ARC-V転生美少女物語   作:らびどっぐ

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 思ったより長くなってしまった後編です。
 少し雰囲気を緩めるエピソードではあるので、気軽にお楽しみいただければと思います。


女の本音(後編)

 私が自分の背景を明かし、デッキ作りにも協力すると言った事でサヤカちゃんには信用してもらえたようだ。チョコレートバーで緊張がほぐれたのも大きいだろう……甘い物のパワーはすごい。

 

 そこからは雑魚はほとんどカイトが潰して回っているし、そのカイト本人を探すにしても派手に暴れているのは間違いないためすぐに見つかると判断してゆっくり話しながらの力を抜いた移動となった。

 

「それまでの不運が嘘みたいに『ペンデュラム召喚の新しい未来をお見せしますよ、お嬢さん』って爽やかに笑って運命をひっくり返してみせるとかダーリン格好良すぎでしょ! もうミエルあれで完全にときめいちゃって!」

 

 女三人集まればなんとやら、この場に四人もいれば恋愛トークの一つくらい出てくるのは当然といえば当然かもしれない。

 

「あー、あれでキュンと来ちゃったかー……遊矢ってデュエルにダイレクトに影響するレベルでメンタルのアップダウン激しいから、真面目にアタックするつもりなら、落ちた時に支えてあげるのが良いんじゃないかな」

「それ、ミエルに向いていないじゃない。どう考えても支える通り越して甘やかすでしょ。支える、って言うならいざって時にはビシッと叱って前を向かせないと」

「おー、真澄ちゃん辛口。でも間違いないね、ここぞってところで尻叩いてやれるのは大事だと思う。そういう真澄ちゃんは気になる人とかいないの? 刃君も北斗君も友達感覚に思えるけど」

「そうですね、友達です。私はどっちかと言えば、引っ張ってくれる人の方がタイプかな」

 

 それで指導者として有能な先生に憧れの視線向けてたのね。

 

「それならウチの義弟とかどう?」

「遊花さん、弟さんいるんですか?」

「いるよー。と言っても、義父の実子だから血の繋がりは無いしあっちはすごく甘やかされてる」

 

 サヤカちゃんの問いに応えていると、しかめっ面でこっちを見てくる真澄ちゃん。いやまあわかるけどね。

 

「……本気で言ってます?」

「半分冗談半分本気、かな。アイツ確かにバカでワガママな自己中だけどさ、顔も良いしデュエルも強い……あと、意外と人を見てるんだよね」

「え?」

「私がチャンピオンシップとかLDSペンデュラムコースの話とかでバタバタしてた時に、真っ先に『無理せず休め』って言ってくれたんだよ……多分、私が限界いっぱいなのをいち早く察してくれた。それだけじゃなく、あのワガママな性格のくせに取り巻きに慕われてる辺り、あれで気配りできるタイプなんだ。それに血筋なのか、妙なカリスマ性まであって私と違って政治だの陰謀だのには向かないけど、エンターテイナーとしての素質は一流だよ」

「身内贔屓、って事は?」

「無いとは言えない。実際アホだし本人にその能力の自覚ないだろうからね」

「褒めてるのか貶してるのかわかりませんね」

「うん、私もわからなくなってきた。でも一緒にいて面白い奴だっていうのは保証するよ」

「だとしても、ちょっとお断りかな。絶対面倒臭いし」

 

 真澄ちゃんのバッサリ宣言に四人全員で笑う。

 

「ちなみに、ミエルちゃん的にユートはどうなの? 顔立ちは遊矢に似てるけど、中身は完全に別でしょ」

「実は、言動としてはユート君の方が良い! デュエルでは熱いけどクールな常識人!」

「瑠璃が聞いたら笑いますね」

「え?」

「落ち着いて見えるのは雰囲気だけで、あれで結構天然なんだって」

「零児社長と同じくらい恋愛に向かないタイプじゃん……いや、だからあのシスコン兄貴が安心して見ていられるのか」

「あ、それ言ったらダメですって。瑠璃のお兄さん、シスコン呼ばわりされると『俺はシスコンじゃない』って本気で怒るんですから」

「どの口が言うのかね……それで、サヤカちゃんもユートが気になるとか?」

「違います! 私はクローバー校の生徒だから、スペード校のユート達とは直接話す機会は少なくて。瑠璃とは個人的に仲が良かったから、瑠璃によく相談されていたんです」

「そうなんだ。じゃあ、その瑠璃って子とユートは良い感じだったんだ?」

 

 真澄ちゃんも辛口評価はしつつも恋愛トークは嫌いではないらしい。

 

「むしろ、お互い奥手だからどっちから付き合うって言い出すんだろうって話していたくらいなの」

「それ、女の子側から言わないと余程のことが無い限り変化せず時間だけ過ぎるパターンだと思う……そういう意味ではミエルちゃんもチャンスあるか」

「よーっし! これは良いところ見せてグイグイ行くしかない!!」

 

 気合が入るミエルちゃんを横目に真澄ちゃんが耳打ちしてくる

 

(自分が玉砕する未来は見えていないみたい)

(当たって砕けるならそれも運命、ってことにしておこうよ。言わぬが花)

 

「遊花さんは気になる人とかいないんですか?」

「今のところはいないね。私、年上がタイプだから。特に、信念を持った熱い人には惹かれる」

 

