ARC-V転生美少女物語   作:らびどっぐ

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 今回はアンケートに沿ったデュエルに向けた前置きになります。
 次回デュエルとなります。
 


独占と先駆者

 先に連絡して確保した面会時間で『榊遊矢のペンデュラムカードを貸与する相談』の日程調整をしたいと伝え、思った通り零児社長は承諾。後日、遊矢を交え、私と3人で話し合いをする機会が設けられた。

 

「……詳しい理由はわからないが、既存のカードがペンデュラムカードに代わり、テキストもそれに沿ったものに書き換えられたようだな。他のカードも同様の変化をしている可能性はあるが、現時点で確認できるのは【EM(エンタメイト)】【魔術師】【オッドアイズ】の3テーマか」

「デッキ丸ごと渡すのがベスト、と言いたいけどそれやっちゃうと遊矢の打撃がシャレにならないよね」

 

 遊矢のデッキは【EM】という事になっているが、実態は【魔術師】【オッドアイズ】も含む3テーマ全ての混合デッキであり、その中で【EM】の比率が比較的高いというだけだ。

 ペンデュラムカードの研究、と言う意味では3テーマ全て欲しいのは当然だが、遊矢達が位置する中高生が所属するいわば『準プロ』である『ジュニアユース』の選手権大会に向けて参加資格を得るべくデュエルを重ねている時期という事もあり、ここでデッキ丸ごと変更は結構打撃だ。(※なお、私や零児社長は実力でプロ資格をもぎ取ったが例外の部類である)

 

「遊矢、例えばだけど3テーマから2テーマに絞ってデッキを調整する事は出来る? 【EM魔術師】とか【EMオッドアイズ】とか」

「それくらいなら、何とか……」

「じゃあ、期間を設けて1テーマずつ、ローテーションで貸せば問題なく回せるんじゃない? 研究データって、どれくらいの間貸せば取れます?」

「最短で1週間。だが、新規カードの製造に向けてのデータ採取と言う意味での理想を言えば1ヶ月欲しい」

「ジュニアユース選手権まで3か月切ってるって! それじゃ全部返してもらうまで間に合わないよ!」

「ジュニアユース選手権までに3テーマ全部貸す、ってなると結構ギリギリになるけど3週間くらい?」

「うーん……」

 

 私が提示した期間を聞いてなお、考え込む遊矢を見てもしや、と思いカマを賭けてみる。

 

「遊矢、もしかして『自分だけがペンデュラムを使える期間』をできるだけ引き伸ばしたいとか考えてない?」

「そ、そんなわけないだろ!」

 

 それだけが理由、ではないようだが理由の一端だと思って間違いなさそうだ。遊矢は父・榊遊勝の『エンタメデュエル』のスタイルを受け継ぎ、父のようなエンターテイナーになりたいと言っているが現時点の彼はデュエルスタイルは父の焼き増し、戦績は五分五分といったところだ。彼の父は人の目を引く派手な演出で人気だったが、煽りじみた演出が不快な観客も多く、そういった観客に関しては強さを見せつけ黙らせていた面があった。その勝率が父に劣るとなれば、現状の彼は『父親の質の悪いデッドコピー』でしかない。

 

「そりゃあ、ペンデュラムは人目を引く。性能的にも強い。でも『独占』は多かれ少なかれ、恨みを買う。社長なら、その辺は良ーくご存じじゃない?」

 

 話を振ると、目を伏せて溜息をつく零児。この舞網市では、レオ・コーポレーションがカードの新規デザイン・製造を一手に担っているため、やはり思うところはあるようだ。

 

「確かに。レオ・コーポレーションはこの町のデュエル業界の支配者だが、同時に敵も少なくない」

 

 目を細めてこっちを見返してくる社長の視線が痛い……あんまり機嫌損ねて後の交渉が難航しても困るし、こっちもちゃんと弱みの1つくらいは見せておかないといけないかな。

 

「こほん。私だって、早々に融合やシンクロ、エクシーズを使って派手にやったせいで、大変だったんだから……成金親父に媚び売っただ何だって非難はされるし、ストーカー? みたいなのに付け回されたこともあるし。インストラクター資格を取ってEXデッキの使い方を広める事にしたのは、これも大きいんだよ」

 

 『強力だが使い方がわからない』カードの使い方を理解しているが故に優位に立った結果、妬まれて実害が出始めたとなればどうするか? 答えは簡単だ。『独占』をやめて使い方を教えてしまえばいい。それで使う使わないは個人の自由だ……技術ではなく、容姿が良いせいで妬まれるのはもうそういうものとあきらめるしかないけど。

 

「プロ資格の取得に関しては実力を知って妥当だと思っていたが、インストラクター資格の取得を目指したのはそれが理由か。技術の独占はメリットもデメリットも大きい、恐らく遊矢、君も沢渡遊花に話をされるまでは独占を考えていたのではないか?」

「…………」

「その事を否定はしない。現にレオ・コーポレーションにも社外秘の技術は多くある。しかし、今回に関しては技術の提供が正解だろう」

 

 おや、意外な形で援護射撃が来た。

 

「ペンデュラム召喚、ペンデュラムカードは未知の技術だ。だからこそ、流通が始まっても運用そのものは試行錯誤が予想される……独占が恨みを買うのは先に言われた通りだが、新たなものを先んじて手にし運用という点で優位に立つ者は、むしろ先駆者として扱われる」

