一方的な蹂躙にはならないよう気を配ったつもりなので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
「カイト……!」
嫌な感じの遭遇だ、と遊花は内心頭を抱えつつユートに恐る恐る声をかける。
「知り合い?」
「ああ。俺と隼、瑠璃はハートランドデュエルスクールスペード校に通っていた……カイトは俺達のライバル校、クローバー校のエースだった。何度かデュエルした事もあるが、ハッキリ言って強い……将来のデュエルチャンピオン候補とまで呼ばれた男だ」
「ライバル、ってわけ……別に互いに腕が鈍ってないか試す平和的なデュエルくらいなら好きにしてもらって構わないんだけど、そこのやる気満々なドラゴンのソリッドヴィジョンといい、剣呑な目つきといい……そんな感じじゃないよね……出来れば話し合いに応じてくれるよう説得してくれると助かるんだけど……」
「……理由はわからないが、とても話を聞いてくれる雰囲気じゃないな」
「だよね……一応、ダメ元で当たってみて。この際、こっちにカード化される被害さえ出なきゃ負けても問題無いから」
「負ける前提みたいな言い方をするな!」
「はい、これでユートが1つ有利になった」
「……何?」
「人間、余裕が無い時ほどやらかすものだからね。案外笑っていられるくらいには力が抜けていた方が良かったりするんだよ」
「……そんなに誤魔化しが下手でよく芸能人をやれているな」
「……本業のつもりは無いし、余計な事口走らないようになるべく黙ってるからね。でも、今は黙ると余計空気悪くなるでしょ」
「下らん漫才は終わりか?」
「……失礼しました」
気圧されて思わず敬語になる遊花。
「あー……私達はスタンダード次元の人間ですが、見ての通りアカデミアの味方でもないし無害です。何なら、エクシーズ次元のレジスタンスに協力しに来ました」
「スタンダード次元だと……」
「そうだ。カイト、俺は味方を連れて戻ってきたんだ」
一瞬、思案するような様子を見せるもカイトの答えは冷淡だった。
「アカデミアの奴らは、レジスタンスの人間を懐柔し裏切るよう仕向けて来た事がある。増して他の次元の人間など信用できるものか、オレを納得させたければデュエルで示してみせろ」
「やっぱこうなるよね……多分、私達がやると逆効果だしここはユートに任せる」
「仕方がないな」
「よろしく。で、その間に日影とミエルちゃんに頼みがあるんだけど」
「はい?」
「あのカイト、って奴が相当な実力者だとしても単独行動ってのはちょっと解せないんだよね」
あの調子なら協調性とか無いので完全に無いとは言い切れないが、それにしても考え無しに暴れ回るだけの無能ではないだろう。
「多分近くに、護衛対象なり拠点なり……人がいると思う。探してきて貰えないかな?」
「心得た」
「任せて下さい!」
2人が走り出すのを見送ると、刃が当然の疑問をぶつけてくる。
「人がいるとして、アカデミアの方の拠点って事は無いか?」
「99%無い。あの尋常じゃない殺気からして、そんなものがあったら私達なんて無視してそっちを問答無用で潰しに行ってると思う」
会った直後に信用しろは無理としても、横暴な態度に苛立ちは覚えていたのか次いで真澄がデュエルの方に視線を向けつつ聞いてくる。
「加勢とクロスオーバーの発動……アクションデュエルは?」
「どっちもおすすめは出来ないかな。確かに加勢すればほぼ確実に勝てるだろうけど、一人二人道連れにするくらいはやってきそう……勝てたとしても気力も体力も余計に消耗することになる。アクションデュエルにしても、ユートが認めるレベルの実力者なら早期に対応してくる可能性がある。うっかりアカデミアに見られるリスクの方が高い……アクションデュエルの他の次元に対する強みは初見殺し性能の面が大きいから、経験値の差はあってもなるべく温存したい」
「くだらんおしゃべりが好きな奴らのようだな」
「まあな。だが、気の良い奴らだ……俺はあいつらの信頼にも、お前の期待にも応えて見せる」
「期待? 違うな、オレは経験上お前の実力を評価しているに過ぎん。だが……あまり失望させてくれるなよ?」
「「デュエル!!」」
「俺の先攻! 自分フィールドにモンスターが存在しない場合、《
「レベル3が2体……早速来るか」
「俺は《幻影騎士団ドゥームソルレット》と《幻影騎士団アンブレイジベイル》でオーバーレイ! 幾万の命を刈り取り、闇へ誘う悪意の大鎌。降臨せよ! エクシーズ召喚! ランク3《
《幻影騎士団ディケイクローク》レベル3→4
《幻影騎士団サイレントブーツ》レベル3→4
「レベル4が2体……!」
「俺はレベル4となった《幻影騎士団ディケイクローク》と《幻影騎士団サイレントブーツ》でオーバーレイ! 漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ! エクシーズ召喚! ランク4《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」
「先攻1ターン目で《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を……?」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》はエクシーズ素材を2つ取り除き、相手モンスター1体の攻撃力を半減、更に半減させた数値分自らの攻撃力をアップさせる強力なモンスターだがバトルでこそ真価を発揮する。攻撃できず、相手モンスターがいない先攻1ターン目に出すという事は、何か狙いがある……それを感じ取り、カイトが視線を向けたのは《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》。
