新せいきエヴァンゲリオン   作:七九六十

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6-2 第15使徒(アラエル)

 

 

 

「だから、アタシは格闘戦がしたいんだってば」

 

 通常のといっていいのか、これまで長年の訓練にて行ってきたシンクロとは違い、現在はダイレクトに身体を動かしているようにエヴァンゲリオンを操縦できる。それによって高度な格闘戦を熟せるようになり、自分の技能を思う存分発揮できる環境になったアスカは血に飢えていた。

 

「血じゃなくて格闘戦よ格闘戦」

 

 アタシは戦うのが好きなんじゃねぇんだ…… 一方的に殴る蹴るのが好きなんだよォォッ!

 

 と思っているかもしれないアスカの目線の先、発令所のメインモニタには今回の使徒が映し出されている。

 

「鳥か?」

「飛行機か?」

「いや、ぶーりん……さすがに無理があるか」

 

 愛と勇気のピッグガールとか、誰が分かるのやら。元ネタのスーパーマンでもきついのに。

 シンジたち3人が好き勝手に言っているが、それというのも今回の使徒、左右に枝分かれした発光体としか言いようのない形状なのだ。鳥のようでもあり、ただのトゲトゲのようでもあり、ロールシャッハな感じで表現に困る。

 

「今回は間が開いたわね」

「1ヶ月とちょっとは、ここ最近にはない長さですよね」

 

 分析を続けるリツコとマヤだが、これといって目ぼしい情報は得られていない。

 形状に難のある今回の使徒、それに加えて第9使徒(おおめだま)と同じく衛星軌道上に現れたために(ろく)な観測機器が無いのだ。

 一部界隈では(あられ)(つかさど)るとか言われている第13使徒。雨を(つかさど)第9使徒(おおめだま)と同じ攻撃でもおかしくはない、と衛星軌道上に現れた時点で予想されていたりするが、ほとんどの者はそういった知識が無いため何とか情報を探ろうと頑張っている。

 

「観測できないなら、何か攻撃手段は無いの?」

「近くにはそういったものは見当たらないようです」

 

 使徒迎撃用につくられた第三新東京市ならいざ知らず、さすがに衛星軌道上にそう都合よく配置されていたりはしないようだ。

 

「MAGIを使えば流星の三姉妹(メテオリック・スリーシスターズ)とかできる?」

「できるけど、(かわ)された場合を考えると実行はできないわね」

 

 流星の三姉妹(メテオリック・スリーシスターズ)とは、複数の廃棄衛星をプログラムにより自在に遠隔操作し、大気圏で燃え尽きないよう3基1組の縦一列に落下させピンポイントで地上の目標物を破壊させる、BPSの恐るべき必殺技の1つである。

 ただし使徒が移動できることを考えると当たらない公算が大きく、リツコに却下されてしまった。

 

 そうなると今のところ他に目ぼしい手立てはない。

 

「というわけで、とりあえず地上で待機で」

 

 ミサトからの指示によって地上へと配置されたエヴァンゲリオン4体。特にすることも無いのでぼけーっと空を見上げるだけである。

 

「また何か落としてくるのかな?」

「さすがに二番煎じは無いだろ」

「前回のは結局何もしてないからノーカン」

 

 シンジたちが使徒の攻撃方法について議論する横で、アスカは手元のソニックグレイヴを見つめる。マイトのように上空に投げることで使徒を撃墜できるだろうか。いやそもそもできたとしても、愛用の武器を投げるのはいかがなものだろうか。

 

「また都合よく何か降ってこないかしら」

 

 そう期待して空を見上げると、何やら虹色の光が降り注いできた。

 

「ん?」

 

 と思ったらこれまた唐突に止んだ。

 

「今の何?」

「キレーだったね」

 

 レイとシンジの反応からすると、自分の見間違いではなさそうだ。

 

『使徒の反応、消失しました』

『おかしいわね。センサーの故障かしら』

『叩けば直るんじゃない?』

 

 発令所の方が騒がしくなっているようなので、使徒に何やら動きがあったのかもしれない。

 

「何かあったの?」

『どうも使徒を見失ったみたいなの。そっちに行ってない?』

 

 ミサトの問いかけを受けて周囲を見渡す。とりあえず上空には居なさそうだ。

 シンジたちもビルの(かげ)や道端の車の下などを探ってみるが見つからない。

 

「こっちには居ないみたいよ」

『そう……だったら逃げたのかしら?』

 

 第8使徒(ムシケラ)も浅間山の噴火口でそれっぽいものを見かけたあと、時間をおいて別口から進行してきた。それを考えると今回の使徒も他に移動した可能性はある。

 

 そんな話をしているとレイが何かに気付いたようだ。

 

「もしかしたらさっきの光…………スキャンされたかも」

 

 一度目の登場であっさり退いた場合、それは二度目への布石である。各機体の癖や弱点、性能を分析され、それを元に強化された次の敵に大苦戦というわけだ。おそらく今の自分たちの技はすべて通じなくなったと見ていい。

 

「せっかくの方陣技(ビッグバンアタック)が……」

「アレはもうぜったいにやんないからっ!」

 

 アスカは不満のようだが、まだインターナショナル版も控えているので安心して欲しい。

 

 

 

 そんな風に騒いでいる周囲を他所に、一人だけ静かな男がいる。

 彼だけは何があったかを、使徒の末路を知っているのだ。

 

 今回の使徒はATフィールドを使って精神攻撃を仕掛けてくるタイプで、空が虹色に光ったのはその攻撃エフェクトだったようだ。

 それでどうなったかというと、ATフィールドでチルドレンたちの精神へとアクセスしていろいろイタズラしようとしたところ、4人分のATフィールドが逆流して破裂してしまったのだ。これが普通の人類4人分とか、この4人でもせめてレイとアスカであれば精神攻撃の習熟度とATフィールドの多寡によって問題なかったのだが、これまでの使徒の不思議パワー(ATフィールド)を奪ってきたシンジとマイトが混ざったのが運の尽き。あまりの物量差になすすべなく散ってしまったようだ。

 しかもどうやら発光体がちょうど光を増したタイミングで爆発したため、誰もそれに気付かなかったというおまけ付き。散り際すら認識されない悲しい状況になったというわけだ。

 

「ま、いっか」

 

 というわけで第13使徒、本来であれば第15使徒は人知れず葬られ、また項番がズレていくのであった。

 

 

 

 

 

 

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【せめて、人間らしく】

 

 第15使徒アラエルはATフィールドを使った

 

 

 シンジ「ふふーん、そんな呪文(ATフィールド)は効かない! 効かない!」

 レイ 「効かない! 効きます!」

 アスカ「効く! 効く時!」

 

 

 シンジ「効けばけろけろ!」

 レイ 「けろけろケロリラ!」

 アスカ「こけけっこ!」

 

 

 3人 「私はニワトリ~~~!」

 使徒 「うーん、効いとるナ」

 

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