「それはそれで、頭が凝り固まった人達から叩かれはするんだけどね」

「新しいものが受け入れられるには相応に時間がかかる。が、その間にノウハウを確立してしまえば……後から走り出しても追いつけはしない」

「それ、榊遊勝のやった事と同じだね」

「え? 父さんと?」

「そう。あの人、『アクションデュエルを広めた先駆者』には間違いないからね。演出家としては好みが分かれるだろうけど、その実績に関しては揺るがない。だから『ペンデュラム召喚を始めた先駆者』としてならペンデュラムのカードを独占しなくても実績を残せる」

「そっか……そう言う事なら」

 

 現状、遊矢は実力的に中堅止まりだからこそ幼い頃からの憧れであった父親のデュエルスタイルに活路を見出し『ペンデュラム召喚』を唯一無二の武器としてエンタメデュエリストになろうとしていた……その気持ちはわからないでもないが、身を以てそれによる弊害を経験しているとリスクの大きさは看過できない。そのリスクと、今の自分が持つ独自性を理解できたなら、カードを一時的に手放す事を惜しむ必要はない。遊矢はしっかりと私と零児社長を見て、貸与を承諾してくれた。

 

「ペンデュラムの情報提供、感謝する。では、どのテーマから貸してもらうかは、社内で協議して後ほど連絡する」

「それが決まったら、私が汎用枠を遊矢に貸して試合を組む段取りに入る流れだね」

「遊矢にカードを貸す間我々からデッキを渡しても構わないが?」

「カードより人貸してください。もう冗談みたいな数の試合申し込みが来てるせいで代打でも頼まないと回らないからこの方法考えたんですから、スケジュール管理の得意な人に私のマネージャーとのすり合わせなんかも手伝って欲しいんですよ」

「それならば、心当たりがある」

 

 そうして、遊矢の所持カードから【魔術師】のパーツが貸し出されると知らされたと同時に遊勝塾との調整役件遊矢のプロモーターとして、ニコ・スマイリーが紹介された。

 

(何でこの胡散臭いオッサンに任せるかなと言いたいけど、見た目の割に優秀には違いないんだよなあ……)

 

「早速ですが、遊勝塾との初試合はレオ・コーポレーションが運営するレオ・デュエル・スクール……LDSの塾生です」

「まずは、自分のお膝元から出して現状を明かしてしまおうって事ね。変に勘繰られる前に公開っていうのは確かに悪くない手だと思う」

 

 と、なると相手は融合、シンクロ、エクシーズの専門クラスの生徒達だろうか?

 

「そうでしょう、シンゴ君なら実力も申し分ありませんし、注目度もバッチリです!」

 

 ……は?

 

「ちょっと、ごめんなさい。今遊矢の対戦相手誰って?」

「LDSの沢渡シンゴ君です。遊花さんの義弟(おとうと)さんですよ!」

「はああ!?」

 

 イイ性格してるなあの社長!? 当てつけか!

 

 電話越しのニコ・スマイリーの声に驚きと苛立ちが沸き上がるが、何とか抑える。そして夜……自宅に帰ると義弟の部屋へ向かう。

 

「よお、アイドル様。ピンチヒッターとの最初のデュエル相手はこのシンゴ様だってよ、まあせいぜい良い勝負になるように、手助けしてやりな」

 

 嫌味とも、対抗心とも取れる言葉をぶつけられるがそのまま部屋に上がり込む。

 

「何言ってんの? 私、今回はアンタにつくから」

「え?」

「何よ、義姉が弟に味方するのがそんなにおかしい?」

「おかしいだろ! スケジュール上代打だけど、実質義姉ちゃんのデビュー戦だ! 負けたらデビューから黒星スタートだぜ!?」

「私はちょっとくらい負けてもすぐ取り戻せる。アンタはジュニアユース選手権の出場かかってるでしょ」

「そりゃそうだけど、オレだって勝率的な貯金はあるっての!」

「それでも、勝つに越したことは無いでしょ。ちょっと待っててね」

 

 部屋に戻り、私物のカードの束を引っ張り出すと再び義弟の前に立つ。

 

「手、出して」

「な、何だよ……デッキ?」

「仮組みだけどね。これにはペンデュラム召喚に有効なカードが入ってる……デッキの性質自体はアンタのスタイルには合わなさそうだから使うかどうかは任せるけど、試合までに完成させれば間違いなく良い勝負はできるはずだよ」

「勝てる、とは言わないんだな?」

「使い手との相性が微妙そうだからね」

「……とりあえず中身を見てから考える事にしておく。何でオレに手を貸すんだよ?」

「可愛い義弟のため……じゃ納得しそうにない顔だね。この際だから言っちゃうとさ、私榊遊勝は嫌いなんだよ。アレの真似事をされるのも実は不快だからね、ちょっとぐらい引っ掻き回してやりたいんだ」

「基本的にビジネスライクな義姉ちゃんにしては、ずいぶん感情的だな」

「何言ってんの、私だってまだ16だよ? 大人になり切れてないの」

 

 本当、自分の勝ち星を投げ捨ててまで『嫌がらせ』は子供っぽい。でも、どこか憎めない義弟に手を貸してやりたいのもまた本音なので、これで良いのだ。




 はい、次回遊矢VS沢渡シンゴです。
 アニメ本編で毎回色々ペンデュラムカードが出ていたのは3テーマ染まったから、で各テーマのカードは所持済みが丸いと思い、そんな感じにしてみました。
 シンゴのデッキはコミックで使ったこともあって定番になりがちな【帝王】を避けて考えてあります。
 シンゴの気質、デュエルスタイルに合わない、ペンデュラムに有効なカードを無理なく投入できるという情報だけなので、流石にバレないよな……?

タツヤのデッキ、何が良さそう?

  • ジェネクス系列
  • ギアギア系列
  • ブンボーグ
  • 幻獣機
  • 裏サイバー
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