リジェネレイト・トリップ~アルとアイザの異世界旅行記~   作:自由山明

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1章23話 盗賊団との戦闘

 ソフィーちゃんと一旦別れてから先の通路の右側を進む。

 しばらく進むと盗賊たちがたくさんいる大部屋が見えてきた。

 盗賊にばれないように離れながら中の会話を聞いてみる。

 

「いや~昨日はたくさん収穫がありましたねぇ、お頭」

 

「そうだな! 護衛の奴ら馬車の乗客を置いてさっさと逃げちまったからな。おかげで大した苦労をしなかったぜ!」

 

 ギャハハと盗賊たちが一斉に笑う。

 のんきに酒を飲んでいるのでこの隙に攻撃の準備をする。

 リュシオン君が指示を出してくれるようだ。

 

「じゃあマーリャとアル君とクリストルさんが魔法で攻撃して。僕はそれと同時に矢を射る。狙いは各自の自由で」

 

 そうして矢とプラズマショック、風魔法と土魔法が盗賊に向かって飛んでいく。

 

「うぉ! 敵襲だ‼ お前らぼさっとすんな、戦え!」

 

 流石はギルドに悪名高いと評されるだけあって攻撃を受けてからの対応が早かった。

 ただし、先の攻撃で盗賊の内二人を倒すことができたので、人数はこちらと同じになった。

 盗賊が一斉にこちらに向かってくる。

 

(アイザ、この中に洗脳とかしないで更生の余地がある人はいる?)

 

(残念ながらそのような善性がある個体はいません、マスター。攻撃してきたら殲滅しましょう)

 

「でやぁ!」

 

 一番に攻撃してきた盗賊の剣を断ち切り、それでも怯まずサブウェポンのナイフで攻撃してきたので痛みをなるべく感じないように一瞬で首を斬り落とす。

 僕に向かって矢を射ってきた盗賊はプラズマブラスターで痛みを感じないように頭部を消し飛ばす。

 

「アースバレット! ぐううぅ……!」

 

 近接攻撃が苦手なようで押されているクリストルさんの援護に入り、盗賊が攻撃してきたので至近距離でプラズマレーザーを頭部に叩き込む。

 みんな一所懸命に戦って一部の人は少し怪我をしながらも、盗賊の数を順調に減らしていった。

 

「このまま終われるかぁ!」

 

 大剣を持った盗賊のボスがクリストルさんに向かって真っすぐ突っ込んでいく。

 クリストルさんのピンチにハヤト君がいち早く駆け付け長剣でボスの攻撃を防ぐが、流石に大剣相手では分が悪いのか押し負け始める。

 そこに仲間と協力してサブウェポンで盗賊を片付けたリュシオン君がハヤト君に当たらないように盗賊のボスの背中に矢を当てる。

 

「痛ッ!」

 

「……ッ! せぃ!」

 

 大きな隙ができた盗賊のボスに向かってハヤト君が袈裟斬りをお見舞いする。

 

「ぎやぁぁぁぁぁぁ!」

 

 盗賊のボスは深手を負い、間もなく息を引き取った。

 みんなも盗賊を倒し終わったようなので、一回集まって怪我をした人にポーションを使う。

 ソフィーちゃんは今生の夢のみんなに任せて、僕達は病気が発生しないように盗賊の死体を一旦外に出してから、僕がプラズマファイヤーで火葬する。

 その作業が終わったころ、今生の夢のメンバーとソフィーちゃんが出てきた。

 

 「ソフィー、あたしたちについてくるのはかまわないが少しハヤトにくっつきすぎじゃないか?」

 

「ドーナの言う通りです。もう少し節度というものをわきまえてください!」

 

「クリストルさんとドーナさんもくっついているのです! 私もくっつくのです!」

 

 まるで三人の間に火花がほとばしっているようだ……あー怖い怖い。

 

「えーっとみんな、喧嘩しないで?」

 

「「「喧嘩してない!」」のです!」

 

「ア、ハイ……」

 

 三方向から女の子に抱き着かれてハヤト君がタジタジしている。

 ヒュー、若いねぇ~!

