リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章18話 え? 本気で行く気?

 ちょっと待て、シェリルさん病気なんだよね?

 ……そっかなるほど、自分の身を危険に晒そうとすることで二人を止めようって作戦だな。

 流石シェリルさん。

 

「お母さんは元Bランク冒険者だったのよ。引退したけど鍛錬はできる限り続けているし, 戦力にはなるわ!」

 

 ……アレ? シェリルさん、もしかして本気で行く気なの⁉ 

 

「でもお母さんが危ないのは嫌だし……」

 

 ナイス! レジー君、もっと言って!

 

「お母さん、もう病気と戦うのにウンザリしてきたところなの。アルさん、アイザさん薬を作れるのは本当なのね? そして私達をそこまで安全に連れて帰ってこれる?」

 

 シェリルさん、なんか笑ってるのに怖い……

 

「「もちろんです! 私たちの技術に誓って必ず行って帰って作って見せます!」」

 

「あら、ごめんなさい。 ちょっと怖がらせちゃったかしら?」

 

「だ、大丈夫です。じゃ、じゃあ出発はいつにしますか? 移動手段はこっちで手配するので問題ありませんが……」

 

「じゃあ、明日にでも行きましょう。アルさん、一応ギルドに護衛依頼を出した方があなた達の実績にもなるし都合がいいわよね? 明日の朝の鐘が鳴るころ一緒に冒険者ギルドに行きましょう。ゴホッ……」

 

 そうして僕たちは一旦宿屋に帰り宿屋のご飯を食べて就寝した。

 翌朝、宿をチェックアウトして朝の鐘が鳴る前に三人の家に行くとすでに三人とも準備を済ませて待っていた。

 

「あ! 来た、アル兄ちゃん~! アイザ姉ちゃん~!」

 

「おはようございます。皆様」

 

「おはよう、イリスちゃん。元気いっぱいだね」

 

「うん! だって薬の材料を見つけて薬ができたらお母さんが元気になるんだもん!」

 

 まあ、普通はそんな簡単に見つけれないけど、今回は僕達がいるから問題ないし行ければ大丈夫だね。

 

「じゃあ、目的の物についてみんなに教えておくわね。今回必要なのはナグネロン花とイスカンデル草よ。まさか病気にかかってから調べたことがこんな所で役に立つなんてお母さん思いもしなかったわ」

 

 シェリルさん勉強熱心なんだね、流石!

 

「じゃあ、もうギルドに行きます?」

 

「ええ、レジー、イリス! 行くわよ!」

 

「「おー!」」

 

 そうしてギルドまで歩いて行って人が少ない男性の受付係の人に依頼の手続きをお願いした。

 周りからなんで引退したシェリルがここに……とか、ヒィ! 撲殺のシェリルだ! とか聞こえるがあまり気にしないでおこう。

 まあ、撲殺って異名はおそらくシェリルさんが持ってるクソデカハンマーから来ているんだろうけど……

 何で病気で弱っているのに、あんなクソデカハンマー持てるんだろ……

 とても余命が残り五年の人には見えない。

 

「では、依頼の内容を確認しますね。依頼の内容は砂漠山岳国家ガエタン方面のルネル山への行き帰りの護衛で、報酬は金貨一枚ですね。では、報酬分のお金をいただきます」

 

「はい、金貨一枚よ」

 

「確かに頂きました。……アルティマさん、アイザさん。はっきり言って相場より大分低い報酬ですがよろしいですか?」

 

「大丈夫です。こっちから報酬を下げてほしいと願い出ましたから」

 

 僕の失言で行くことになってしまった以上、あまりシェリルさんにたくさんのお金を出させるのは申し訳ないからね。

 まあ、どうしてもってことで怪しまれないくらいの金額は出してもらうことになっちゃったけど。

 

「そうですか。ではこれで依頼は正式に受理されました。こちらは依頼書です」

 

 依頼書を受け取って、奇異の視線にさらされながらもギルドを出て、町の外に出た。

 

「アル兄、アイザ姉。外に出たけど何で移動するの?」

 

「まず、最初は馬車で移動するよ。今出すからちょっと待っててね」

 

 僕は道端に寄ってケンタウロスアーマー(馬の上半身付き)と装甲馬車を取り出した。

 

