新せいきエヴァンゲリオン   作:七九六十

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第六話 決戦、第3東京市
第七話 人の造りしもの
第八話 アスカ、来日

・LASを掲げているのにヤシマ作戦で終わる作品の多いこと多いこと。
・大真面目にジェットアローンを作るくらいには使徒の情報が出回っていた?
 二次創作では無視されることも多い彼だが、その後の使い道で作品の個性が出ることも。


3 - 新人のアスカ
3-1 第5使徒(ラミエル)戦 前編


 

 

 

 零号機の再起動実験が完了し、あわせてシンジたちによる零号機へのシンクロ、レイを含めた3人でのシンクロ実験も完了したころ。

 

「碇、未確認飛行物体が接近中だ」

 

 第三新東京市に向けて海上を飛行する謎の物体が発見されたとの報告があった。

 それを受けたNERV(ネルフ)最高司令官と副司令官の2人は、すぐにその正体に気付く。

 

「おそらく第5の使徒だな」

「総員第一種警戒態勢」

 

 前回の使徒戦から2週間弱、誰も予想しないタイミングでの襲来に現場の緊張が高まる。

 そんな空気に影響されたのか、零号機パイロットのファーストチルドレン、綾波レイの様子がおかしい。彼女は他のパイロットと共にミサトとリツコと並んでメインモニタを前にしている。ちなみになぜかNERV(ネルフ)の男性職員用の制服に身を包んで。

 彼女は同じく初号機パイロットのサードチルドレン、碇シンジに抱き着いたまま動かない。

 

 普段の彼女からは想像もつかない行動だが、しかし彼女の生まれを知る数少ない人間の一人は何かに気付いたようだ。

 

「よりにもよって、息子に浮気たあな」

「やめろ冬月!?」

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 ユイはそんなことしない、と取り乱している司令は置いといて。

 今は予定通り襲来した第5使徒の対処である。

 

「シンジ君たちの言う通り、本当に来ましたね」

「……使徒って、案外お約束が分かるのかしら」

「そんなはずはない、とは言い切れないわね」

 

 零号機のお披露目のタイミングで使徒が来る。

 そんなシンジたちの予想はマヤを通じて技術開発部、そして戦術作戦部に伝えられた。それを受けた者たちは一様に「そんなバカな……いや、でも……」という心境になり、「なんか気になるから、とりあえず準備だけしとこう」という流れになったのだが。

 発令所のメインモニタを前にしてオペレーター3人とミサト、リツコといういつもの面々は、実際に現れた使徒に対してどうリアクションを取ったものかと悩む。

 別に、本当に来なくても良かったのに、とテンションが低い。

 

 そしてそれとは対照的に、来ることを確信していたために通常営業のパイロットたちもいる。彼らは明確な指示が出ていないため同じくメインモニタ前におり、何気に出撃準備ができていなかったりする。

 

「今回の使徒って、あの青いやつ?」

「………………?」

「なんか理科の実験で見たような気がするな」

 

 青い正八面体というとても生物には思えない形状であるが、ミョウバンではない。

 これまでの使徒もそうだが、攻撃手段の予想もできない姿である。

 

「うーん。無難に考えると、体当たりか?」

 

 でもそれだとあの形状の意味が無いか、というマイトの発言をきっかけに、使徒の正体を予想しよう大会が開催される。

 

 となれば戦闘指揮官の葛城ミサトが黙っちゃいない。

 

「甘いわね。あれはきっと卵よ。中から本体が出てくるのよ」

「卵ってミサト、あの無機質さでそれは無いんじゃない? あれはきっと種よ」

 

 技術開発部のリツコはかつてC-Eという「コンピュータのソフトを作るソフト」が、究極のシリコン生命体に変化する過程で正四面体の物質となった事件(進化の果て)を思い出す。

 

「あれは乗り物で、中にちっちゃい使徒が入ってるとか」

 

 同じ技術開発部であるマヤは、わざわざ成長前の卵や種の状態で敵の目の前に出てくる必要は無いだろうと考えたようだ。

 

「あれ絶対ロボットですよ! 中が開いて手足が出て、最後に頭が出てくるヤツ!」

「お、それ良いな。じゃあオレもそれに1票!」

「やっぱ変形・合体は男のロマンだよな」

 

 シンジとオペレータの2人、青葉シゲルと日向マコトは、巨大な顔が人型ロボットになる方向性を期待しているようだ。

 

「レイちゃんは?」

「…………」

 

 まだまだ自分から発言することが少ないレイは、今回もシンジに抱き着いたまま話を聞いているだけだったのだが。

 

「……爆発する」

「なるほど」

 

 なかなか斬新な意見を出してきた。

 確かに使徒を待ち構えることしかできない人類相手には有効な手段だろう。しかしこんな序盤で取る攻撃方法ではない。

 

「もっと後半になったらありそうだね」

「その爆発は防げたものの、ほぼ防御力の無くなった拠点に向けて過去最大火力の敵がやってくる展開だな」

 

 そしてボロボロの施設の下から急浮上してくる謎の巨大なシルエット。

 それはNERV(ネルフ)が極秘裏に開発していた移動要塞だったのだ!