 スタンダードであれば何故か名前を聞かなかったけど海馬瀬人、シンクロ次元であればジャック・アトラスとかにはかなり揺れる。転生前同性であってもその男気と信念に惹かれたのだから、心身共に女性の今余計に惹かれるのは必然というものだ……もしかしたら、私自身生き汚い自覚があるからこそ、誇り高い男に惹かれるのかもしれない。

 

「ここに、瑠璃もいたらきっともっと楽しかった……私があの時、戦えていたら……」

 

 サヤカちゃんが言うには、瑠璃が連れ去られた時に恐怖で動けず見ていることしか出来なかったらしい。

 

「結果論だけど、それはむしろ下手に加勢した方がまずかった可能性が高い」

「え……?」

「そいつが使っていたのは【古代の機械(アンティーク・ギア)】じゃなかったんでしょ?」

「…………はい」

「つまり、そいつは支給品じゃないワンオフのデッキを使えるだけの実力者……間違いなく幹部級。あえて言うけど、カジュアルデッキで加勢したところでほぼ間違いなくカード化されていた。サヤカちゃんは動けなかったけど、そのおかげで犠牲者が少なく済んだし有益な情報が得られる」

「有益な情報……」

「その幹部級の情報だよ。瑠璃ちゃんの強さにもよるけど、多分大幅にデッキを強化した今の私達でも対策せずに一対一でやり合うのは危険な相手だと思う。対策の一つとしては、初見殺しが狙えるアクションデュエルかな」

「他には?」

「カードや人物の情報を共有しておいて、なるべく実力者をぶつける。可能ならメタを張る……ここまでやればそれなりに高い確率で封殺出来ると思う。だから、情報が得られるっていうのは大事なんだよ」

 

 正直なところ、感情に寄り添い慰めるのは私ではなくアレンやカイトの役目だ。だから、単に戦略的な意味でフォローしておく。

そうして得られた情報は意外と少なかった……結局瓦礫越しで相手の顔は見ていない、という。だが使用したカテゴリの名称が『捕食植物(プレデター・プランツ)』という『植物族テーマ』ということ。紫色の禍々しいドラゴンがエースらしいということが分かった。転生前知識があると言っても、確認は大事だ。

 

「はー……厄介な奴」

「これだけで、わかるんですか?」

「植物族って展開力があるんだよね。1回崩した程度ならすぐ立て直してくると思って良い」

「でも、そういう相手は攻撃力はそこまで高くないはず……」

 

 うん、特訓の成果が生きている。真澄ちゃんの分析は正しい。

 

「そこを補えるようなエースなんだろうね。と、なれば有効そうなのはこちらが可能な限り展開した後か、そもそもあまり影響を受けないデッキで展開そのものを抑制するか、融合メタだね……単体だと事故要因だから、そこは要検討」

「すごい……これだけでそこまで対策を出せるなんて」

「伊達に先生やるためにプロ試験合格してないよ。むしろもっと厄介なのは単独行動かも」

「もっと厄介?」

「今のカイトもだけど、単独行動の人間って捕捉しづらいんだよ。指揮官で、部下を指揮しているなら雑魚の後ろって分かるけど単独行動はどこにいて、何を仕掛けるつもりなのか把握が難しい……とはいえ、現状は何もできないね。相手がエクシーズ次元にすらいない可能性が高いんだから、謎の厄介幹部は対処が必要になった時に改めて対策を考えよう。気分転換にもなるだろうし、今度は瑠璃ちゃんのデッキについても教えて貰える?」

「はい!」

 

 当然だけど、こっちはほぼ丸ごと把握。

 

「うっわ、やりたくない……」

「ものすごく嫌そう……」

「他人の事言えないけど一瞬でも気を抜いたら連続攻撃でワンショットしてくる上にそこそこ盤面も固いとか厄介極まりないでしょ」

「もしかして、ユート並に強い……?」

「方向性は違うけど、冗談抜きにユートやカイトに匹敵するポテンシャルがある。多分誰がやってもしんどい相手だよ、サヤカちゃんもし瑠璃ちゃんとまたデュエルする機会ができたらそれなりに覚悟した方が良い」

「だ、大丈夫です!」

 

 私達はこうして本音を包み隠さず話すことで信頼関係を構築できた……さて、男性陣は今頃どうしてるかな?




 ここで少し女性陣の好みを整理するとこんな感じ

ミエル 運命を乗り越えられる強さを持った人。加えて恋に恋する乙女なので遊矢の洒落たデュエル演出にときめいてしまった。ただ、ユートと比較すると普段クールな印象のユートの方が魅力的に映るらしい。

真澄 自分をリードしてくれる大人の魅力がある人。ただ、恋愛感情そのものが比較的薄くできる大人への憧れ、と言う方が近い。

遊花 年上で確固たる信念を持った熱い男。シリーズ的には海馬とかジャックとかに惹かれる。自分の生き汚さを自覚しているため孤高の強さに惹かれるのかもしれない、と自己分析している。

サヤカ カイトを放っておけない、と思っているが恋愛感情に近い事に気付いていない。

 今更ながら遊花は16歳で赤馬零児と同い年ですが、実は赤馬零児と同様プロとして最年少、と言うだけでプロ資格取得そのものは零児の方が1年早かったりします。
 なお海馬が孤児だったりジャックがサテライト出身だったなと言うのは執筆中に気付いたのですが、その辺のシンパシーもあるのかも。
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