ARC-V転生美少女物語   作:らびどっぐ

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 気が付けば評価ゲージが久しぶりに赤に……ありがとうございます。


戦士達の再会

「デュエルディスクとデッキは返すわけにいかないけど、拘束は解いておくから拠点内なら好きに歩き回りなよ」

 

 レジスタンス拠点に着くなり、拘束を解かれて思わずぽかんとしてしまうタイラー姉妹。

 

「私達は敵だぞ! どういうつもりだ!?」

「いくつか理由はあるけど、半分くらいは用事が済んだからかな」

「え?」

「私達、ランサーズエクシーズ次元班の作戦目的はエクシーズ次元のレジスタンスを支援して協力を取り付けることと、融合次元の偵察。ほとんどカイトが殲滅した後、っていうのも大きいけど差し当たって周辺のアカデミア兵は排除したし、アンタ達を尋問して聞き出すつもりだった拠点の場所は現地の指揮官らしいノロマちゃん? とかいうのがご丁寧に地図付きで教えてくれる。つまり、目的の大部分は達成済みなわけ」

「それで拘束は要らない、と……この様子だと見張りすらつけないつもり? 甘いことね」

「別につけてほしいならつけるけど、それも要らないでしょ。土地勘もデュエルディスクも無しで、融合次元の拠点に簡単にたどり着けるわけないから逃げても迷子になるだけ。それなら大人しくしてる方が身のためだよ……こっちもカイトを捕捉できていなくて、すぐそこで猛獣がうろついてるみたいなものだから。私達と違ってカイトは甘くないから、見つかったらカード化待ったなし。姉妹揃って拘束で済んだのに自分からカードにされに行きたい?」

 

 外は逃げるには危険すぎるからこそ、逃走の心配は無用。そう説明されては納得する他ない。

 

「それと、どんな御大層な話か知らないけど現実を見てほしいっていうのもある。くだらないお題目掲げて攻め込んで、結果はこれなんだよ」

「私達はプロフェッサーの指揮のもと、理想郷のために……」

「あやふやな理想郷語る前に現実見ろって言ってんの。ここの惨状見て『必要な犠牲』なんて方便で納得出来る? 私にはアカデミアの連中はハゲオヤジの妄言に振り回されてるアホにしか見えない」

「貴様……プロフェッサーを愚弄するか!」

「そりゃそうでしょ……当時12歳の息子ほっぽりだした挙句わけのわからない理想掲げて侵略戦争? 客観的に見て頭がどうかしたとしか思えないよ。そんなのを盲信する前に、自分の目と頭で何が正しいか考えてみな。幸い、まだ時間はある」

 

 そう告げてとりあえず彼女らは自由に判断してもらう、という決定をしたがこの後の行動に関してはどうしたものか、と頭を搔く遊花。

 

(時間はある、それは間違いないけど実のところ作戦って言っても穴だらけなんだよね)

 

 スタンダード次元に帰還して戦力を整えエクシーズ次元で再度アカデミアと相対……これは基本で考えはしたが、実は致命的な欠陥があった。

 

(スタンダード次元のデュエルディスクと組み合わせる次元移動装置はたった6人でも個別に次元移動したらバラバラにはぐれた……まとまった戦力を用意できたとしても、まず間違いなく狙った場所に移動できず、統制が取れない……個々のスペックはせいぜい互角かちょい上程度、普通に戦っても各個撃破されるのがオチ)

 

 こと次元間の移動においては融合次元の方が技術は進んでいると見て良い。その次元移動システムを奪取するでもしない限り、戦力の逐次投入という愚策になってしまう。

 

(う〜ん、内側からある程度ダメージ与えて次元移動システムを奪取……これはあんまり現実的じゃないな。何かしらの交渉材料を持って、最低限のデュエルと交渉で落としどころを探して手打ちにするのが妥協案としてはベターだけど、交渉材料がタイラー姉妹の返還だけじゃ弱い……)

 

 手詰まりか、と思ったその時、刃が駆け込んできた。

 

「た、大変だ!」

「まさか……誰かカイトにやられた!?」

「そうじゃねえ! とにかく来てくれ!!」

 

 言われるがままに拠点入り口近くに移動すると、そこには本来いないはずのランサーズメンバーの姿があった。

 

「ダーリン! カイトにやられたの!? それなら目を覚ましたらミエルがリベンジでボッコボコに……」

「そうではない。カイトは俺が止めた、遊矢とデュエルした相手のことはわからん」

「水を探しに行ってアカデミアに会うのは仕方ないけど、引き分けでこのザマかよ……俺なら勝ってたぜ」

「遊矢はカイトにやられてダメージを負った俺達の為に水を探しに行ったんだ!」

「うっ……しかし黒咲がいて助かったな。ぶっ倒れたままじゃ遊矢もどうなっていたか」

 

 目の前にはカイト、遊矢、権現坂、シンゴ、黒咲……つまり、探していたカイトだけでなくシンクロ次元に行っていたメンバーがいたのだ。

 

「えーっと……ごめん、ちょっと頭の整理が追いつかない」

「説明は後だ、今は遊矢とカイトを休ませてくれ」

「OK、一旦私も落ち着きたい。みんなこっちで休んで」

 

 突然の再会から6時間後、念のためカイトには見張りを付けつつ話を聞くことができた。

 

「つまり、シンクロ次元でロジェが次元移動システムを暴走させて、遊矢達は巻き込まれる形でエクシーズ次元に飛ばされてきた、と」

「そうなんだ。ロジェ本人と、柚子も巻き込まれたんだけどこっちに来ていないか?」

「少なくともレジスタンス拠点周辺じゃ見てないね。スタンダードか、融合次元だと思う」

「そうか……無事だと良いけど」

「融合次元だとどうしようもないけど、スタンダードなら誰かが保護してくれるでしょ。次元移動はデュエルディスクを介して可能だけど、ただでさえこっちも厳しいから戦力は出せない。スタンダードに帰還なら良いけど、融合次元に殴り込みはダメだよ」

