今回はあえて普通にやってみようと思います。
ヒントを与えた事で、遊矢の顔つきが変わった。これは少し期待が持てそうだ……よし、もう一押ししよう。
「遊矢、せっかくの挑戦者だけど今回はアクションデュエルじゃなく、普通にデュエルしてみたら?」
「え? 何で?」
「アンタ、アクションデュエルだとすぐアクションカードに頼る癖が抜けてないからね……アクションカードはあくまでも補助、って教えてきたのに」
「そ、それは……」
「そこのところは、改めて話すとして……真面目に言えば公平性の問題。通常なら、塾の性質や公式戦の情報から『手の内が分かっている』って不利を打ち消す為にアクションデュエルのアクションフィールドは塾側に決定権がある。でも、今回それやっちゃうと明らかにバランス崩れるでしょうが……素良君、どう見ても小学生並みの体格だよ? 運動能力と体力に差がある」
実際は融合次元の『アカデミア』で英才教育を受けたみたいだからその程度の不利はあってないようなものだけど、この時点では知らないはずの情報だからね。それに知らないフリでも十分説得力はある。
「アクションフィールドを調整して素良君が得意なフィールドやランダムにする手もあるが……」
「あと単純に、私と権現坂君のデュエルで普通にデュエルしたから今からアクションフィールドの調整待つ時間がもったいない」
「ボクはどっちでも大丈夫だよ、どうせ勝つからね」
「っ……アクションカードが無くても負けるもんか、返り討ちにしてやる!」
素良の挑発的な台詞に来るものがあったようで、アクションデュエルではなく普通にデュエルする事になった……なるほど、そうやって挑発する手もあったか。
「「デュエル!!」」
「俺の先攻! 《
あちゃー……これは運だが、ついてないな。素良の【ファーニマル】は融合召喚の連打で一気に攻めてくる攻撃的なデッキだから、中途半端な盤面だと最悪一気に轢き潰されるぞ。
「揺れろ魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク! ペンデュラム召喚! 現れろ、俺のモンスター達! 《
「うわっ!!」
素良 LP4000→3500
「2つ目の効果で、《
……誰がここまでやれと言った。
《キングレムリン》出して《EMリザードロー》をサーチ、《揺れる眼差し》で先攻からバーンダメージ入れつつ《EMギタートル》もサーチして《EMリザードロー》と合わせて2ドロー……驚くほどきれいな動きだ。おまけにゼンマインは2回の破壊耐性と、破壊を防ぐ効果を使ったエンドフェイズに除去を撃てる効果を持ち、とりあえず立てておく壁としては有能だ。様子見としては十分な盤面と言える。
「へえ……遊矢、エクシーズ召喚も使えるんだ?」
「私が教えた。あと、今立てたモンスターは2体とも私が貸した汎用枠だね」
「ふぅん……つまらない芸だね。今度はボクが素晴らしいショーを見せてあげるよ!」
私が教えたエクシーズ召喚をつまらない芸とは言ってくれる。ならそのショーを見せてもらおうじゃないか。
「ボクのターン、ドロー! 手札から《ファーニマル・ドッグ》を召喚、デッキから『ファーニマル』モンスターを手札に加える。《ファーニマル・ベア》を手札に加える。そのまま《ファーニマル・ベア》を捨てて、効果発動! デッキから永続魔法《トイポット》をセット。セットした《トイポット》を発動、手札を1枚捨てて、1枚ドロー。ドローしたカードをお互いに確認して『ファーニマル』モンスターなら手札からモンスター1体を特殊召喚できる。ドロー! ……《ファーニマル・オウル》! そのまま特殊召喚して、効果発動! デッキから《融合》を手札に加える」
「わあ……」
「何だか可愛い!」
フィールドに出たぬいぐるみのような犬とフクロウのモンスターに目を輝かせる女性陣。確かに『この時点では』可愛いんだよねえ。
「それから、墓地の《ファーニマル・ウイング》の効果発動」
「《トイポット》を発動した時に捨てたカードか」
