ARC-V転生美少女物語   作:らびどっぐ

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 男性陣側のエピソードです。こちらは想定通り、1話で終える事が出来ました。


男の意地

「うわああああ!!」

「こいつら……強え……」

 

 アカデミアの兵が次々と薙ぎ払われる様子に、驚愕するアレン。だが、更に驚いたのはデュエルの後だった。

 

「とっとと失せろ」

 

 倒した相手をカードにすることなく、見逃しているのだ。

 

「お、おい良いのかよ!?」

「良いも悪いもねえよ。そもそもスタンダード次元製のデュエルディスクにはカード化の機能が付いていないからな。やりたくてもできねえ」

「だが、自らカードになると言うのなら止めるつもりはござらん」

「ああ。わざわざあいつらのデュエルディスクになど手を出したくはないからこちらから積極的にカードにすることはしないが、相手が自分から消えるというならそれはそいつの意志だ。そこまで面倒を見るつもりも無い」

 

 アレンとて、ユートの言う事も理解はできる。侵略者のデュエルディスクにわざわざ手を付けたくはない。だが、スタンダード次元のデュエルディスクにはカード化機能が無いという点も機械に強い彼としては気になった。

 

「何で、カード化機能を付けていないんだよ?」

「何でって、元々付いていなかった。融合次元のものとユートや黒咲のデュエルディスクから解析してるって話は聞いてるけどよ……」

「得体の知れない機能を不用意に付けて暴発では笑い話にもならんでござる」

 

 なるほど、筋は通っている……元々、エクシーズ次元のデュエルディスクにもそんな物騒な機能は付いておらず、融合次元の侵略に対抗するためにやむなくコピーして取り付けた機能なのだ。

 

 カイトが暴れたおかげなのか、そもそも単にレジスタンスが減っていることで高をくくっているのか、遭遇は散発的で想像以上に余裕が出来た……そのため、静かな移動が続くがあまりに静かだと重く張り詰めた空気が気まずい。その空気を変えようと、刃が口を開いた。

 

「そういえば、ユートとアレンは元は仲間なんだろ? 瑠璃ってどんな子なんだ? ユートに聞いても全然話したがらねえんだよ」

「なっ!?」

「隼の妹だろ? あの兄妹、揃って背が高いんだよ。おかげでクローバー校とスペード校の交流戦で見た時は、俺とあまり変わらないはずなのにユートがずいぶん小柄に見えたんだよな。見た目には、ロングヘアで清楚な感じだ」

「へえ、長身の清楚系長髪美少女」

「だが、兄が沈着冷静に見えてあの苛烈なデュエルスタイル……妹も見た目通りとは思えんでござる」

「ああ。瑠璃も、デュエルスタイルはかなり攻撃的だ。その辺りは兄妹でよく似ている」

「ふーん。それで、やっぱユートの彼女だったのか?」

 

 なんやかんや言っても中学生が恋愛に興味津々なのは男も女も変わらない。

 

「うーん、どっちかっつーと友達以上恋人未満? お互いあの兄貴の手前言い出しにくかったんじゃね?」

「あ、アレン! 何を言うんだ!!」

「ははは、デュエルじゃやり込められっぱなしだったからな。こうやって慌てふためくユートを見られるだけで話題を振った意味もあるってもんだ」

「確かに。我ら忍に匹敵する常在戦場の空気を漂わせていたユートが、こうして力を抜けるのであればそれには意味がある。張りつめた糸は切れやすいものでござる」

「張りつめた糸は切れやすい、か……俺も、力を抜いた方が良いのかもしれねえな。まあ、そういうわけにもいかないけどよ」

「アレン?」

「ユート……お前らも、こっから先の事をサヤカに言わないでいられるか?」

「何だよ、あの子が気になってたのかよ」

「そうじゃねえ! これは、瑠璃の事も関係しているんだ……」

 

 アレンが、サヤカは瑠璃が連れ去られる時に何もできなかったことを悔やんでいると告げた。

 

