リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章17話 レジー君の家へ

 レジー君たちの家はよく清掃が行き届いている家だった。

 そして、レジー君が早速料理を作る準備を始めたようだ。

 

「じゃあみんなはイスに座って待っていて。すぐに作り始める!」

 

 そう言ってやる気満々といった様子でレジー君が料理を作り始める。

 待っている間にシェリルさんに気になっていたことを聞くことにした。

 

「シェリルさん。レジー君に病気にかかっていると聞いたんですけど、どんな病気にかかっているのですか? あ、もし答えにくい質問だったら謝ります」

 

「いえいえ、別に隠しているわけではないのでいいですよ。私の病名は確か……、魔力吸入体不活性症ですね」

 

(アイザ、詳しい情報を頂戴)

 

(魔力吸入体不活性症は、この世界の住人の肺にある魔力吸入体という魔力を吸収し回復するための器官が上手く機能しないことで起こる病気で、症状は咳などです。末期になると呼吸困難を引き起こします。特効薬はありますが作るための材料が秘境にあったり数が少なかったり、材料を手に入れても毒を抜くのにかなりの技術がいることから価格は常に高止まりしているため、一般庶民で治った例は少ないです)

 

(なるほど……、ありがとうアイザ。シェリルさんは厄介な病気にかかってるんだね)

 

(はい、私の分析によるとシェリル様の余命は後五年といったところです)

 

 何とかしたいけど、むやみに他の世界の生物にこっちの技術を使って干渉しダメだからな……。

 特効薬なら材料さえあれば作れそうだけど、薬を作れるほどの量の貴重な植物を乱獲するは法律に引っかかるし……、どうしようか……、いっそのことこっちでお金出すか?

 

「その病気は聞いたことがあります。大変なんですね……」

 

「大変ですけど、それより子供のことが心配です……、私は子供が成人するまで生きていけないでしょうし、夫も数年前に馬車に引かれてしまい亡くなってしまいました。もし私が死んだらこの子たちは生きていけるのでしょうか……」

 

 シェリルさんがそう言うと今まで黙ってたイリスちゃんが急に喋りだした。

 

「お母さん死ぬなんて言わないで~!」

 

ま、マズイ! イリスちゃんが機嫌を損ねてしまった……、えーと何かないか、何かないか……。

 

「あらあら、ごめんねイリス。ちょっと疲れてしまったみたいだわ。もう言わないから許してくれないかしら?」

 

「しかたないな~、許す!」

 

 ……すごい、さすが母親。一瞬でイリスちゃんの機嫌が戻った……。

 

「ごめんなさいシェリルさん、こんな話するべきではありませんでした……、イリスちゃんにも謝る。ごめんなさい」

 

「いいよ! アル兄ちゃん、ちゃんと謝れてえらい!」

 

「イリス、大人になってもアルさんみたいにちゃんと謝れる人になろうね」

 

「うん!」

 

「そ、そんな僕は失言をしたんだよ。褒められるようなことは……」

 

「しつげん? は、よくわからないけどアル兄ちゃんはかっこよくてちゃんと謝れる良い人だよ?」

 

 や、やめて……あんまり褒めれると恥ずかしい……。

 ま、まあ悪い気はしないけど……。

 

「そ、そう。ありがとう……」

 

「あ! マスターが照れてる! 珍しいですね」

 

「う、うるさい。仕方ないでしょ! こんな急に褒められるのは慣れないんだから!」

 

 照れてる僕を見て、シェリルさんはあらあらと言いながら微笑む。

 そうして、アイザに言い訳をしているとレジー君が料理を持ってきてくれた。

 ちょ、丁度いい……、助かった……。

 

「みんな~料理できたよ! 今日は近所から貰った島国でとれたお米と鍋だよ……、あれ? アル兄顔赤いけど大丈夫?」

 

「だ、大丈夫。じゃあレジー君が作ったご飯いただこうかな」

 

 レジー君が作ったご飯はおいしかった、久々に米を食べたな。

 てっきりこの世界にはないものかと思ってた。

 そうしてご飯も食べ終わったのでそろそろ帰ろうとしたとき、レジー君がシェリルさんにあることを告げる。

 

「お母さん、僕お母さんの病気を治す薬の材料を探す旅に出たいんだ」

 

 それを聞いたシェリルさんは少し叱るような口調でレジー君の意見に反対した。

 

「レジー、町の外はとても危険で魔物もいるのよ。しかも、あなたはまだ子供でまともに戦えないでしょ? それに材料を見つけても薬が作れないと意味がないのよ? そんな危険なことお母さんさせられません!」

 

 しかしレジー君はあきらめきれないようでさらに食い下がってきた。

 

「そんなことないもん。アル兄! アル兄だったら薬とか作れたりしない?」

 

「え⁉ ま、まあ材料さえあればできるけど……、でもレジー君そんな危険なことしなくたって冒険者ギルドに依頼してくれれば報酬が石貨一枚だとしても僕たちが取ってきてあげるからレジー君は大人しくお家に居な?」

 

 秘境の危険な場所にも行ってあげるなんて言っちゃった……、まあ、元々何らかの方法で助けようとは思ってたしいいか…… 。

 

(ごめんアイザ、僕達なんて言って君も巻き込んじゃって……)

 

(かまいませんよ。秘境とか面白そうですし、シェリル様が治るのなら一石二鳥ですしね)

 

 だがしかし、レジー君はなぜかどうしても自分で行きたいようでまだ食い下がる。

 

「自分で行って取ったやつじゃないとダメなんだ。そうしないと気持ちがこもらないって近所のおばさんが言ってた!」

 

 おい、何してくれてんだ近所の人!

 まあ、悪気はないんだろうけど今回ばかりは困るなぁ…… 。

 そしてこの話を聞いたイリスちゃんも感銘を受けたようで……。

 

「お兄ちゃんがそういうなら私も行く! 薬の材料に気持ち込める!」

 

「イリスまで! 駄目よ絶対! アルさんも何か言ってください!」

 

 ……やっべ、イリスちゃんまで加わった。

 こんなことなら薬作れないって嘘をつくべきだった……。

 うーん、僕が薬作れるなんて言っちゃったのが悪いしここは何とかするしかない!

 

「エーットヤッパリ、アルニイクスリツクレナイヤー」

 

「嘘だ! 声が上ずってる!」

 

 ア、アハハ、バレたか。

 レジー君、上ずってるなんて難しい言葉よく知ってるね~。

 それに嘘を立派に見破ったじゃないか、これでもう悪い大人に騙されないね。

 か、感心するよ……。

 あーマジでどうしよう……、そうだ!

 

(アイザ! ヘルプ!)

 

(仕方ないですね。私に任せてください)

 

 やっぱり相棒は頼もしい!

 ここは頼むよ!

 

「レジー様、イリス様、私が頭を下げるのでここはどうかお家で大人しくしてくれませんか」

 

「「やだぁー!」」

 

(申し訳ありません、マスター。失敗しました)

 

(うん、知ってた。こうなった子供はもはや無敵だね。こうなったら……)

 

「シェリルさん、お願いします! 助けてください!!」

 

 そう言って腰を九十度折り、シェリルさんにお願いをする。

 シェリルさんは何やら覚悟を決めたようで……。

 

「はぁ~……、わかったわ。二人がそこまで言うなら、アルさん達の言う事をよく聞くと約束するのなら許しましょう。……ただし私もついていきます!」

 

 ……え?

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