もう少し進んだら、ストーリーに対して物申すようになる、と思います。
遊矢に挑戦しに来た素良を伴い、やって来ました遊勝塾。ちょうど、権現坂君も玄関で鉢合わせたのでまずはお土産のお菓子を塾生達に渡して、みんなで穏やかにティータイムにする事にした……その間に、ピンチヒッター契約の進捗の報告書を眺める。
「ふむふむ、トータルでは勝ち越しだね……遊矢、最初のピンチヒッター戦で燃え尽きちゃった? あの後すぐ負けてるじゃん。とはいえ、試行錯誤は見て取れるね。その成果はこの後の勝負で見せてもらおうか」
「何とか、やってみるよ」
「ジュニアコースの子はまだ試合無し、柚子ちゃんは1勝と。滑り出しとしては上々ですね。ぼちぼちジュニアの子も試合組むんでしたっけ?」
「うむ、その予定だな」
戦果に満足げに修造さんが頷く。
「相手次第だけど、思い切ってジュニアユースの選手に挑ませてみます? EXデッキを使いこなし始めてるから同等、とは言わないけど近いレベルで戦えるかと」
「何ぃ!?」
「当然、相手と本人、親御さんの了承があればですけど。その方が勝った時の実入りも大きいですし、やってみる価値はありますよ」
思わぬ提案だったのか、柚子ちゃんは呆気にとられた表情で口を開いた。
「遊花さんって意外とチャレンジャーですよね。負けたら自分の戦績に響くのに……」
「私は本業教師のつもりだから。アイドルは
「オレはそういうチャレンジ精神は大好きだ! みんなが良ければ、挑戦の方向で相手と親御さんに相談するぞ! 熱血だー!!」
「もう……お父さん、仕事なんだから無責任な事言わないでよ」
「とか言って、柚子ちゃんもジュニアユースと年少組でやらせて勝てた時の報酬は気にしてるんじゃないの?」
「…………さ、さーて! 試合と授業があるから準備しないと!」
誤魔化し方が下手だな……事実には違いないので、良いんだけどね。
まずは私の授業の時間からだ。
「言ってくれれば、権現坂道場に行ったのにここで良かったの?」
「むしろ、ここが良いと思い希望させて頂いた。シンクロ召喚を教わり、俺のデッキは文字通り一段階上に進み勝率も跳ね上がった……このままなら、問題無くジュニアユース選手権に出場出来る」
「おお、おめでとう! でもそういう時期が一番危ないからね?」
「勝って兜の緒を締めよ。仰る通りだ……だからこそ、遊勝塾に来て頂いた」
「ふむ、その心は?」
「今の俺の成長を遊矢に、柚子に見て貰い、沢渡先生にも忌憚無い意見を貰いたいのだ」
「なるほど、あえてライバルの目がある場所を選んだと。慢心があれば付け入られるし、手の内を晒す事で自分にプレッシャーをかけようってわけ」
流石と言うか、ゴンちゃんストイックだなぁ。
「その意識の高さに対して申し訳ないんだけど、さ……今日の授業にちょうど良さそうだから持ってきたんだけど、これから使うデッキはレオ・コーポレーションから受け取った試作品なんだ。これが難解なデッキで、ハッキリ言ってまだ使いこなせてない。実験に付き合わせるみたいになっちゃってごめんね」
「授業として得るものがあるのなら、一向に構いません。一戦、ご指南お願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
互いに一礼。こういう礼儀も含めて、筋が通っているのはやはり良いものだ。
「「デュエル!」」
「それじゃ、私の先攻から。これまでの復習も兼ねて、見せていくよ。まずはポイントその1、テーマに固執しない事。これは構築段階の話になるけど、テーマのカードはデッキの動きの軸になる、個性の部分として重要なのは間違いない。ただし、そこに固執せず相性の良いカード、汎用性の高いカードは積極的に採用を検討する事。それだけで格段に対応力が増したり、動きが良くなったりするからね。《スクラップ・リサイクラー》を召喚して、効果発動。召喚成功時にデッキから機械族モンスター1体を墓地へ送る事が出来る。デッキから《
「わあー! きれい!!」
「水晶のモンスター……」
姿を見せた水晶の龍に、女性陣から声が上がる。でもごめん、これさぁ……
「その後、自分フィールドのカード1枚を破壊する。自身を破壊」
「ええー!?」
自爆するのが仕事なのよ。
「サルファフナーの②の効果、戦闘または効果で破壊された時、デッキから
「え? チューナーとシンクロ素材が揃ったのに、シンクロ召喚しない……?」
「まあね、これで良いの」
「うーむ……ピンチヒッター戦のように、俺のターンに動くシンクロテーマか。俺のターン、ドロー!」
豪快にカードを引く権現坂。うん、良い読みだ……大正解。
「《超重武者ダイ-8》を召喚、効果により守備表示になる。これを攻撃表示にする事で、第二の効果発動。自分の墓地に魔法・罠カードが無ければデッキから『超重武者』モンスター1体を手札に加える。《超重武者装留チュウサイ》を手札に加え、このモンスターを装備カード扱いでダイ-8に装備! チュウサイの効果、このモンスターを装備したモンスターをリリースする事で、デッキから『超重武者』モンスター1体を特殊召喚する! 出でよ《超重武者ビッグベン-K》!!」
理想的な動きで主軸のビッグベン-Kが出てきたけど、これで終わるとは思えない。
「墓地に魔法・罠カードが無ければ《超重武者ホラガ-E》は手札から特殊召喚できる!」
「チューナーモンスター! という事は……!!」
「その通りだ、遊矢! 俺の新たなる切り札、ここに見せよう!! レベル2《超重武者ホラガ-E》にレベル8《超重武者ビッグベン-K》をチューニング! 荒ぶる神よ、千の刃の咆哮とともに砂塵渦巻く戦場に現れよ! シンクロ召喚! いざ出陣! レベル10!《超重荒神スサノ-O》!!」