「…………わかった」

「ところで、水を探しに行った先で戦った決闘者っていうのはどんな奴だったの?」

「名前は、わからない。ただ、そいつは父さんのことを知っているみたいだった」

「つまりあのオッサン……榊遊勝はスタンダード次元で大事なチャンピオン決定戦を不意にしてこんなところで油売ってたわけだ。で、エクシーズ次元に融合次元が侵攻してきた時に戦った、と考えるのが自然だね。どんなカードを使ってた?」

「D-HEROってカードだ。それから、何故か破れた《スマイル・ワールド》……父さんのカードを持っていた」

「使っているカードがわかれば、あの二人が知っているかもしれないね」

「あの二人?」

 

 はい、タイラー姉妹です。

 

「D-HERO……エド・フェニックスだな」

「あら、随分すんなり教えてくれるね」

「どうせ対談で顔を合わせるからな……彼はエクシーズ次元侵攻の総司令官だ。知ったところで策があるわけでも無いだろう」

「ごもっとも。情報に感謝するよ」

 

 二人に背を向けると、遊矢が当然彼女達は何者かと尋ねてくる。

 

「融合次元の決闘者。情報収集のために捕まえて、今はレジスタンスの状況を直接見てもらってる」

「融合次元の……それで、様子は?」

「困惑してるね。肝心なところまで話すかは怪しいけど、さっきみたいに当たり障りない範囲なら問題なく教えてくれるみたい。心境に変化が起きたなら良い事だよ」

「そっか。俺は本当は、融合次元とだって争いたくないんだ。父さんみたいに、デュエルでみんなを笑顔にしたい」

「うんうん、それが正しいエンタメだよ。ところで、シンクロ次元ですごい決闘者とデュエルしたって?」

 

 そこで遊矢はエンジョイ長次郎や、ジャック・アトラスといったシンクロ次元の決闘者の話を聞かせてくれた。

 

「……うん、丁度良いから今言っちゃおう」

「な、何?」

「あんたに榊遊勝のデュエルは無理!」

「なっ!?」

「ぶっちゃけ私でも無理だから。魔法使い族を中心としたトリッキーで緻密なプレイング……加えて相手や観客の心理を読んで『何が起こるかわからない』奇術めいたデュエルをする。こんなのできる人間の方が少ないよ」

「じゃあ、俺はどうすれば……」

「答えは見てるでしょうが。父親の猿真似じゃなくて、あんたのデュエル……『榊遊矢のデュエル』をするんだよ」

「俺のデュエル……」

「色々なエンタメデュエル、見て来たんでしょ? だったらデュエルスタイルなんて人によって千差万別って事くらいわかるはず」

「確かに……」

「まず大前提として、100%全員に受けるデュエルなんて存在しない。榊遊勝のデュエルが好きな人もいれば、嫌いな人だっている。そして、もう一つの前提として、人間には得意不得意がある」

「得意不得意……」

「例えば私は小さい時からなりふり構わないスタイルでやって来たから、制圧やワンキルを狙うガチンコスタイルが基本。正直、事前に決めておかないと演出まで凝った事はしないしできない……でも、この有無を言わさぬ蹂躙スタイルが刺激を求める観客には受けたりする。華やかさとは無縁だから、ある意味榊遊勝のデュエルとは真逆だね」

 

 その分、私自身がコスプレする事で花を添えるというのが商業的な裏話だったのだが今は言うまい。

 

「遊矢は、観客に対する気配りはできると思う。でも話巧みにデュエルに引き込む技術なんてないでしょ?」

「う……」

 

 遊矢は唸るが、自覚があるだけで十分だ。

 

「私が思うに、だけど話に聞いたジャックや私のデュエルに寄せる方が向いてると思うよ」

「ジャックや、遊花さんに?」

「アンタのエースはやっぱり《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》でしょ。ドラゴンってのはその豪快な見た目とパワーが華。だから、相手の全力を受け止めたうえでガツーン! と殴り返してやるのが受けるんじゃない? あとは、せっかく多彩な召喚法を扱えるんだから、召喚演出で魅せるとか」

 

 まあ、ジャックはあれで技巧派でもあるので遊矢にそこまで求めるつもりは無い。

 

「召喚演出か……」

「どうせなら、アンタのデュエルでエド・フェニックスを楽しませてあげな。方法は人それぞれだけど、求めるものは一緒、でしょ?」

「デュエルは、人を笑顔にするもの……」

「そう。気合い入れてよ、アンタは貴重な交渉カードなんだから」

「交渉カード?」

「エド・フェニックスは《スマイル・ワールド》のカードを持っていたって言ってたよね?」

「うん。それが?」

「破れたカードを大事に持っている、ってことは榊遊勝とエドには何かしら、因縁があるってこと。だからきっと、彼はアンタとの再戦を望んでる……そのリクエストに応えますって形で、交渉カードの1つにしてみるつもりだから対談当日は同行してもらうからね。全力でぶつかってきな」

 

 そんなの聞いていない、という遊矢の悲鳴はスルーして遊花は交渉の準備を進めるのであった。




 このままでは完全にアークファイブ二次なのに遊矢が完全に蚊帳の外&スマイルワールド関連の話できずにエド説得できなくね? ということであと1話か2話挟んで遊矢のデュエルを久しぶりにやろうと思っています。
 また、これまた今更ですがどうせなら読者の皆様には楽しんでいただきたいので色々なデッキを出す意識はしています。
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