新せいきエヴァンゲリオン   作:七九六十

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第拾四話 ゼーレ、魂
第拾伍話 と沈黙
第拾六話 死に至る病、そして
第拾七話 四人目の適格者
第拾八話 命の選択

・ここら辺はかなり記憶が薄いところ。
 原作でいえばこの次のゼルエルのインパクトが強すぎだし、
 二次創作だとそもそもここまで到達するものは少ないし。
・四人目の扱いはその作品のジャンルが色濃く反映される印象がある。
 ヘイト物で合法的にいたぶりたいキャラを乗せたり、
 シリアスならより悲劇性の増すキャラを選択したり、
 コメディよりならどうせ乗っ取られるんだからダミーシステムでいいじゃんだったり。


5 - ゼーレの嘘に至る適格者の選択
5-1 尺稼ぎ 総集編


 

 

 

 というわけで、制作スケジュールの都合で今回は総集編(ふりかえり)という名の尺稼ぎである。

 できるだけ過去の映像を()()ぎし、最小限の労力で話を構成する。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 国際連合直属非公開組織である特務機関NERV(ネルフ)。その上位にある人類補完委員会からNERV(ネルフ)の最高司令官、碇ゲンドウへの聞き取り調査が行われる。2話辺りでみたような、真っ暗い部屋で立体映像(ホログラム)による通信である。

 

 話題は使徒に関するもののようで、映像とともにテロップが表示される。

 

 

 

 

 

 

『第3の使徒 サキエル、襲来』

 

 15年ぶりに現れた正体不明の巨大生物に対し、国連軍の戦車が、戦闘機が攻撃を行う。

 しかし使徒と呼称されるこの巨大生物にはほとんどダメージを与えられず、ただ蹴散らされるだけだった。

 

「サキエル……水を(つかさど)る天使だったか?」

「これのどこが水なんだ?」

「…………まさか、見た目がジャミラだからか?」

「それはあまりにも酷すぎるだろ」

 

 そんな使徒を一蹴し、組織としての優位性を確立したのがエヴァンゲリオン初号機である。

 

「それにしてもこの使徒の攻撃方法……」

「何をしようとしたかは不明ですが、(てのひら)を突き出してきたこの動作」

「これでもう少し横幅のあるシルエットであれば、イゴーロナクとでも改名してましたな」

 

 HAHAHAと笑いあう彼らは金と権力を腐るほど持った老人、つまりは超暇人である。

 そのため暇つぶしの手段に飢えており、その中にはTRPGのセッションなんかも含まれている。

 なのでそっち方面の知識もあるのだ。

 

 

 

 

 

 

『第4の使徒 シャムシエル、襲来』

 

 続いて赤紫色のイカのような使徒が映し出される。

 先と同じように通常兵器による砲撃をものともせずに進軍し、第三新東京市まで到達している。

 

「しかし碇君。初号機はパレットライフル、もう少しうまく使えんのかね?」

「…………………………」

 

 敵の目前にて弾詰まりした銃口をのぞき込み、見事に自分の顔を吹き飛ばした初号機の映像が流れる。

 これにはゲンドウも目を逸らすしかない。

 無傷だから良かったものを、下手をするとエヴァンゲリオン初の被害が使徒によるものではなく、同じ人間にやられたなんてやり切れない状況になるところだったのだ。

 まあ所詮、人間の敵は人間なのだ。

 

「それにしても、この使徒も謎ですな。どこが昼を(つかさど)る天使なんですかね?」

 

 直立して(えんぺら)を前に倒した赤紫色のイカに、昼の要素はあるのだろうか?

 

「昼……太陽……イカと太陽に何か関係はあったか?」

「太陽と言えば夏の砂浜、海の家、イカ焼き……は無理があるな」

「もっと茶色だったら日焼けとか、醤油の照りとか」

 

 委員たちが次々と意見を出すも、どうもしっくりこない。

 そこに議長のキールからの意見が投げかけられる。

 

「諸君、よく見てみろ」

 

 

 

  

 

 

 

「どことなく使徒の姿に見えんかね」

 

 直立して(えんぺら)を前に倒したイカが、2本の触手を垂らしている。

 

「おお、なるほど!」

「さすが議長!」

 

 

 

 

 

 

『第5の使徒 ラミエル、襲来』

 

 お次は青い正八面体である。

 すべての使徒は第1使徒であるアダムから生まれたという。

 ………………どうやら使徒は生物の枠にとらわれることなく、無機物でもイケるらしい。親の顔が見てみたい。

 

「雷を(つかさど)るコイツは分かりやすいな」

「ああ。なんせ雷神の鎚(トゥールハンマー)だしな」

 

 使徒からのビーム攻撃によって芦ノ湖の対岸にある独12式自走臼砲(きゅうほう)が消滅する。

 さすがはイゼルローン要塞の最大武器である。

 

 しかし上手くすれば艦隊ごと消滅させられる攻撃も、我らが初号機には通用しなかった。

 ATフィールドを使ってビームの軌道を捻じ曲げ、そのまま使徒に跳ね返して撃退したのだ。

 

「イゼルローンの主砲をしてイゼルローンの防壁を撃たしむればどちらが勝つか」

「人それを矛盾という」

 

 HAHAHAと笑いあう超暇人たち。

 彼らは100話越えのアニメも視聴済みなのだ。

 

 

 

 余談だが、某氏のイゼルローンVSガイエスブルグ回のサブタイトルは秀逸だと思う。

 

 

 

 