「あいつ、今でも夜に拠点の隅で泣いてるんだ。あいつが悪いわけじゃないのによ」

「そうだな。恐怖を感じるのは当然だ」

「避難民の食事の手伝いをしているのも、罪悪感からだ……サヤカは悪くない。でも、自分で納得しなきゃ前を向けねえ」

「アレン……お前」

「俺は、サヤカを守ってやりたい。あいつは瑠璃を守れなかった……でも、それをいつまでも悔やんでいたら前に進めねえ。だから、あいつが前を向くまでは俺があいつの前に立つ」

 

 その言葉に、口を挟む者はいなかった。ただ、静かに頷くだけだ。

 

「俺達はまだ負けちゃいねえ、勝負はここからだ……榊遊勝は逃げた。でも、俺は絶対に逃げねえ! ……サヤカの強さを信じているから、もう一度立ち上がるまでの間サヤカを守る。これくらいできなきゃ、俺は負けたも同然だ……くだらねえ話だろ。笑えよ」

「笑うものか。俺も瑠璃を守れなかったのは一緒だ」

「皆、男だからこそお主の気持ちは理解できるでござる」

「そうそう。確かにくだらないかもしれねえが……くだらないものだとしても意地があんだろ、男ってやつはよ」

 

 誰にも見えないところで泣いている女の子を守りたい……くだらないかもしれないが、皆が理解できる男の意地だった。

 

「そういうことなら、遊花に力を借りるといい。必ず手を貸してくれる」

「年は近いけど、あの人はインストラクター資格を持った先生だからな」

「そうなのか……?」

「うむ。実力も教え方も確かでござる……しかし」

「本気で、となるとある程度は覚悟した方が良いぜ。あれで驚くほどのスパルタ教師なんだ」

「合理的で戦略的……普段の砕けた態度は表面的なものに過ぎない」

「拙者には、あの教え方すらやむを得ない戦略と見える」

「……へえ、日影って意外とおしゃべりなんだな。どういうことだ?」

「時と場所を弁えているだけでござる。遊花殿は、既に己の限界が見えている」

「限界……」

「アイドルとしても、プロ決闘者としても、能力的な限界が遠からず訪れると理解している。だからこそ、己の力の通用する今のうちにその全てを教え込み融合次元との戦いに備えているのでござる」

「大人びているっていうより、16なのに老け込んでるのかよ……」

「確かに、そういう意味でもおかしな奴だ。だが、その戦いを止めたい気持ちに今更疑う余地はない……アレン、どうせならとことん利用してやるくらいに考えておけ。スタンダード次元の人間に不信感があるのなら、そのくらいの考え方で丁度良い」

「……ああ」

 

 ユートの言葉をしっかり受け止めるアレン。しかし、彼らは現にアカデミア兵を倒した。男の意地を笑わなかった……それは信頼に値するのではないか。

 疑ってかかってはいたが、その不信感は気が付けば随分小さなものになっていた。

 

 

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 ランサーズが拠点周辺の安全を確保した夜……アカデミアの司令部では副司令官である野呂守(のろまもる)は部下の報告を聞いて唸っていた。

 

「うむむむ……ただでさえカイトとかいうドラゴン使いに手を焼きエクシーズ次元侵攻が遅れているというのに、更にスタンダード次元からやって来た決闘者が奴らに加担しているだと……」

「帰還した者達の中には、ランサーズという名称を聞いたという証言が複数。おそらく、彼らの部隊名かと……」

「ランサーズ……実力の程は未知数だが、早々に対処せねば更に侵攻が遅れる要因になりかねん。本部に応援を要請する」

「はっ。このことは総司令官には……」

「まだ伏せておけ。この程度のことならばあの方が動くまでもない」

 

 実際のところは『この程度のこと』で独断で応援要請を決めた事が知れたら野呂の立場が無いだけであり、ただの方便であった。




「意地があんだろ、男の子には!!」

 このセリフがわかる人、多分筆者と近い世代です。
 そんなわけでそれぞれの思惑を受けたうえでサヤカとアレンには新たなデッキを握ってもらいます。

 この先のネタバレを少ししますと、タイラー姉妹のデッキはほぼ強化がありませんが総司令のあの男のデッキはしっかり強化されます。みんなのトラウマ? のあのHEROが投入される予定です。逃げるな卑怯者!!
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