「流石だな、すぐ《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》の効果に気付いたか。《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》の2つ目の効果、このモンスターが存在する時に『エクシーズ・ドラゴン』モンスターをエクシーズ召喚した場合デッキから『
(……うわぁ。かっこいいけどこれだけで十分エグい)
遊花は美しい翼を広げ進化した《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を見て少しだけカイトに同情した。《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》は《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を素材に持っているとモンスター効果を無効にして破壊するカウンター効果を使えるのだが、何とこれにターン1制限が無い。つまり、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を含め3つ素材がある今、このモンスターだけで3回までモンスター効果を止められるのである。
「俺はまだ通常召喚を行っていない。《
墓地へ送られたカード 《
「墓地の《幻影騎士団サイレントブーツ》を除外して効果発動。デッキから《
ユート LP4000 手札3枚
フィールド 《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》(ATK1900/ORU1つ)《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》(ATK3000/ORU3つ)《彼岸の旅人 ダンテ》(DEF2500/ORU1つ)伏せカード1枚
「オレのターン、ドロー! 相手フィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合《
「《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》の効果発動、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》をエクシーズ素材に持つ場合、オーバーレイユニットを1つ取り除くことでモンスター効果の発動時、それを無効にして破壊する! 続けて墓地から闇属性エクシーズモンスターを復活できるが、俺の墓地に闇属性のエクシーズモンスターはいない」
「ならば、《光波双顎機》の効果、手札を1枚捨てることで、手札またはデッキから『サイファー』モンスター1体を特殊召喚できる」
「《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》の効果で《光波双顎機》の効果を無効にして破壊する!」
「更に手札から墓地へ送られた《
「それも《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》で無効にする! そして墓地へ送られた闇属性エクシーズモンスターの《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を守備表示で特殊召喚する」
「《
《光波翼機》2体 レベル4→8
「レベル8が2体……!!」
「オレは《光波翼機》2体でオーバーレイ! 闇に輝く銀河よ。復讐の鬼神に宿りて我がしもべとなれ! エクシーズ召喚! 降臨せよ! ランク8《
「させるか! リバースカードオープン、《幻影霧劍》! 《銀河眼の光波竜》を対象に発動、これにより《|銀河眼の光波竜》の効果は無効になり、攻撃できず、攻撃対象にされない」
「やってくれる……だが、この程度でオレは止まらない! 《銀河眼の光波竜》1体でオーバーレイ!」
「何っ!?」
「闇に輝く銀河よ。復讐の刃となりて我が元へ来たれ! ランクアップ・エクシーズ・チェンジ! 《
これだけの制圧を越えてなお現れた巨竜……その姿から感じられる底知れない怒りに、ユートは身構える。
「《銀河眼の光波刃竜》はランク8の『ギャラクシーアイズ』に重ねてエクシーズ召喚できる。《銀河眼の光波刃竜》の効果、1ターンに1度、オーバーレイユニットを取り除くことでフィールドのカード1枚を破壊する! 《彼岸の旅人 ダンテ》を破壊し、バトルフェイズ! 《銀河眼の光波刃竜》で《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》を攻撃! 撃滅のサイファー・ストリーム!!」
「ぐうぅっ……! 《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》の3つ目の効果、このカードが破壊された場合、除外されているエクシーズモンスター以外の『幻影騎士団』カード1枚を手札に加える。《幻影騎士団サイレントブーツ》を手札に加える」
ユート LP4000→2700
「これでターンエンドだ」
カイト LP4000
フィールド 《銀河眼の光波刃竜》(ATK3200/ORU2つ)《二重露光》
遊花は盤面を見て素直に感心する。
(……完全に逆転、とはいかないまでもあそこからここまで切り返すのは流石だね。ユートの場に残っているのは《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》と《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》。どっちもエクシーズ素材が無いからステータスは高いけど実質バニラ。アドバンテージを稼ぎうる《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》と《彼岸の旅人 ダンテ》を的確に除去して、《銀河眼の光波刃竜》は破壊された時に墓地から《銀河眼の光波竜》を蘇生できる)