 

『第6の使徒 ガギエルに、遭遇』

 

 テロップが少し変わっている。

 というのも使徒迎撃用都市である第三新東京市ではなく、佐世保から横須賀まで弐号機を海上輸送している最中に戦闘になったのだ。

 

「シナリオから少し離れた事件だな」

「しかし、結果は予測範囲内です。修正は利きます」

 

 なぜそのようなことになったのか。

 まあ使徒を引き寄せるようなブツを弐号機とともに極秘で輸送していたからなのだが、それをこちらは分かっているぞと議長が釘を刺せば、白を切るゲンドウ。

 キツネとタヌキの化かし合いだが、そもそものブツの中身をマイトに奪われていることには誰も気付いていない。

 

「それにしても、海だから魚を(つかさど)る天使というのは安直すぎでは?」

「こちらから海に打って出なければ、コイツはどうしてたんでしょうね」

「そもそもこれは魚か?」

 

 一部では柔らかいカブトガニなんて呼ばれていたりするが、まあ広い意味では魚だろう。海で泳いでいるものはすべて魚だという意見もあることだし。

 そんな巨大カブトガニは、弐号機の構えるナイフから伸びた光の刃によって両断される。

 

「…………やはり、何度見ても良いですな」

「巨大ロボの必殺技は、男のロマン!」

 

 腕組みして満足げに(うなず)く超暇人たち。

 彼らは勇者シリーズも視聴済みなのだ。

 

 

 

 

 

 

『第7の使徒 イスラフェル、襲来』

 

 いつものテロップに戻る。

 そして使徒が映し出されるが、すぐさま弐号機によって真っ二つにされ、爆発する。

 

「……出オチもいいとこですな」

「音楽を(つかさど)るらしいが、音MADの素材とでもいうのか?」

 

 マイトがついうっかり自爆させてしまったせいで、何の行動も起こせずに退場してしまったイスラフェルくん。

 彼がどう音楽を(つかさど)っていたのかは、永遠の謎になってしまった、

 

 

 

 

 

 

『第8の使徒 サンダルフォン、襲来』

 

 出オチという意味ではコイツも負けてはいない。

 

「サンダルフォンがやられたようだな……」

「フフフ……奴は使徒の中でも最弱……」

「パレットライフルごときに負けるとは使徒の面汚しよ……」

 

 楕円形の身体から細長い4本の脚が生えた、実に雑な構造をした虫のような使徒は、零号機が思わずといった感じに撃ったパレットライフルの弾に貫かれて爆発した。

 これについてはマイトのうっかりではなく、ごく普通に使徒の弱点であるコアを破壊されて死亡したようだ。

 

「胎児を(つかさど)るだけあって『赤子の手をひねる』ようなものということか」

「攻撃手段も『手も足も出ない』だったりしてな」

 

 

 

 

 

 

『第9の使徒 マトリエル、襲来』

 

 手も足も出ない使徒といえば、2重の意味でコイツだろう。

 大きな目玉(上下に3本ずつの睫毛(まつげ)付き)のようなアメーバ状の使徒は手足が存在せず、また出現場所が衛星軌道上のためこちらから攻撃することができなかったのだ。

 

「まさかこういう形で雨を(つかさど)るとは……」

「もしかしたら最強の使徒かもしれませんな」

 

 過去最大級の使徒はその質量を活かし、自分の身体を切り離して自由落下させることで莫大な運動エネルギーを発生させた。そのうえでATフィールドを(まと)わせることでさらに凶悪な攻撃となったのだ。

 

 しかし実際には数発が海に落ちただけで、本命の攻撃が行われる前にどこからともなく飛来した棒状の物体に貫かれて死亡してしまった。

 

「…………あれは、ロンギヌスの槍、か?」

 

 使徒が貫かれたシーンを拡大してみると、荒い画質ながらも得られる情報はある。

 例えば使徒を貫いた棒状の物体が、彼ら人類補完委員会、いや正確にはそう偽装している秘密結社SEELE(ゼーレ)が進めようとしている計画に必須のアイテム、ロンギヌスの槍だということとか。

 

「可能性として、あの使徒には槍を呼び寄せる力があったと推測されます」

「…………呼び寄せたはいいが、手が無いから受け止められなかったと?」

「んなアホな……………………いや知恵が無いならありえるか?」

 

 実際にはマイトが勝手に使徒めがけて投げてしまった結果なのだが、さすがに不味いと判断したリツコが映像を含むすべてのデータを改ざんしたため、MAGIのレコーダーを調べてもそんな事実は記録されていない。

 事実を知るのはあのときNERV(ネルフ)本部にいた極わずかの人間だけで、その彼らがゲンドウと接する機会は無いためこの事実が露見することも無い。

 

 事実の隠蔽はNERV(ネルフ)本部の十八番(おはこ)なのだ。

 

 

 

 

 

 

「ここまでで使徒は9体。ちょうど折り返しといったところだ」

 

 議長であるキールが出席者を見渡しながらまとめに入る。

 

「タイムスケジュールは、死海文書の記述通りに進んでいる」

 

 正確には()死海文書と呼ばれるものである。通常の死海文書は最古の聖書として宗教的にも歴史的にも大きな意味を持つが、こちらは第1使徒であるアダムが記述した使徒に関する説明書のようなものである。

 これを使っていろいろと悪だくみしているのが、ここにいる超暇人たちなのだ。

 

「すべてはSEELE(ゼーレ)のシナリオ通りに」

 

 

 

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