》(DEF1000) 伏せカード1枚(《マジェスペクター・テンペスト》)
ペンデュラムゾーン スケール5《竜剣士ラスターP》 スケール2《マジェスペクター・ユニコーン》
「オレのターン、ドロー! 《
ベイゴマックスを復活させるつもりか! これは止めないとまずい!!
「リバースカードオープン、《マジェスペクター・テンペスト》! 風属性・魔法使い族のモンスター1体をリリースする事で、相手のモンスター効果もしくは特殊召喚を無効にして破壊する! 《マジェスペクター・フォックス》をリリース、ダブルヨーヨーの効果を無効にして破壊!!」
「ぐっ……! まだだ、墓地の《SR電々大公》を除外して効果発動! 手札から《
赤目のダイス持ってるのかい! 合計はレベルの合計は……7!!
「レベル6となった《SRメンコート》にレベル1《SR赤目のダイス》をチューニング! その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て! シンクロ召喚! 現れろ、レベル7《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》!!」
こいつのシンクロ召喚を許してしまったか……【メタルフォーゼ】は相性が良くないといった理由がコイツ……というかクリアウィング系列のシンクロモンスターだ。モンスター効果に対してめっぽう強いためオリハルクや効果なしの融合体はともかく妨害・除去において有用な『ミスリエル』『アルカエスト』が使いにくい。
「バトルだ! 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》で《マジェスペクター・キャット》を攻撃! 旋風のヘルダイブスラッシャー!!」
「くっ……」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
??? 手札2枚 LP4000
フィールド 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》(ATK2500) 伏せカード1枚
「私のターン、ドロー!」
伏せ次第だけど、これなら行けるかもしれない。
「ペンデュラム召喚! 手札から2体目のラクーン、EXデッキから《マジェスペクター・クロウ》、《マジェスペクター・フォックス》を特殊召喚! ラクーンの効果で2体目のフォックスを、クロウの効果で《マジェスペクター・サイクロン》を、フォックスの効果で2枚目の《マジェスペクター・テンペスト》を手札に加える。《マジェスペクター・ラクーン》2体でオーバーレイ! 魔を封じる翼よ、降臨せよ! エクシーズ召喚、ランク3《トーテムバード》!!」
何もして来ないと言う事は、フリーチェーンの妨害や召喚反応罠ではないか。良し。これなら行ける!
「速攻魔法《マジェスペクター・サイクロン》! 風属性・魔法使い族のモンスター1体をリリースする事で相手モンスター1体を破壊する! 《マジェスペクター・フォックス》をリリースして、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を破壊する!」
「また魔法カードかよ!」
そう。クリアウィング系列はモンスター効果には強いが、魔法・罠カードによる除去にはほとんど対応していない。だからこそ専用魔法・罠による除去がメイン武器の【マジェスペクター】を用意したのだ。
「さて、と。これで厄介なシンクロモンスターには退場してもらったし、トドメといこうか」
「アンタの場のモンスターの攻撃力じゃオレのライフは削り切れないぜ?」
「そんな事は見れば分かるよ……私、まだ通常召喚してないんだよね。《竜剣士ラスター
「シンクロ召喚!?」
「竜剣士よ、紅蓮の炎の力を得て覚醒せよ! シンクロ召喚、レベル8《爆竜剣士イグニスター
爆炎を纏った竜剣士がフィールドに降り立つ。残念ながら【マジェスペクター】はテーマ内では火力に乏しいため大型は他のテーマから持ってくるしかないのだ。
「バトル! 《トーテムバード》でプレイヤーに直接攻撃!」
「罠発動《ダイスロール・バトル》! 自分の墓地の『スピードロイド』モンスター1体を対象と手札の『スピードロイド』チューナー1体を除外し、その2体の元々のレベルの合計と同じレベルを持つシンクロモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!!」
後続を用意する攻撃反応罠だったか……本当、油断も隙もあったもんじゃない。
「《トーテムバード》の効果、エクシーズ素材を2つ取り除き、魔法・罠の発動を無効にして破壊する! 《ダイスロール・バトル》を無効にして破壊!」