「ささ、みんな乗って、出発するよ」

 

 そう言うとイリスちゃんが喜んで一番に乗った。

 

「わ~い! 馬車だ! 一回乗ってみたかったんだよね~」

 

「あ、イリス待ってよ。お兄ちゃんも乗る!」

 

「ゴホッ……アルさん、この馬車絶対にお高いやつよね……それと、収納魔法は生物や植物の持つ魔力が干渉するから生きているものはしまえないはずよね?」

 

 流石シェリルさん、鋭い。

 

「ああ、この馬は生き物じゃなくて僕の作った魔道具のような物なのでしまえるんですよ。馬車の値段は……そうですね、秘密とだけ言っておきましょう」

 

「そう、お高いのね……それと馬は確かに触った感じ金属だし生き物ではなさそうね」

 

「お母さん、どうしたの? 早く乗ろうよ」

 

 どうやらイリスちゃんは早く行きたいようでそわそわしている。

 

「ごめんね、イリス。今行くわ」

 

 全員が乗ったのを確認して、せっかくなので出発の合図をしてから行く。

 

「みんな! 準備できた?」

 

「「出来た~!」」

「出来たわ」

「出来ました、マスター」

 

「それじゃあ、出発~!」

 

 そうして、僕たちは薬の材料を探す旅に出かけた。

 道中、盗賊が進路を妨害して装甲馬車を止めようとしたが、無視してそのまま突っ切ろうとしたら盗賊はビビって避けていった。

 しばらく走って、町外れの人気のない草原で、一旦装甲馬車を止めて、みんなに乗り物を乗り換えることを伝える。

 

「みんな、ここからは僕の秘密の魔道具で移動するよ。三人とも、これから見せるものは誰にも言わないって約束できる?」

 

「「出来る~!」」

 

「ゴホッゴホッ……分かったわ、口外しない。約束は守るわ」

 

 約束してくれたので、僕は戦闘ヘリ、AT-1フライヤー改を出す。

 

「じゃあみんな乗って! これからすごいことが起こるから、心の準備をしてよ?」

 

 レジー君とイリスちゃんは期待を膨らませながらヘリに乗り込んだ。

 一方シェリルさんは、少し物珍しそうにヘリを見ながらおそるおそる乗り込んだ。

 みんながシートベルトをしたのを確認してから、ヘリを飛ばす。

 

「わ~! すごい!! 飛んでる~。すごい魔法使いの人になったみたい!」

 

 イリスちゃんは空を飛べてご機嫌のようだ。

 

「と、飛んだ! あ、アル兄……これ、落ちないよね……」

 

 レジー君は飛んでいるのが怖いらしい。

 

「大丈夫! コレの安全性は僕が保証するよ!」

 

 そう僕が言うとレジー君は少し落ち着きを取り戻した。

 

「よかった……アル兄がそう言うなら安心だ……」

 

(アイザ、みんなが目的地で高山病にならない様に少しずつ機内を減圧して)

 

(了解しました。減圧を開始します)

 

 そうしてイリスちゃんが窓の外を見てはしゃいでいたり、レジー君が恐る恐る景色を見たりしているのを見ていたシェリルさんが不意に聞いてきた。

 

「アルさん……あなた達……一体何者なの……?」

 

「……僕たちは、名目上はただの冒険者ですよ」

 

「そう……詳しくは言いたくないのね」

 

 もしかして……避けられちゃうかな?

 

「ええ……ごめんなさい。なのでこれからもただの冒険者として接してくれて、欲を言えば……怖がったり、避けたりしないでくれると……嬉しいです」

 

 そう僕が恐る恐る言うと、シェリルさんは何か吹っ切れたかのようにこう言った。

 

「アルさん、私を見くびっているんじゃないかしら? アルさん達は子供達の恩人で、何より私たちのために自分の秘密の道具を使ってまで私たちを助けてくれる優しい人だもの。あなた達を怖がったり、避けたりなんてしないわ」

 

 シェリルさんは、怖がってる子供に優しく諭すようにそう言ってくれた。

 

「……ありがとうございます。嬉しいです!」

 

 僕は、嬉しさで泣きそうな顔を隠しながら、満面の笑みで感謝を伝えた。

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