守備表示のまま、守備力参照で攻撃が可能でその守備力は何と3800、つまり実質攻撃力3800で条件を満たせば相手の墓地から魔法・罠を奪って使用出来る、非常に強力なシンクロモンスターだ。EXデッキの使用そのものが少ないスタンダード次元でこの性能は、控えめに言って化け物だ。こんなの出されたらそりゃ並みのジュニアユース選手は一蹴されるわ。
「うん、お見事。それじゃ、こっちも見せますか! 《
「超重荒神スサノ-Oは守備表示のまま、守備力でバトルが出来る、何も問題は無い! バトルフェイズ、超重荒神スサノ-Oでシストバーンを攻撃! クサナギソード・斬!!」
「ぐううっ!!」
遊花 LP4000→1700
紫水晶の飛竜が、呆気なく斬り捨てられる。
「バトル終了、メインフェイズ2も特にやることはない。俺はこれでターンエンド」
「私のターン、ドロー。とんでもなく強くなったね、もしさっきのバトルフェイズに《超重武者装留バスターガントレット》が手札にあって、守備力を倍にされていたら終わってた……そうならなくて助かったよ、ここから話すのが今回の授業で触れたかったところだから。スタンバイ、メインフェイズ。墓地のシストバーンの効果、このカードを墓地から除外する事で、デッキから『
ここで、柚子が今起きている事に気付いた。
「あれ? 遊花さんはどんどんモンスターを破壊しているのに、全然場のモンスターの数が減らない……」
「はい、それが今回の授業のポイントだよ。普通にデュエルをしている中ではあまり気にしないことも多いだろうけど『破壊する』って言うのはそれが必ずしも有効とは限らない。場合によっては、今やっているみたいに破壊がアドバンテージを生むテーマもある。アメトリクスの効果、戦闘または効果で破壊された場合、墓地の『
「ダブルチューニング!?」
「
金色の騎士の降臨を見て、生徒達は息を呑む……一方で、私はホッと胸を撫で下ろす。
(何とか覚えた展開ルート通り進められてよかった。本当展開複雑すぎ……アメトリクスが生き残ってなかったら出し方に困ってるところだった)
「グリオンガンドの効果! シンクロ召喚成功時、素材の数まで相手モンスターを対象として、対象のモンスターを除外する! 超重荒神スサノ-Oを除外!!」
「ぬうぅ!?」
(除去には手札の《超重武者装留ファイヤー・アーマー》で対応するつもりだったが、ファイヤー・アーマーが防げるのは戦闘・効果による破壊のみ……除外には対応できん!!)
「バトル! ローズニクス、グリオンガンドの順で直接攻撃!!」
権現坂 LP4000→2200→0
「な、何とかなったぁ……」
「ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました。うん、理想的な戦いで、特に言う事はないかな……強いて言えば、私が一切魔法・罠を使っていないうちにスサノ-Oを出しちゃって効果が無駄になっていたから、そこが少しもったいなく感じたくらい。ただ、打点要員として出すだけでも十分だから気にするほどでもないと思うし、基本に従った判断って意味では間違いではない」
「デュエルの基本は短期決戦……」
「そう、私が教えるにあたって早めに伝えた事だね。どんな決闘者でも、ドローはチャンス……逆転の一手につながる可能性がある。諦めない、って一点でそれは重要なんだけど逆に言えば長引かせてドローのチャンスを相手に与えれば与えるほど、逆転される危険は増す。だから、勝利を追求するならなるべく短期決戦で相手がドローする機会を減らす。先攻なら1ターン目でしっかり妨害を構えて盤石な盤面を作る、後攻なら相手の妨害をかいくぐって可能なら1ターンで決めるのが理想。世の中そこまで甘くないから、そう簡単にはいかないけど舐めプは相手にも失礼だからね、極力速攻で勝負を決めに行くのは大事だよ」
そういう意味では、展開ルートは可能な限りパターン化して頭に叩き込むのがベストなのだが、
さて、今回の授業で教えた『破壊がアドを生むケース』はペンデュラム系デッキにしっかり該当する。ヒントは与えたよ? さあ、これで遊矢と素良の勝負を見物させてもらおう。
と言うわけで相手ターンシンクロと破壊でアドを生むという性質を持ったクリストロンをお借りしてきました。
展開ルートはネットで調べたんですが、マジでこれ難しいですわ……本当は《甲化鎧骨格》でダメージ抑える展開をしたかったんですが、これ出してグリオンガンドに繋げる流れが把握できなかったんですよね。
余談ですが、本作ではARC-V放送時期に近い9期、10期のデッキを中心に使用する予定です。ある意味原作再現。
今回チラッと立てたジュニア組の格上戦フラグですが、これは希望のカードがあれば書いてみても良いかと思っています。例えば茂古田未知夫や方中ミエルをジュニア組と戦わせる感じですね。ちゃんとOCGのテーマでフトシ、タツヤ向けのものも考えてあります。何なら3人とも勝鬨を当てても頑張れば勝てるスペックを想定しています。
ただ、ストーリー展開を意識すると遊花と茄子もしくはクロワッサンが優先度高いかなとも思います。これもどちらが良いとかあれば感想にお気軽にどうぞ。
タツヤのデッキ、何が良さそう?
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ジェネクス系列
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ギアギア系列
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ブンボーグ
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幻獣機
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裏サイバー