戦術の根幹から手を入れる事にしましたが、これはこれで『らしさ』は残せるテーマ選びが出来たと思っていますのでお楽しみいただければ幸いです。
「「デュエル!!」」
「私の先攻!」
真澄は手札を見る。手札には、新たな力。一方で、このデッキが失ったものも小さくない。
出発前……特訓が始まる前に、遊花は真澄に深々と頭を下げた。
『ごめん!! 相当無茶な頼みがあるんだけど、聞いてもらえないかな?』
『無茶な頼み……?』
『次元移動した先……エクシーズ次元ではなるべく融合召喚を使わないで欲しいんだ』
『ええ!?』
『考えても見てよ、彼らは融合次元の侵略で街が滅茶苦茶にされてる。融合召喚を見せるとそれだけで『敵だ』と判断されちゃうかもしれない。敵だと判断されないまでも、間違いなく怖がらせちゃうから』
『……それは、そうですね。でも、そうなると私の【ジェムナイト】は……』
ジェムナイトの持ち味は連続融合召喚により強力な融合モンスターを並べて、一気に勝負を決める攻撃性能にある。
『そこは任せて。ジェムナイトの特徴って融合召喚だけじゃないでしょ?』
『!!』
『それに、融合召喚を完全に捨てろ、って言ってるわけじゃない。戦術の1つとして組み込む分には構わないから、あくまでもメインの戦術を別に用意して欲しいって話。実はおあつらえ向きのテーマ、見つけちゃったんだよね』
こうして、エクシーズ次元出発組の中でも真澄は特に親身にデッキ構築をしてもらった。今のデッキはかつての【ジェムナイト】とは全く別のデッキだ……だが、輝きを失ったわけではない。
「永続魔法《原石の皇脈》を発動。発動時の効果処理としてデッキから《原石の皇脈》以外の『原石』カード1枚を手札に加える。《原石竜アナザー・ベリル》を手札に。そのまま《原石竜アナザー・ベリル》を召喚、召喚成功時にデッキから『原石』魔法・罠カードをセットできる。《原石の穿光》をセット。《原石の皇脈》の(3)の効果で《ジェムナイト・サフィア》を守備表示で特殊召喚。《原石竜アナザー・ベリル》の(2)の効果、自身をリリースしてデッキから《ジェムナイト・クリスタ》を墓地へ送る。カードを1枚セットしてターンエンド」
光津真澄 手札4枚 LP4000
フィールド 《ジェムナイト・サフィア》(DEF2100) 《原石の皇脈》 伏せカード2枚(1枚は《原石の穿光》)
「俺のターン、ドロー! フィールド魔法《
「させない! リバースカードオープン《原石の穿光》! 相手の表側カード1枚の効果を無効にして除外する! 《歯車街》を除外!」
「チッ……破壊対象を失った《古代の機械射出機》の効果は不発だ。それなら、これでどうだ《
「くっ……」
真澄 LP4000→3400
「更に《古代の機械猟犬》のもう1つの効果、このカードと手札のモンスターを素材に融合召喚を行う! 俺はフィールドの《古代の機械猟犬》と手札の《
「リバースカードオープン、《原石の号咆》! 私はフィールドの《ジェムナイト・サフィア》を宣言する! このターン、私が宣言した通常モンスター及び原石モンスターの戦闘で発生する戦闘ダメージは0になる!」
「ほお? 面白いカードだな。だが、それで延命したところで無駄なあがきだ。バトル! 《古代の機械混沌巨人》、その雑魚を粉砕しろ! クラッシュ・オブ・ダークネス!!」
「っ……!」
「これでターンエンドだ」
アカデミア兵 手札0枚 LP4000
フィールド 《古代の機械混沌巨人》(ATK4500)
「私のターン、ドロー! スタンバイフェイズ、私の墓地に通常モンスターが存在する事で墓地の《原石竜アナザー・ベリル》を手札に加える。続けて永続魔法《切り裂かれし闇》を発動し、更に《予想GUY》を発動、デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する! 《ジェムナイト・ガネット》を特殊召喚! 《斬り裂かれし闇》の効果、通常モンスターが特殊召喚された時、1枚ドロー。《原石竜アナザー・ベリル》を召喚、召喚成功時にデッキから《原石の反叫》を手札に加える」
「罠カード? 好きにしろ。どうせ《古代の機械混沌巨人》の前では無意味だ」