「俺のターン、ドロー! カイト、悪いがこのターンで終わらせる! 手札から《幻影騎士団サイレントブーツ》を公開することで《幻影騎士団ディケイクローク》を特殊召喚する。《幻影騎士団ディケイクローク》の効果でデッキから《幻影騎士団ティアースケイル》を手札に加える。墓地の《幻影劍》の効果、このカードを除外する事で、墓地から『幻影騎士団』モンスター1体を特殊召喚する。甦れ、《幻影騎士団ラギッドグローブ》! 《幻影騎士団ディケイクローク》と《幻影騎士団ラギッドグローブ》でオーバーレイ! 戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ! エクシーズ召喚! 現れろ! ランク3《
「《銀河眼の光波刃竜》の効果発動、墓地から《銀河眼の光波竜》を特殊召喚する!」
これで勝敗は決したが、カイトなりの矜持なのか、《銀河眼の光波竜》は攻撃表示で特殊召喚された。
「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を攻撃表示に変更し、バトル! 《幻影騎士団ラギッドグローブ》をエクシーズ素材としたエクシーズモンスターは攻撃力が1000ポイントアップする」
《幻影騎士団ブレイクソード》ATK2000→3000
「《幻影騎士団ブレイクソード》で《銀河眼の光波竜》を攻撃!」
「迎え撃て、《銀河眼の光波竜》! 殲滅のサイファー・ストリーム!!」
両者の攻撃力は共に3000、光の竜と闇の騎士が相打ちで互いに砕け散る……そして、これでカイトを守るものはない。
「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で直接攻撃! 反逆のライトニング・ディスオベイ!!」
「くっ……!」
カイト LP4000→1500
「これで終わりだ! 《ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン》で……」
「ユート、待って!!」
直接攻撃を宣言する直前に、割り込む声……その声の主は、探していたレジスタンスのメンバーだった。
「せっかくユートが味方を連れてきたってのに、何やってんだ!」
「ユートもカイトも今は味方同士で争っている場合じゃないでしょ!?」
神月アレン、そして笹山サヤカ。
「日影! ミエルちゃん!」
思った通り二人を見つけてきてくれたが、グッドタイミング……とは言い難い。
「味方同士だと……お前達とは袂を分かったはずだ、それにこいつらとも馴れ合うつもりは無い!」
デュエル中断の隙をついて、カイトは姿をくらませてしまった。
「……目的は果たしたのに、何か変な空気になっちゃったなぁ。とりあえず、そこの二人はレジスタンスのメンバー、で良いんだよね?」
「ああ」
念のため、ユートにも確認を取る。
「それじゃ、まずは当初の目的通りレジスタンスの拠点に案内してもらおうか。カイトの事情は追々聞くとして、こんな状況じゃ落ち着いて自己紹介もできないからね」
遊花の提案に反対する者はいなかった……まずは落ち着いて話をしたい、と言うのは全員の思惑が一致するところであり、カイトの事は気にかけつつも全員でレジスタンスの拠点へと赴くことになったのであった。
先の3連戦と比べて普通に倍以上の文章量になるあたりが流石のキャラ・デッキ格差です。
実は結構デュエル内容について語る部分があるので触れてみます。
まず、先攻ユートは完全に筆者都合です。【サイファー】で先攻でやれる事が本当に《銀河眼の極光波竜》を立ててを守りを固める事くらいだったんですよね。
そして本編のデュエル内容。除外ゾーンに《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》の回収対象がいなくてもったいないなと思ったのと、マジで捲れなくなったので《彼岸の旅人 ダンテ》で墓地肥やしとしましたがここで《幻影騎士団ブレイクソード》を出し、自身と《幻影騎士団マレヴォレンスサイス》を割り、《幻影騎士団ブレイクソード》の効果で素材をレベル4にして蘇生すると《ヴェルズ・ナイトメア》を立てる事で6妨害になっていました。リンクなしでこれです。展開ルートによっては《ヴェルズ・オピオン》も普通に立てられるだろうと思うと本当えげつない。
捲れなくなった、とは言いましたが実はこの布陣致命的な欠陥として魔法・罠に対するカウンターが一切ありません。その為《禁じられた一滴》はもちろん《ライトニング・ストーム》《無限泡影》1枚で簡単に切り返せたりしました。また、先攻制圧にはレクイエムを立てる事が重要なのでGとかマルチャミーを食らってしまうと止まりどころにも困ります。
それから気付いた方は当然いたと思いますが、返しのターンで《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を立てて《銀河眼の光波刃竜》の上から殴ってワンショットも可能ではありました。ですが、今後ユートのデュエルがあるかわからないのでまたどこかで見せ場が欲しい、となった時のためにも温存した次第となっております。
この後、拠点編を少し挟んでアレンとサヤカのデッキを変えます。狙いはもちろん、あの姉妹を遊花やユートに相手をさせずにぶちのめすためです。我らがメインヒロイン(笑)はあの男とのデュエルのためにとっておきのエクシーズデッキを用意しておりますのでその時までお待ちください