 そんな年寄臭いことを思いながら、帰路に就いた。

 帰りの野営地は前日と同じ場所になった。

 保存食の料理をみんなにふるまったが、ソフィーちゃんの口には合わなかったようなので、味付けを変えたものを出してみたらパクパクと食べてくれた。

 野営の見張り当番を決めて各自就寝する。

 時間がたって僕が見張りをする番になり、さっきから見張りをしているハヤト君と眠気対策もかねて会話する。

 

「ハヤト君、パーティーメンバーとは一体どういう経緯で仲間になったの?」

 

「えーっと、クリストルは盗賊に襲われていたところを助けたら、私も冒険者だから一緒に冒険しようと誘われてパーティーを組んだんだ。ドーナは違法な奴隷商人に捕まってたところを助けたらあたしもハヤトみたいに強くなりたいって言ってぱパーティーに入ったんだ」

 

「ハヤト君は優しいね。もしかしたらまだ、パーティーメンバーが増えるんじゃない?」

 

 そう、すこし茶化しながら言ってみた。

 

「ちょっと、やめてよ! ただでさえみんなの仲を取り持つのに苦労しているのにこれ以上増えたら一体どうなることか……まあ、ハーレムみたいでちょっと嬉しいけど……」

 

 どうやらハヤト君は多少ハーレム願望があるようだ。

 ハヤト君なら性格もいいし強さもあるし、まだ増えるんじゃないかな?

 

「まあ、増えようが増えまいがハヤト君を応援するよ!」

 

「ありがとう。みんなが納得できるような結果にして見せるよ!」

 

 いいね~若いね~。

 

 「アルティマ君はパーティーメンバーが女性らしいけど付き合ってるの? できれば参考にしたいから仲を保つ方法とかあったら教えてほしいんだけど」

 

「あー……あいにくアイザとの関係は相棒って感じで恋人って感じではないんだよね」

 

 そもそもアイザはAIだから性別とかないし……。

 まあ、一応ガイノイドだけど……

 

「アルティマ君も良い人だからいつか恋人出来るよ!」

 

 恋人ねぇ……今まで趣味一筋だったから考えたこともなかったな……

 まあ、恋人いなくても困ってないし、そんなあり得ないことが起こったら考えよう。

 僕みたいなのを選ぶ物好きなんていないだろうしね。

 そんなことを思っているとハヤト君が少し思いつめた表情でこんなことを聞いてきた。

 

「アルティマ君……いくつか相談したいことがあるんだけどいい……?」

 

「いいよ。何に悩んでいるの?」

 

「実は……もう元の世界に戻りたくないんだ」

 

 ハヤト君が寂しそうにそう言った。

 

「それは一体なんで?」

 

「親には申し訳ないんだけどいつも厳しいし、学校ではいじめ……とまではいかなくてもそれに近いことを受けていたんだ。それに比べたらこの世界はゲームもないし娯楽もほとんどないけど、僕のことを好いてくれる人がいるし、毎日が楽しくなったんだ。でも日本人としてそれでいいのかとか思ったりしちゃって……」

 

 なるほど、確かにハヤト君は日本人としての経験の方が長いから向こうのことを考えちゃうのも仕方ないね。

 でも……

 

「ハヤト君、君の心はもうとっくにこの世界にあるんじゃないかな? 無理して戻ろうとしなくてもいいんじゃない? 帰ったら君のことを憎からず思っている人を悲しませることになるし。それに、戻る手段も見つかっていないんでしょ?」

 

「うん……探してみたけど見つからなかった。でも、無いってわかってホッとしたんだ。そこで、もう日本に帰りたくない気持ちに気付いたんだ……うん、そうだね。急に帰ったらパーティーのみんなが悲しがるし、帰らないことにするよ!」

 

 もし帰りたかったら元の世界まで送ってあげるつもりだったけど、必要なさそうだね。

 

「それと、もう一つ悩みがあるんだ……言っていいかな……?」

 

「よし来い! 準備万端だよ!」

 

 ハヤト君は少し泣きそうになりながらも心の内を打ち明けてくれた。

 

「今日の依頼のように盗賊とはいえ人を殺すと、自分は人じゃない何かになってしまったんじゃないか、とか思っちゃうんだ」

 

 おーっと、これは難しい悩みだな。

 回答を間違えると変な方向に行きかねない。

 ここはさっき以上に慎重に答えないとな。

 

「……確かに殺人はよくないね。でも、だからと言ってパーティーのみんなが理不尽に死ぬのは嫌でしょ?」

 

「うん……」

 

「だから、こう考えるのがいいんじゃないかな? 僕は他人から奪うために戦うのではなく、他人を守るために戦うんだって。……ごめんね? 月並みなことしか言えなくて」

 

「そんなことないよ、ありがとう! なんだか気が楽になったよ。……そうだ! お礼と言っては何だけど、アルティマ君の悩みも聞かせてよ」

 

 え? 僕の悩み?

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