「これもダメなのかよ! ……クソッ、すまねえリン!!」
「《トーテムバード》はエクシーズ素材が無い場合攻撃力が300ポイントダウンする」
《トーテムバード》ATK1900→1600
??? LP4000→2400
「《爆竜剣士イグニスターP》で直接攻撃!!」
??? LP2400→0
「はー……しんどっ!!」
手札誘発しっかり積んでクリアウィング系列の弱点である魔法・罠による除去主軸で立ち回ったおかげで何とかなったが、一歩間違えば本当に手に負えないレベルでぶん回っていた……全くもって心臓に悪い。
「少しは頭冷えた?」
「……アンタ、リンをさらった奴の仲間じゃないのか?」
「遊矢の事言ってるなら、そもそも人違いだね。ただでさえ色々あってメンタル不安定なうえに根が甘いから、そういう犯罪じみた真似なんてできっこないよ」
「だったら、リンをさらったのは誰なんだ!」
「わからないけど、心当たりならある……そいつらはこっちにとっても敵だよ。差し当たってはそいつらの仲間を排除する手伝いをしてもらえると助かるけど……その前にご飯にしようか。休憩スペースで貰えるはずだから、それに乗せてってくれない?」
「メシか……ちょうどいいや、腹減ってたんだ。行こうぜ」
こうして移動中にユーゴとお互いに自己紹介を済ませ、Dホイールに乗せてもらって休憩スペースへ向かう……ノーヘル? 固い事言いなさんな。
そうして休憩スペースでお茶とおにぎりの夕食を済ませ、オベリスクフォースの撃退を手伝ってもらおうかと思ったらユーゴは突如消えてしまった。どうも別次元に飛ばされたようだ。《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》のせいだとすれば持ち主同様落ち着きのないカードである。
結局、まともな協力体制を作る前に急に現れて急に消えてしまったので半ば事故のような遭遇戦が起きただけ、という事になったがその裏で事態は着実に進行している……赤羽零児からこちらに連絡がきた。
『状況が変わってきた。良い知らせと悪い知らせがある』
『それなら、良い知らせから聞きたいかな』
『現状、こちらでカード化が確認されたのは8人だけだ、クリフォート部隊のおかげで被害を抑え込めている』
半分はセレナがやった事を考えれば、大戦果と言えるのではないだろうか。
『悪い知らせは?』
『報道管制が限界に近い。これ以上隠蔽は不可能と判断し、このバトルロイヤルの終了をもって舞網チャンピオンシップは中止する』
本編通りだが、正直強引に続けても問題になる気がするのでプロを目指すみんなには申し訳ないがやむを得まい。
『それともう1つ』
『?』
『事情は説明したが、真偽を確かめると言ってセレナがエクシーズ次元の2人に接触したいと言ってきた』
ただでさえ疲れたのに仕事増やすな狂犬娘!!
『それで?』
『大会終了まで待つか、彼に勝てば良いと条件を出したら後者を承諾した。例のデッキを使わせるつもりだが、本来は君がテスト予定だったものだ……先行して使ってもらって構わないか?』
『どうぞどうぞ。それでエキシビジョンマッチとでも銘打てば、少しは報道を封鎖している間の時間稼ぎもできるでしょ』
『話が早くて助かる。後は連中に遭遇したら排除しつつ、会場に戻ってもらいたい。先程のシンクロ次元の者と思われる決闘者とのデュエルログも渡してもらいたい』
《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》はあのラスボスのピースでもある。相応に強烈なエネルギーを放っていて一発で正体がバレたというわけか。
『わかった』
『それから、先程のデュエルは致し方ない遭遇戦ではあるが……身内贔屓は感心しないな』
そっちもしっかりバレテーラ。
『ちょっとアドバイスしたくらいでシンゴや遊矢が簡単にトップになれるなら誰も苦労しないよ。面倒ごとの対処してあげてるんだから、ちょっとくらい大目に見てよね』
それに対して返って来たのは溜息が1つだけだった。うん、本当顔に出さないだけで苦労人だね……次の舞台の前に胃薬でも渡してあげよう。
うまくシンクロ次元編のルートを本編に近づけるにはバナナは遭遇戦させるだけで精一杯でした。
そしてしっかり弱点を突いてクリアウィング撃破。
本当はクリアウィングを出した場面でコルクー10を出していればもっとぶん回っていたのですがそれやるとメインヒロインがゴキブリ投げつける地獄絵図でもやらないと勝てなくなってしまうのでやむなくクリアウィング着地に留めました。
本当はすぐシンクロ次元編に繋ぐつもりでしたが、出したかったデッキを出せていないのでちょっと使う機会を用意する事にしました。報道管制の時間稼ぎと言う大義名分もあるので狂犬娘をもう一度わからせることにします。