 

「まさかリツコ……」

「あるわけないでしょ」

 

 残念ながら無いようだ。

 

 

 

 まあ一通り意見が出そろったので使徒の出方を見守る。

 使徒は芦ノ湖上空を通って第三新東京市へと侵入する。

 

「今回は入り口で変形しないね」

「やっぱエヴァンゲリオンがいないとダメか?」

 

 何の反応も示さないまま直進していたが、NERV(ネルフ)本部の上空に差し掛かったと思うと停止した。

 生まれるのか、変形するのか、それとも爆発するのか。そうドキドキしながらモニタを見つめる面々の前で、使徒はゆっくりと行動を開始した。

 

「……あれ何?」

「ドリル、か?」

 

 正八面体の下部から光り輝く細い線が伸びたかと思うと、地面へと吸い込まれていった。単なる掘削用のドリルではなく、トンネル工事用のシールドマシンなのだろうか。映像を拡大して確認してみると金属のような筒状のモノで、先端は第4使徒(イカ)の触手のように光っている。

 

「もしかして、アレが攻撃なのかしら。絵面が地味ね」

「そうじゃないでしょミサト」

 

 本部まで到達するという意味では堅実な攻撃だろう。しかし本体に対して極細のドリルが、黙々と掘り進めるだけというのは映像としてはどうかと。

 

「どうせ掘り進めるなら、本体ごと回転して地面に潜るとかすればいいのに」

 

 シンジの呟きに同意した一同は、改めて使徒について考える。

 

「根を張った、という意味では赤木さんが正解ですかね」

「アレはちょっと違うわね」

 

 もうちょっと攻撃らしい攻撃を見てから判断したい。

 ということで使徒にちょっかいをかけることにした。都合の良いことに相手は兵装ビルのすぐ近くである。

 

 しかしリツコから待ったがかかる。

 

「どうせ動かないなら、もっと火力のあるモノにしましょ」

 

 そして用意された独12式自走臼砲(きゅうほう)。反撃を受ける前提で、芦ノ湖側から都市部に向けてのレーザー攻撃である。

 

「面の部分は堅そうだから、ドリルの付け根を狙ってみて」

「了解」

 

 ミサトの指示により攻撃が開始される。演出の都合か、レーザーにしてはやけに遅い弾速で使徒へと迫ったそれは、当然のようにATフィールドにて弾かれる。

 ここまでは予定通りである。

 

『目標内部に高エネルギー反応!』

 

「お、来た来た」

「変形、変形してっ」

「……爆発」

 

 パイロットたちの期待が高まる。

 

『円周部を加速、収束していきます!』

 

「……円周ってどういうことよ?」

「私に言われても困るわ」

「正八面体じゃなくて、素直に球体で良かった気がしますね」

 

 大人たちの困惑が深まる。

 

 やがてチャージが完了し、使徒から一条の光が放たれる。それは見事に自走臼砲(きゅうほう)へと命中し、爆発した。

 

『おぉ~』

 

 これには一同大満足である。触手やドリルとは違い、派手な遠距離攻撃である。

 約一名、(くち)から出そうになったセリフを飲み込むために手で押さえているオペレーターが居るが、気にしてはいけない。

 ちなみに彼女はすでに引っ越し済みである。

 

「ということで、使徒の正体は移動砲台(ドリル付き)だと判明しました」

 

 第1回使徒の正体を予想しよう大会はマイトの司会で締めに入る。

 

「一番近かったのは、マヤさんかな?」

 

 乗り物というのは完全な正解ではないが、卵だったり変形ロボよりかはずっと近い。

 そんなわけで第1回の勝者はマヤに決まり、手のひらサイズのトロフィー(第5使徒のミニフィギュア付き)と副賞として1週間分のNERV(ネルフ)食堂用食券が送られた。

 

「ありがとうございますっ」

 

 拍手を受けてはにかむマヤの笑顔によって、閉幕となる。

 しかしその裏では。

 

「次こそはボクが勝つよ!」

「……爆発」

 

 次回に向けて気合を入れる者。

 

「早く次の使徒、来ないかしら」

「いくら何でも気が早いわよ」

 

 次回が待ちきれない者。

 

「次もオレたち、参加できるのか?」

「この場でやってくれるならもしかしたら、ってとこじゃないかな」

 

 次回での自分たちの扱いに不安を覚える者。

 

 それぞれがそれぞれのやり方で、第2回に向けて動き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

「って、終わったらダメじゃない!」

 

 戦闘指揮官殿の声によって、そういえばそうだったと気付く一同。

 

「いやー、危うく使徒の卑劣な罠に掛かるとこだったね」

「毎回毎回、油断ならないな」

 

 シンジたちも気合を入れ直し、出撃のためプラグスーツに着替えようと移動を開始する。

 その間に大人たちは使徒の分析である。

 

「そもそもあの攻撃は何なの?」

「おそらく、加粒子砲ね」

 

 伝説の巨神にも搭載されているモノである。要は電荷を帯びた粒子を電場の力で加速してぶつける、というやつだ。

 

「円周部()加速、ってのは?」

「気にしちゃダメよ」

 

 まあ粒子加速器にもいろいろあるのだ。

 

「原子核の破壊とか、電磁波によるアレコレとか?」

「これはフィクションよ。そんなトコまで描写してないから、考慮しなくていいわ」

 

 今のところ、すっごい熱線くらいの認識で大丈夫である。

 熱線だから穴掘りには適していないので、真下に向けて撃ってくることもないのだろう。

 

「ただ、あのシールドマシンの中を通って、てのはありそうね」

 

 そのために単純なドリルではなく、シールドマシンにしたのだろうか。

 日付が変わる頃には22層ある装甲すべてに穴が開くと予想されている。それまでに何とかしなければならない。

 

 あーでもない、こーでもないと議論を交わすも、やはりネックになるのは加粒子砲の射程と威力である。現在のエヴァンゲリオン用の装備では、射程外から攻撃することも防ぐこともできないのだ。そのため取れる作戦が限られてしまう。

 

『あ、じゃあ1つ、試してもいいですか?』

 

 

 

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