「そうね。どうせ次なんて無いもの、ただのついでよ」
「何?」
「私がわざわざ《予想GUY》で《ジェムナイト・ガネット》を特殊召喚したのは、《原石の皇脈》の(3)の効果を使うと、フィールドで特殊召喚したモンスターの効果が使えなくなる制約があるから……つまり、狙いはこれよ! 私はレベル4の《原石竜アナザー・ベリル》と《ジェムナイト・ガネット》でオーバーレイ! 幸運を呼ぶ緑の輝きよ、大いなる風の力を得て再誕せよ! ランク4《ダイガスタ・エメラル》!!」
それは《ジェムナイト・エメラル》がエクシーズの力を得た姿。名称こそ違うが、背景としては立派なジェムナイトの系譜に属するモンスターである。
「エクシーズ召喚か……だが、攻撃力1800でどうするつもりだ?」
「こうするのよ。オーバーレイユニットを1つ取り除き、《ダイガスタ・エメラル》の効果発動! 効果モンスター以外の自分の墓地のモンスター1体を特殊召喚する! 《ジェムナイト・クリスタ》を特殊召喚して、バトルフェイズ! 《ダイガスタ・エメラル》で《古代の機械混沌巨人》を攻撃!」
「どういうつもりだ? 勝負を諦めたのならサレンダーすれば良いものを」
「《斬り裂かれし闇》にはドロー以外にもう1つ効果がある。それは通常モンスターを素材とした融合・シンクロ・エクシーズモンスターの攻撃宣言時、ターン終了時までそのモンスターの攻撃力を相手モンスターの攻撃力分アップする効果! 《古代の機械混沌巨人》は魔法・罠の効果を受けないけれど、私のモンスターを対象とする効果なら何も問題は無い!!」
《ダイガスタ・エメラル》 ATK1800→6300
「攻撃力6300だと!?」
アカデミア兵 LP4000→2200
「これで終わりよ。《原石の皇脈》には通常モンスター及び、原石モンスターの攻撃力を墓地の通常モンスター1種類につき300ポイントアップする効果もある。今は《ジェムナイト・サフィア》のみだから、300ポイントアップ」
《ジェムナイト・クリスタ》ATK2450→2750
「バカな……俺達アカデミアの戦士が、こんな奴らに……!!」
「そのくすんだ目で現実を改めて直視なさい。《ジェムナイト・クリスタ》で直接攻撃! クリスタル・バレッジ!!」
アカデミア兵 LP2200→0
「案外何とかなるものね……流石最年少プロ直々の指導ってところかしら」
3人にとっては大幅なデッキ変更後初めての実戦だったが、その成果は見ての通り。一方的、とまでは言わないがそれなりに余裕をもってアカデミア兵を撃退できた。
「くそっ、一時撤退だ!」
アカデミア兵達が背を向けるが、ここで深追いしようとする者はいない……そもそもがエクシーズ次元転移直後に遊花達とはぐれたため、第一目的は合流であり今回のデュエルは降りかかる火の粉を払ったに過ぎないからだ。
「合流出来ていれば、追いかけても良いんだけどね……」
「あ! あれ日影じゃない?」
ミエルの指さす方には合流しようと向かってくる遊花、ユート、日影の姿があった。
「よっしゃ、思ったより早く合流できたな! これならまだあのアカデミアらしい奴らに……」
追いつける、と言いかけた刃の後ろで悲鳴と爆音が響いた。
「合流出来た同時に第一村人発見……普通なら良い事、なんだろうけど猛烈に嫌な予感しかしない」
6人が合流したのとほぼ同時に、美しさと同時に強烈な威圧感を放つ竜を従えた決闘者が姿を見せた。
「ほう……久しいな、ユート。アカデミアの奴らをみすみす見逃すとは、甘くなったものだ」
「カイト……!!」
撃退したのは他の仲間なのにアカデミア兵を見逃したと勘違いされるユート。まあ勘違いは遊戯王ではよくある事。
エクシーズ次元で融合召喚連打は交渉面でまずいでしょうと言う事で、融合はサブギミックに押さえつつジェムナイトを生かすために真澄のデッキは【原石ジェムナイト】になりました。3人の中では新しいカードを使っているため鳴獰がライフコスト重くて使いにくい事も合わせて融合召喚を控えてもスペック的にバランス取れたか、ちょっと高いくらいかと思っています。締めはクリスタを使うか、パールでぶん殴るかはちょっと迷いました。
次回はユートVSカイトの予定です。