「その通り。《トイポット》がフィールドにある時、自身と墓地の『ファーニマル』モンスター1体を除外する事で1枚ドローできる。更に、《トイポット》を墓地へ送る事で、もう1枚ドロー。墓地に送られた《トイポット》の効果、デッキから《エッジインプ・シザー》か『ファーニマル』モンスター1体を手札に加える。《エッジインプ・シザー》を手札に加えるよ。《融合》を発動! 手札の《ファーニマル・キャット》と《エッジインプ・シザー》を融合! 融合召喚! 現れ出ちゃえ! すべてを引き裂く密林の魔獣! 《デストーイ・シザー・タイガー》!!」
「ひいっ……!」
「いやああああ!!」
出てきたのはトラのぬいぐるみを切り刻んだ上で、糸とハサミでメチャクチャに接ぎ合わせて、腹からハサミの刃が飛び出した恐ろしくホラーなモンスター……それまで『ファーニマル』の愛らしさにキャッキャしていた(私含む)女性陣ドン引きである。
「《ファーニマル・キャット》の効果、融合素材として墓地に送られた時、墓地の《融合》を手札に加える。《デストーイ・シザー・タイガー》の効果、融合召喚に成功した時、融合素材の数まで相手フィールドのカードを破壊する! 《キングレムリン》と《発条機雷ゼンマイン》を破壊!」
「キングレムリンは破壊されるけど、ゼンマインはオーバーレイユニットを取り除くことで戦闘・効果による破壊を防ぐことができる! オーバーレイユニットを1つ取り除いて破壊を防ぐ!」
「ウザったい効果……つまり、あと2回破壊しないとそいつはどけられないんだね?」
「ああ。それに、破壊されずに残ればフィールドのカード1枚を破壊できる」
「だったら、蹴散らしてあげるよ。墓地の《エッジインプ・シザー》の効果、1ターンに1度、手札を1枚デッキトップに置く事で墓地から守備表示で特殊召喚できる! そしてもう1回《融合》を発動! フィールドの《デストーイ・シザー・タイガー》、《ファーニマル・オウル》、《エッジインプ・シザー》を融合! 現れ出ちゃえ! 全てに牙むく魔境の猛獣、《デストーイ・サーベル・タイガー》!」
今度は体の各部からメチャクチャに刃が飛び出しているトラのぬいぐるみモンスター。サーベルタイガーってそういう意味じゃないから。柚子ちゃん真っ青だしアユちゃん泣きそうになってるじゃん……。
「《デストーイ・サーベル・タイガー》の効果、融合召喚に成功した時、墓地の『デストーイ』モンスターを特殊召喚できる! もう一度現れ出ちゃえ! 《デストーイ・シザー・タイガー》! バトル! 《デストーイ・シザー・タイガー》でゼンマインを攻撃!」
「オーバーレイユニットを取り除いて破壊を防ぐ!」
「《デストーイ・サーベル・タイガー》でゼンマインを攻撃!」
発条仕掛けの頼もしい守護者が悪趣味なトラに無惨に切り刻まれる。うわ、アユちゃんだけじゃなくジュニア組全員ドン引きだよ……
「ようやく邪魔者がいなくなった。《ファーニマル・ドッグ》で遊矢に直接攻撃!」
「ぐっ……!」
遊矢 LP4000→2300
1700……あの犬、ぬいぐるみの割に攻撃力高いな。ゼンマインの守備力が2100と大抵の下級止められるラインだから、まだ良かった。
「これでターンエンド。《デストーイ・サーベル・タイガー》は3体以上融合素材にすると戦闘・効果で破壊されないよ。それから、これは《デストーイ・シザー・タイガー》もだけど『デストーイ』モンスターの攻撃力を上げる効果がある。サーベル・タイガーは400、シザー・タイガーは『ファーニマル』『デストーイ』1体につき300」
デストーイ・サーベル・タイガー 攻撃力2400→3700
デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力1900→3200
1300の強化……両方3000超えはある意味見た目通りだけど殺意高いな。特にサーベル・タイガーの『高打点+耐性持ち』はシンプルだけど壁としても有効だ。さて、遊矢はどう出るかな?
「俺のターン、ドロー!」
ドローカードを見て、笑みを見せる。何か良いカードを引けたか。
「さて皆様、私のモンスターゾーンは見ての通りガラ空き、相手の場には攻撃力3000を越える恐ろしいトラが2体! まさに大ピンチです。ですが、このピンチ、乗り切って見せましょう! 目には目を……私の融合召喚をお見せいたします!」
ほう、素良の悪趣味融合で泣きそうな子供達を見ての父親を意識した演出か。私はあの男は嫌いだけど、気遣いが出来るのはポイント高いぞ。
「まずは、フィールド魔法《天空の虹彩》を発動! その効果によって、自分フィールドのカードを1枚破壊して『オッドアイズ』と名前のついたカードをデッキから手札に加えます。ペンデュラムゾーンの《EMギタートル》を破壊! 手札に加えるのは《オッドアイズ・フュージョン》!」
「へえ、専用融合魔法か……でも、その手札の枚数じゃ融合モンスターを1体出すので精一杯。それでピンチを乗り切れるのかな?」
「お楽しみはこれからだ! 《オッドアイズ・フュージョン》を発動! 先程のご指摘通り、普通に融合召喚するならば逆転には手札が足りません。しかし! この《オッドアイズ・フュージョン》は相手フィールドにモンスターが2体以上存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合にEXデッキの『オッドアイズ』ペンデュラムモンスターを2体まで素材に使えます! 私は破壊されEXデッキに送られた《EMライトフェニックス》と《EMオッドアイズ・ユニコーン》を素材に融合召喚! 出でよ! 嵐を巻き起こす二色の眼! 《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》!!」
「EXデッキだけで融合召喚!?」
うん、こんな無法が許されるデッキは少ない……驚くのも無理は無い。
「《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の効果、特殊召喚に成功した時、相手の表側攻撃表示のモンスター1体を手札に戻す! 《デストーイ・サーベル・タイガー》を手札に!」
「融合モンスターは手札ではなく、EXデッキに戻るよ。破壊耐性をそんな方法ですり抜けるなんてね……」
「まだまだ、反撃は続きます。手札から《
「くっ……」
素良 LP3500→2700
「でも良いのかな? 攻撃対象を間違えたんじゃない?」
「これで良いんだ! 《EMドクロバット・ジョーカー》で《デストーイ・シザー・タイガー》を攻撃!」
「わざわざ自爆特攻? それで本当に良いの?」
「ああ、手札の《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》の効果、自分のペンデュラムモンスターが戦闘するダメージステップ開始時に特殊召喚して、ドクロバット・ジョーカーの戦闘破壊を防ぐ!」
「でも、ダメージは受けてもらうよ」
遊矢 LP2300→1900
「バトルフェイズ終了、メインフェイズ2に移行。さて、まだ私のターンは終了していません。先程、目には目をと言いました。少々刺激が強いかもしれませんが、終幕はホラーにはホラーと参りましょう! 《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》にはもう1つ効果があります、それは自身を素材に含んだ融合召喚を行う効果です! 《EMオッドアイズ・ディゾルヴァー》と《EMドクロバット・ジョーカー》で融合召喚! 《
現れたのは物々しいガトリングガンを構えたモンスター。
「《EMガトリングール》の効果、融合召喚成功時にフィールドのカード1枚につき200ポイントのダメージを与える! フィールドのカードは《天空の虹彩》《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》《EMガトリングール》《デストーイ・シザー・タイガー》の4枚、よって800ポイントのダメージ!」
「うわわっ!」
素良 LP2700→1900
「更に、融合素材にペンデュラムモンスターを使用していた場合、相手フィールドのモンスター1体を選択して破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを与える!!」
「うわああああ!!」
素良 LP1900→0
「ご苦労様。うん、良いデュエルだったよ……私の与えたヒントもバッチリ生かしてたね。ジュニアユース組は選手権大会も近いし、個別に話をさせてもらいたいんだけど大丈夫?」
「お願いします!」
「はい!」
「わかりました!」
「で、素良君だけど……言うだけあるね。遊矢の引きが強かっただけで、見ていた限りではどっちが勝ってもおかしくなかった。むしろ、割と優勢だったし技術面で言う事は無いかな」
「当然だね」
「ただし! デュエルの態度はよろしくない! 自信があるのは結構、でもそれで見下した態度は印象悪いよ! あと、公式戦ならそのデッキは注意喚起しても良いかもね。見た目にキッツいから」
半泣きになっていたアユちゃんをはじめ、明らかに怖がっていたジュニア組を宥めながら告げる。
しかし、《EMガトリングール》……これは少し遊矢に刺激を与えすぎた可能性があるな。一度話して、様子を見た方が良いかもしれない。
そんな事を考えていたせいで、私は1通のメールがレオ・コーポレーションから送られていたことに気付かなかったのだった。
次もアンケートを出したいので、そのために対面でのお話フェイズを1話挟もうと思います。
今回もアンケートにお答えいただけますと幸いです。
次は誰のデュエルが見たい?
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遊花VS不審者1号(茄子)
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遊花VS不審者2号(クロワッサン)
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柚子VS真澄
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遊勝塾ジュニア組VSその他ジュニアユース